第100回午前問題51
塗装工事を行っていた作業員が頭痛を訴え嘔吐し、意識を消失して病院に搬入された。最も考えられるのはどれか。
- サリン中毒
- ボツリヌス中毒
- パラコート中毒
- トリクロロエチレン中毒
正解 4
- サリン中毒
- 有機リン系の中毒である。縮瞳が起こる他、結膜充血や流涙、呼吸障害や全身痙攣などを引き起こす。
- ボツリヌス中毒
- ボツリヌス菌が産生する毒素の摂取によって引き起こされる毒素型食中毒である。嚥下障害や視力障害、眼瞼下垂などの神経障害が生じ、悪化すると呼吸及び四肢筋において麻痺症状を引き起こす。
- パラコート中毒
- 除草剤であるパラコートによる中毒。細胞膜を障害し、肺障害、肝障害、腎障害を引き起こす。
- トリクロロエチレン中毒
- トリクロロエチレンは吸入すると中枢神経系を抑制する。急性アルコール中毒に類似し、頭痛、めまい、錯乱などの症状が起こり、吸入を続けた場合、意識喪失を経て死に至る。トリクロロエチレンは溶剤、洗浄剤として使われており、塗装工事を行っていたことからトリクロロエチレン中毒が最も考えられる。