第101回午前問題101
次の文を読み100~102の問いに答えよ。
Aさん(55歳、男性)、会社員。野球が趣味で、野球チームに所属し毎週日曜日に試合や練習を行っている。 7月のある日曜日、気温32℃、湿度86%。Aさんは野球の試合で守備についていたとき、急激な下肢の痛みが出現し倒れこんだ。その試合を偶然観戦していた看護師がAさんの状態を観察した。ジャパン・コーマ・スケール (JCS)I-1。呼吸数30/分。脈拍120/分、整。身体は熱く、多量の発汗がみられた。
Aさんは野球チームの監督の車で病院に搬送され、熱中症と診断された。Aさんの状態は、JCSII-10。体温38.2 ℃。呼吸数28/分。脈拍98/分、整。血圧 112/62mmHg。SpO2 98%。嘔気・嘔吐を認める。救急外来の看護師のAさんへの対応で適切なのはどれか。2つ選べ。
- 下肢を挙上させる。
- ばち状指の有無を確認する。
- 静脈路の確保の準備をする。
- 頸部の両側を氷嚢で冷やす。
- 回復傾向にあることをAさんに伝える。
正解 3,4
- 下肢を挙上させる。
- 下肢挙上はショック時における対応である。
- ばち状指の有無を確認する。
- ばち状指とは、指先が太鼓のばちのように丸く肥大した状態であり、慢性肺疾患やチアノーゼ性心疾患などでみられる。
- 静脈路の確保の準備をする。
- 意識レベルが下がっており、静脈路を確保して、いつでも輸液を行えるようにしておく。
- 頸部の両側を氷嚢で冷やす。
- 体温が高いため、頚動脈や腋下動脈、大腿動脈を氷嚢で冷却する。
- 回復傾向にあることをAさんに伝える。
- 呼吸数、脈拍は下がっているが、体温は高く、意識レベルも下がっており、回復傾向とはいえない。