第103回午後問題96
次の文を読み94~96の問いに答えよ。
Aさん(43歳、男性、会社員)は、1か月前に右頸部の腫瘤に気付き、自宅近くの診療所を受診し、大学病院を紹介された。検査の結果、Aさんは、非Hodgkin(ホジキン)リンパ腫と診断され、縦隔リンパ節腫大による上大静脈の圧迫も確認され、化学療法導入のため入院した。Aさんは「悪性リンパ腫と言われたときにはショックだったけど、化学療法は有効であると聞いて、頑張ろうと思っている」と話す。入院時、Aさんは体温37.5℃、呼吸数18/分、脈拍84/分、血圧124/64mmHgであった。血液検査データは、赤血球302万/μl、Hb10.3g/dl、白血球6,400/μl、総蛋白7.6 g/dlであった。
治療は正午から開始され、午後5時ころから胸やけと悪心が出現した。その後、Aさんは制吐薬を追加投与され、症状は軽減した。それ以降、Aさんに悪心・嘔吐はないが、翌日も食欲がなく、食事は1/4程度の摂取であった。治療後3日には症状が改善し、食事は全量摂取できた。Aさんは「楽になったけど、やっぱりつらかった。思い出すだけでもちょっと気持ち悪くなる」と話す。治療後3日までの状況を踏まえて、次回の治療時の対応で最も適切なのはどれか。
- 治療前日の夕食を控えてもらう。
- 治療薬の減量を医師に相談する。
- 1日1,000mlの水分摂取を促す。
- 病院食以外は食べないよう指導する。
- 治療前の制吐薬の追加投与を検討する。
正解 5
- 治療前日の夕食を控えてもらう。
- 治療直後に食欲が落ちることが予想され、治療前日の夕食を控えることは適切でない。
- 治療薬の減量を医師に相談する。
- 治療効果が落ちる可能性があるため、治療薬を減量するわけにはいかない。
- 1日1,000mlの水分摂取を促す。
- 出血性膀胱炎を予防するため、十分な水分摂取を促す必要があるが、悪心・嘔吐の対策にはならない。
- 病院食以外は食べないよう指導する。
- 病院食以外でも食べてよい。
- 治療前の制吐薬の追加投与を検討する。
- 制吐薬によって症状の軽減が認められており、次回は治療前に制吐薬を追加投与することを検討する。