第99回国家試験必修問題解説(午後)
【問題1】 日本人の体格指数(BMI)で「普通(正常)」はどれか。
正解 2
BMI(ボディマス指数)とは、体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)で算出される体格の指標である。
- 17
- 22
- 日本肥満学会では、BMI22の場合を「標準体重」、25以上の場合を「肥満」、18.5未満を「やせ」としている。
- 27
- 32
正解 3
関係法規の基本的な問題である。
- 子の看護休暇の取得促進
- 育児・介護休業法(育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律)に規定されている。
- 女性の最低労働基準の設定
- 労働基準法に規定されている。
- 雇用分野における男女差別の解消
- 男女雇用機会均等法は、雇用の分野での男女の均等な機会及び待遇の確保、女性労働者の妊娠中と出産後の健康確保を目的としている。
- 就業制限業務の規定による女性の保護
- 労働基準法に規定されている。
正解 4
カンピロバクター菌の感染は、手足の麻痺などの運動障害を主な症状とするギランバレー症候群の原因とも言われている。
- セラチア
- 院内感染の原因菌の一種で、ほとんどが接触感染である。易感染患者が感染した場合、肺炎や敗血症などを起こすことがある。
- レジオネラ
- 水中や土壌中などの環境に存在し、飛沫が呼吸器系に入ることで、レジオネラ肺炎などのレジオネラ症を引き起こす。
- ヘリコバクター
- ピロリ菌とも呼ばれる。経口感染し、胃炎や胃潰瘍、十二指腸潰瘍の原因となる。
- カンピロバクター
- 食中毒菌に指定されており、過熱不十分の食肉(主に鶏肉)などが原因で食中毒を引き起こす。100個前後の少量の菌数で食中毒を発症する。
正解 3
個人情報保護法に関連した問題である。
- 看護計画を立案するために診療録を自宅へ持ち帰った。
- 個人情報は、安全かつ適切に管理しなければならず、自宅へ持ち帰るのは適切でない。
- 看護記録に誤りを見つけたので修正液を使って修正した。
- 「訂正前の内容、訂正者、訂正日時がわかるようにする」ため、修正液の使用などはしない。
- 患者の友人から病状を聞かれたので答えられないと説明した。
- 看護師は、正当な理由なく業務上知り得た人の秘密を漏らしてはならない。(保健師助産師看護師法)
- 患者の氏名が記載された看護サマリーを院外の研修で配布した。
- 個人情報を、本人の同意を得ることなく、第三者に提供または開示してはならない。
【問題5】 我が国の平成20年における看護職員の就業者数はどれか。
正解 4
看護職員とは、保健師、助産師、看護師または准看護師をいう。
- 約50万人
- 約80万人
- 約100万人
- 約130万人
- 平成20年の全国の看護職員の就業数は、1,323,459人である。
正解 3
大泉門は、新生児の前頭頂にある頭蓋骨が発達していない部分である。
- 1か月
- 6か月
- 1歳6か月
- 大泉門は、1歳半頃までには自然に閉じる。
- 3歳
正解 3
小児の発達過程を理解しておく必要がある。
- 喃語を話す。
- 生後3〜4か月頃から喃語が盛んになる。
- 音を真似る。
- 1歳〜1歳半頃から音を真似るようになる。
- 二語文を話す。
- 2歳頃から二語文を話すようになる。
- 接続詞を使う。
- 3歳頃から接続詞を使って簡単な文章を話すようになる。
正解 1
二次性徴は思春期の特徴であり、身体の各部分に男女で差異が現れる。
- ホルモン変化を伴う。
- 二次性徴はホルモンの変化によって起こる。
- 男子にはみられない。
- 二次性徴は男女ともにみられる。
- 特定の身長になると発現する。
- ホルモンの変化によって起こるもので、特定の身長で発現するものではない。
- 乳房の発育と初経の発来の順序は個人によって異なる。
- 二次性徴は通常「皮下脂肪の発育」「乳房の発育」「陰毛の発生」「初経の発来」の順にみられる。
【問題9】 法的に診療所に入院させることのできる患者数の上限はどれか。
正解 2
医療法に規定されている。
- 9人
- 19人
- 診療所は、患者を入院させるための施設を有しないもの又は19人以下の患者を入院させるための施設を有するものをいう。
- 29人
- 39人
正解 3
右肺は上葉、中葉、下葉に、左肺は上葉、下葉に分かれる。
- 左肺の上葉は肺尖後区、前上葉区、上舌区、下舌区からなり、下葉は、上・下葉区、内側肺底区、前肺底区、外側肺底区、後肺底区からなる。
正解 1
胎位とは子宮腔内における胎児の位置関係をいい、胎児長軸と子宮縦軸との方向関係で示される。両者の方向が一致するものを縦位という。
- 頭位
- 縦位のうち、胎児の頭が下を向き、子宮口のそばに位置した状態をいう。
- 斜位
- 胎児長軸と子宮縦軸が斜めに交差する状態をいう。
- 横位
- 胎児長軸と子宮縦軸が直角に交差する状態をいう。
- 骨盤位
- 縦位のうち、胎児の頭が上を向き、足や尻が子宮口のそばに位置した状態をいう。逆子ともいう。
正解 4
JCS(ジャパン・コーマ・スケール、3-3-9度方式)とともに意識レベルの指標として用いられている。
- クレペリンテスト
- 継続的に足し算を行い、「作業するときの能力」と「その能力を発揮するときの特徴」を診断する検査である。
- フェイススケール
- 痛みのレベルを表したイラストを用いて、どのくらい痛むかを客観的に知る指標である。
- ロールシャッハテスト
- 左右対称のインクの染みが何に見えるかを問うことで、性格や心理を判定する性格検査である。
- グラスゴー・コーマ・スケール
- 開眼、発語、運動機能の3項目をそれぞれに評価して、意識障害の重症度を表すものである。
【問題13】 弛緩性便秘の患者に対する食事指導で適切なのはどれか。
正解 4
弛緩性便秘は、腸管の緊張や蠕動運動の低下が原因である。
- 水分摂取の制限
- 腸内の水分吸収を促進させるので、水分の摂取は弛緩性便秘の解消に効果がある。
- 脂肪の多い食品の摂取の制限
- 脂肪の多い食品の適度な摂取は、スムーズな排便を促す。
- 塩分の多い食品の摂取の推奨
- 適度な塩分の摂取が推奨される。
- 食物残渣の多い食品の摂取の推奨
- 残渣の少ない食物は腸の蠕動運動を弱める原因になるので、残渣の多い食品の摂取が推奨される。
正解 4
ホルモンの作用に関する問題は頻繁に出題されるので、よく理解しておく必要がある。
- アルドステロン
- 血圧の上昇や血中カリウム低下の作用がある。
- テストステロン
- 男性ホルモンの一種で、性徴の発現や、骨格・筋肉の成長を促進する作用がある。
- 甲状腺ホルモン
- 身体の発育や代謝を促進する作用がある。
- 副腎皮質刺激ホルモン
- 低血糖を感知した視床下部が交感神経を刺激し、前葉から副腎皮質刺激ホルモンが、副腎からは糖質コルチコイドやアドレナリンが分泌される。アドレナリンは肝臓に蓄えられているグリコーゲンを、糖質コルチコイドは蛋白質をそれぞれグルコース(ブドウ糖)に分解する。また、膵臓からは血糖値上昇作用を持つグルカゴンが分泌される。
正解 3
感冒とは、かぜのことである。
- 真菌
- カビ・キノコ・酵母を真菌類と呼ぶ。有害真菌によって起こる病気を真菌感染症といい、口や肺、膣などに感染するカンジダ、呼吸器系への感染を起こすアスペルギルス、ハトの糞などから感染して肺炎を起こすクリプトコッカスなどがある。
- 細菌
- 細菌類は単細胞の生物であり、形状によって球菌、桿菌、らせん菌の3つに分類される。
- ウイルス
- かぜを起こす代表的なウイルスとして、ライノウイルスやコロナウイルス、アデノウイルスなどがある。
- クラミジア
- 生体細胞内でのみ増殖する細菌の一種で、結膜炎(トラコーマ)や性器クラミジア感染症、クラミジア肺炎、気管支炎の原因となる。
正解 2
他の代表的な抗ウイルス薬として、抗サイトメガロウイルス薬のガンシクロビル、抗インフルエンザウイルス薬のオセルタミビルなどがある。
- ペニシリン
- 抗生物質である。
- アシクロビル
- ヘルペス感染の治療などに用いられる抗ウイルス薬である。
- エリスロマイシン
- 抗生物質ある。マイコプラズマや梅毒などの治療に用いられる。
- アンホテリシンB
- 抗真菌薬である。歯周病などの治療に用いられる。
【問題17】 鍵のかかる堅固な設備で保管しなければならないのはどれか。
正解 4
麻薬は、他の薬剤と区別して鍵をかけた堅固な金庫に保管しなければならない。
- ヘパリン
- 抗凝固薬であり、麻薬ではない。
- インスリン
- 劇薬なので、他の薬剤と区別して保管するが、鍵をかけなくてもよい。
- 風疹ワクチン
- 麻薬ではない。
- モルヒネ塩酸塩
- 麻薬なので、他の薬剤と区別して鍵をかけた金庫に保管する。
【問題18】 呼吸音の聴診で粗い断続性副雑音が聴取されたときに考えられるのはどれか。
正解 4
呼吸運動に伴って生じる異常呼吸音を副雑音という。副雑音のうち肺や気道から発生するものをラ音と呼び、連続性ラ音と断続性ラ音とがある。
- 気道の狭窄
- 気道が収縮して狭くなり、呼吸のたびに喘鳴音を伴う。
- 胸膜での炎症
- がんや結核、肺炎などの疾患の合併症として起こる。胸膜摩擦音が聴取される。
- 肺胞の伸展性の低下
- 伸展性が低下すると呼吸量が減少する。
- 気道での分泌物貯留
- 粗い断続性副雑音が聴取される場合は、気道内に分泌物が貯留している可能性がある。
【問題19】 看護過程における看護上の問題で正しいのはどれか。
正解 3
現在起こっている事象だけでなく、今後起こりうる問題についても考えなくてはならない。
- 問題の原因は1つにしぼる。
- 原因が1つとは限らないので、しぼる必要はない。
- 原因が不明な事象は問題でない。
- 原因が不明な事象も問題となる。
- 危険性があることは問題になる。
- 危険性があることは看護上の問題となる。
- 優先度は問題解決まで変更しない。
- 優先度は患者の状態によって臨機応変に変更する必要がある。
正解 3
障害がある場合、健側から脱がせ、患側から着せる。この場合、健側は左、患側は右である。
- 右から脱がせ、右から着せる。
- 右から脱がせ、左から着せる。
- 左から脱がせ、右から着せる。
- 正しい着衣交換の方法である。
- 左から脱がせ、左から着せる。
正解 2
インスリン製剤の投与量は、単位(U)で表される。
- モル(mol)
- 単位(U)
- 1923年の国際連盟保険機構の標準化委員会で、インスリンの単位は「約2kgの24時間絶食ウサギの血糖を3時間以内に痙攣レベルにまで下げうる量」と定義された。現在のインスリン国際標準品は、ヒトインスリン26単位/mgである。
- キロカロリー(kcal)
- マイクログラム(μg)
正解 1
消毒薬の効果を十分に発揮するためには、適切な濃度、温度、清浄度、接触時間などを確保することが必要である。
- 細菌芽胞
- 芽胞は熱や乾燥、消毒薬に対して強い抵抗性を持っている。
- 栄養型細菌
- DNAウイルス
- RNAウイルス
正解 4
湯たんぽは、火傷に気をつけて適切に使用する。
- 湯の温度は90℃以上とする。
- 湯たんぽの温度は、ゴム製の場合60℃程度とする。
- 湯を湯たんぽの口まで入れる。
- 漏れや破裂の可能性があるので、口まで入れるのは危険である。
- ビニール製のカバーを用いる。
- カバーには厚手の布を用いる。
- 皮膚面から10cm程度離して使用する
- 10cm程度離して使用するのが適切である。
正解 1
感染の防止が必要である。
- 減菌精製水
- 不純物が混入していない滅菌精製水を用いる。
- 生理食塩液
- 細胞外液欠乏時やナトリウム欠乏時、注射剤の希釈や皮膚、粘膜の洗浄などに用いられる。
- ポビドンヨード
- 殺菌消毒剤であり、手術部位の皮膚や粘膜の消毒、創傷部位の消毒、うがい液などに用いられる。
- 5%ブドウ糖液
- ブドウ糖で、体液と同じ浸透圧に作り出したものが5%ブドウ糖液である。ブドウ糖は体内で均等に分布され代謝される。
正解 4
フランス語の「triage(選別)」が語源である。
- 医療物資の調達
- 避難方法の決定
- 行方不明者の安否確認
- 負傷者の治療順位の決定
- トリアージとは、負傷者を重症度や緊急度などによって分類し、治療や搬送の優先順位を決めることである。