第100回看護師国家試験一般問題・状況設定問題解説(午前問題26〜48)
正解 3
- 体温の調節中枢は脳幹にある。
- 体温調節中枢は、間脳視床下部にある。間脳は広義では脳幹に含まれるが、狭義では含まれない。
- 体温が上昇すると、骨格筋は収縮する。
- 体温が上昇すると、骨格筋は弛緩し、熱の産生を抑える。体温が低下すると、骨格筋の収縮によってふるえを起こし、熱を産生する。
- 体温が上昇すると、汗腺は活性化される。
- 体温が上昇すると、体内の熱を外に逃がすため、汗腺が活性化されて発汗が起こる。
- 体温が低下すると、皮膚の血流は増加する。
- 体温が低下すると、血管の収縮により皮膚の血流は減少する。体温が上昇すると、血管の弛緩によって血流が増加し、体内の熱を外に逃がす。
正解 3
- リンパ液の主成分は赤血球である。
- リンパ液の主成分はリンパ球である。
- リンパ液に脂肪成分は含まれない。
- リンパ液には、消化管で吸収した脂肪が含まれている。脂肪を含んだ乳白色のリンパ液を乳糜(にゅうび)という。
- 過剰な組織液はリンパ管に流入する。
- 過剰な組織液はリンパ毛細管から吸収され、静脈に戻される。
- 胸管のリンパ液は動脈系へ直接流入する。
- 胸管(左リンパ本幹)のリンパは静脈系へ流入する。
【問題28】 ホルモンとその作用の組合せで正しいのはどれか。
正解 1
- 成長ホルモン ――― 血糖値の上昇
- 成長ホルモンには、血糖値を上昇させる作用がある。
- バソプレシン ――― 尿量の増加
- バソプレシンは抗利尿ホルモンであり、尿量を減少させる作用がある。
- コルチゾール ――― 血中カリウム値の上昇
- コルチゾールには、抗炎症作用や血糖上昇作用がある。血中カリウムの調節に関与するのは、アルドステロンである。
- アンジオテンシンII ――― 血管の拡張
- アンジオテンシンIIには、血管を収縮させて、血圧を上昇させる作用がある。
正解 3
- mRNAがアミノ酸をリボソームへ運ぶ。
- アミノ酸をリボソームへ運ぶのは、tRNAである。
- DNAは1本のポリヌクレオチド鎖である。
- DNAは二重らせん構造であり、RNAは1本のポリヌクレオチド鎖である。
- DNAには遺伝子の発現を調節する部分がある。
- 遺伝子発現とは、遺伝子の情報がmRNAを経て、タンパク質へと合成される過程である。DNAには遺伝子発現を調節する部分がある。
- RNAの塩基配列によってアミノ酸がつながることを転写という。
- RNAの塩基配列によってアミノ酸がつながることは「翻訳」という。「転写」とは、DNAの遺伝情報からmRNAがつくられることである。
正解 2
- 細菌
- 生物学的要因である。
- 紫外線
- 物理的要因である。
- 一酸化炭素
- 化学的要因である。
- メチルアルコール
- 化学的要因である。
正解 3
- 四肢の近位から遠位へと感覚障害が進行する。
- 糖尿病性神経障害では、四肢の遠位から感覚障害が進行する。
- 感覚神経よりも運動神経が障害されやすい。
- 糖尿病性神経障害では、主に感覚神経が障害される。
- 自律神経の障害を伴う。
- 糖尿病性神経障害は、立ちくらみや便秘、下痢などの自律神経障害を伴う。
- 痛覚は障害されない。
- 糖尿病性神経障害では、痛覚も障害される。
正解 4
- 多発性骨髄腫
- 多発性骨髄腫とは、骨髄中に腫瘍性形質細胞が増殖する病気であり、主に中高齢者が発症する。加齢や遺伝、放射線被爆などが原因と考えられている。
- 鉄欠乏性貧血
- 鉄欠乏性貧血は、鉄分の不足により起こる。消化管出血、鉄分の摂取不足などが原因である。
- 再生不良性貧血
- 再生不良性貧血は、造血機能が低下し、全ての血球が減少する病気である。特定疾患に指定されており、ほとんどの場合、原因は不明である。
- 成人T細胞白血病
- 成人T細胞白血病は、HTLV-1の感染により起こる。
【問題33】 平成19年度の雇用均等基本調査における男性の育児休業取得率はどれか。
正解 1
- 1.56%
- 「平成19年度雇用均等基本調査」によると、育児休業取得率は女性89.7%、男性1.56%である。平成17年度(女性72.3%、男性0.50%)に比べると、男女ともに上昇しているが、男性は依然として低水準である。
- 5.56%
- 10.56%
- 20.56%
【問題34】 日本の社会保障給付費のこれまでの動向はどれか。
正解 1
- 増加傾向
- 社会保障給付費とは、社会保障や社会福祉等の社会保障制度を通じて、1年間に国民に給付される金銭またはサービスの合計額である。下記のように年々増加している。
平成17年:87兆7827億円
平成18年:89兆1098億円
平成19年:91兆4305億円
平成20年:94兆848億円
平成21年:99兆8507億円
- 社会保障給付費とは、社会保障や社会福祉等の社会保障制度を通じて、1年間に国民に給付される金銭またはサービスの合計額である。下記のように年々増加している。
- 変化なし
- 減少傾向
- 増減の繰り返し
正解 2
- 国が設置する。
- 児童相談所の設置は、都道府県、政令指定都市、中核市が行う。
- 児童福祉司がいる。
- 児童相談所には、児童福祉司を配置しなければならない。
- 設置は任意である。
- 都道府県及び政令指定都市には設置義務がある。
- 一般的な事例への対応が中心である。
- 児童相談所の業務は、養護相談、保健相談、心身障害相談、非行相談、育成相談であり、専門性が必要である。
正解 4
- 都市部の夜間照明と関係がある。
- 光化学オキシダントは、工場や自動車から排出される窒素酸化物と炭化水素が紫外線の影響で光化学反応を起こし生じる。そのため、特に都市部の昼間に発生する。
- 二酸化炭素が主体である。
- 光化学オキシダントの主成分はオゾンである。
- 消化器への影響が強い。
- 光化学オキシダントは呼吸器への影響が強い。
- 注意報が発令される。
- 大気汚染防止法により規定されており、光化学オキシダント濃度が、常時監視の測定データで1時間値0.12ppmを超えた場合に発令される。
正解 4
- 「急性白血病なら、だいたい1か月くらいです」
- 「主治医の許可を得てからお話しします」
- 「病院に来られたときにお話しします」
- 「お教えすることはできません」
- 守秘義務があるため、教えることはできない。
正解 2
- 機能性尿失禁 ――― 膀胱容量の減少
- 機能性尿失禁は、運動機能低下や認知症などによりトイレに間に合わなかったり、排尿すべき場所を認識できずに生じる。
- 反射性尿失禁 ――― 脊髄障害
- 反射性尿失禁は、脊髄損傷などの上位神経障害によって、尿意を感じたり排尿をコントロールできずに、反射的に尿失禁が生じる。
- 切迫性尿失禁 ――― 膀胱の過伸展
- 切迫性尿失禁は、強い尿意が急に起こり、我慢できずに尿が漏れてしまうものである。運動性切迫性尿失禁は脳卒中や脳梗塞などの脳障害、感覚性切迫性尿失禁は前立腺肥大症などの膀胱疾患が原因となりえる。尚、前立腺肥大症による代表的な尿失禁は、溢流性尿失禁である。
- 真性尿失禁 ――― 内分泌障害
- 真性尿失禁は、尿路異状による尿失禁で尿道外尿失禁とも言う。尿管異所開口や括約筋不全などによって尿道より常時尿が漏れ出る。
【問題39】 呼びかけに反応しない意識障害の患者に、痛み刺激を加えたところ、かろうじて開眼した。ジャパン・コーマ・スケール(JCS)による評価はどれか。
正解 2
- II-20
- 「大きな声または体をゆさぶることにより開眼する」である。
- II-30
- 「痛み刺激を加えつつ呼びかけを繰り返すと、かろうじて開眼する」である。
- III-100
- 「痛み刺激に対し、払いのけるような動作をする」である。
- III-200
- 「痛み刺激で少し手足を動かしたり、顔をしかめる」である。
正解 1
- 心不全時の起坐位 ――― 静脈還流量の減少
- 心不全などの心機能低下時は、起坐位にすることで静脈還流量が減少し、心臓への負荷や肺うっ血が軽減される。
- 悪心・嘔吐時の側臥位 ――― 噴門部からの逆流減少
- 悪心・嘔吐時の側臥位は、誤嚥による窒息を防止するためである。
- 腰椎麻酔後の頭部挙上 ――― 換気量の増加
- 腰椎麻酔後の頭部挙上は、麻酔薬が上位に影響を及ぼさないために行う。
- 腹水貯留時のファウラー位 ――― 横隔膜の上昇
- 腹水貯留時は横隔膜が上昇し、呼吸運動が抑制される。ファウラー位にすることで、横隔膜が下降し、呼吸が楽になる。
【問題41】 血液透析を受けている患者への食事指導で適切なのはどれか。
正解 4
- 乳製品の摂取を勧める。
- 乳製品にはリンが多く含まれているため、摂取しすぎると高リン血症を招く恐れがある。
- レバーの摂取を勧める。
- レバーにも乳製品同様リンが多く含まれている。
- 穀物の摂取を制限する。
- 穀物の摂取を制限する必要はない。
- 生野菜の摂取を制限する。
- 生野菜や果物にはカリウムが多く含まれており、腎機能低下時では不整脈や心停止などの原因になるため、制限する必要がある。
正解 3
- ストーマと同じサイズに面板を切る。
- ストーマより数ミリ大きめにカットする。
- パウチ周囲の皮膚はアルコールで拭く。
- 石鹸を使用して優しく丁寧に洗浄する。
- パウチを装着する際は、患者は腹部を膨らませる。
- 腹部のしわを伸ばすため、パウチ装着時に腹部を膨らませてもらう。
- 内容物がパウチ容量の8割を超えたらパウチを交換する。
- パウチ交換の目安は、便の状態や個人差にもよるが、内容物が半分以上溜まる前には交換する。
正解 4
- 炎症期、増殖期、退行期に分けられる。
- 創傷の治癒過程は、炎症期、増殖期、成熟期に分けられる。
- 創の局所を圧迫すると、治癒が促進される。
- 創の局所を圧迫すると、創の循環不良につながり治癒を遅延させる。
- 一次治癒とは、創を開放したままにすることをいう。
- 一次治癒とは、創が縫合または接着して治癒した状態である。
- 良好な肉芽の形成には、清潔な湿潤環境が必要である。
- 清潔な湿潤環境では、真皮側の線維芽細胞が活性化され、コラーゲンの増生が促進され、良好な肉芽組織が形成される。
正解 4
- 看護師は麻薬施用者免許の申請ができる。
- 麻薬施用者免許の申請資格は、医師、歯科医師、獣医師。麻薬管理者免許の申請資格は、医師、歯科医師、獣医師、薬剤師である。看護師に申請資格はない。
- 病棟での麻薬の保管は劇薬と同一の扱いにする。
- 麻薬は他の薬物と区分し、鍵のかかる堅固な保管庫に施錠して保管しなければならない。劇薬も他の薬物と区分して保管する必要があるが、施錠の必要はない。
- 使用後、アンプルに残った薬液は病棟で破棄する。
- 残液やアンプルは麻薬管理者に返納する。
- 麻薬を紛失したら、麻薬管理者は都道府県知事に届け出る。
- 麻薬を紛失した場合は、麻薬管理者が都道府県知事に届け出る。
正解 2
- 「Aさんに大声で呼びかけてください」
- 「AさんにAEDを装着してください」
- 一次救命の流れは、大声で呼びかける、気道の確保、人工呼吸、心マッサージ、AED装着の順である。人工呼吸と心マッサージまでを看護師が行っているので、優先されるのはAEDの装着である。
- 「Aさんの家族に連絡してください」
- 「Aさんの血圧を測定してください」
【問題46】 65歳の男性のAさんは上部消化管の内視鏡検査を受ける際、抗コリン薬を投与された。看護師がAさんに行う説明で適切なのはどれか。
正解 3
- 検査直後から自動車を運転して帰宅できる。
- 抗コリン薬には散瞳作用があり、視調節障害が起こる場合もある。また、眠気を誘発することもある。従って、自動車を運転しての帰宅は避けるようにする。
- 検査終了後の半日は飲食を禁止する。
- 麻酔が切れるまでは飲食禁止であるが、麻酔が切れた後は飲食可能である。
- 排尿困難を生じる可能性がある。
- 抗コリン薬の副作用には排尿障害がある。
- 腹痛が強くても下血がなければ様子をみる。
- 消化管損傷の可能性もあるので、腹痛が強ければ下血の有無にかかわらず診察する。
【問題47】 在宅療養者を支援するチームケアで最も適切なのはどれか。
正解 4
- 多職種の参加が必須である。
- 多職種間の連携は大切ではあるが、必須ではない。
- 療養者はチームメンバーに含まれない。
- 療養者本人や家族もチームメンバーに含まれる。
- チームリーダーの職種は規定されている。
- チームリーダの職種は規定されていない。
- 療養者が納得してケアを選択できるように支援する。
- 療養者本人の希望が最優先であり、本人が納得してケアを選択できるようサポートする。
正解 4
- 毛足の長い絨毯を敷くよう勧める。
- 毛足の長い絨毯は引っかかりやすく転倒の危険性があるため不適切である。
- 履き物はサンダルを使用するよう勧める。
- サンダルは転倒の危険性があるため不適切である。
- 2階で洗濯物を干すことを続けるよう勧める。
- 階段昇降の際に転倒する可能性があるため不適切である。
- いつも買い物をする店までの移動手段を確認する。
- 一人暮らしのため本人が買い物することになるので、店までの移動手段を確認して対応を考える必要がある。