第100回看護師国家試験一般問題・状況設定問題解説(午前問題49〜68)
正解 2
- 味覚の感度の向上
- 味覚感度は20歳前後でピークに達し、その後、維持・低下していく。
- 総合的判断力の向上
- 壮年期では、経験や知識の習得とともに判断力や推理力が向上する。
- 早朝覚醒による睡眠障害
- 早朝覚醒は特に老年期でみられる。
- 骨量増加による体重の増加
- 骨量増加による体重の増加は、思春期の傾向である。壮年期では、体脂肪の増加による体重増加が多くなる。
【問題50】 成人期で、加齢に伴い糖尿病を発症しやすくなる原因はどれか。
正解 4
- 腎機能の低下
- 糖尿病の3大合併症の1つに糖尿病性腎症があり、進行すると腎機能が低下する。腎機能の低下が糖尿病の発症要因になるわけではない。
- 免疫機能の低下
- 糖尿病の発症によって、免疫機能が低下する。免疫機能の低下が糖尿病の発症要因になるわけではない。
- 動脈硬化の悪化
- 糖尿病の発症によって、動脈硬化の悪化が起こる。動脈硬化の悪化が糖尿病の発症要因になるわけではない。
- インスリン感受性の低下
- インスリン感受性の低下は、血糖値上昇の原因となり、糖尿病を発症しやすくなる。
【問題51】 塗装工事を行っていた作業員が頭痛を訴え嘔吐し、意識を消失して病院に搬入された。最も考えられるのはどれか。
正解 4
- サリン中毒
- 有機リン系の中毒である。縮瞳が起こる他、結膜充血や流涙、呼吸障害や全身痙攣などを引き起こす。
- ボツリヌス中毒
- ボツリヌス菌が産生する毒素の摂取によって引き起こされる毒素型食中毒である。嚥下障害や視力障害、眼瞼下垂などの神経障害が生じ、悪化すると呼吸及び四肢筋において麻痺症状を引き起こす。
- パラコート中毒
- 除草剤であるパラコートによる中毒。細胞膜を障害し、肺障害、肝障害、腎障害を引き起こす。
- トリクロロエチレン中毒
- トリクロロエチレンは吸入すると中枢神経系を抑制する。急性アルコール中毒に類似し、頭痛、めまい、錯乱などの症状が起こり、吸入を続けた場合、意識喪失を経て死に至る。トリクロロエチレンは溶剤、洗浄剤として使われており、塗装工事を行っていたことからトリクロロエチレン中毒が最も考えられる。
【問題52】 開腹術後の患者で機械的イレウスを疑うのはどれか。
正解 1
- 排ガスの低下
- 開腹手術後は機械的イレウスが見られる場合がある。腸管が閉塞するとガスが貯留するため、イレウスの特徴的症状である排ガス・排便の停止が生じる。その他、腹痛、吐気嘔吐、腹部膨満なども見られる。
- 白血球数の減少
- 機械的イレウスでは、白血球数の増加が見られる。
- 腸管のけいれん
- 腸管のけいれんが見られるものは機能的イレウス(けいれん性イレウス)である。
- アンモニア臭の吐物
- アンモニア臭は、肝硬変や腎不全などで見られる。
【問題53】 肺気腫の患者への日常生活の指導で適切なのはどれか。
正解 4
- 胸式呼吸
- 呼吸を楽にするために腹式呼吸を指導する。
- 水分の制限
- 水分を制限する必要はない。
- 低カロリー食の摂取
- 肺気腫の場合、呼吸によって使われるエネルギー量が増大し、また、呼吸困難に伴う食欲低下が起こる。栄養不足を避けるためにもカロリー摂取に努める。
- 下肢の筋力トレーニング
- ADLに伴う呼吸困難を軽減するために、下肢の筋力トレーニングを行う。
正解 2
- 体重の減少
- 浮腫や腹水により体重は増加する。
- 喘息様症状
- 肺うっ血によって気管支が圧迫されるため、喘息様症状がみられる。
- 下肢の熱感
- 末梢血管の収縮により四肢冷感がみられる。
- くも状血管腫
- くも状血管腫は、主に肝硬変でみられる。
【問題55】 超音波ガイド下で肝生検を受ける患者への説明で適切なのはどれか。
正解 1
- 「検査当日は朝から食事ができません」
- 一般的に検査当日は絶食・絶飲である。
- 「肝生検は腰椎麻酔をしてから行います」
- 局所麻酔をして行う。
- 「針を刺す瞬間に大きく呼吸をしてください」
- 穿刺する際は息を止める。
- 「検査後すぐにベッドの脇のポータブルトイレが使えます」
- 肝生検実施後2〜3時間は右下側臥位で安静とする。
正解 2
- 飲水は制限しない。
- 尿の排泄量が十分ではないため、水分の摂取を制限しなければならない。
- 不均衡症候群に注意する。
- 血液透析の導入期では、頭痛、嘔気、嘔吐、倦怠感、痙攣、血圧変動などが生じる不均衡症候群が起こりやすい。髄液と血液の浸透圧の不均衡が原因であると考えられている。
- 透析実施中の歩行を促す。
- 透析実施中はベッド上安静である。
- 血圧はシャント肢で測定する。
- 圧迫によるシャントの閉塞を防ぐため、シャント肢での血圧測定は行わない。
【問題57】 33歳の女性のAさんが、上口唇の水疱と痛みとを主訴に来院した、数年前から年に1,2回、同様の症状を繰り返している。上口唇の写真を示す。看護師がAさんに行う説明で適切なのはどれか。
正解 3
口唇ヘルペスである。
- 歯磨きは控える。
- 清潔に保つ必要があるので、歯磨きは行う。
- 他の身体部位には生じない。
- 皮膚や粘膜などに感染する。
- ストレスが発症の誘因になる。
- ストレスや免疫力の低下、紫外線による刺激などが発症の誘因となる。
- 他者への感染の危険性はない。
- 感染の危険性はある。感染を予防するため、水疱には触らず破らないようにし、グラスやタオルは他者と共用しない。
正解 4
- Aさんの病室は監視モニター付きの個室にする。
- 自宅ではほぼ自立して日常生活を送っており、監視モニターを付ける必要はない。
- Aさんの病室で食堂やトイレの場所などを説明する。
- 病室からの順路を一緒に歩いて説明する。
- 起き上がるとスイッチが入るナースコールを設置する。
- 患者は自立しており、起き上がるとスイッチが入るナースコールは不要である。
- CT検査室への移動の際は、看護師が順路を説明しながら一緒に歩く。
- 選択肢2の場合と同様に、順路を説明しながら一緒に歩く。
【問題59】 43歳の女性のAさんは、過多月経を主訴に受診し、子宮筋腫で単純子宮全摘術を受けた。退院指導で最も適切なのはどれか。
正解 1
- 「貧血は改善するでしょう」
- 過多月経は貧血を合併することが多いが、子宮全摘術後は月経がなくなるため貧血も改善される。
- 「性行為は今後ずっとできません」
- 術後1〜2か月経過し、縫合後の状態に問題がなければ性行為は可能である。
- 「更年期症状が現れる可能性があります」
- 子宮からのホルモンの分泌はないので、摘出してもホルモンバランスが崩れることはない。また、単純子宮全摘術では卵巣は温存されるので、ホルモンバランスは保たれる。よって直接的に更年期症状を招くことはない。
- 「食物繊維をとるように心がけてください」
- 単純子宮全摘術との関連性は特にない。
【問題60】 平成19年の国民生活基礎調査における65歳以上の有訴者率で正しいのはどれか。
正解 3
有訴者率とは、人口千人に対しての病気やけが等で自覚症状のある者の割合である。
- 約80%である。
- 平成19年の65歳以上の有訴者率は、496.0であり、約50%である。
- 男性の方が高い。
- 平成19年の65歳以上の有訴者率は、男性464.8、女性520.6であり、女性の方が高い。
- 腰痛が最も高い。
- 症状別では、腰痛が最も高い。
- 年齢にかかわらずほぼ一定である。
- 年齢階級が高くなるに従って上昇する。
正解 2
- 残気量の低下
- 加齢に伴う肺胞の弾力性低下によって、残気量は増加する。
- 肺活量の低下
- 残気量の増加とともに肺活量は低下する。
- 1秒率の増加
- 加齢に伴い1秒率は低下する。
- 気道クリアランスの向上
- 気道クリアランスとは、気道に侵入した異物を除去する機能である。加齢に伴う繊毛運動や咳嗽反射の低下によって気道クリアランスも低下する。
正解 2
- 短期入所
- 配食サービス
- 配食サービスとは、栄養バランスの良い食事を定期的に宅配するサービスである。買い物や炊事が困難な高齢者に適している。
- グループホーム
- 近医による訪問診療
【問題63】 Aさん(94歳、男性)は、脳卒中の再発作後、肺炎を発症した。Aさんの家族への説明のうち、エイジズム(高齢者差別)にあたるのはどれか。
正解 4
- 「年齢から判断すると、体力が落ちていると思います」
- 「年齢から判断すると、治療への反応は遅いかもしれません」
- 「年齢から判断すると、肺活量が落ちている可能性があります」
- 「年齢から判断すると、何もせず経過をみるのがいいでしょう」
- 年齢を理由に何もせず経過をみるというのは、高齢者にとって不利益なものであり、エイジズムにあたる。
【問題64】 薬物と特に高齢者で観察すべき内容との組合せで正しいのはどれか。
正解 3
- ループ利尿薬 ―――― 出血傾向
- ループ利尿薬の主な副作用には低カリウム血症がある。
- ベンゾジアゼピン系睡眠薬 ―――― 血中尿酸値
- ベンゾジアゼピン系睡眠薬では、眠気やふらつきなどの持ち越し効果が生じることがある。
- 非ステロイド性消炎鎮痛薬 ―――― 消化器症状
- 非ステロイド性消炎鎮痛薬の副作用には、胃炎や胃潰瘍などの消化器症状や腎機能障害などがある。
- β遮断薬 ―――― 血中カリウム濃度
- β遮断薬の副作用には、心機能抑制による徐脈や気管支筋の収縮による呼吸障害などがある。
正解 4
- 「それでは、休みましょう」
- 行動範囲を拡大していけるような言葉かけが必要である。
- 「息が上がる程度に動きましょう」
- 息が上がらない程度に動くよう言葉かけする。
- 「不整脈があっても大丈夫ですよ」
- 不整脈がみられる場合は休むようにする。
- 「負担がかかると思うのはどんなときですか」
- 患者の気持ちを理解し、今後の援助の方法を考える。適切な言葉かけである。
正解 3
- 法定後見人は、都道府県知事が選任する。
- 法定後見人は、家庭裁判所が選任する。
- 任意後見人とは、家族が後見人になる場合を指す。
- 任意後見人は、本人が信頼して選任した人物であり、家族であるとは限らない。
- 成年後見人は、財産管理などの法律行為を支援する。
- 成年後見人は、財産管理や身上監護に関する契約等の法律行為全般を支援する。
- 日常生活自立支援事業の一部として位置づけられる。
- 日常生活自立支援事業とは、認知症高齢者、知的障害者、精神障害者等のうち判断能力が不十分な人が地域において自立した生活が送れるよう、利用者との契約に基づき、福祉サービスの利用援助やそれに付随した日常的な金銭管理等の援助を行うものである。尚、日常生活自立支援事業は社会福祉法、成年後見制度は民法が根拠となっている。
正解 2
- 生後2〜3か月
- 生後6〜12か月
- 個人差はあるが、一般的に生後6か月を過ぎる頃から人見知りが始まる。
- 生後18〜24か月
- 生後36〜42か月
【問題68】 体重10パーセンタイル値の説明で正しいのはどれか。
正解 4
- 1か月前と比べ体重が10%増加した。
- 同年齢で同性の児の平均体重よりも10%軽い。
- 同年齢で同性の児の身長相応の体重よりも10%軽い。
- 同年齢で同性の児100人中、10番目に軽い体重である。
- パーセンタイル値とは、乳幼児の発育状態を表す目安で、全体を100として小さい方から順番に並べ、何パーセント目にあたるかを示すものである。体重10パーセンタイル値は、同年齢で同性の児100人中、10番目に軽い体重のことである。