第100回看護師国家試験一般問題・状況設定問題解説(午前問題69〜90)
正解 4
- 骨密度が最も低い時期である。
- 思春期は骨密度が最も高い時期である。
- 男子では、体脂肪が著しく増加する。
- 思春期では、女子の体脂肪が著しく増加する。
- 身長の増加率が、体重の増加率を上回る。
- 思春期では、体重の増加率が、身長の増加率を上回る。
- 性的成熟は、女子の方が男子よりも早く始まる。
- 性的成熟は、男子よりも女子の方が早く始まる。
【問題70】 出産後、児に先天性心疾患があると診療され、母親が「この子の病気は私のせいです」と話している。母親への看護師の対応で適切なのはどれか。
正解 2
ドローターは、先天異常をもつ子どもの誕生に対する親の反応を、ショック・否認・悲しみと怒り・適応・再起、と段階分けしている。
- 児との面会を制限する。
- 母親の精神状態にもよるが、面会を制限する必要は特にない。
- 母親の責任ではないと説明する。
- ショックを受けている母親を精神的にサポートするためには、母親の声に耳を傾け、信頼関係を築き、感情を受け止めることが大切である。ここでは自責の念を軽減するような言葉かけが望ましい。
- 母親への病状に関する説明は控える。
- 病状についてきちんと説明する必要がある。
- 母乳を与えることはできないと説明する。
- 母乳は児にとって必要であり、特別な理由がない限りは与えるようにする。母乳の特性を理解し、母乳育児に対する意欲を母親に持ってもらうことが大切である。
正解 4
- 不妊手術
- 不妊手術については母体保護法に規定されている。
- 産前産後の休業
- 産前産後の休業については労働基準法に規定されている。
- 出産育児一時金
- 出産育児一時金については健康保険法等に規定されている。
- 新生児訪問指導
- 新生児訪問指導については母子保健法に規定されている。新生児の発育、栄養、生活環境、疾病予防などについての指導を目的として、保健師や助産師が訪問する事業である。
正解 2
- 卵胞はプロゲステロンの作用で発育する。
- 卵胞は、脳下垂体前葉から分泌される卵胞刺激ホルモンによって発育が促進される。
- 子宮内膜はエストロゲンによって増殖する。
- エストロゲンは子宮内膜の増殖を促す。
- 排卵後に黄体化ホルモン(LH)の分泌が急激に増加する。
- 黄体化ホルモン(LH)の急激な分泌によって排卵が起こる。
- 受精が成立しないと、卵胞は白体を経て黄体になる。
- 受精が成立しなかった場合、卵胞は黄体を経て白体となる。
正解 3
- 搾乳を勧める。
- 産後1日目で母乳の分泌量が少ないので搾乳は必要ない。
- 母子異室にする。
- 母乳育児のためには母子同室の方が望ましい。いつでもすぐに授乳することができ、常に一緒にいることで母性の成熟にも繋がる。
- 抱き方を指導する。
- まだ母子どちらも授乳に不慣れであるので、授乳の適切な姿勢を指導する。
- 人工栄養を勧める。
- 児にとって母乳は重要であり、母親も母乳育児に意欲的である。この段階で人工栄養を勧めることは不適切である。
正解 3
- 出血は主に内出血である。
- 主に無痛性の外出血である。常位胎盤早期剥離の場合は有痛性の内出血である。
- 妊娠高血圧症候群に合併する。
- 妊娠高血圧症候群は、妊娠20週以降、分娩後12週までに高血圧がみられる場合、または高血圧に蛋白尿を伴う場合のいずれかで、かつこれらの症候が偶発合併症によらないものをいう。
- 出血は痛みを伴わない場合が多い。
- 前置胎盤は無痛性の性器出血である。
- 胎盤の下縁が内子宮口に達しないものをいう。
- 内子宮口を覆う程度により、全前置胎盤(胎盤が内子宮口を完全に覆うもの)、一部前置胎盤(胎盤が内子宮口の一部を覆うもの)、辺縁前置胎盤(胎盤の下縁が内子宮口に達するもの)の3種類に分類される。
正解 4
- 精神科デイケアで生活技能訓練(SST)を行う。
- 機能回復や再発防止、社会復帰支援は三次予防である。
- 精神疾患をもつ人々に、再燃を予防するための教育を行う。
- 三次予防である。
- 地域の住民を対象に、ストレスマネジメントの講演会を行う。
- 疾病の発生予防は一次予防である。
- 会社の健康診断でうつ傾向があると判定された人に面接を行う。
- 二次予防である。二次予防は、早期に発見し、早期に治療を行うことである。
【問題76】 プロセスレコードを記載する目的で正しいのはどれか。
正解 4
- 患者の病的な言動を特定する。
- 一日の看護の経過を記録に残す。
- 事故につながる可能性のある看護行為を分析する。
- 看護場面における看護師自身の感情の動きに気づく。
- プロセスレコードとは、患者と看護師との間に起こるお互いの反応を記録し、分析・考察を行って対人関係を構築していく方法である。患者理解だけでなく看護師自身の理解にも繋がる。
正解 1
- 服薬に関する不満を聞く。
- 精神症状をもつ患者は、人とのコミュニケーションが苦手なことが多く、他者に対して不信感を抱くことで、服薬拒否に至る場合がある。服薬に対する不信感や恐怖感を取り除くためにも、十分な説明と配慮を行い、患者の気持ちを理解することが必要である。
- 直ちに薬物療法を中止する。
- Aさんの訴えの不合理な点を指摘する。
- 医師からの指示を受けて注射を施行する。
正解 3
- 精神依存は生じない。
- 精神的な高揚を得るための強烈な摂取欲求が生じ、同時に覚せい剤を入手するための薬物探索行動が現れる。
- ウェルニッケ脳症を生じる。
- ウェルニッケ脳症は、ビタミンB1(チアミン)の欠乏による脳症で、アルコール依存症の場合に発症することが多い。
- 耐性が生じ、使用量が増加する。
- 急性に耐性が生じるため、同じ量では効果が得られなくなり、使用量が増加していく。
- 使用を中止すれば、精神病症状は再燃しない。
- 不快感や不安感、不眠、興奮などの離脱症状があり、幻覚や妄想を伴うフラッシュバック現象がみられることがある。
正解 4
- 「自殺はしてはいけないことです」
- 「あまり深く考え過ぎないほうがいいですよ」
- 「Aさんよりもつらい状況の人もいるのですよ」
- 「死にたくなるくらいつらい気持ちでいるのですね」
- うつ病の患者に対して、叱責や非難、励ましは禁物である。患者の気持ちを否定せず、共感的に傾聴する態度が必要である。
【問題80】 下肢静脈血栓によって塞栓が起こる可能性があるのはどれか。
正解 2
- 腎動脈
- 肺動脈
- 下肢静脈にできた血栓が剥がれて血流で運ばれ、肺動脈を閉塞させる。脱水、長期臥床、飛行機内での長時間の同一姿勢、手術後の血流停滞などが原因となる。
- 大腿動脈
- 椎骨動脈
- 中大脳動脈
【問題81】 感染予防のために、献血された血液のスクリーニング検査の対象となる疾患はどれか。
正解 3
- 麻疹
- 麻疹ウイルスによる感染症で、空気感染(飛沫核感染)、飛沫感染、接触感染によって感染する。献血時の血液スクリーニング検査の対象ではない。
- 結核
- 結核菌による感染症で、主に空気感染(飛沫核感染)によって感染する。献血時の血液スクリーニング検査の対象ではない。
- C型肝炎
- C型肝炎ウイルス (HCV) による感染症で、血液を介して感染する。かつて輸血による感染が多かったため、現在では献血時に血液スクリーニング検査が行われる。その他、B型肝炎ウイルス、HIV(エイズウイルス)、HTLV-1、ヒトパルボウイルスB19、梅毒が献血時血液スクリーニング検査の対象である。
- 伝染性単核球症
- エプスタイン・バー・ウイルス(EBV)による感染症で、経口感染によって感染し、キス病とも呼ばれる。献血時の血液スクリーニング検査の対象ではない。
- クラミジア感染症
- クラミジア・トラコマチスによる感染症。粘膜感染し、性感染症に含まれる。献血時の血液スクリーニング検査の対象ではない。
正解 5
- 接触性皮膚炎
- 接触性皮膚炎(化粧品かぶれ、うるしかぶれ等)はIV型アレルギーである。T細胞が関与する遅延型アレルギーである。
- 潰瘍性大腸炎
- 潰瘍性大腸炎は、大腸粘膜にびらんや潰瘍ができる原因不明の炎症性疾患であり、特定疾患に指定されている。
- 過敏性肺臓炎
- 過敏性肺臓炎は、有機塵埃の反復吸入によって起こるアレルギー性肺炎であり、III型およびIV型アレルギーに分類される。
- ツベルクリン反応陽性
- ツベルクリン反応は、結核菌に対するアレルギー反応で、IV型アレルギーである。
- アナフィラキシーショック
- I型アレルギーは、IgE抗体が関与する即時型アレルギーで、アナフィラキシーショックはI型アレルギー反応によるショック状態である。薬剤や食物、ハチやヘビ毒などが原因となる。
正解 4
- 眉弓部の膨隆
- 眉弓部の膨隆は、先端巨大症の症状である。
- 眼瞼下垂
- 甲状腺機能亢進症の症状には眼球突出がある。眼瞼下垂は、重症筋無力症などでみられる。
- テタニー
- テタニーは、血液中のカルシウム濃度低下によってに起こる筋肉の痙攣状態をいい、副甲状腺機能低下症などでみられる。
- 動悸
- 甲状腺機能亢進症では、代謝の亢進により動悸や頻脈がみられる。
- 便秘
- 甲状腺機能亢進症では、消化器蠕動運動の亢進により下痢となる。
【問題84】 19歳の男性がスノーボードで転倒し、右下肢の激しい痛みを訴えている。スキー場の診療所で撮影した右下肢のエックス線写真を示す。病院へ搬送する際の副子による固定範囲として適切なのはどれか。
正解 4
- 二枚の写真は、大腿骨と下腿骨のもので、骨折部位は下腿の脛骨である。副子による固定は、原則的に骨折部位の前後の関節まで固定する。
正解 1,5
- アルブミン
- アルブミンは血漿タンパクのうちの約6割を占めているタンパク質で、肝臓でのみ合成される。
- ガストリン
- ガストリンは、主に胃幽門部粘膜のG細胞から分泌されるホルモンで、胃液の分泌を促進する作用がある。
- セクレチン
- セクレチンは、主に十二指腸粘膜から分泌されるホルモンで、膵液の分泌を促進する作用がある。
- γ-グロブリン
- γ-グロブリンは、血液中のB細胞から分化した形質細胞で産生される。
- コレステロール
- コレステロールは、脂質の一種の遊離脂肪酸で、細胞膜や胆汁酸、各種ホルモン、ビタミンDなどの生合成原料となる。主に肝臓で合成される。
【問題86】 平成19年施行の改正医療法で、治療または予防に関する事業として医療計画に記載することになった疾患はどれか。2つ選べ。
正解 1,2
- がん
- 平成19年に施行された改正医療法により、医療計画制度の下で、4疾病5事業ごとに医療連携体制を構築することとなった。4疾病は、がん、脳卒中、急性心筋梗塞、糖尿病で、5事業は、救急医療、災害医療、へき地医療、周産期医療、小児救急を含む小児医療である。尚、平成25年より精神疾患と在宅医療が加えられる見通しとなっている。
- 脳卒中
- 統合失調症
- ウイルス肝炎
- インフルエンザ
【問題87】 80歳の男性のAさんは軽度の認知症で、集合住宅で1人で暮らしている。喫煙習慣がある。生活環境の安全に関する訪問看護の活動で、毎回の訪問時に確認する必要があるのはどれか。2つ選べ。
正解 1,3
- 戸締り
- 軽度の認知症であるので、きちんと戸締りができているかを確認する必要がある。
- 喫煙本数
- 煙草の吸い殻処理
- 喫煙習慣があるので、火災を防止するためにも吸い殻処理がきちんとされているかを確認する必要がある。
- 浴室の換気システム
- 預金通帳の保管場所
【問題88】 抗癌薬の静脈内注射を開始した直後に注意すべき観察項目はどれか。2つ選べ。
正解 1,3
- 頻脈
- 抗癌薬の投与直後にアナフィラキシー様症状として頻脈がみられることがある。
- 脱毛
- 副作用として脱毛があるが、投与直後にみられるものではない。
- 血圧の低下
- 抗癌薬の投与直後にアナフィラキシー様症状として血圧低下がみられることがある。
- 口腔粘膜炎
- 副作用として口内炎などの粘膜障害があるが、投与直後にみられるものではない。
- 白血球数の減少
- 骨髄抑制により白血球の減少(好中球減少症)がみられるが、投与直後ではない。
【問題89】 定期予防接種の対象である疾患はどれか。2つ選べ。
正解 1,3
- 麻疹
- 定期予防接種の対象である。麻疹風疹混合ワクチン(MRワクチン)が使用され、第1期(生後12〜24か月)、第2期(小学校就学前1年間)の2回接種となっている。
- 水痘
- 風疹
- 麻疹同様に定期接種の対象である。麻疹、風疹のほか、百日咳、ジフテリア、破傷風、ポリオ、日本脳炎、BCGが予防接種法に基づく1類疾病として、インフルエンザが2類疾病として定期予防接種の対象となっている。
- B型肝炎
- 流行性耳下腺炎
【問題90】 妊娠に伴う身体の変化で正しいのはどれか。2つ選べ。
正解 4,5
- 腸蠕動の亢進
- 妊娠中は、多量に分泌されるプロゲステロンによって腸蠕動が抑制されるため、便秘になりやすい。
- 膣分泌物の減少
- 妊娠中は、皮脂腺や汗腺の分泌が亢進し、子宮頸管や膣の分泌物は増加する。
- 拡張期血圧の上昇
- 妊娠中は、末梢血管抵抗の低下によって、拡張期血圧は低下しやすい。
- 皮膚の掻痒感の増加
- 妊娠中は、エストロゲン増加による肝機能の低下や皮膚の乾燥によって、掻痒感が増加する。
- 尿中への糖の排泄増加
- 妊娠中は、糸球体ろ過量増加によって、糖は尿中に排出されやすくなる。