第100回看護師国家試験一般問題・状況設定問題解説(午後問題26〜48)
【問題26】 免疫担当細胞とその機能の組合せで正しいのはどれか。
正解 3
- 好中球 ―――― 抗原の提示
- マクロファージや樹状細胞などの抗原提示細胞は、体内に侵入してきた細菌やウイルス感染細胞などの一部を表面に提示することで、T細胞に抗原情報を伝える。
- 肥満細胞 ―――― 補体の活性化
- 補体は、抗原抗体複合体や病原微生物に結合し活性化する。
- 形質細胞 ―――― 抗体の産生
- B細胞から分化した形質細胞は、抗体の産生に関与する。
- ヘルパーT細胞 ―――― 貧食
- 好中球やマクロファージには貧食作用があり、食細胞と呼ばれる。
正解 3
- 左葉には3本の葉気管支がある。
- 右葉に上、中、下の3本、左葉には上、下の2本の葉気管支がある。
- 右気管支は左気管支よりも長い。
- 右気管支は左気管支よりも短い。
- 右気管支は左気管支よりも直径が大きい。
- 右気管支は左気管支よりも直径が大きく太い。
- 右気管支は左気管支よりも分岐角度が大きい。
- 分岐角度は右が約25度、左が約45度である。右気管支の方が左気管支よりも垂直に近いため、気道異物は右気管支に入りやすい。
【問題28】 食事由来のトリグリセリドを運搬するのはどれか。
正解 4
- HDL
- HDLは、末梢組織のコレステロールを肝臓へ運搬する。
- LDL
- LDLは、肝臓で作られたコレステロールを組織に運搬する。血中に増えすぎると動脈壁の細胞に蓄積し、動脈硬化の要因となる。
- VLDL
- VLDLは、肝臓で作られる(内因性)トリグリセリドやコレステロールを運搬する。
- カイロミクロン
- カイロミクロンは、食事由来(外因性)のトリグリセリド(中性脂肪)やコレステロールを運搬する。
【問題29】 日本のノロウイルスによる食中毒で正しいのはどれか。
正解 1
- 12〜3月に最も多い。
- 11月頃から発生件数が増加し始め、12〜2月をピークに3月頃まで多く発生する。
- 潜伏期間は3〜6時間である。
- ノロウイルスの潜伏期間は24〜48時間である。
- 感染した鶏肉の摂取によることが最も多い。
- 感染者の糞便や吐物から人の手などを介しての感染、汚染された生あるいは加熱が不十分な二枚貝(牡蠣など)の摂取による感染などがある。
- 病原性大腸菌によるものよりも患者数は少ない。
- 原性大腸菌によるものよりも患者数は多い。
正解 4
- 頻脈
- 脳圧亢進による脳幹下部の乏血状態の代償作用としてクッシング現象(徐脈、血圧上昇)が生じる。
- 縮瞳
- 中脳の圧迫によって動眼神経が障害され、瞳孔不同、対光反射消失が生じる。
- 頸静脈の怒張
- 頸動脈の怒張は、右心不全でよくみられる。
- チェーンストークス呼吸
- 延髄に圧迫よって呼吸中枢が障害されると、チェーンストークス呼吸や失調性呼吸、呼吸停止をきたす。
正解 1
- 僧帽弁狭窄
- 僧帽弁狭窄では、僧帽弁の狭窄によって、拡張期に左房から左室への血流が障害されるため、拡張中期雑音(拡張期ランブル)が聴取される。
- 大動脈弁狭窄
- 大動脈弁狭窄では、大動脈弁の狭窄によって、収縮期に左室から大動脈への血流が障害されるため、収縮期駆出性雑音が聴取される。
- 肺動脈弁狭窄
- 肺動脈弁狭窄では、肺動脈弁の狭窄によって、収縮期に右室から肺動脈への血流が障害されるため、収縮期駆出性雑音が聴取される。
- 心室中隔欠損
- 心室中隔欠損では、全収縮期雑音(収縮期逆流性雑音)が聴取される。
正解 4
- 腎障害を合併することが多い。
- 関節リウマチの代表的な合併症には、皮下結節、貧血、間質性肺炎、胸膜炎、心膜症、上強膜症、アミロイドーシス、シェーグレン症候群などがある。
- 関節のこわばりは、夕方に強い。
- 関節のこわばりは、朝方に強い。
- 遠位指節(DIP)が障害されやすい。
- 遠位指節が障害されることは稀である。
- 悪性関節リウマチは血管炎を伴う。
- 関節リウマチに血管炎を伴う場合、悪性関節リウマチと呼ばれる。難治性の疾患である。
正解 4
- 夜盲症
- 夜盲症はビタミンAの欠乏で生じる。網膜桿状体の機能障害によって、薄暗くなると物が見えにくくなる。
- 壊血病
- 壊血病はビタミンCの欠乏で生じる。コラーゲンの生成不足によって、出血性障害が各器官で生じる。
- くる病
- くる病はビタミンDの欠乏で生じる。成長期の小児に起こる骨の石灰化障害である。成人の場合は、骨軟化症と呼ばれる。
- 脚気
- 脚気はビタミンB1の欠乏で生じる。倦怠感や食欲不振、動悸、末梢神経障害による下肢の痺れやむくみ、心機能低下や心不全などが生じる。
【問題34】 上腕骨顆上骨折の早期合併症で注意が必要なのはどれか。
正解 4
- 偽関節
- 治療の遅れなどにより偽関節が生じることはあるが、早期合併症ではない。
- 習慣性脱臼
- 習慣性脱臼とは、外傷性脱臼の治癒後に、関節の弛緩や関節窩の骨の変化などを要因として脱臼を重ねる症状をいう。
- 腕神経叢麻痺
- 腕神経叢麻痺は、鎖骨骨折の合併症として起こることがある。
- フォルクマン拘縮
- フォルクマン拘縮とは、骨折に伴う腫脹による上腕動脈の圧迫によって血流障害が生じ、前腕屈筋群の不可逆性虚血性壊死や神経障害(正中神経麻痺や尺骨神経麻痺)が起こる阻血性拘縮である。長期間のギプス固定によって起こりやすくなる。
【問題35】 ある組織では、リーダーの支援の下でグループ討議を経て方針を決定している。リーダーは、具体的な作業手順の決定を部下に委任している。このリーダーシップの型はどれか。
正解 2
- 権力型
- 権力型は、メンバーの意向や感情には配慮せず、リーダーが作業手順を決定し、指示命令を行う。
- 民主型
- 民主型は、意思決定を可能な限りメンバーの討議によって行い、リーダーは討議の進行や助言など支援的役割を果たす。
- 放任型
- 放任型は、メンバーや個人の判断に全てを任せ、リーダーは関知しない。
- 専制型
- 専制型は、権力型と同じく意思決定にメンバーは参加せず、リーダーが作業手順を決定し、指示命令を行う。
【問題36】 日本における平成19年の自殺者の原因・動機(警察庁の自殺に関する概要調査による)で最も多いのはどれか。
正解 2
- 家庭問題
- 平成19年の自殺者の原因・動機で、家庭問題による自殺は、3,751人であった。
- 健康問題
- 平成19年の自殺者の原因・動機で、最も多いのは健康問題による自殺であり、14,684人であった。
- 勤務問題
- 平成19年の自殺者の原因・動機で、勤務問題による自殺は、2,207人であった。
- 経済・生活問題
- 平成19年の自殺者の原因・動機で、経済・生活問題による自殺は、7,318人であった。
正解 2
- 地域の医療従事者の資質向上のための研修を行う能力を有する。
- 地域医療支援病院についてである。
- 高度の医療技術の開発および評価を行う能力を有する。
- 高度の医療を提供・評価・開発・研修することができることが承認条件の一つである。
- 300人以上の患者を入院させるための施設を有する。
- 400以上の病床数が必要である。
- 都道府県知事の承認を得て設立される。
- 厚生労働大臣が承認する。
正解 3
- 問題の本質の把握
- 言語を用いない表現
- 信頼し合う人間関係
- ラポールとは、「橋を架ける」という意味で、相手との信頼関係が築かれた状態をいう。
- 侵されたくない個人の空間
正解 2
- 医師による治療計画の変更
- 予測できなかった現象
- バリアンスとは、クリニカルパスで想定されたものから逸脱した経過や結果をいう。
- 患者からの苦情
- ケア計画の不備
【問題40】 HBs抗原陽性の患者の血液が床頭台に付着していた。消毒に適しているのはどれか。
正解 3
- ポビドンヨード
- ポビドンヨードは、手指や皮膚の消毒、手術部位の皮膚消毒などに用いられる。
- 消毒用エタノール
- 消毒用エタノールは、手指や皮膚の消毒、手術部位の皮膚消毒、医療用具の消毒などに用いられる。創傷皮膚の消毒には用いない。
- 次亜塩素酸ナトリウム
- 次亜塩素酸ナトリウムは、細菌やウイルスに対して有効であるため、血液汚染の消毒や医療器具、リネンの消毒などに用いられる。
- クロルヘキシジングルコン酸塩(グルコン酸クロルヘキシジン)
- クロルヘキシジングルコン酸塩は、手術前の手指消毒や手術部位の皮膚消毒などに用いられる。
正解 3
- BMI23.0、アルブミン3.8g/dl
- BMI21.5、アルブミン3.6g/dl
- BMI18.0、アルブミン2.8g/dl
- BMI18.5未満は「やせ」であり、なおかつアルブミンが低値である。
- BMI16.5、アルブミン3.5g/dl
【問題42】 Aさんに鎖骨下静脈から中心静脈カテーテルを挿入した。その直後、Aさんに呼吸困難が出現した。最も優先される検査はどれか。
正解 4
- 胸部CT
- 心電図(ECG)
- 気管支鏡検査
- 胸部エックス線撮影
- 鎖骨下静脈から中心静脈カテーテルを挿入した場合、誤って肺を刺してしまうことにより気胸が発生し、呼吸困難をきたす可能性がある。カテーテルの位置と気胸の有無を確認するために、胸部エックス線撮影を行う。
【問題43】 150kgf/cm2 500l酸素ボンベの内圧計が90kgf/cm2 を示している。ボンベを用いて2l/分で酸素吸入を行うことになった。 使用可能な時間はどれか。
正解 4
- 30分
- 45分
- 100分
- 150分
- 内圧は90/150=3/5に下がっており、ボンベの残量は、500l×3/5=300lである。2l/分で酸素吸入を行うので、300÷2=150分使用可能である。
【問題44】 皮膚全層に潰瘍ができ皮下脂肪組織に達する深さの褥瘡は、米国褥瘡諮問委員会(NPUAP)の分類法はどれか。
正解 3
- ステージI
- ステージIは、「圧迫を除いても消退しない発赤、紅斑」の状態である。
- ステージII
- ステージIIは、「真皮にとどまる皮膚障害、水疱やびらんなどの浅い潰瘍」の状態である。
- ステージIII
- ステージIIIは、「傷害が真皮を越え、皮下脂肪層にまで及ぶ潰瘍」の状態である。
- ステージIV
- ステージIVは、「傷害が筋肉や腱、関節包、骨にまで及ぶ」状態である。
【問題45】 点滴静脈内注射360mlを3時間で行う。一般用輸液セット(20滴/ml)を使用した場合の滴下数はどれか。
正解 3
- 18滴/分
- 36滴/分
- 40滴/分
- 360ml×20滴=7200滴を3時間(180分)で使用するので、7200滴÷180分=40滴/分である。
- 60滴/分
【問題46】 午前9時に経静脈性腎盂造影を受ける予定の患者が、検査直前に以下のように話した。検査を延期すべきなのはどれか。
正解 1
- 今朝8時に朝食を食べた。
- 経静脈性腎盂造影は、X線を用いた検査のため、静脈内に造影剤が注入される。そのため、午前中の検査であれば朝食、午後の検査であれば昼食は絶食とする。
- 2日前に造影CTを受けた。
- 最終月経開始から10日目である。
- 昨夜、腹痛のため鎮痛剤を服用した。
【問題47】 大規模災害時のトリアージで、緊急度が最も高いと判断されるのはどれか。
正解 2
- 下腿に創傷があるが補助があれば歩行できる。
- すぐの処置が必要ない保留群であると考えられる。
- 自発呼吸はあるが橈骨動脈は触知できない。
- 生存は確認できるが、生命に関わる重篤な状態であり、一刻も早い処置が必要である。
- 気道確保しても自発呼吸がない。
- 気道確保後も自発呼吸がなく、死亡群であると考えられる。
- 開眼・閉眼の指示に応じる。
- 開眼・閉眼の指示に応じており、重症の意識障害はないと考えられる。
正解 4
- ケアハウス
- グループホーム
- 介護老人福祉施設
- 介護老人保健施設
- 介護老人保健施設は、病状が安定している要介護者を対象に、日常生活の世話や看護、介護、機能訓練、医療などのサービスを提供する施設であり、リハビリテーションと介護が必要なAさんに適している。