第100回看護師国家試験一般問題・状況設定問題解説(午後問題49〜68)
正解 4
- 水分の摂取量を減らすように話す。
- 高齢者の水分制限は脱水症を招く恐れがあり、必要がある場合以外行わない。
- 膀胱留置カテーテルの使用を提案する。
- 自力で排尿できており必要ない。膀胱留置カテーテルの使用はできるだけ避け、安易には行わない。
- ポータブルトイレに定期的に座るよう勧める。
- Aさんは寝たきりで、妻は84歳と高齢であり、ポータブルトイレに定期的に座らせることは困難である。
- オムツに尿取りパッドを追加するように指導する。
- 排尿量が多いので、オムツに尿取りパッドを追加する。
【問題50】 在宅酸素療法をしている1人暮らしの高齢者に対して、訪問看護師が行う支援はどれか。
正解 3
- なるべく安静に過ごすよう指導する。
- 安静にして過ごす必要はない。
- 酸素供給機器の取り扱いは訪問看護師が行う。
- 酸素供給機器の取り扱いについての説明をし、自力で行えるようにする。
- 家屋の構造に応じて延長チューブを使うよう指導する。
- 延長チューブを使用することで、酸素吸入したまま動ける範囲を広げることができる。
- 電磁調理器使用時は鼻カニューラを外すよう指導する。
- 在宅酸素療法時は、火気の取り扱いに注意する必要がある。電磁調理器の使用は問題ない。
正解 2
- 健康管理の達成目標はできるだけ高く設定する。
- 健康管理の達成目標は、達成可能な目標を設定する。
- 対象者が実施可能な方法を選択できるように支援する。
- 実施可能な方法を選択できるように支援していく。
- 対象者の間違った健康管理の方法はすぐに中止させる。
- すぐに中止するのではなく、何が間違っていたのか、どうすればよいのかを対象者が考えられるように、適切なアドバイスを行いながら支援していく。
- 対象者の関心よりも成人一般にリスクが高い問題をテーマとする。
- 対象者の関心が高いものをテーマにする方が望ましい。
【問題52】 出血性ショックになる危険性が最も高いのはどれか。
正解 4
- 頸椎骨折
- 肋骨骨折
- 腰椎圧迫骨折
- 骨盤骨折
- 骨盤骨折では、膀胱損傷や尿道損傷、動脈損傷が起こることがあり、それに伴い出血性ショックに陥る危険性がある。
【問題53】 肺癌の患者に放射線治療が行われた。遅発性の反応として予測されるのはどれか。
正解 2
- 皮膚炎
- 皮膚炎は、急性期の副作用である。
- 肺臓炎
- 肺への照射では、肺臓炎が遅発性(晩期)の反応として起こりやすい。放射線照射後1〜3か月頃に出現することが多い。
- 放射線宿酔
- 放射線宿酔は、急性期の副作用である。放射線照射後数時間から、倦怠感や食欲不振、嘔吐などの症状がみられる。
- 頭髪の脱毛
- 頭髪の脱毛は、急性期の副作用である。
正解 4
- 「吐き気がしても我慢してください」
- 嘔気や嘔吐がある場合は、制吐剤を使用する。
- 「毎日、1時間のウォーキングをしましょう」
- 腰椎への転移があり、1時間のウォーキングは負担が大きいため適切ではない。
- 「家族に症状を訴えても心配をかけるだけです」
- 症状や気持ちは、一人で抱え込まずに打ち明けるようにする。
- 「便秘で痛みが強くなるようなら、緩下剤で調節してください」
- 副作用として便秘が出現するので、適宜緩下剤を使用する。
【問題55】 慢性閉塞性肺疾患の患者にワクチン接種を勧めるのはどれか。
正解 4
- B型肝炎
- 日本脳炎
- 流行性耳下腺炎
- インフルエンザ
- 慢性閉塞性肺疾患では、呼吸器感染症によって症状が増悪する恐れがあるので、インフルエンザワクチンや肺炎球菌ワクチンを接種する必要がある。
正解 2
- 便失禁
- 前立腺全摘除術後の合併症として尿失禁がみられる。
- 腸閉塞
- 大腸癌術後では、腸管の運動麻痺や癒着によって腸閉塞が生じやすくなる。その他の合併症としては、創感染や縫合不全などがある。
- 排尿障害
- 広汎子宮全摘出後や直腸癌術後の合併症として多くみられる。
- 勃起不全
- 前立腺全摘除術後や直腸癌術後の合併症として多くみられる。
【問題57】 甲状腺機能亢進症の患者への指導内容で適切なのはどれか。
正解 4
- 四肢の冷えへの対処方法
- 代謝の亢進により、暑がり、発汗過多となる。
- 食欲亢進に対する食事制限
- 食欲が亢進し、よく食べるようになるが、体重は減少する。食事制限の必要はない。
- 症状悪化の徴候である眼球陥凹の観察
- 甲状腺機能亢進症では、眼球突出がみられることがある。
- 抗甲状腺薬内服中の感染徴候の早期発見
- 抗甲状腺薬の副作用として、じんま疹や肝機能障害などの他に無顆粒球症がある。無顆粒球症では、顆粒球の著しい低下によって細菌に対する抵抗力が弱まり、易感染状態となる。無顆粒球症の初期症状である発熱や悪寒、咽頭痛について注意して観察する。
正解 3
- 緊急性は低い。
- 熱射病は、死に至る可能性もあり、緊急性は高い。
- 冷汗がみられる。
- 熱射病では、発汗が停止し、うつ熱になることが多い。
- 意識障害が起こる。
- 熱射病では、体温調節中枢の機能障害から発汗が停止し、高体温となり、意識障害やけいれんなどの中枢神経症状が起こる。
- 室内では発症しない。
- 熱射病は、高温多湿の環境下で起こり、室内でも発症する。
【問題59】 造血幹細胞移植後に急性移植片対宿主病(GVHD)を疑うのはどれか。
正解 4
- 耳鳴
- 鼻閉感
- ばち状指
- 頻繁な水様便
- 移植片対宿主病(GVHD)とは、ドナーのTリンパ球が移植患者の体を異物として認識し、攻撃する免疫反応のことである。急性症状として、発熱や発疹、嘔気・嘔吐、水様下痢便、血便、肝機能障害などがある。
【問題60】 髄液検査のための腰椎穿刺を受ける患者への対応で適切なのはどれか。
正解 3
- 穿刺時の患者の体位は背すじを伸ばした側臥位にする。
- 腰椎穿刺時の体位は、両膝を曲げて両手で抱え、背すじを丸めた側臥位にする。
- 穿刺時は患者に上肢のしびれがないかを尋ねる。
- 穿刺時は下肢のしびれの有無を確認する。
- 検査後は患者の頭痛や吐き気に注意する。
- 脳脊髄液を採取することにより、脳脊髄圧が低下し、頭痛や吐き気が出現する。できるだけ髄圧を変動させないよう、枕をせずに水平仰臥位にする。
- 検査後30分が過ぎたら自由に動いてよいと話す。
- 検査後2〜3時間は、枕をせずに水平仰臥位で安静を保つ。
正解 2
- 20歳代での発症が多い。
- 卵巣癌は、幅広い年代で発症し、最も多いのは40〜50歳代である。
- 初期の段階では無症状の場合が多い。
- 卵巣癌は、初期の段階では自覚症状がほとんどないことが多い。
- ホルモン療法には腫瘍縮小効果がある。
- ホルモン療法は、エストロゲンの作用阻害、産生抑制によって、癌細胞の増殖を抑制する治療法である。エストロゲンによって増悪する乳癌や子宮体癌に対して有効である。
- ヒトパピローマウイルス感染が関与している。
- ヒトパピローマウイルスは子宮頸癌の原因となる。
正解 4
- 「家事を分担してはいかがですか」
- 「家事はやる気にならない」と言っており、この助言は受け入れられにくい。
- 「疲れるまで運動してはいかがですか」
- 疲れるまでではなく、適度な運動が適している。
- 「睡眠導入薬について医師と相談してはいかがですか」
- 不眠は生活が不規則なためであり、睡眠導入薬は必要ない。
- 「参加できそうな趣味のグループを探していはいかがですか」
- 「仕事だけを一生懸命やってきた」ことから、仕事に代わる趣味を探すという提案は適切である。
正解 1
- T細胞は減少する。
- 胸腺の萎縮により、T細胞は減少する。
- B細胞は増加する。
- B細胞の数はほとんど変化しない。
- 自己抗体の産生は低下する。
- 抗核抗体やリウマチ因子など、自己抗体の産生は増加する。
- 外来抗原に対する抗体の産生は亢進する。
- 外来抗原に対する抗体の産生は減少する。
正解 4
- 入所は市町村の措置による。
- 入所は本人の選択によるものである。
- 入所者数200につき3人の看護職員がいる。
- 入所者数51〜130人では、3人の看護職員の配置が必要である。
- 入所者数100につき1人の常勤の医師がいる。
- 医師の配置は必要であるが、常勤でなくてもよい。
- 常時介護を必要とする65歳以上の人を対象とする。
- 常時介護を必要とし、在宅介護が困難な65歳以上の人(要介護者)が対象である。
【問題65】 パーキンソン病患者がすくみ足を軽減させる練習をするときに、看護師が行う助言で適切なのはどれか。
正解 2
- 歩行器を使うよう勧める。
- メトロノームを使うよう勧める。
- すくみ足の軽減には、メトロノームや手拍子などの聴覚刺激や足元の目印などの視覚刺激を利用した歩行練習が有効である。歩行のリズムをつかむことにより、足の運びがスムーズに行えるようになる。
- 補助者と手をつないで歩くよう勧める。
- 歩行時はかかとから足をつくよう勧める。
正解 2
- 視力
- 血圧
- 「立ち上がるとめまいがし、ふらつく」ことから、起立性低血圧の可能性があり、把握すべき情報として血圧の優先度が高い。
- 呼吸状態
- 足背静脈の触知の左右差
【問題67】 親の介護を行うことになった夫婦のうち、家族発達理論に基づき介護力が最も強いと考えられるのはどれか。
正解 3
- 子どものない20代の新婚の夫婦
- 新婚期であり、まだ経済的な余裕がない時期である。
- 1歳の子どもがいる30代の夫婦
- 育児期で子の世話をする必要があり、介護力は低下する。
- 大学生の子どもがいる50代の夫婦
- 子どもが独立に向かっている時期であり、経済的にも余裕があり、介護力は最も強い。
- 子どもが独立したあとの70代の夫婦
- 子どもは独立しているが、70代であり、介護力は低下している。
【問題68】 前額部の血腫で救急外来を受診した6か月児の母親の言動で、虐待が最も疑われるのはどれか。
正解 3
- 「治りますか」
- 「後遺症は残りますか」
- 「子どもが自分でぶつけたんです」
- 子どもを心配する言葉がなく、子どもに責任があるかのように言い訳をしており、虐待が最も疑われる。
- 「他の部分もよく調べてください」