第101回看護師国家試験一般問題・状況設定問題解説(午前問題26〜48)
正解 2
- 大脳
- 大脳は、運動、言語、記憶、感覚などの中枢であり、全身からの情報を受け入れて判断し、全身に指令を送り出す。
- 視床下部
- 視床下部は間脳にあり、体温の調節など、体内環境の恒常性を保つ。
- 橋
- 橋には、呼吸調節中枢が存在する。
- 延髄
- 延髄には、呼吸運動、心臓血管運動、嚥下、嘔吐、咳、唾液分泌など、生命維持に必要である様々な中枢が存在する。
正解 2
- リンパ管には弁がない。
- リンパ管には弁があり、逆流を防いでいる。
- 吸収された脂肪を輸送する。
- 小腸から吸収される脂肪の多くは、カイロミクロンとなってリンパ管に吸収され、静脈系に運ばれる。脂肪を吸収したリンパは、乳白色を呈するために乳糜(にゅうび)と呼ばれる。
- 胸管は鎖骨下動脈に合流する。
- 胸管は左動脈角(左鎖骨下静脈と左内頸静脈の合流部)に合流する。
- リンパの流れは動脈と同方向である。
- リンパの流れは静脈と同方向である。
正解 4
- 皮膚が蒼白になる。
- ヘモグロビンは一酸化炭素と結合すると鮮紅色を呈するため、皮膚は鮮紅色になる。
- 低酸素血症にはならない。
- ヘモグロビンの酸素運搬能力が低下し、低酸素血症になる。ただし、チアノーゼは出現しない。
- 治療として低流量の酸素を吸入する。
- 治療として高濃度酸素吸入や高圧酸素療法などを行う。
- 一酸化炭素は酸素よりもヘモグロビンと結合しやすい。
- 一酸化炭素は酸素よりもヘモグロビンと結合しやすいため、一酸化炭素を吸入するとヘモグロビンの酸素運搬能力が下がり、一酸化炭素中毒が起こる。
【問題29】 AはBの分泌を刺激するホルモンであると仮定する。ネガティブ・フィードバック機構を表すのはどれか。
正解 2
- Bの増加によってAの分泌が増加する。
- Bの増加によってAの分泌が減少する。
- ネガティブ・フィードバック機構とは、ホルモンの過剰な分泌を制御し、恒常性を保とうと働く仕組みである。
- Bの減少によってAの分泌が減少する。
- Bの変化はAの分泌に影響を及ぼさない。
正解 1
- ビタミンB1 ── ウェルニッケ脳症
- ウェルニッケ脳症はビタミンB1の欠乏によって起こる脳症で、アルコール依存症で多くみられる。他の代表的なビタミンB1欠乏症には、コルサコフ症候群や脚気がある。
- ビタミンC ── 脚気
- ビタミンCはコラーゲンの生成に関与しており、欠乏すると壊血病を引き起こす。
- ビタミンD ── 新生児メレナ
- ビタミンDはカルシウムの代謝調整に関与しており、欠乏すると幼児期ではくる病、成人では骨軟化症を引き起こす。新生児メレナは、ビタミンKの欠乏が原因となる。
- ビタミンE ── 悪性貧血
- ビタミンEは抗酸化作用を持ち、過酸化脂質の生成を抑制する。欠乏することは稀であるが、未熟児においてビタミンE欠乏による溶血性貧血がみられることがある。悪性貧血は、ビタミンB12の欠乏が原因となる。
正解 2
- 自然気胸
- 自然気胸では突然の呼吸困難が起こるが、子宮全摘術との関連は薄い。
- 肺塞栓症
- 術後の長期臥床は、肺塞栓症の原因となる。離床が十分に進まず、術後2日にベッドから降りたところで呼吸困難が起こっており、まず肺塞栓症が疑われる。
- 肋間神経痛
- 子宮体癌の転移によって肋間神経痛が生じることはあるが、肋間神経痛での呼吸困難は胸痛によるものである。
- 解離性大動脈瘤
- 解離性大動脈瘤では、胸背部に激しい痛みがみられる。
【問題32】 急性心筋梗塞において上昇のピークが最も早いのはどれか。
正解 4
- AST(GOT)
- AST(アスパラギン酸アミノ基転移酵素)は通常、心筋梗塞発症後6〜8時間後から上昇し、24〜48時間で最高値に達する。主に肝疾患のマーカーとして機能する。
- ALT(GPT)
- ALT(アラニントランスアミナーゼ)は、主に肝疾患のマーカーとして用いられる。
- LD(LDH)
- LD(乳酸脱水素酵素)は通常、心筋梗塞発症後12〜24時間後から上昇し、2〜4日で最高値に達する。肝疾患のマーカーとしても機能する。
- CK(CPK)
- CK(クレアチンキナーゼ)は、心筋や骨格筋が障害を受けた際に上昇するマーカーである。通常、心筋梗塞発症後2〜4時間後から上昇し、18〜24時間で最高値に達する。
正解 3
- 絞扼性イレウス ── 粘液水腫
- 粘液水腫では、甲状腺機能の低下によって麻痺性イレウスが起こることがある。
- 単純性イレウス ── 腸捻転症
- 腸捻転症は、腸のねじれ・狭窄によって、絞扼性イレウス(複雑性イレウス)の原因となる。
- 麻痺性イレウス ── 脊髄損傷
- 脊髄損傷では、腸管麻痺・腸管運動低下によって麻痺性イレウスが生じやすくなる。
- けいれん性イレウス ── モルヒネの内服
- 胃腸管運動が抑制されるため、モルヒネの内服は麻痺性イレウスや便秘症状の原因となる。
正解 1
- 憲法による生存権の保障が基本理念である。
- 憲法25条の「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利(生存権)」が基本理念である。
- ノーマライゼーションは疫学的理念である。
- ノーマライゼーションとは、「障害者や高齢者を特別視せず、可能な限り通常の市民生活を送ることができるようにする」という考え方であり、福祉の基本理念の一つである。疫学的理念ではない。
- 保健医療福祉行政の事業内容は全国一律である。
- 保健医療福祉行政の事業内容は全国一律ではなく、地域によって異なる。
- 医療費の財源では国庫負担の占める割合が最も高い。
- 平成22年度の国民医療費の概況によると、国民医療費の財源で最も高いのは被保険者負担(28.3%)で、次いで国庫負担(25.9%)である。
【問題35】 環境基本法で環境基準が規定されているのはどれか。
正解 1
- 大気
- 環境基本法では、大気汚染、水質汚濁、土壌汚染、騒音に関する環境基準が規定されている。(環境基本法第16条)
- 振動
- 振動については、「振動規制法」によって規定されている。
- 悪臭
- 悪臭については、「悪臭防止法」によって規定されている。
- 照明
- 照明については、「消防法」や「建築基準法」などによって規定されている。また、環境省によって「光害対策ガイドライン」が策定されている。
【問題36】 牛海綿状脳症(BSE)対策のため、牛の食肉処理の際に除去・焼却が法令上義務化されている部位はどれか。
正解 3
- 胆嚢
- 頬肉
- 脊髄
- BSEの原因となる異常プリオンが蓄積しやすい特定危険部位として、牛の食肉処理の際には、頭部(舌、頬肉を除く)、脊髄、脊柱、回腸遠位部を除去・焼却することが義務化されている。
- 大腸
正解 4
- 労働者のがん検診
- 検診による早期発見は二次予防である。
- 精神障害者の作業療法
- 作業療法は三次予防である。
- 脳卒中患者の理学療法
- 理学療法は三次予防である。
- 性感染症予防のためのコンドームの使用
- 性感染症の発生を未然に防ぐものであり、一次予防に該当する。
【問題38】 Broca(ブローカ)失語のある患者とのコミュニケーション方法で適切なのはどれか。
正解 4
- 五十音表を使う。
- 話すだけでなく、読む、書くといった言語表出も障害されているため、五十音表を使ってのコミュニケーションは困難である。
- 患者の言い間違いは言い直すよう促す。
- 言葉の言い間違いは指摘しないようにする。
- 言葉で話しかけるよりもイラストを見せる。
- ブローカ失語では言語理解は比較的保たれており、話しかけられたことは理解できる。
- 「はい」、「いいえ」で答えられる質問をする。
- 長い文章を作り出すことは困難で、発語量も減少するので、「はい」、「いいえ」で答えられる質問をすると良い。
正解 3
- 身体に挿入されたチューブ類は抜かずにガーゼで包む。
- 挿入されているチューブ類は抜去し、創部をガーゼで覆う。
- 鼻腔には最初に青梅綿を詰め、次に脱脂綿を詰める。
- 分泌物の流出を防ぐために吸水性が高い脱脂綿を最初に詰め、次に青梅綿を詰める。
- 和式着物のひもは縦結びにする。
- 死後の世界はこの世の日常とは全て逆、という古くからの考え方があり、着物は左前に着せて、ひもは縦結びにするのが一般的である。
- 義歯は外して保管する。
- 生前と顔貌が変わらぬようにする、顔を整えるなどの理由から、口腔内を処置した後に義歯を装着するのが一般的である。
正解 4
- 卵1個(55g)
- 卵の摂取では蛋白質を補うことができるが、蛋白質は基準(推奨量50g/日)に達している。
- レバー2切れ(50g)
- レバーの摂取では鉄を補うことができるが、鉄は基準(推奨量11.0mg/日)に達している。
- イチゴ 10粒(120g)
- イチゴの摂取ではビタミンCを補うことができるが、ビタミンCは基準(推奨量100mg/日)に達している。
- 普通牛乳 200ml(206g)
- 日本人の食事摂取基準(2010年版)によると、35歳、女性、身体活動レベルIIの場合では、エネルギー必要量2,000kcal/日、カルシウム推奨量650mg/日である。カルシウムが推奨量に足りていないので、牛乳を追加するとよい。
【問題41】 貧血がなく、体温36.5 ℃、血液pH7.4の場合、動脈血酸素飽和度(SaO2)90%のときの動脈血酸素分圧(PaO2)はどれか。
正解 2
- 50Torr
- 60Torr
- 動脈血酸素飽和度(SaO2)90%では、動脈血酸素分圧(PaO2)60Torrに相当する。
- 70Torr
- 80Torr
【問題42】 パルスオキシメータによる経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)測定において、適切なのはどれか。
正解 3
- ネームバンドは外して測定する。
- ネームバンドは患者確認のために必要なものであり、SpO2測定において外す必要はない。
- マニキュアは除去せず測定する。
- パルスオキシメーターでは、光を当てて吸光度を測定し、酸化ヘモグロビンの割合を算出する。マニキュアが光を吸収し、測定値に影響を及ぼす可能性があるため、マニキュアは除去して測定する。
- 末梢循環不全のある部位での測定は避ける。
- 拍動が検知できないと正確な測定が行えないため、末梢循環不全のある部位での測定は避ける。
- 継続して装着する場合は測定部位を変えない。
- 長時間の装着による皮膚障害や血流障害を防ぐため、測定部位は適宜変える。
正解 4
- 油性と水性の薬剤を両方使うときは、油性の薬剤を先に点眼する。
- 油性の薬剤が水性の薬剤をはじいて吸収を妨げてしまうので、先に水性の薬剤を点眼する。
- 容器の先端が睫毛に接したら点眼する。
- 感染予防のため、容器の先端が睫毛に接しないように点眼する。
- 点眼後は、乾燥するまでまばたきをしない。
- 点眼後は、まばたきをせずに1〜2分程度眼を閉じる。
- 点眼後は、ふき綿で涙嚢部を軽く圧迫する。
- 点眼後は、薬剤の鼻涙管への流出を防ぐため、まばたきをせずに1〜2分程度眼を閉じ、ふき綿で涙嚢部を軽く押さえる。
【問題44】 Cheyne-Stokes(チェーン-ストークス)呼吸の呼吸パターンはどれか。
正解 1
- チェーン・ストークス呼吸である。小さい呼吸から徐々に一回換気量が増えて大きな呼吸となった後、次第に呼吸が小さくなり一時的に無呼吸になる、という周期が繰り返される。脳疾患など、呼吸中枢の感受性が低下した場合や脳の低酸素状態の際に見られる。
- ビオー呼吸である。無呼吸と頻呼吸が不規則に繰り返される。チェーン・ストークス呼吸よりも周期が短く、不規則である。髄膜炎や延髄の障害などでみられる。
- クスマウル呼吸である。異常に深大な呼吸が連続し、規則正しく続く状態で、高い雑音を伴う。糖尿病性ケトアシドーシスや昏睡時などにみられ、一般的に吸気の方が、呼気より長い。
正解 1
- 療養者の自己決定を尊重する。
- 療養者の自己決定を尊重することが在宅看護の原則である。
- 日常のケアは看護師が中心に行う。
- 日常のケアは療養者の家族が中心に行う。
- 居室の環境整備は医療者の意向を優先する。
- 居室の環境整備は療養者本人の意向を優先する。
- 介護保険の導入は介護支援専門員が決定する。
- 介護保険の導入は療養者本人・家族が決定する。
【問題46】 病院内の退院調整部署による退院支援について正しいのはどれか。
正解 3
- 65歳以上の高齢者を対象とする。
- 退院支援は、年齢にかかわらず入院患者が適切な医療を受け、退院後も安心・安全な療養生活を継続できるよう行うものである。
- 医師が退院日を決めてから、支援を開始する。
- 入院時から取り組むケアである。
- 退院調整看護師は、訪問看護導入の要否を検討する。
- 退院調整看護師は、病棟看護師や関係職種と連携・協働しながら退院調整を行う。患者や家族の状況に応じて、訪問看護など、退院後の在宅療養に適切なサービスの導入を検討する。
- 退院調整部署の設置は診療報酬の算定要件ではない。
- 退院調整部署の設置は診療報酬の算定要件である。退院支援計画を作成し、退院調整が行われた場合に算定できる。
正解 1
- 腹部の温罨法を実施する。
- 腹部に便塊を触知し、腸蠕動音が微弱であることから、弛緩性便秘が考えられる。腹部の温罨法は、腸蠕動運動を促進させるので便秘の改善に有効であり、対応としての優先度は高い。
- 市販の緩下薬の服用を勧める。
- 排便チェック表の記入を指導する。
- ホームヘルパーに食事の準備を依頼する。
【問題48】 胃瘻からの経管経腸栄養法を開始した在宅患者の家族に対する説明で正しいのはどれか。
正解 2
- 液状の栄養剤は開封後数日間使用してよい。
- 栄養剤は開封したら冷蔵庫に保存し、1日以内に使い切るようにする。
- 栄養剤の注入は無菌操作で行う必要はない。
- 清潔を保つ必要はあるが、無菌操作で行う必要はない。
- 胃瘻を造設したので経口摂取は禁止となる。
- 胃瘻造設後でも嚥下訓練によって経口摂取ができる可能性はある。
- 胃瘻カテーテルは週に1回交換する。
- 胃瘻カテーテルの種類にもよるが、少なくとも1か月は交換する必要はない。