第101回看護師国家試験一般問題・状況設定問題解説(午前問題49〜68)

【問題49】 更年期障害について正しいのはどれか。

正解 4

  1. 閉経後に症状が始まる。
    • 更年期障害は、卵巣機能の低下によるもので、一般的に閉経前後数年に生じる。
  2. 腹部膨満が特徴的な症状である。
    • ホットフラッシュ(のぼせ、ほてり)や頻脈、血圧変動、発汗、腰痛、肩こり、倦怠感などの自律神経失調症状、不安、孤独感、不眠、抑うつなどの精神症状が生じる。
  3. 自律神経症状は交感神経系機能の低下による。
    • 自律神経症状は交感神経系機能の亢進によるものである。
  4. 自覚症状と他覚的所見とが一致しない傾向がある。
    • 更年期障害では不定愁訴が出現する。不定愁訴とは、めまいや頭痛、動悸、しびれなどの自覚症状があるものの、他覚的に器質的疾患の裏付けができない場合をいう。

【問題50】 食道癌に対する放射線治療で正しいのはどれか。

正解 4

  1. 脊髄の障害は起こらない。
    • 耐容量を超える放射線が脊髄に照射された場合、脊髄障害が生じることがある。
  2. 治療期間は1週間である。
    • 治療期間は6週間前後である。
  3. 治療期間中は隔離できる個室で管理する。
    • 永久刺入の場合や易感染性が生じた場合は隔離の必要があるが、そうでなければ個室で管理する必要はない。
  4. 化学療法と併用すると治療の効果が高まる。
    • 抗がん剤と放射線を併用する化学放射線療法の方が、単独で行うよりも治療の効果が高い。

【問題51】 下腿の蜂窩織炎を繰り返している患者への炎症徴候を早期に発見するための指導で最も適切なのはどれか。

正解 4

  1. 「入浴後に観察しましょう」
  2. 「体温は毎朝測りましょう」
  3. 「膿が出ていないか観察しましょう」
  4. 「赤くなっていないか観察しましょう」
    • 蜂窩織炎は、皮膚の深い層から皮下脂肪組織にかけて生じる細菌感染症で、主に黄色ブドウ球菌によるものである。皮膚の発赤、腫脹、疼痛、熱感が特徴であり、炎症徴候の早期発見のために発赤の観察を行う。入浴後では発赤の判別がしづらい。また、膿が出るのは症状が進行した際である。

【問題52】 肺気腫の患者が、歩行時の息切れが強くなってきたため受診した。呼吸数は34/分で、口唇のチアノーゼがみられた。この患者について正しいのはどれか。

正解 2

  1. 1回換気量が増加している。
    • 肺気腫では、肺の過膨張に伴い1回換気量は減少する。
  2. 病状が進行するとPaCO2が上昇する。
    • 病状が進行すると、PaO2の低下、PaCO2の上昇、呼吸性アシドーシスが起こる。
  3. 呼気よりも吸気を促すと効果的である。
    • 口すぼめ呼吸で呼気をゆっくり行うのが効果的である。呼気時の気道内圧を高め、気道の閉塞・虚脱を防止する。
  4. 経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)は上昇している。
    • チアノーゼがみられており、SpO2は低下している。

【問題53】 Aさんは会議中に時々動悸を感じることがあるため受診した。安静時心電図に異常は認められなかった。次に行う検査はどれか。

正解 4

  1. 運動負荷心電図
    • 運動負荷心電図は、労作性狭心症の検査など、心臓に負荷をかけたときの心電図変化をみる際に用いられる。
  2. 動脈血ガス分析
    • 動脈血ガス分析は、PaO2、PaCO2、pHを測定する検査であり、不整脈の特定には適さない。
  3. 心臓カテーテル検査
    • 心臓カテーテル検査は、狭心症や心筋梗塞、心不全、不整脈などの検査に用いられるが、侵襲的検査であるため優先されない。
  4. Holter(ホルター)心電図
    • ホルター心電図は、日常生活中の長時間の心電図を連続的に記録する検査である。安静時心電図では現れない一過性不整脈の検出や狭心症の診断、人工ペースメーカーの機能判定などに用いられる。

【問題54】 食道静脈瘤破裂をきたしたとき、一時的な止血に使用するのはどれか。

正解 4

  1. 胃管
    • 胃管は、胃洗浄や胃内容物の吸引、経管栄養などで用いられる。
  2. 腹腔内ドレーン
    • 腹腔内ドレーンは、腹腔内の貯留物を体外に排出する際に用いられる。
  3. Swan-Ganz〈スワン-ガンツ〉カテーテル
    • スワンガンツカテーテルは、肺動脈圧や心拍出量などを測定する肺動脈カテーテルである。心機能の測定に用いられる。
  4. S-B(Sengstaken-Blakemore〈ゼングスターケン-ブレークモア〉)チューブ
    • S-Bチューブは、先端にバルーンのついたカテーテルで、食道静脈瘤破裂時の止血に用いられる。出血量が多く、出血部位が特定できない場合に、食道に入れてバルーンを膨らませることで、内側から圧迫止血をする。

【問題55】 Behcet(ベーチェット)病に特徴的なのはどれか。

正解 4

  1. 真珠腫
    • 真珠腫とは、鼓膜の一部が中耳内部に向かって陥没し、真珠のように球状に増殖した上皮組織である。真珠腫性中耳炎でみられる。
  2. 粘液水腫
    • 粘液水腫は、成人期以後に発症した甲状腺機能低下症である。
  3. 紫紅色紅斑
    • 紫紅色紅斑は、皮膚筋炎の皮膚症状などでみられる。
  4. 外陰部潰瘍
    • ベーチェット病は、慢性再発性の全身性炎症性疾患で、難病に指定されている。口腔内再発性アフタ性潰瘍、外陰部潰瘍、眼症状、皮膚症状が主症状である。

【問題56】 頭蓋内圧亢進の代償期にある患者にみられるバイタルサインの特徴はどれか。

正解 3

  1. 呼吸数の増加
    • 頭蓋内圧亢進の代償期では、延髄の呼吸中枢が障害され、呼吸数は低下する。
  2. 体温の低下
    • 頭蓋内圧亢進の代償期では、視床下部の体温調節中枢が障害され、体温は上昇する。
  3. 脈圧の増大
    • 頭蓋内圧亢進の代償期では、脳の血流を保つために収縮期血圧が上昇する。拡張期血圧は上昇しないことが多く、脈圧は増大する。
  4. 頻脈
    • 頭蓋内圧亢進の代償期では、徐脈がみられる。

【問題57】 Aさん(54歳、女性)は、排便困難のため外来を受診し、酸化マグネシウムとセンナとを処方された。腹腔内手術の既往歴がある。Aさんへの指導で適切なのはどれか。

正解 3

  1. 「運動は控えてください」
    • 適度な運動は腸蠕動の促進に繋がるので、運動を控えるのは適切ではない。
  2. 「下痢が続いても心配ありません」
    • 下痢が続くと脱水症や低カリウム血症になる可能性がある。
  3. 「おなかの張りが続くようなら、また受診してください」
    • 腹腔内手術の既往歴があるため、おなかの張りが続く場合はイレウスの可能性も考えられ、受診する必要がある。
  4. 「旅行をする場合は酸化マグネシウムの内服を控えてください」
    • 酸化マグネシウムは、便の水分を増大し軟化させることにより排便を促す。旅行中も服用するべきである。

【問題58】 人口の高齢化に関連した指標の説明で正しいのはどれか。

正解 4

  1. 60歳以上の人口割合を高齢化率という。
    • 高齢化率は、65歳以上の人口割合である。
  2. 老年人口が35%を超えると超高齢社会である。
    • 超高齢社会は、老年人口(高齢化率)が21%を超える場合をいう。
  3. 高齢化社会から超高齢社会への所要期間を倍加年数という。
    • 高齢化社会(老年人口7%以上)から高齢社会(老年人口14%以上)への所要期間を倍加年数という。
  4. 生産年齢人口に対する老年人口の比を老年人口指数という。
    • 生産年齢人口(15歳から64歳までの人口)に対する老年人口の比を老年人口指数という。

【問題59】 高齢者の看護に活用できる理論とその説明の組合せで正しいのはどれか。

正解 3

  1. 離脱理論 ── 高齢者の活動の権利を擁護する。
    • 離脱理論とは、老年期において高齢者は社会的に離脱することが望ましいとする考え方である。
  2. 生涯発達理論 ── 高齢者が生産活動に関与することで老化に適応する。
    • 生涯発達理論とは、人間は生涯発達し続けるという考え方である。
  3. ストレングスモデル ── 高齢者の強みを援助者が見出す。
    • ストレングスモデルとは、高齢者の強み、できることに着目して、活用していく支援方法である。
  4. マズローのニード論 ── 高齢者が人生を振り返り意味を発見する。
    • マズローのニード論とは、人間の欲求を5段階に分け、下位の欲求が満たされると、その上の欲求の充足を目指すという考え方である。

【問題60】 老人性難聴の特徴はどれか。

正解 4

  1. 耳鳴を伴う。
    • 耳鳴を伴う場合もあるが、特徴ではない。
  2. 伝音性の難聴である。
    • 伝音性の難聴ではなく、内耳の機能低下に伴う感音性の難聴である。
  3. 低音域が障害される。
    • 特に高音域が障害される。
  4. 語音の分別能力が低下する。
    • 語音の分別能力が低下するため、何を言っているかが分からず、聞き返すことが多くなる。また、音の強さの変化に敏感になる補充現象が生じる。

【問題61】 高齢者のいる世帯の割合の過去30年間の推移について、正しいのはどれか。

正解 1

  1. 単独世帯が増えている。
    • 平成22年における、65歳以上の者のいる世帯は、2070万5千世帯で全世帯の42.6%である。単独世帯は増加し続けており、平成22年では501万8千世帯である。
  2. 三世代世帯が増えている。
    • 三世代世帯は減少している。
  3. 夫婦のみの世帯が減っている。
    • 夫婦のみの世帯は増加している。
  4. 夫婦と未婚の子のみの世帯が減っている。
    • 夫婦と未婚の子のみの世帯は増加している。

【問題62】 家庭内における高齢者虐待に関する調査(2004年)による高齢者虐待の特徴で正しいのはどれか。

正解 1

  1. 被虐待者は女性が多い。
    • 家庭内における高齢者虐待に関する調査(2004年)によると、被虐待者の性別は男性23.6%、女性76.2%であり、女性が多い。
  2. 経済的虐待が最も多い。
    • 家庭内における高齢者虐待に関する調査(2004年)によると、虐待の内容で最も多いのは「心理的虐待」で63.6%、次いで「介護・世話の放棄・放任」52.4%、「身体的虐待」50.0%、「経済的虐待」22.4%、「性的虐待」1.3%である。
  3. 配偶者による虐待が最も多い。
    • 家庭内における高齢者虐待に関する調査(2004年)によると、虐待者の被虐待者との続柄で最も多いのは「息子」である。次いで「息子の配偶者(嫁)」、「配偶者」、「娘」の順である。
  4. 被虐待者は要介護5が最も多い。
    • 家庭内における高齢者虐待に関する調査(2004年)によると、被虐待者は要介護1、要介護2が多い。

【問題63】 Aさん(103歳、男性)は、総義歯で時々むせるが、その他は元気に過ごしている。Aさんの食事指導として最も適切なのはどれか。

正解 2

  1. 塩分の制限を厳しくする。
    • 塩分の過剰摂取は良くないが、厳しく制限する必要もない。
  2. 蛋白質の摂取量を確保する。
    • 高齢者は蛋白質が不足しがちになる。低栄養を防ぎ、健康状態を維持するためにも、蛋白質の摂取量を確保するようにする。
  3. 粘稠度の低いサラサラした食品にする。
    • 粘稠度の低いサラサラした食品では、誤嚥の危険性がある。
  4. 食べ慣れていない料理も積極的に取り入れる。
    • 総義歯で時々むせる、とあるので、食べ慣れたものを摂取する方が良い。

【問題64】 ベンゾジアゼピン系薬を服用中の高齢者について、若年者と比較した特徴で正しいのはどれか。

正解 4

  1. 薬物感受性が低い。
    • 高齢者はベンゾジアゼピン系薬剤の作用に対して感受性が高い。
  2. 薬物の作用が持続しにくい。
    • 高齢者は、薬物代謝機能や腎機能の低下により半減期が延長され、薬物の作用が持続しやすくなる。
  3. 薬物の相互作用が起こりにくい。
    • 高齢者は複数の疾患を持つことで多剤併用の機会が増え、薬物の相互作用が起こりやすくなる。
  4. 薬物の血中濃度が高くなりやすい。
    • 高齢者では、体内の水分量が減少するため、水溶性薬剤の血中濃度が高くなりやすい。また、体脂肪が増加するため、脂溶性薬剤の組織蓄積量が増加しやすい。

【問題65】 入院中の4歳児への倫理的配慮として適切なのはどれか。

正解 4

  1. 採血を行う際は「痛くないよ」と励ます。
    • 多少の痛みを伴うものであり、嘘をついてはならない。
  2. ギプスカットの際は泣かないように伝える。
    • ギプスカットは児にとって不安や恐怖を感じるものであり、我慢を強いるよりも素直に感情表現する方がよい。泣いても構わない。
  3. 骨髄穿刺の際は親を同席させないようにする。
    • 痛みを伴う検査であり、親が同席することで児を精神的にサポートすることができる。
  4. エックス線撮影をする際は事前に本人に説明する。
    • 児の発達段階に応じて、理解しやすい言葉で事前に本人に説明する。

【問題66】 離乳について適切なのはどれか。

正解 3

  1. 離乳の開始前に果汁を与える必要がある。
    • 栄養学的な意義は特になく、離乳の開始前に果汁を与える必要はない。
  2. 離乳の開始時期は生後3か月ころが適切である。
    • 離乳の開始時期は生後5、6か月ころが適切である。
  3. 離乳を開始して1か月を過ぎたころから1日2回食とする。
    • 離乳を開始して1か月は1日1回食、1か月を過ぎたころから1日2回食とする。
  4. 母乳や人工乳を飲まなくなった状態を離乳の完了という。
    • 形のある食物をかみつぶすことができるようになり、栄養の大部分を母乳やミルク以外の食物からとれるようになった状態を離乳の完了という。時期は生後12か月〜18か月ごろである。

【問題67】 腰椎穿刺における乳児の体位と看護師による固定方法の写真を示す。正しいのはどれか。

正解 3

  1. 第101回看護師国家試験一般問題解説67図1
  2. 第101回看護師国家試験一般問題解説67図2
  3. 第101回看護師国家試験一般問題解説67図3
    • 小児の腰椎穿刺は、側臥位で背中を丸め、第4〜5腰椎の間を穿刺する。穿刺する際に動かないように児の頭、肩、殿部、下肢をしっかり固定する。
  4. 第101回看護師国家試験一般問題解説67図4

【問題68】 Aちゃん(8歳、女児)は、高度の浮腫と蛋白尿とがみられたため入院し、ネフローゼ症候群と診断され、ステロイド大量療法が開始された。現時点でのAちゃんへの看護で適切なのはどれか。

正解 4

  1. 水分摂取を促す。
    • 高度の浮腫がみられており、水分摂取は制限する。
  2. 塩分制限はないと伝える。
    • 腎臓の負荷軽減のため、塩分摂取を制限する。
  3. 病院内を散歩してよいと伝える。
    • 腎血流量の回復のためにも、安静にしていることが大切である。
  4. 一時的に満月様顔貌(ムーンフェイス)になることを説明する。
    • ステロイド大量療法によって一時的に満月様顔貌になることを本人に説明する。

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