第101回看護師国家試験一般問題・状況設定問題解説(午前問題69〜90)
【問題69】 労働基準法で規定されている育児時間について正しいのはどれか。
正解 4
- 父親も取得できる。
- 育児休暇は父親も取得可能であるが、労働基準法の育児時間は母親のみの規定である。
- 1日当たり4回まで取得できる。
- 1日当たり2回まで取得できる。
- 1回の時間は1時間以内である。
- 各々少なくとも30分である。
- 児が満1歳になるまでの期間に取得できる。
- 生後満1年に達しない生児を育てる女性は育児時間を請求することができる。
【問題70】 妊娠24週の妊婦健康診査で経過は順調であると診断された妊婦が、次回に受診する時期として適切なのはどれか。
正解 2
- 1週後
- 2週後
- 妊娠23週までは4週ごと、24〜35週までは2週ごと、36週以降は1週ごとに妊婦健康診査を受診することが推奨されている。
- 3週後
- 4週後
正解 4
- 多胎妊娠では過期産となりやすい。
- 多胎妊娠では、子宮内の容量が多くなるため早産となりやすい。
- 妊娠糖尿病では低出生体重児となりやすい。
- 妊娠糖尿病では巨大児となりやすい。
- 前置胎盤のリスクは妊娠中の喫煙量に比例する。
- 喫煙は前置胎盤のリスク要因であるが、喫煙量に比例するわけではない。その他の原因として、高齢妊娠、多産婦、帝王切開の既往、人工妊娠中絶術既往などがある。
- 妊娠高血圧症候群では胎児発育不全になりやすい。
- 妊娠高血圧症候群では、胎盤の循環障害、機能低下によって胎児への血流が障害される。そのため、胎児は低栄養状態や低酸素状態となり、胎児発育不全や胎児機能不全が生じる。
【問題72】 厚生労働省のこころのバリアフリー宣言の目的で正しいのはどれか。
正解 1
- 精神疾患への偏見をなくすための正しい理解の促進
- 厚生労働省は、「こころのバリアフリー宣言〜精神疾患を正しく理解し、新しい一歩を踏み出すための指針〜」として以下の8つの柱(キーワード)を挙げている。
①精神疾患を自分の問題として考えていますか
②無理しないで、心も体も
③気づいていますか、心の不調
④知っていますか 精神疾患への正しい対応
⑤自分で心のバリアを作らない
⑥認め合おう、自分らしく生きている姿を
⑦出会いは理解の第一歩
⑧互いに支えあう社会作り
- 厚生労働省は、「こころのバリアフリー宣言〜精神疾患を正しく理解し、新しい一歩を踏み出すための指針〜」として以下の8つの柱(キーワード)を挙げている。
- 高齢者の孤立を防ぐためのふれあいのある社会づくり
- 身体障害者の人格を尊重するためのバリアフリー化の推進
- 引きこもりから社会参加を試みる際の障壁を軽減する支援
正解 3
- 洗い残しの部位を詳細に指摘する。
- 洗い残しによる感染のリスクを説明する。
- 入浴時に困っていることはないか尋ねる。
- 何が原因で洗い残しが生じているのかを知るためにも、Aさんの状態を確認する必要がある。
- できるようになるまで看護師が全身を洗う。
正解 3
- 重篤な不安発作が繰り返される。
- パニック障害でみられる。
- ボディイメージ(身体像)の障害が認められる。
- 神経性食欲不振症(拒食症)でみられる。
- 非言語的コミュニケーションが適切にとれない。
- 広汎性発達障害は、社会性やコミュニケーション能力等の発達遅滞を特徴とする発達障害で、自閉症、高機能自閉症・アスペルガー症候群などがある。対人関係の障害、コミュニケーションの障害、想像力の障害が特徴である。
- 声にしていない自分の考えが周囲に伝わるように感じる。
- 思考伝播(考想伝播)である。統合失調症などでみられる。
【問題75】 入院患者の精神科リハビリテーションで適切なのはどれか。
正解 3
- 経済的な自立を最終目標とする。
- 日常的な自立、社会復帰、社会適応が最終目標である。
- 退院日が決まり次第開始される。
- リハビリテーションは入院時から開始される。
- 多職種によるチーム連携が必要である。
- 多職種連携によるチーム医療が必要である。
- 精神疾患に関する地域への啓発は含まれない。
- 精神疾患にに対する理解の促進を図るためにも、地域への啓発は重要である。
正解 1
- 貧血
- 脾臓には、細菌や異物等の消化、古くなった赤血球・血小板の分解等の働きがある。脾機能亢進症では、血球成分の破壊が亢進し、貧血や出血傾向などの症状がみられる。
- 低血糖
- 発汗過多
- 血小板数の増加
- 低カリウム血症
【問題77】 全身性エリテマトーデス(SLE)で生命予後を悪くするのはどれか。
正解 4
- 筋痛
- 筋痛はSLEの症状であるが、生命予後を悪くするものではない。
- 関節炎
- 関節炎はSLEの症状であるが、生命予後を悪くするものではない。関節リウマチとは異なり、骨破壊を伴わない関節炎である。
- 蝶形紅斑
- 蝶形紅斑はSLEの症状であるが、生命予後を悪くするものではない。顔面に鼻を中心にして両頬に広がる蝶形の発疹がみられる。
- ループス腎炎
- ループス腎炎はSLEによって起こる腎炎であり、蛋白尿、浮腫、腎機能低下などの症状が生じる。腎不全をきたすと生命予後を悪くする。
- Raynaud(レイノー)現象
- レイノー現象とは、寒冷刺激や精神的緊張によって、四肢末梢部の小動脈が発作的に収縮して血流が悪化することで起こる四肢皮膚の色調変化である。膠原病の初発症状として多くみられ、SLEでもみられるが、生命予後を悪くするものではない。
【問題78】 長期投与すると骨粗鬆症を発症するリスクが高まるのはどれか。
正解 5
- ビタミンD
- ビタミンK
- エストロゲン
- ワルファリン
- 副腎皮質ステロイド
- 副腎皮質ステロイドの長期投与によって、骨芽細胞の機能が低下し、骨形成は抑制される。また、腸管からのカルシウム吸収が低下し、骨吸収が促進する。それによって骨粗鬆症を発症するリスクが高まる。
【問題79】 立位の保持が可能な患者にグリセリン浣腸120mlを実施することになった。正しいのはどれか。
正解 4
- 浣腸液の温度は32℃である。
- 腸管を軽度に刺激して適度に蠕動運動を促すよう、浣腸液の温度は、直腸温よりもやや高めの40℃程度とする。温度が低いと、末梢血管が収縮し、血圧の上昇や寒気を起こす。
- 体位は立位前屈をとる。
- 浣腸液が腸内に流れやすくなるよう、体位は左側臥位とする。立位前屈では直腸穿孔の危険性がある。
- カテーテルの挿入の深さは12〜15cmである。
- カテーテルの挿入の深さは6〜10cmとする。S状結腸を損傷しないよう10cm以上挿入しない。
- 注入時は口呼吸を指示する。
- 口呼吸をすることによって、腹圧が下がり肛門括約筋の緊張が緩和し、挿入しやすい。
- 注入は15秒以内で行う。
- 急速に注入すると刺激によって浣腸液のみ排出されてしまうので、浣腸液の注入速度は、15秒で50mlが目安である。120mlでは40秒程度かけて実施する。
【問題80】 糖尿病外来の看護師が通院中の糖尿病の患者を対象にフットケア教室を行うことになった。対象者の選定基準で、最も優先されるのはどれか。
正解 2
- 外出頻度が高い人
- 感覚神経障害がある人
- 感覚神経障害がある場合、足の病変に気づきにくい。また、糖尿病では易感染性のため、感染症にかかりやすく、急速に重症化する危険性がある。そのため、感覚神経障害がある人を優先してフットケアを行う。
- インスリン療法中の人
- HbA1c値が7%以上の人
- 運動靴を履く頻度が高い人
【問題81】 Aくんは野球部の練習を無断で休み、翌日監督に厳しく叱られた。帰宅後、Aくんは夕食時に「おかずがまずい」と母親に大声で文句を言っている。Aくんの反応はどれか。
正解 5
- 否認
- 否認とは、不安や苦痛を生み出す出来事から目をそらし、認めないことである。
- 投影
- 投影とは、自身の受け入れがたい不快な感情や欲求を、自分のものとは認識せず、他人のものと位置づけることである。
- 合理化
- 合理化とは、葛藤が伴う自分の言動を正当化するために理由付けすることである。
- 反動形成
- 反動形成とは、自分の持っている感情や欲求とは反対方向の態度が過度に強調されることである。
- 置き換え
- 置き換えとは、ある対象に向けられる感情や態度を、他の対象に向けることである。
正解 3,5
- 腸炎ビブリオ感染症の原因となる主な食品は食肉である。
- 腸炎ビブリオ菌は好塩性細菌であり、原因食品は魚介類およびその加工品である。
- 黄色ブドウ球菌感染症の予防に食前の加熱は有効である。
- 黄色ブドウ球菌感染症は、調理者の手指を介しての感染が多い。黄色ブドウ球菌の毒素は耐熱性であり、加熱による予防は有効ではない。
- ボツリヌス菌感染症では呼吸筋麻痺を生じる。
- ボツリヌス菌感染症では、一般的に8〜36時間の潜伏期間を経て、下痢、腹痛、嘔吐などの症状が起こり、次いでボツリヌス毒素による神経麻痺症状が生じる。呼吸筋麻痺によって嚥下障害、呼吸困難に陥り、死に至る場合もある。
- 毒素性大腸菌感染症の潜伏期は数時間である。
- 毒素性大腸菌感染症の主な症状は、下痢、腹痛、嘔吐で、潜伏期間は12〜72時間である。
- ノロウイルス感染症は冬に多くみられる。
- ノロウイルス感染症は、汚染された二枚貝の摂取や感染者の糞便や吐物から感染する。秋から冬にかけて多くみられる感染症である。
【問題83】 児童虐待の防止等に関する法律で、親の虐待によって負傷した児童を発見した際の通告先として規定されているのはどれか。2つ選べ。
正解 2,4
- 警察署
- 福祉事務所
- 児童虐待の防止等に関する法律に「児童虐待を受けたと思われる児童を発見した者は、速やかに、これを市町村、都道府県の設置する福祉事務所若しくは児童相談所又は児童委員を介して市町村、都道府県の設置する福祉事務所若しくは児童相談所に通告しなければならない」と規定されている。
- 家庭裁判所
- 児童相談所
- 福祉事務所同様、通告先として規定されている。
- 教育委員会
【問題84】 理解力に問題のない入院中の成人患者を対象にした看護研究を行うこととした。倫理的配慮で適切なのはどれか。2つ選べ。
正解 1,4
- 研究参加の同意は後で撤回できることを患者に説明する。
- 研究への参加は本人の自由であり、いつでも拒否する権利があることを説明する必要がある。
- 患者が自室に不在の場合、研究参加の同意は家族から得る。
- 患者は理解力に問題はなく、研究参加の同意は本人から得る必要がある。
- 発表用のデータには患者の実名を記載する。
- 個人情報を公表することは不適切である。
- 個人情報が含まれた研究の書類は、施錠できる場所に保管する。
- 個人情報は保護する必要があり、研究の書類は施錠できる場所に保管する。
- 研究が終了したとき、研究者の守秘義務は免除される。
- 研究終了後も守秘義務は免除されない。退職後も同様である。
正解 1
- 指鼻試験
- 患者の指を自分の鼻の頭と検者の指との間を行き来させる。小脳失調がある場合は、目標に到達できずに前後左右にずれたり、振戦がみられる。
- Weber(ウェーバー)試験
- 聴覚検査である。振動させた音叉を額の中央に置き、左右の音の聞こえ方を検査する。
- Kernig(ケルニッヒ)徴候
- 髄膜刺激症状の1つで、髄膜炎などの診断に用いる。仰臥位で下肢を股関節で90度屈曲し、次いで膝を伸展させたとき、膝の伸展ができないか、疼痛を伴う場合陽性である。
- Romberg(ロンベルグ)徴候
- 両足のつま先をそろえて立たせ、開眼時と閉眼時の動揺を比較する。陽性では、閉眼時に大きく身体が動揺し、倒れてしまう。脊髄後索障害の有無を評価する際に用いる。
- Babinski(バビンスキー)反射
- 病的反射の1つである。足底外縁をこすると、正常では母指は足底の方に屈曲するが、錐体路障害時には母指は背屈し、他の四指が扇状に開く。新生児では生理的にみられる。
【問題86】 看護師等の人材確保の促進に関する法律に規定されている内容で、正しいのはどれか。2つ選べ。
正解 3,5
- 看護師免許の申請
- 保健師助産師看護師法に規定されている。
- 保健師等再教育研修
- 保健師助産師看護師法に規定されている。
- 看護師等就業協力員の委嘱
- 看護師等の人材確保の促進に関する法律(第11条)に規定されている。都道府県は、社会的信望があり、かつ、看護師等の業務について識見を有する者のうちから、看護師等就業協力員を委嘱することができる。看護師等就業協力員は、都道府県の看護師等の就業の促進その他看護師等の確保に関する施策及び看護に対する住民の関心と理解の増進に関する施策への協力その他の活動を行う。
- 看護師等学校養成所の指定
- 保健師助産師看護師法に規定されている。
- 都道府県ナースセンターの指定
- 看護師等の人材確保の促進に関する法律(第14条)に規定されている。都道府県ナースセンターの指定は、都道府県知事が行う。
【問題87】 介護保険制度による訪問看護で正しいのはどれか。2つ選べ。
正解 2,3
- 理学療法士による訪問は含まれない。
- 理学療法士や作業療法士、言語聴覚士による訪問も訪問看護に含まれる。
- 主治医の訪問看護指示書が必要である。
- 訪問看護の利用には、主治医が交付する訪問看護指示書が必要である。
- 訪問滞在時間によって介護報酬は異なる。
- 滞在時間によって介護報酬は異なる。
- 利用頻度は介護支援専門員の指示による。
- ケアマネージャーが利用者や家族と相談してケアプランを作成する。利用頻度はケアプランに基づいて決定する。
- 利用できる訪問看護事業所は1か所に限る。
- 2か所以上利用できる。各事業所ごとに医師の指示書が必要である。
正解 1,2
- 把握反射
- 手掌、足底を圧迫すると反射的に把握するものである。出生時からみられ、手掌把握反射は生後5〜6か月頃、足底把握反射は生後9か月頃(独歩確立前)に消失する。
- 緊張性頸反射
- 仰臥位で寝かせて頭を横向きにすると、顔の向いている側の上下肢を伸展し、反対側を屈曲する。出生時からみられ、生後5〜6か月頃までに消失する。
- ホッピング反応
- 立位で児の身体を前後左右に傾けると下肢を出して体重を支えようとする。出生時にはみられず、出現後は生涯にわたりみられる。
- パラシュート反射
- 児の両脇を支え、水平にして突然頭を下げると、上肢を前方に伸ばして身体を支えようとする反射である。生後8か月頃から生涯にわたりみられる。
- 視性立ち直り反射
- 児の身体を左右に傾けると頭を垂直にしようとする反射である。生後6か月頃からみられる。
【問題89】 閉経に近づくと上昇するホルモンはどれか。2つ選べ。
正解 4,5
- エストロゲン
- プロラクチン
- プロゲステロン
- 黄体形成ホルモン(LH)
- 卵胞刺激ホルモン(FSH)
- 卵巣機能低下によってエストロゲンやプロゲステロンの分泌は低下し、視床下部からの性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)や下垂体からの黄体形成ホルモン(LH)、卵胞刺激ホルモン(FSH)の分泌は上昇する。
【問題90】 正常分娩した産褥2日の褥婦の状態で、順調な経過であると判断できるのはどれか。2つ選べ。
正解 1,2
- 後陣痛がある。
- 後陣痛は、子宮収縮に伴う痛みで、子宮復古を促進する生理的な現象である。分娩終了後の数日間にみられる。
- 乳房の緊満感がある。
- 乳汁分泌機能の作用によって乳房への血流増加、乳房の循環不全が起こり、乳房に緊満感や熱感、疼痛がみられる。産褥2〜6日頃に起こる生理的な現象である。
- 体温が37.6℃である。
- 分娩直後から翌日頃まで37.0〜37.5℃程度に体温が上昇することがある。産褥2日で体温37.6℃では、体温がやや高めであり、感染の可能性もある。
- 悪露に凝血塊が混じる。
- 産褥2〜4日頃までは胎盤剥離面からの血液による赤色悪露がみられる。悪露に凝血塊が混じる場合は、欠損した胎盤や卵膜の残存が疑われる。
- 妊娠中と比べ1日の尿量が減少する。
- 分娩後は一時的に尿量が増加する。