第101回看護師国家試験一般問題・状況設定問題解説(午後問題26〜48)

【問題26】 レム睡眠について正しいのはどれか。

正解 2

  1. 脳波上徐波を示す。
    • 深い睡眠であるノンレム睡眠のステージ3〜4で徐波(δ波)がみられ、徐波睡眠と呼ばれる。レム睡眠での脳波は、覚醒時に近い低振幅速波を示す。
  2. 骨格筋は弛緩する。
    • レム睡眠では、骨格筋は弛緩状態である。
  3. 心拍数は安定する。
    • レム睡眠では自律神経系は不安定になり、心拍数は変動する。
  4. 夢はみない。
    • 夢をみるのは、ほとんどがレム睡眠時である。

【問題27】 全肺気量の計算式を示す。肺活量+[  ]=全肺気量
[  ]に入るのはどれか。

正解 1

  1. 残気量
    • 肺活量=予備吸気量+1回換気量+予備呼気量
      全肺気量=肺活量+残気量
      機能的残気量=予備呼気量+残気量
  2. 予備吸気量
  3. 1回換気量
  4. 予備呼気量

【問題28】 ホルモンと産生部位の組合せで正しいのはどれか。

正解 1

  1. エリスロポエチン ── 腎臓
    • エリスロポエチンは、腎臓で産生されるホルモンで、造血細胞に働いて赤血球の産生を促進する。
  2. アドレナリン ── 副腎皮質
    • アドレナリンは副腎髄質から分泌される。
  3. 成長ホルモン ── 視床下部
    • 成長ホルモンは脳下垂体前葉から分泌される。
  4. レニン ── 膵臓
    • レニンは腎臓の傍糸球体細胞から分泌される。

【問題29】 抗利尿ホルモン(ADH)について正しいのはどれか。

正解 2

  1. 尿細管における水分の再吸収を抑制する。
    • 抗利尿ホルモンは、尿細管における水分の再吸収を促進し、尿量を減少させる。
  2. 血漿浸透圧によって分泌が調節される。
    • 抗利尿ホルモンは、血漿浸透圧によって分泌が調節される。血漿浸透圧の上昇によって抗利尿ホルモンの分泌が促進され、尿細管の水分再吸収が促進し、浸透圧が低下する。
  3. 飲酒によって分泌が増加する。
    • 飲酒によって抗利尿ホルモンの分泌は抑制される。
  4. 下垂体前葉から分泌される。
    • 抗利尿ホルモンは、脳下垂体後葉から分泌される。

【問題30】 Parkinson(パーキンソン)病の症状で正しいのはどれか。

正解 4

  1. 症状は対称性である。
    • パーキンソン病の症状は非対称性である。
  2. 羽ばたき振戦がみられる。
    • 羽ばたき振戦は、肝性脳症などでみられる。
  3. 四肢の筋肉は弛緩する。
    • 筋緊張が亢進した状態である筋強剛(筋固縮)がみられる。
  4. 動作が緩慢である。
    • 動作緩慢は、パーキンソン病の主症状の1つである。

【問題31】 糖尿病神経障害について正しいのはどれか。

正解 4

  1. 神経細胞にアミロイドが沈着する。
    • アルツハイマー病では、βアミロイドが大脳皮質などの神経細胞に沈着してできる老人斑がみられる。
  2. 体幹部から始まることが多い。
    • 四肢末端の知覚鈍麻やしびれが特徴である。
  3. 血流障害は原因とならない。
    • 血流障害も原因となる。
  4. 自律神経に障害を認める。
    • 起立性低血圧や胃無力症、便通異常、膀胱障害、勃起障害などの自律神経障害を来たす。

【問題32】 播種性血管内凝固(DIC)で正しいのはどれか。

正解 2

  1. フィブリノゲン分解産物(FDP)値の減少
  2. 血漿フィブリノゲン濃度の低下
    • 播種性血管内凝固は、悪性腫瘍や急性白血病、敗血症などの基礎疾患によって過剰な血液凝固反応活性化が生じ、全身の細小血管内に血栓が多発し、出血傾向や臓器不全が起きる。血小板や凝固因子の消費や線溶亢進によって、血小板減少、血漿フィブリノゲン濃度低下、プロトロンビン時間延長、フィブリノゲン分解産物値上昇が生じる。
  3. プロトロンビン時間の短縮
  4. 血小板数の増加

【問題33】 花粉症について正しいのはどれか。

正解 3

  1. ブタクサによる症状は春に多い。
    • ブタクサによる症状は秋に多い。春に多いのはスギによるものである。
  2. II型アレルギー性疾患である。
    • 花粉症は、I型アレルギー性疾患である。
  3. ヒスタミンが放出される。
    • IgE抗体を介して肥満細胞からヒスタミンが放出される。
  4. 好塩基球が増加する。
    • アレルギー性疾患では、好酸球の増加がみられる。

【問題34】 前立腺癌について正しいのはどれか。

正解 2

  1. 骨への転移は稀である。
    • 肺癌や乳癌、前立腺癌は骨転移しやすい。
  2. 血清PSA値が上昇する。
    • 腫瘍マーカーとしてPSA(前立腺特異抗原)が用いられ、前立腺癌では値が上昇する。
  3. 内分泌療法は無効である。
    • 内分泌療法は、男性ホルモンの分泌や働きを抑えて、癌細胞の増殖を抑制する、前立腺癌に対する有効な治療法である。
  4. α交感神経遮断薬が有効である。
    • 抗アンドロゲン剤やエストロゲン製剤、LH-RHアナログ製剤などが用いられる。

【問題35】 平成19年度(2007年度)の社会保障給付費の中で年金の占める割合はどれか。

正解 2

  1. 78.2%
  2. 52.8%
    • 平成19年度の社会保障給付費は91兆4,305億円であり、部門別にみると、年金は48兆2,735億円で52.8%、医療が28兆9,462億円で31.7%、福祉その他が14兆2,107億円で15.5%となっている。
  3. 31.7%
  4. 15.9%

【問題36】 介護保険における予防給付の対象はどれか。

正解 2

  1. 要支援1のみ
  2. 要支援1と要支援2のみ
    • 予防給付は、要支援と認定された者(要支援1と要支援2)が対象の介護サービスで、「介護予防サービス」と「地域密着型介護予防サービス」に分類される。
  3. 要支援1、要支援2及び要介護1のみ
  4. 要支援1、要支援2、要介護1及び要介護2

【問題37】 日本国内から排除されておらず、ワクチンの2回接種を推進している感染症はどれか。

正解 1

  1. 麻疹
    • 麻疹風疹混合ワクチン(MRワクチン)による、第1期(生後12〜24か月)、第2期(小学校就学前1年間)の2回接種である。
  2. 破傷風
    • 2012年11月より従来の三種混合ワクチン(ジフテリア・百日咳・破傷風混合ワクチン)に不活化ポリオワクチンを混合した四種混合ワクチンが導入されている。三種混合ワクチンまたは四種混合ワクチンは、初回接種3回(生後3か月から12か月に20日から56日までの間隔を空けて3回)と追加接種1回(初回接種より12か月から18か月後に1回)である。第2期(11歳から13歳)に二種混合ワクチン(DTワクチン)を1回接種する。
  3. ジフテリア
  4. 急性灰白髄炎
    • 2012年9月より、従来の生ポリオワクチン経口投与から、不活化ポリオワクチン(皮下注射)に切り替わっている。不活化ポリオワクチンの標準的接種は、初回接種3回(生後3か月から12か月に20日から56日までの間隔を空けて3回)と追加接種1回(初回接種より12か月から18か月後に1回)である。尚、日本国内では1980年以降、野生株によるポリオ感染は発生していない。

【問題38】 がん対策基本法において「疼痛に関する早期からの緩和ケア」が含まれている基本的施策はどれか。

正解 4

  1. 予防の推進
    • 予防の推進には、「喫煙、食生活、運動その他の生活習慣及び生活環境が健康に及ぼす影響に関する啓発及び知識の普及」が含まれている。
  2. 早期発見の推進
    • 早期発見の推進には、「がん検診の質の向上」「がん検診の受診率の向上」が含まれている。
  3. 研究の推進等
    • 研究の推進等には、「迅速かつ確実な治験」「治療方法の開発に係る臨床研究が円滑に行われる環境の整備」が含まれている。
  4. がん医療の均てん化の促進等
    • がん医療の均てん化の促進等には、「専門的な知識及び技能を有する医師その他の医療従事者の育成」「専門的ながん医療の提供等を行う医療機関の整備」「がん患者の療養生活の質の維持向上(疼痛等の緩和を目的とする医療が早期から適切に行われるようにすること等)」が含まれている。

【問題39】 世界保健機関(WHO)が定義する健康の概念で正しいのはどれか。

正解 1

  1. 万人の有する基本的権利である。
    • WHO憲章には、「健康とは、完全な肉体的、精神的及び社会的福祉の状態であり、単に疾病又は病弱の存在しないことではない。 到達しうる最高基準の健康を享有することは、人種、宗教、政治的信念又は経済的若しくは社会的条件の差別なしに万人の有する基本的権利の一つである」と定義されている。
  2. 健康と不健康とは不連続である。
  3. 身体的健康が最も重要である。
  4. 病気や障害がないことである。

【問題40】 触診が適している観察項目はどれか。

正解 4

  1. 発疹
    • 発疹は、肉眼で観察できるため、視診及び触診を行う。
  2. 側弯
    • 側弯は、視診及び触診で観察したのち、X線検査を行う。
  3. 腸蠕動
    • 腸蠕動は、聴診にて観察する。
  4. 声音振盪
    • 声音振盪は触診で行う。手掌基部を患者の背部にあてた状態で発声してもらい、胸壁面での声音振動の伝導から胸郭内部の異常を調べる。

【問題41】 魚油に多く含まれる脂肪酸はどれか。

正解 4

  1. カプリル酸
    • カプリル酸は、飽和脂肪酸の1つで、ココナッツ油やパーム油に多く含まれる。
  2. オレイン酸
    • オレイン酸は、不飽和脂肪酸の1つで、オリーブ油や菜種油に多く含まれる。
  3. ミリスチン酸
    • ミリスチン酸は、飽和脂肪酸の1つで、ココナッツ油やパーム油に多く含まれる。
  4. ドコサヘキサエン酸
    • ドコサヘキサエン酸は、不飽和脂肪酸の1つで、魚油に多く含まれる。動脈硬化や心筋梗塞、脳梗塞の予防に効果があるとされている。

【問題42】 排尿回数が減少するのはどれか。

正解 3

  1. フロセミドの内服
    • フロセミドはループ利尿薬であり、尿量や排尿回数は増加する。
  2. 寒冷な環境
    • 発汗減少や膀胱への寒冷刺激によって、寒冷な環境では排尿回数は増加する。
  3. 熱中症
    • 熱中症では、体温上昇、発汗によって脱水となり、体液が減少することで尿量は減少する。
  4. 膀胱炎
    • 膀胱炎では、膀胱粘膜の知覚が過敏になり、排尿刺激が起こって頻尿となる。

【問題43】 入浴時に全身の血液循環が促進される理由で正しいのはどれか。

正解 1

  1. 静水圧作用
    • 静水圧作用とは、静止した水中に働く圧力である。入浴時は、静水圧によって静脈還流が増加し、心拍出量が増加する。全身浴と比較して半身浴で循環機能の負担が軽減される。
  2. 抗酸化作用
  3. 鎮静作用
  4. 浮力作用

【問題44】 気管内チューブのカフに注入するのはどれか。

正解 1

  1. 空気
    • カフには空気を注入して膨らませる。カフが損傷した場合、気管内に流れ込み誤嚥の危険があるので、水分は注入しない。
  2. 生理食塩液
  3. 滅菌精製水
  4. 5%ブドウ糖液

【問題45】 胸水貯留時の胸腔ドレナージ法で正しいのはどれか。

正解 2

  1. ドレナージ中は輸液を行わない。
    • ドレナージによる体液や蛋白の喪失を補うために輸液を行う場合がある。
  2. 胸腔ドレーンは水封にして管理する。
    • 胸腔内を陰圧にし、大気が胸腔に流入するのを防ぐため、水封(ウォーターシール)にして管理する。また、水封部分の気泡によって、気胸の有無が確認しやすくなる。
  3. 呼吸困難が消失するまでドレナージをする。
    • 排液量が100ml/日以下、排液の性状が漿液性、エアリーク(水封室の気泡)がないことが、胸腔ドレーン抜去の目安となる。
  4. 歩行時には胸腔ドレーンのクランプは行わない。
    • 陰圧の胸腔内へ空気が入り、肺を圧迫することを防ぐため、エアリークがない限り歩行時はドレーンのクランプを行う。ただし、緊張性気胸を招く恐れがあるため必要がなければクランプしない、という現場も多い。

【問題46】 点滴静脈内注射750ml/5時間の指示があった。20滴で約1mlの輸液セットを使用した場合、1分間の滴下数はどれか。

正解 2

  1. 25
  2. 50
    • 1mlが20滴なので、750mlでは、750ml×20滴=15,000滴である。5時間は300分であるので、1分間の滴下数は、15,000滴÷300分=50滴である。
  3. 75
  4. 100

【問題47】 静脈血採血の部位として選択してよいのはどれか。

正解 1

  1. 左鎖骨下静脈から中心静脈栄養を実施している人の左上肢
    • 輸液刺入部の末梢側での採血なので可能である。ただし、測定結果は少なからず輸液の影響を受けると考えられる。
  2. 右乳房切除術でリンパ節郭清をした人の右上肢
    • リンパ浮腫を招く恐れがあるため、乳房切除側からの採血は避ける。
  3. 左上肢に透析シャントがある人の左上肢
    • シャントの寿命が縮まらないよう、透析患者の採血は非シャント側で行うのが原則である。
  4. 右手背で輸液をしている人の右上肢
    • 輸液刺入部の中枢側での採血は、測定結果への影響が大きくなるため避ける。

【問題48】 上部消化管造影検査を受ける患者への説明で適切なのはどれか。

正解 3

  1. 検査前24時間は絶飲食である。
    • 一般的に検査前日21時以降は絶食とする。
  2. 発泡剤は検査1時間前に内服する。
    • 発泡剤は検査の最初に内服する。
  3. 検査後は緩下薬を服用する。
    • 造影剤として用いられる硫酸バリウムには便秘作用がある。バリウムの排泄を促すため、検査後は緩下薬を服用する。
  4. 検査後の白色便は異常である。
    • 硫酸バリウムの排出によって、検査後は白色便となる。

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