第101回看護師国家試験一般問題・状況設定問題解説(午後問題49〜68)
【問題49】 災害時において最も優先して治療を行うのはどれか。
正解 4
- 胸髄以下の脊髄損傷
- 待機的治療群(黄色)に該当する。
- 四肢の単純骨折
- 待機的治療群(黄色)に該当する。
- 過換気症候群
- 保留群(緑色)に該当する。
- 気道熱傷
- トリアージにおける最優先治療群(赤色)には、気道閉塞、呼吸困難、意識障害、多発外傷、ショック、多量の外出血、内気胸、胸部開放創、腹腔内出血、腹膜炎、広範囲熱傷、気道熱傷、クラッシュシンドローム、多発骨折などが該当する。
【問題50】 在宅療養中の終末期の患者を担当している介護支援専門員に対し、訪問看護師が提供する情報で最も優先度が高いのはどれか。
正解 4
- 経済的問題
- 家族の介護体制
- 今までの治療経過
- 今後予想されるADL低下
- 終末期であり、今後予測されるADLの低下を考慮したケアが必要となる。
【問題51】 意識レベルが低下した片麻痺の患者の口腔ケアを在宅で実施する家族への説明で正しいのはどれか。
正解 2
- 「舌苔には触れないでください」
- 舌苔とは、細菌や唾液成分、食物残渣などが舌の表面に付着したものである。麻痺がある場合は舌の動きが悪く、舌苔が形成されやすい。舌を傷つけないよう優しく除去する。
- 「口腔ケアは肺炎の予防になります」
- 口腔内の細菌が気管から肺に入り込むことで誤嚥性肺炎が起こる。気道感染予防のためにも口腔ケアが大切である。
- 「入れ歯は装着したままでいいですよ」
- 義歯を外して口腔ケアを行い、義歯も洗浄する。
- 「麻痺側を下にした横向きでケアをしましょう」
- 誤嚥を防ぐため麻痺側を上にして口腔ケアを行う。
【問題52】 外来で抗癌化学療法を実施していた胃癌の患者に、皮下埋め込み式ポートによる中心静脈栄養法を開始することになった。患者・家族への指導で正しいのはどれか。
正解 3
- 入浴は禁止する。
- 抜針すれば入浴は可能である。
- 針は2週間留置可能である。
- 輸液ライン交換時や入浴時に合わせて、週に1〜2回は針を交換する。
- 注入時刻は、患者の生活に合わせる。
- 患者の生活リズムに合わせて注入を行う。
- 使用済みの針は缶に入れ、市町村の分別ごみに出す。
- 使用済みの針は容器に入れ、次回来院時に持ってきてもらう。
正解 2
- 酸素流量を15l/分に増やす。
- フェイスマスクによる酸素吸入では、5〜10l/分が適正な酸素流量である。
- モルヒネ塩酸塩の増量を検討する。
- モルヒネやステロイドによって可能な限り呼吸困難の緩和を図る。
- 呼吸は数日で楽になると説明する。
- 終末期の癌性リンパ管症は、症状が急速に進み、呼吸困難の改善は見込めない。
- ネブライザーによる吸入で気道を加湿する。
- 終末期の癌性リンパ管症であり、ネブライザーによる吸入では、症状の緩和は期待できない。
正解 4
- 腹臥位で行う。
- 胸腔穿刺は、座位で穿刺側上肢を頭上にあげて上体を前傾させ、肋間を広げて行う。
- 全身麻酔下で行う。
- 胸腔穿刺は、局所麻酔で行う。
- 穿刺後の24時間は床上安静とする。
- 胸腔穿刺では、穿刺後の1〜2時間は床上安静とする。
- 穿刺中は深呼吸をしないように指示する。
- 穿刺針で肺を傷つけぬよう、穿刺中は深呼吸や咳をしないように患者に協力を求める。
【問題55】 総胆管結石による閉塞性黄疸と胆管炎とを発症した患者に、内視鏡的経鼻胆道ドレナージ術を行った。ドレナージ術は問題なく終了し、術後24時間の経過は良好である。正しいのはどれか。
正解 2
- 抗菌薬の投与は必要ない。
- 一時的なドレナージであり、抗菌薬の投与は必要である。
- 血清ビリルビン値が低下する。
- 内視鏡的経鼻胆道ドレナージ術は、総胆管結石による閉塞性黄疸や胆管炎の治療として行われる。ドレナージによって、胆汁が排泄されるので血清ビリルビン値は低下する。
- 尿の色が黄色から褐色に変化する。
- 血清ビリルビン値の低下によって、尿の色は褐色から黄色に変化する。
- ドレナージチューブをクランプする。
- ドレナージチューブはクランプしない。
正解 2
- 有病率に男女差はない
- 関節リウマチは、30〜50歳代の女性に好発する。
- 介護保険法で定める特定疾病に含まれる。
- 関節リウマチは、特定疾病に含まれる。
- 疾患の活動性は罹病期間が長いほど高い。
- 関節リウマチの進行経過には個人差がある。単周期型(発症後数週間〜数年間の活動期の後に軽快し、寛解後ほとんど再発がみられない)、多周期寛解型(寛解と憎悪を繰り返し、症状に波はあるが徐々に安定する)、多周期憎悪型(寛解と憎悪を繰り返し、長時間かけて徐々に進行していく)、進行型(発症後、急速に炎症が進行していく)に分類される。
- リウマトイド因子は関節リウマチに特異的である。
- リウマトイド因子は、自己抗体の一つで、関節リウマチ患者の約8割に認められる。ただし、全身性エリテマトーデスや強皮症、慢性肝疾患、慢性感染症などでも認められるため、疾患特異性は低い。
正解 3
- 耳下腺炎
- 気管狭窄症
- 咽頭扁桃肥大
- 上気道の閉塞によって起こる閉塞性睡眠時無呼吸症候群の主な原因は、アデノイド、咽頭扁桃肥大、肥満である。また、小顎症や巨舌症も原因となる。
- ポリープ様声帯
【問題58】 交通事故で腰椎骨折し、第1腰髄節レベルで脊髄を損傷した。受傷当日にみられる症状で可能性が高いのはどれか。
正解 1
- 尿閉
- 排尿反射中枢が脊髄末端の仙髄にあるため、脊髄損傷では排尿障害を伴う。受傷後急性期には膀胱は弛緩し、尿閉となる。
- 血圧上昇
- 脊髄損傷では、麻痺によって自律神経機能が障害され、血管が拡張して血圧低下が起こりやすい。
- 頭蓋内圧亢進
- 頭蓋内圧亢進は頭部外傷などが原因で起こる。
- 麻痺性呼吸障害
- 上位頸髄損傷では麻痺性呼吸障害が起こる。
【問題59】 人工股関節全置換術を受けた患者で麻痺をきたす危険性が高いのはどれか。
正解 2
- 脛骨神経
- 腓骨神経
- 人工股関節置換術後は、下肢の外旋位によって腓骨頭部が圧迫されると、腓骨神経麻痺が起こる危険性がある。また、脱臼防止のため、下肢の屈曲・内転・内旋を避ける。
- 大腿神経
- 坐骨神経
正解 1
- 卵管の疎通性障害 ── 骨盤腹膜炎
- クラミジア感染症などによって骨盤腹膜炎を起こすと、卵管の閉塞や狭窄によって卵管の疎通性が失われる。
- 子宮形態異常 ── 子宮内膜症
- 子宮形態異常は、子宮の形の先天的異常である。中隔子宮、重複子宮、双角子宮、単角子宮などがあり、不妊症や流産の原因となる。
- 造精能の障害 ── 勃起不全
- 造精能の障害は、精子の産生能に障害がある状態をいう。造精能障害の原因には、停留精巣、クラインフェルター症候群、精巣癌、精索静脈瘤、下垂体疾患、甲状腺疾患、化学療法などがある。
- 受精障害 ── エストロゲン分泌不良
- 受精障害の原因は、精子、卵子それぞれに存在するが、エストロゲン分泌不良とは関係ない。
【問題61】 介護保険制度の開始後、認定者数の増加が最も著しいのはどれか。
正解 1
- 要支援(2006年度からは要支援1と要支援2)
- 2000年4月の介護保険制度開始以降、要支援(要支援1・要支援2)の認定者数の増加が著しい。
- 要介護2
- 要介護4
- 要介護5
【問題62】 加齢によるホルモンの基礎分泌量の変化で正しいのはどれか。
正解 2
- メラトニンは増加する。
- メラトニンの分泌量は加齢と共に減少し、睡眠障害が起こりやすくなる。
- コルチゾルは変化しない。
- コルチゾルの分泌量は加齢に伴って変化しない。
- 成長ホルモンは変化しない。
- 成長ホルモンの分泌量は加齢と共に減少する。
- 副甲状腺ホルモンは減少する。
- 副甲状腺ホルモン(パラソルモン)は、ビタミンDやカルシトニンと共に、カルシウムの代謝を調節している。加齢に伴ってパラソルモンの分泌量は増加し、カルシトニンの分泌量は減少する。
正解 4
- ADLへの影響は少ない。
- ADLへの影響が大きい。
- 症状の出現は定型的である。
- 症状の出現は非定型的である。
- 環境からの影響を受けにくい。
- 環境の変化に適応する能力が低下しているため、環境の影響を受けやすい。
- 複数の臓器に障害が生じやすい。
- 加齢に伴い多くの臓器の機能が低下しているため、複数の臓器に障害が生じやすい。
正解 1
- 運動強度の軽減
- 疲労感を訴えており、運動強度の軽減を検討することが最も適切である。
- 家事動作練習の追加
- 翌日の理学療法の中止
- 病棟での歩行回数の増加
【問題65】 Mini-Mental State Examination(MMSE)の説明で正しいのはどれか。
正解 3
- 情緒状態を調べる。
- 記憶力、計算力、言語力、見当識などを評価する。
- 確定診断に用いられる。
- 簡便な検査であり、確定診断に用いられるものではない。
- 得点が低いほど機能が低い。
- 得点が低いほど認知機能障害がある可能性が高くなる。
- 被検者の日常の行動を評価する。
- 日常の行動を評価するものではない。
【問題66】 高齢者に多くみられる疾患とその症状および所見の組合せで正しいのはどれか。
正解 4
- 頸椎症 ── 頸部腫脹
- 頸椎症は、加齢や外傷が原因で起こり、首の痛みや肩こり、上肢の痛みや痺れなどがみられる。症状が進行し、脊髄が圧迫されると歩行障害などの下肢の症状が現れる。
- 白内障 ── 視野欠損
- 白内障では、水晶体の白濁によって、かすみ目、まぶしい、視力低下などの視力障害が起こる。視野欠損は、緑内障や網膜剥離で起こる。
- 萎縮性腟炎 ── 子宮脱出
- 萎縮性腟炎(老人性腟炎)は、閉経後のエストロゲン減少による腟の自浄作用低下によって起こる。黄色や褐色、出血性の帯下、腟粘膜の点状出血、性交痛などの症状がみられる。
- 胃食道逆流症 ── 胸やけ
- 胃食道逆流症は、下部食道括約筋の機能低下等によって、胃酸などの胃内容物が食道へ逆流することによって起こる。胸やけや胸痛などの症状がみられる。
【問題67】 介護保険におけるサービスの説明で正しいのはどれか。
正解 3
- 通所介護では機能訓練を行うことができない。
- 通所介護(デイサービス)におけるサービス内容は、入浴・排泄・食事などの介護、生活などについての相談・助言、健康状態の確認、その他必要な日常生活上の世話や機能訓練である。
- 通所介護を行う事業所には医師の配置が必須である。
- 通所介護事業所では、生活相談員、看護職員、介護職員、機能訓練指導員、常勤管理者についての人員基準が定められている。
- 通所リハビリテーションでは個別の理学療法が提供される。
- 通所リハビリテーション(デイケア)では、介護老人保健施設や病院、診療所等の医療施設に通所し、医師の指示に基づいて、理学療法や作業療法等のリハビリテーションを受けることができる。通所リハビリテーションでは、個別のリハビリテーションが提供される。
- 通所リハビリテーションの利用に介護保険は適用されない。
- 通所リハビリテーションは、介護保険の適用事業である。
【問題68】 子どもの成長・発達における臨界期について正しいのはどれか。
正解 1
- 諸機能の獲得・成熟を決定づける時期
- 臨界期とは、ある行動の発達を促し誘発する要因に対して、最も高い感受性を示す時期である。能力や行動を獲得・習得するのに最も適し、成長と発達に決定的に重要な時期である。
- 遺伝的因子による影響が発現しやすい時期
- 成長・発達のスピードが緩やかになる時期
- 発達検査において通過率が90%となる時期