第101回看護師国家試験一般問題・状況設定問題解説(午後問題69〜90)
【問題69】 2歳6か月の幼児で正常な発達と判断されるのはどれか。
正解 3
- 前後上下の空間認識ができる。
- 前後上下の空間認識ができるようになるのは、4歳前後からである。
- 手掌全体で2cm角の積み木をつかむ。
- 生後5〜6か月から手掌で物をつかむようになる。
- 2〜3か月前から二語文を話している。
- 2歳頃から二語文を話すようになる。
- 半年前から手を引かなくても歩けるようになった。
- 通常、1歳〜1歳半で一人歩きができるようになる。
正解 1
- 「今は心配ないのでもう少し様子をみましょう」
- 4歳児で夜尿があることは珍しいことではない。通常、夜尿は自然と消失していくものであり、しばらく様子をみることが適切である。母親を不安にさせる対応はしないよう心がける。
- 「夜中に1度起こしておしっこを促してください」
- 「2時間おきにトイレに行く習慣をつけましょう」
- 「小児専門の泌尿器科を受診した方がよいでしょう」
【問題71】 乳児が成人に比べ脱水になりやすい理由で正しいのはどれか。
正解 1
- 尿細管での水の再吸収能力が低い。
- 乳児の腎機能は未熟で、腎臓の尿濃縮力は成人の約1/2であり、尿細管での水の再吸収能力は低いため脱水に陥りやすい。
- 体重当たりの基礎代謝量が少ない。
- 体重当たりの基礎代謝量は成人に比べて多い。
- 体重に占める体水分量の割合が低い。
- 体重に占める体水分量の割合は成人に比べて高い。
- 体液における細胞内液の割合が高い。
- 体液における細胞外液の割合が成人に比べて高い。
正解 3
- 子宮内膜は排卵後に増殖期となる。
- エストロゲンの作用で子宮内膜が増殖し、厚くなる期間を増殖期という。月経後から排卵前までである。
- 黄体期の基礎体温は低温期となる。
- 排卵後に分泌量が急増するプロゲステロンの影響によって、黄体期の基礎体温は高温期となる。
- エストロゲンは卵巣から分泌される。
- エストロゲンは卵巣から分泌されるホルモンである。
- 排卵された卵子の受精能は約72時間である。
- 排卵された卵子の受精能は約24時間である。
【問題73】 妊娠38週の妊婦。胎位は第2頭位である。胎児心音の聴取部位を図に示す。最も適切な聴取部位はどれか。
正解 4
- 第2骨盤位での聴取部位である。
- 第1骨盤位での聴取部位である。
- 第1頭位では母体の左側に児背があるため、左臍棘線中央で胎児心音を聴取する。
- 第2頭位では母体の右側に児背があるため、右臍棘線中央で胎児心音を聴取する。
正解 4
- 分娩開始以前に卵膜が破綻したもの。
- 分娩開始前に卵膜の破綻をきたしたものを前期破水という。
- 分娩開始直後に破水するもの。
- 分娩開始後で子宮口全開大前に起こる破水を早期破水という。
- 子宮口5cm開大のころに破水するもの。
- 子宮口5cm開大での破水は、早期破水である。
- 子宮口全開大のころに破水するもの。
- 子宮口全開大のころに破水するものを適時破水という。
正解 3
- 衣類を着せて保温する。
- 保育器内では、全身の観察がしやすいように裸(オムツだけ)にする。
- 面会時に母親に抱っこを促す。
- 低出生体重児のため保育器に収容されており、出生後24時間で抱っこをするのは難しい。
- 心拍・呼吸を持続モニタリングする。
- 早期産低出生体重児では、肺の未熟性に基づく肺サーファクタントの欠乏によって、呼吸窮迫症候群が起こる可能性がある。心拍・呼吸の持続モニタリングが必要である。
- 出生6時間後から経口栄養を開始する。
- 早期産低出生体重児では、吸啜・嚥下機能が未熟なため、胃チューブを介しての経管栄養を行うのが一般的である。
【問題76】 精神障害者の施設症の予防策として、最も適切なのはどれか。
正解 4
- 隔離室の使用を避ける。
- 病棟の規則を厳密に決める。
- 病棟行事はスタッフが企画する。
- 地域住民との交流の機会を増やす。
- 精神科における施設症(ホスピタリズム)とは、長期の入院によって、生活能力の低下、無気力状態、社会復帰意欲の喪失に陥ることをいう。病棟行事や地域住民との交流は予防策として適切である。病棟行事には企画の段階から患者に参加してもらうとよい。
正解 3
- パニック障害
- パニック障害は、呼吸困難、めまい、心悸亢進、冷汗、四肢の痺れなどの症状と共に、激しい不安が発作的に起こる精神疾患である。
- 急性ストレス障害
- 急性ストレス障害は、心的外傷を体験した後に起こる一過性のストレス障害で、症状は1か月未満で消失する。
- 外傷後ストレス障害(PTSD)
- 外傷後ストレス障害(PTSD)は、心的外傷がストレス源となり、心身に支障を来たすストレス障害である。原因となった出来事の再体験(フラッシュバックや悪夢)、類似した出来事に対する回避、感情麻痺、過覚醒などの症状が1か月以上持続する。
- 境界性人格(パーソナリティ)障害
- 境界性パーソナリティ障害は、主に思春期から成人期に発症する人格障害である。対人関係や感情・思考のコントロールが不安定になり、自傷行為や自殺企図などの衝動的な自己破壊行為を繰り返す。
【問題78】 精神科病棟に入院しているAさんの服薬管理は、看護師が行っている。入院中の服薬を自己管理に移行できるかを判断する際に、看護師が情報収集する項目として優先度が高いのはどれか。
正解 4
- 入院形態
- 入院期間
- 退院後の同居者の有無
- 副作用の生活への影響
- 副作用が大きいと、自己判断で服薬を中断してしまう可能性がある。副作用の影響について情報収集すると共に、薬物治療についての正しい知識を患者に提供することも必要である。
正解 4
- 顆粒球
- T細胞
- NK細胞
- 形質細胞
- 抗体刺激を受けると、B細胞は分化して形質細胞となり、抗体を産生する。
- マクロファージ
【問題80】 血栓が存在することによって脳塞栓症を引き起こす可能性があるのはどれか。
正解 2
- 右心室
- 肺動脈へと血液が流入するため、右心室の血栓は肺塞栓症を引き起こす可能性がある。
- 左心房
- 左心房内の血栓が左心室から大動脈を経由して脳動脈内へ流入し、脳血管を閉塞して、脳塞栓症を引き起こす可能性がある。
- 腎動脈
- 腎動脈の狭窄・閉塞によって腎不全を引き起こす可能性がある。
- 上大静脈
- 深部静脈血栓症を引き起こす可能性がある。右心房から右心室を経て肺動脈を閉塞すると、肺塞栓症となる。また、上大静脈の狭窄・閉塞によって、上大静脈症候群を引き起こす可能性がある。
- 大腿静脈
- 深部静脈血栓症を引き起こす可能性がある。右心房から右心室を経て肺動脈を閉塞すると、肺塞栓症となる。
正解 4
- 飢餓
- 飢餓状態や糖尿病では、脂肪酸代謝が亢進し、ケトン体が過剰に合成され、酸性物質であるケトン体の蓄積によって血液が酸性に傾き、代謝性アシドーシス(ケトアシドーシス)をきたす。
- 過換気
- 過換気では、二酸化炭素の過剰な排泄によって、呼吸性アルカローシスをきたす。
- 敗血症
- 敗血症では、代謝性アシドーシスと呼吸性アルカローシスの混合性酸塩基平衡異常をきたす。
- CO2ナルコーシス
- CO2ナルコーシスでは、PaCO2の過度な上昇によって呼吸中枢が抑制され、呼吸性アシドーシスをきたす。
- 乳酸アシドーシス
- 乳酸の過剰産生、代謝低下によって血液が酸性に傾き、乳酸アシドーシスをきたす。乳酸アシドーシスは代謝性アシドーシスである。
正解 5
- 高蛋白食が必要である。
- 食事は低蛋白・高カロリー食とする。
- 高カルシウム血症となる。
- ビタミンDの活性化障害によって、腸からのカルシウム吸収が不足し、低カルシウム血症となる。
- 最も多い原因は腎硬化症である。
- 原因疾患としては、糖尿病性腎症、慢性糸球体腎炎が多い。
- 糸球体濾過値(GFR)は正常である。
- 腎機能低下によって、糸球体濾過値(GFR)は低下する。
- 代謝性アシドーシスを起こしやすい。
- 尿細管機能低下によって、重炭酸イオンの再吸収障害、水素イオンの排泄障害が起こる。重炭酸イオンの減少、水素イオンの増加によって、血液が酸性に傾き、代謝性アシドーシスを起こしやすい。
【問題83】 人工乳と比べた母乳栄養の利点で誤っているのはどれか。
正解 4
- 消化吸収しやすい。
- 母乳は適温で与えられ、ほぼ100%消化吸収される。
- 感染防御作用がある。
- 母乳には分泌型IgAが多く含まれており、感染防御作用がある。
- 母子相互作用を高める。
- 母乳栄養では、スキンシップにより母子相互作用が高まり、母子の愛着形成に有効である。
- ビタミンK含有量が多い。
- 母乳はビタミンK含有量が少ないため、母乳栄養児では、ビタミンK欠乏による出血傾向がみられることがある。
- アレルギーを生じる可能性が低い。
- 母乳栄養では、アレルギーを起こしにくい。
正解 3
- 鉄の付加量は授乳期よりも少ない。
- 日本人の食事摂取基準(2010年版)によると、鉄の付加量は授乳期が2.5mg/日であるのに対し、妊娠初期2.5mg/日、妊娠中期・末期15.0mg/日である。鉄の付加量は授乳期よりも妊娠中の方が多い。
- 塩分摂取量は10g/日を目標とする。
- 日本人の食事摂取基準(2010年版)によると、成人女性の塩分摂取目標量は7.5g/日未満である。
- 葉酸は妊娠初期の摂取が重要である。
- 神経管閉鎖障害のリスク低減のために、特に妊娠前〜妊娠初期での葉酸摂取が推奨されている。
- エネルギーは妊娠中期の付加量が最も多い。
- 日本人の食事摂取基準(2010年版)によると、エネルギーの付加量は、妊娠初期50kcal/日、妊娠中期250kcal/日、妊娠末期450kcal/日である。
- カルシウムは20歳代女性の平均摂取量の約3倍の摂取が望ましい。
- カルシウムは成人女性の平均摂取量の約1.5倍の摂取が望ましい。
【問題85】 閉じた質問(closed question)はどれか。2つ選べ。
正解 2,3
- 「乳癌と告げられたとき、どのように思いましたか」
- 「ご家族に高血圧症の方はいらっしゃいますか」
- 「はい」「いいえ」で返答できる質問は、閉じた質問である。
- 「何時に食事を摂りましたか」
- 「〜時」のように、答えが限定される質問は、閉じた質問である。
- 「どのようにつらいのですか」
- 「退院後は何をしたいですか」
【問題86】 在宅療養者に初回訪問を行う際の訪問看護師の対応で適切なのはどれか。2つ選べ。
正解 1,2
- 療養者と契約書を取り交わす。
- 初回訪問時に重要事項を説明すると共に契約書を取り交わす。
- 緊急時の連絡方法を確認する。
- 初回訪問時に緊急時の連絡方法について確認しておく。
- 初回訪問前の情報収集は行わない。
- 初回訪問時により細かなアセスメントが行えるよう、事前に主治医やケアマネジャーから情報収集を行う。
- 病院で指導された介護方法は変更しない。
- 介護方法は本人や家族の意思を尊重する。
- 初回訪問日は療養者に医療的な問題が起きてから決める。
- 本人や家族と相談の上、病状に応じて初回訪問日を決定する。
【問題87】 終末期の癌患者の在宅ケアで正しいのはどれか。2つ選べ。
正解 1,3
- 家族の悲嘆のケアも含まれる。
- 家族の悲嘆のケアも在宅ケアに含まれる。
- 訪問看護は介護保険の適用である。
- 末期癌や厚生労働大臣が定める疾病の訪問看護は医療保険の適用である。
- 夜間・休日を含めた連絡体制を整える。
- 夜間・休日も含め、24時間対応の緊急連絡体制を整える。
- ADLが自立している患者は対象とならない。
- ADLの自立にかかわらず行われる。
- 主治医は在宅療養支援診療所の医師に限られる。
- 主治医は在宅療養支援診療所の医師に限らない。在宅医であればよい。
【問題88】 入院中の患者がベッド上で心肺停止状態となっていた。発見した看護師が1人の場合、対応で適切なのはどれか。2つ選べ。
正解 4,5
- 家族に連絡する。
- 医師を呼びに行く。
- AEDを取りに行く。
- 胸骨圧迫を開始する。
- 速やかに救命処置を行う必要があり、胸骨圧迫を開始する。
- ナースコールでスタッフを呼ぶ。
- 心肺停止状態であり、ナースコールでスタッフを呼んでマンパワーを確保する必要がある。
正解 1,4
- 妄想
- 妄想は思考の障害であり、根拠のないありえないことに対して確信を持ち、訂正不能であることをいう。
- 幻聴
- 幻聴は知覚の障害であり、実在しない音や声が聞こえることである。
- 昏迷
- 昏迷は意欲・行動の障害であり、意識は保たれているが、発語や自発行動がなくなり、周囲からの刺激にも反応しない無動状態になることである。
- 連合弛緩
- 連合弛緩は思考の障害であり、連想に緩みが生じて話にまとまりがなくなることである。
- 抑うつ気分
- 抑うつ気分は気分障害であり、気分が落ち込み、何をしても気が晴れず、虚しさや悲しさを感じる状態である。
【問題90】 精神障害者保健福祉手帳について正しいのはどれか。2つ選べ。
正解 2,3
- 交付を受けた者の写真は添付しない。
- 2006年の改訂以降は、本人の顔写真が添付されるようになった。
- 交付を受けた者は、住民税の控除が受けられる。
- 所得税や住民税の控除など、税制上の優遇措置が受けられる。
- 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律で規定されている。
- 「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律」の第45条および第45条の2によって規定されている。
- 交付を受けた者の公共交通機関運賃の割引は、全国一律で適用される。
- 自治体ごとで異なり、全国一律ではない。
- 交付を受けた者は、精神障害の状態についての認定を毎年受ける必要がある。
- 2年ごとに精神障害の状態について都道府県知事の認定を受ける必要がある。