第99回看護師国家試験一般問題・状況設定問題解説(午後問題49〜68)
【問題49】 呼吸停止した60歳代の男性に気管挿管を行うこととなった。挿管時の介助方法で正しいのはどれか。
正解 1
- 挿管前に義歯がないことを確認する。
- 義歯が損傷したり、外れたりして気道をふさがないように、義歯の有無を確認し、義歯がある場合は外す。
- スタイレットは気管チューブの先端から1cm長めにする。
- 気管粘膜を損傷させないように、スタイレットはチューブ先端から出ないようにする。
- 気管チューブのカフには精製水を注入する。
- カフには空気を注入する。カフが損傷した場合、気管内に流れ込み誤嚥の危険があるので、水分は注入しない。
- 気管チューブの挿入位置は胃泡音で確認する。
- 経鼻チューブが胃内に入っているかを確認する場合に胃泡音を確認する。
【問題50】 手術体位の図を示す。麻痺が最も起こりやすいのはどれか。
正解 1
- 上腕神経叢
- 上腕90度以上の外転や、上肢の過伸展、側臥位での上腕骨頭への圧迫の際は、上腕神経叢麻痺が起こりやすい。
- 肋間神経
- 側臥位では、肋間神経を圧迫することはないので、麻痺の可能性は低い。
- 坐骨神経
- 砕石位など、股関節の過度の屈曲・伸展・外転・外旋によって坐骨神経麻痺が起こる場合がある。
- 三叉神経
- 三叉神経麻痺は、外傷や手術によって三叉神経が損傷あるいは切断された場合などにみられる。
【問題51】 58歳の男性。下腹部痛と下血とで来院した。Hb 4.8g/dlで緊急入院し輸血を行うこととなった。輸血時の看護で正しいのはどれか。
正解 2
- 小児用点滴セットを用いる。
- 輸血セットを用いる。
- 交差試験の結果は医師や看護師が複数で確認する。
- 交差試験の結果は、必ず複数の医師や看護師で確認する。
- アレルギー反応を観察するために開始後3分間は側にいる。
- 多くの副作用は最初の15分間に起こる。輸血開始後5分間は患者の側を離れず、溶血反応の有無を観察する。開始後15分程度経過した時点で再度様子を確認し、アレルギー反応の有無を観察する。
- 輸血後3日以内は輸血後移植片対宿主病発症に注意する。
- 輸血後移植片対宿主病とは、輸血血液中に含まれる血液提供者のリンパ球が増殖し、受血者の全身組織を攻撃・破壊する疾患である。輸血の約1〜2週間後に、発熱、発疹、肝機能障害、下痢、血小板減少、貧血、顆粒球減少と、それに伴う重症な日和見感染症などが起こる。
正解 1
- 検査の4時間前まで飲水は可能である。
- 検査前は絶飲水となる。絶飲水の開始時間は施設によって異なり、検査3〜5時間前である。検査後2時間が経過したら、少量の水を飲んでむせがないことを確認する。
- 咽喉頭麻酔は上部消化管内視鏡と同様に行う。
- 咽喉頭麻酔は、霧状の局所麻酔薬を噴射して行う。
- 前投薬として鎮咳薬を投与する。
- 前投薬は、分泌物や迷走神経の緊張を抑えるため、アトロピンの使用が一般的である。
- 検査中に問題がなければ合併症の発症はない。
- 肺・気管支からの出血や気胸、発熱などの可能性はある。
【問題53】 初めてニトログリセリンを処方された患者への指導で適切なのはどれか。
正解 3
- 「便秘しやすくなります」
- ニトログリセリンの副作用に便秘はない。
- 「納豆は食べないでください」
- 納豆の摂取を禁止するのは、ワルファリンを処方する場合である。
- 「血圧が低下することがあります」
- ニトログリセリンは、血管を拡張させるので、血圧低下が起こることがある。
- 「薬は食前に水で服用してください」
- ニトログリセリンは発作が起きた場合に、舌下投与する。舌下投与により、速やかな吸収と薬効発現を期待できる。
【問題54】 2型糖尿病の患者に食事療法について指導した。2か月後の外来受診日に食事療法の長期的な評価指標として最も適しているのはどれか。
正解 3
- 尿糖
- 長期的な評価指標としては適さない。
- 体重
- 血糖コントロールの評価にはならない。
- HbA1c
- HbA1cは、赤血球中のヘモグロビンとブドウ糖が結合し、糖化したものである。HbA1c値は、過去1、2ヵ月の平均血糖値をあらわす指標であり、、長期的な血糖コントロール指標として重要である。
- 空腹時血糖
- 長期的な評価指標としては適さない。
【問題55】 関節リウマチ患者への生活指導で適切なのはどれか。
正解 4
- 押す動作よりも引く動作で仕事をする。
- 押す動作よりも引く動作のほうが関節に負担がかかる。
- 痛むときは冷罨法を行う。
- 温罨法と冷罨法を使い分けるのがよい。
- 和式トイレを使用する。
- 和式トイレは関節に負担がかかるので、洋式トイレを使用する。
- かばんは肩にかける。
- 関節に負担をかけないように、かばんは肩にかける。
【問題56】 50歳の男性。出張の多い会社員。右真珠腫性中耳炎で鼓室形成術を受けた。術後経過は順調で耳痛はない。退院に向けた生活指導で適切なのはどれか。
正解 1
- 洗髪時は耳栓を使用する。
- 耳の中に水が入らないように、耳栓や青梅綿を使用する。
- 飛行機の利用は問題ない。
- 鼓膜に負担がかかるので、気圧の変化を避けるようにする。飛行機や高層エレベーターの使用、登山などは控える。
- 耳垢はこまめに除去する。
- 耳垢の除去は自分で行わないようにする。
- 食事は流動食にする。
- 流動食にする必要はない。
【問題57】 成人男性の直腸診で腹側に鶏卵大の臓器を触れた。この臓器はどれか。
正解 4
- 副腎
- 副腎は左右の腎臓の上部にあり、直腸診で触れることはない。
- 膀胱
- 成人の膀胱の容量は、平均400〜500mlであり、鶏卵大以上の大きさである。
- 精巣
- 精巣は陰嚢内にあり、直腸診で触れることはない。
- 前立腺
- 前立腺は直腸診で触れる。通常の前立腺の大きさはクルミ大くらいであり、鶏卵大以上の場合、前立腺肥大症が考えられる。
正解 2
- 勤勉性の欠如
- 生きがいの喪失
- 夫との死別やゲートボールに参加できなくなったことにより、他社との関係が希薄になり、生きる意味を見出せなくなっている。
- 認知機能の障害
- 流動性知能の低下
正解 1
- 午前中に太陽の光を浴びる。
- 太陽光を浴びることによって、睡眠を促すホルモンであるメラトニンの分泌が抑制され、脳の覚醒を促すホルモンであるセロトニンの分泌が活発になる。メラトニンは、太陽光を浴びて約14〜16時間後に分泌が開始されるので、午前中に太陽光を浴びることが安眠につながる。
- 熟眠感を得るため飲酒をする。
- 寝酒は、眠りを浅くする場合がある。
- 就寝直前に熱めのお湯で入浴する。
- 熱めのお湯で入浴すると交感神経が刺激され、余計に眠れなくなる。
- 朝、起床が困難な場合そのまま寝ていてよい。
- 生活リズムが狂い、夜に眠れなくなってしまう。
正解 4
- 認知機能への影響はない。
- 認知機能に影響し、認知症と間違われることがある。
- 不安を訴えることはまれである。
- 不安を訴えることが多くなる。
- 悲哀感を強く訴えることが多い。
- 悲哀感は少なく、不安や焦燥感を訴えることが多い。
- 身体の不調を強く訴えることが多い。
- めまいやしびれ、動悸、食欲低下、不眠などの身体症状が強く出る。
【問題61】 介護保険制度によって指定されるグループホームについて正しいのはどれか。
正解 3
- 施設サービスの1つである。
- 地域密着型サービスの1つである。
- 入所人数の制限はない。
- 1ユニット9名以下である。
- 訪問看護を利用できる。
- 急性増悪等の理由により、主治医から特別訪問看護指示書の交付を受けた場合、訪問看護ステーションの訪問看護を利用することができる。
- 夜間は職員が不在となる。
- グループホームは24時間体制であり、夜間においても介護従業者が1人以上確保されている必要がある。
正解 1
- 「あなた自身はどのようにお考えですか」
- 意思を表に出してもらい、本人がどのように考えているかを理解することが、その後の支援につながる。
- 「ご心配と思いますが、なんとかなりますよ」
- 「在宅介護の方法はどのくらいご存知ですか」
- 「介護サービス事業所の電話番号を教えましょうか」
【問題63】 成熟児で体重が出生時の約2倍になるのはどれか。
正解 2
- 生後1〜2か月
- 生後3〜4か月
- 出生後の体重は、生理的体重減少を経て、最初の2〜3か月間は1日に25〜30gずつ増加し、生後3〜4か月で出生時の約2倍になる。また、生後1年で、生下時体重の約3倍になるといわれる。
- 生後6〜7か月
- 生後9〜10か月
【問題64】 エリクソンの発達課題における思春期の特徴はどれか。
正解 4
- 「勤勉性」対「劣等感」
- 学童期の特徴である。子どもは勤勉性の意識と好奇心を発達させ、学ぶことに熱心になる。でなければ、劣等感を持ち、自分の前にある課題に興味を示さなくなる。
- 「自律性」対「恥・疑惑」
- 幼児期前期の特徴である。子どもは、自分の意思の行使、選択の仕方、自己の制御法を学習するか、自分で何ができるかについて不安・疑問を持つようになる。
- 「基本的信頼感」対「不信感」
- 乳児期の特徴である。乳児は、自分の欲求が外界、特に母親によって満たされるか、または満たされないかで、基本的信頼・不信を学ぶ。
- 「自我同一性の確立」対「自我同一性の拡散」
- 思春期の特徴である。自分の中に一定の思想を持った独自的で統一の取れた人間の姿を求める。そうでなければ、自分の生活に何を求めるかの点で混乱した状態に陥る。
正解 2
水痘は、学校保健安全法による第2類学校感染症に分類されており、罹患年齢の多くは9歳以下である。
- 新たな水疱が生じなくなるまで
- 発疹が痂皮になるまで
- 感染から2週間(10〜21日)程度の潜伏期間を経て、発疹が現われる。発疹は、全身に現われ、かゆみを伴い、紅斑、丘疹を経て水疱となり、さらに痂皮となる。急性期には、紅斑、丘疹、水疱、痂皮などが混在するのが特徴である。すべての発疹が痂皮になるまで感染する可能性があるので、集団生活を休ませる必要がある。
- 咳嗽が消失するまで
- 解熱するまで
正解 1
- フェニルケトン尿症は遺伝病である。
- フェニルケトン尿症は常染色体性劣性遺伝病である。
- 口唇口蓋裂は単一遺伝疾患である。
- 口唇口蓋裂は多因子遺伝性疾患である。
- 近親婚はターナー症候群の発生頻度を高くする。
- 近親婚は、常染色体劣性遺伝疾患の発生頻度を増加させる。
- ダウン症候群は13番染色体のトリソミーである。
- ダウン症候群は21番染色体のトリソミーである。
正解 3
- 徐脈
- 頻脈になりやすい。
- 貧血
- リトドリンの副作用に貧血はない。
- 便秘
- 低カリウム血症に伴い、便秘が起こりやすい。
- 浮腫
- 浮腫にはならないが、肺水腫が起こる場合がある。
【問題68】 在胎33週4日で出生した低出生体重児。正期産の成熟児との比較で誤っているのはどれか。
正解 4
- 吐乳しやすい。
- 低出生体重児は吐乳しやすい。
- 皮下脂肪が少ない。
- 低出生体重児は一般的に皮下脂肪が少ない。
- 多呼吸を起こしやすい。
- 呼吸窮迫症候群を発症することが多い。多呼吸や陥没呼吸、チアノーゼなどが起こる。
- 体重あたりの体表面積が小さい。
- 体重が少ないほど、体重あたりの体表面積は大きい。それによって、身体からの熱喪失が速い傾向がある。