第99回看護師国家試験一般問題・状況設定問題解説(午後問題69〜90)
正解 3
- 作業療法
- 作業療法には、対人関係能力改善の効果もあるが、選択肢中最も適切であるとはいえない。
- 家族療法
- 設問に家族に関する情報はなく、判断できない。
- 認知行動療法
- 認知行動療法は、うつ病や社会不安障害、対人恐怖症など効果的であり、最も適している。
- 集団精神療法
- 対人恐怖症で人との会話ができない状態なので、現時点で集団療法は適切でない。
【問題70】 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律が規定する行動制限で、看護師の判断で行うことができるのはどれか。
正解 4
- 隔離の実施
- 隔離の実施は、精神保健指定医が必要と認める場合でなければ行うことができない。
- 手紙発信の制限
- 信書(手紙)の発受や都道府県その他の行政機関の職員との面会については、制限することができない。
- 身体的拘束の実施
- 身体的拘束の実施は、精神保健指定医が必要と認める場合でなければ行うことができない。
- ケア時、隔離の一時的中断
- ケア時における隔離の一時的中断は、看護師の判断で行うことができる。
正解 1
- 脳塞栓
- 心房の中の血液がよどんだ状態となり、血栓ができやすくなる。その血栓が血流に乗って脳血管へ運ばれ、脳梗塞となる。
- 脳出血
- 脳出血の最も多い原因は高血圧である。その他の原因には、アミロイド血管症、脳動静脈奇形などがある。心房細動で発症リスクが高まることはない。
- 心筋炎
- 心筋炎の最も多い原因はウイルス感染によるものである。心房細動で発症リスクが高まることはない。
- 心外膜炎
- 心外膜炎の原因は、ウイルス、細菌、真菌などの感染や膠原病に続発したものなどがある。心房細動で発症リスクが高まることはない。
- 心内膜炎
- 心内膜炎の原因は、ウイルスや細菌、真菌などの感染によるもので、心臓弁膜症などの心疾患患者に多い。心房細動で発症リスクが高まることはない。
正解 5
- ドパミン
- ドパミンは、中枢神経系の神経伝達物質である。
- ヒスタミン
- ヒスタミンは神経伝達物質として、食欲や睡眠などをコントロールする。
- セロトニン
- セロトニンは、脳内の神経伝達物質の1つで、ドパミンやノルアドレナリンなどの情報をコントロール、抑制し、精神を安定させる。
- アドレナリン
- アドレナリンは、副腎髄質から分泌されるホルモンで、交感神経の神経伝達物質である。
- アセチルコリン
- アセチルコリンは、副交感神経や運動神経の神経伝達物質である。
正解 5
- たばこ
- たばこは、肺癌、喉頭癌、口腔癌、咽頭癌などの発がん因子である。
- エックス線
- エックス線は大量に被爆すると、皮膚癌の危険因子となる。
- アスベスト
- アスベストは肺癌や中皮腫の危険因子である。
- コールタール
- 繰り返しコールタールが接触すると、皮膚癌を招く原因となる。
- A型肝炎ウイルス
- C型肝炎ウイルスは肝癌をもたらすが、A型肝炎ウイルスは発がん因子ではない。
【問題74】 皮膚が温かいショック患者で考えられるのはどれか。
正解 4
- 心原性ショック
- 心不全により心拍出量が減少し、血圧が低下する。末梢血管収縮の所見として、皮膚が冷たく、湿潤する。
- 出血性ショック
- 出血による体内循環血液量の減少で起こる。皮膚は冷たくなる。
- 神経原性ショック
- 血管迷走神経反射の結果、徐脈・心収縮力の低下に起因する心拍出量の低下、末梢血管拡張による血圧低下が起こる。
- エンドトキシンショック
- 細菌感染によって生じる敗血症性ショックである。初期には心拍出量が増大し、皮膚の紅潮、体温上昇がみられる。
- アナフィラキシーショック
- 即時型アレルギー反応で生じる気管支痙攣、粘液分泌亢進、血管拡張などにより、蕁麻疹や紅潮等の皮膚症状や、呼吸困難、意識障害、血圧低下等の症状が起こる。
【問題75】 長期間服用中、急に中止することによってショックをきたす可能性があるのはどれか。
正解 3
- 消炎鎮痛薬
- 急に中止することによってショックをきたすことはない。
- 抗アレルギー薬
- 急に中止することによってショックをきたすことはない。
- 副腎皮質ステロイド
- 長期投与されている場合、コルチゾールの分泌が低下しており、服用の中止により腎不全をきたし、ショック状態になる可能性がある。
- ペニシリン系抗菌薬
- 急に中止することによってショックをきたすことはないが、病原菌が薬剤耐性を獲得する可能性はある。
- マクロライド系抗菌薬
- 急に中止することによってショックをきたすことはないが、病原菌が薬剤耐性を獲得する可能性はある。
【問題76】 1週前に廃材で深い刺傷を負った建設作業員。昨日から顔のゆがみと開口障害とがあり、今朝から発語障害、呼吸困難およびけいれんが出現したため搬入された。最も考えられるのはどれか。
正解 3
- 梅毒
- 梅毒トレポネーマによる感染症で、性行為などの直接接触により感染する。感染後3〜4週間の潜伏期間を経て、初期硬結や硬性下疳を生じる。
- 百日咳
- 百日咳菌による気道感染症で、飛沫感染で起こる。5〜14日の潜伏期間の後、咳、鼻水、微熱などの症状が起こるカタル期、咳発作や吸気笛声などの痙咳期を経て、回復に向かう。
- 破傷風
- 破傷風菌が創から体内に入ることで感染し、開口障害やけいれん、呼吸障害などの症状が起こる。
- 流行性耳下腺炎
- ムンプスウイルスの感染によるもので、飛沫感染や直接接触で起こり、2〜3週間の潜伏期間を経て発症する。耳下腺の腫れや発熱、唾液腺の腫れなどの症状が起こり、髄膜炎や髄膜脳炎、睾丸炎、卵巣炎などの合併症を認める場合がある
- マイコプラズマ感染症
- 主に飛沫感染で起こり、2〜3週間の潜伏期間を経て発症する。激しい咳や発熱などが症状である。
正解 5
- 緑色
- 新生児期の胎便である。
- 黒色
- 上部消化管での出血がある場合である。
- 暗赤色
- 上部消化管での出血や大腸下部からの出血がある場合である。
- 黄土色
- 乳児の正常な便である。
- 灰白色
- 胆道閉鎖症では、胆汁が排出されないため、閉塞性黄疸を起こし、灰白色便がみられる。
正解 3,4
- 内呼吸は肺で行われる。
- 肺での呼吸は外呼吸である。組織におけるガス交換を内呼吸という。
- 呼気ではCO2濃度がO2濃度よりも高い。
- 呼気中の二酸化炭素の濃度は約4%、酸素の濃度は約16%である。
- 吸気時には外肋間筋と横隔膜筋とが収縮する。
- 吸気は横隔膜と外肋間筋が収縮して行われる。
- 呼吸を調節する神経中枢は橋と延髄とにある。
- 延髄の呼吸中枢と橋の呼吸調節中枢によって呼吸の調節が行われる。
- 呼吸の中枢化学受容体は主に動脈血酸素分圧に反応する。
- 延髄にある中枢化学受容体は、二酸化炭素分圧に敏感である。二酸化炭素分圧が上昇すると、刺激を受け、呼吸が促進される。酸素分圧に敏感であるのは、頚動脈小体と大動脈にある末梢性化学受容体である。
【問題79】 卵巣から分泌されるホルモンはどれか。2つ選べ。
正解 1,3
- エストロゲン
- 女性ホルモンの一つで卵胞ホルモンとも呼ばれる。卵胞や胎盤から分泌される。
- プロラクチン
- 下垂体前葉から分泌されるホルモンで、乳腺刺激ホルモンとも呼ばれる。乳汁の分泌を促す。
- プロゲステロン
- 女性ホルモンの一つで黄体ホルモンとも呼ばれる。黄体や胎盤から分泌される。
- 黄体化ホルモン(LH)
- 下垂体前葉から分泌されるホルモンで、性腺刺激ホルモンの一種である。性腺に作用し、排卵と黄体化を促進する。男性では、睾丸に働いて男性ホルモンの分泌を促す。
- 卵胞刺激ホルモン(FSH)
- 黄体化ホルモンと同じく、下垂体前葉から分泌される性腺刺激ホルモンである。卵胞の発育を促進し、エストロゲンの分泌を促す。男性では、精子形成を促進する。
正解 3,5
- 2か月分ずつの処方
- 長期処方は服薬コンプライアンス不良の原因になる可能性がある。
- 診療科ごとの内服指導
- 診療科ごとの指導では理解が難しく、余計に混乱を招く恐れがある。
- 保険薬局の薬剤師の訪問
- 薬剤師の訪問は、服薬コンプライアンス向上に効果的である。介護保険の居宅サービスには、服薬指導として、薬剤師による居宅療養管理指導がある。
- ケアマネジャーによる内服薬の管理
- 服薬管理は、ケアマネジャーの業務ではなく、訪問看護師の役割である。
- 内服1回量ごとの包装(ODP:one dose package)
- 1回量ごとの包装は、服薬コンプライアンス向上に効果的である。
正解 1,5
神経因性膀胱とは、膀胱から大脳に至る神経の一部の障害によって起こる排尿障害である。
- 下腹部を触診する。
- 「お腹が張っている感じがする」という報告があるので、触診して観察する必要がある。
- そのまま様子をみる。
- 何かしらの問題があるにも関わらず、そのまま様子をみるというのは適切でない。
- 下腹部を強く圧迫する。
- 腹部が張っていて、尿の流出がある状態で、腹部を圧迫することは適切でない。
- カテーテルの固定水を追加する。
- 固定水を追加する必要はない。
- カテーテルの屈曲の有無を確認する。
- カテーテルの屈曲や閉塞がないか確認する。
【問題82】 開心術後1日、心タンポナーデの徴候はどれか。2つ選べ。
正解 4,5
- 脈圧増加
- 脈圧は減少する。
- 血圧上昇
- 血圧は低下する。
- 尿量増加
- 尿量は減少する。
- 中心静脈圧上昇
- 中心静脈圧は上昇する。
- 胸部エックス線写真での心拡大像
- 胸部エックス線写真での心拡大像がみられる。
【問題83】 地域包括支援センターの機能はどれか。2つ選べ。
正解 4,5
- 介護報酬の支給
- 介護報酬の支給を行うのは、市区町村である。
- 訪問看護の実施
- 訪問看護の実施は、地域包括支援センターの業務ではない。
- 要介護認定審査
- 要介護認定審査を行うのは、市区町村の介護認定審査会である。
- 高齢者虐待の相談
- 高齢者虐待の通報・相談を受け、解決に向けた対応を図り、予防のための取り組みを行う。
- 介護予防ケアマネジメント
- 地域包括支援センターには、保健師や社会福祉士、主任ケアマネジャーなどが配置されている。予防給付、介護予防事業のケアプランを作成し、要介護状態になることを予防するための支援を行う。
【問題84】 胆石で胆嚢摘出術後2日の78歳の女性。認知症はなかったが、昨夜から面会に来た家族の声かけに反応が鈍かったり、突然興奮して起き上がるなどの行動がみられる。対応で適切なのはどれか。2つ選べ。
正解 3,5
状況から、術後せん妄が考えられる。
- 家族に面会を控えるように話す。
- できるだけ家庭に近い環境にすることが大切である。
- 起き上がらないように拘束する。
- 拘束は、せん妄を助長する可能性がある。
- ドレーン類は直接目にふれないようにする。
- 直接目にふれないようにし、刺激を与えないようにする。また、ドレーンや輸液ルートを自己抜去することがあるので注意が必要である。
- 意識レベルを把握できるよう鎮痛薬は使わない。
- 鎮痛薬を使い、夜間にきちんと睡眠をとれるようにし、昼夜の逆転を防ぐようにする。
- 手術のために入院していることを穏やかに説明する。
- 見当識を取り戻せるよう支援する。
【問題85】 6か月の乳児に離乳食を開始する親への説明で適切なのはどれか。2つ選べ。
正解 2,5
- 1日2回から始める。
- 離乳食は、1日1回から始める。
- つぶし粥から始める。
- なめらかにすりつぶしたものから始める。つぶし粥から始めるのは適切である。
- 開始時期が遅れている。
- 離乳食の開始時期は、生後5〜6か月である。首のすわりがしっかりしている、支えると座れる、食べ物に興味を見せる、スプーンなどを口に入れても舌で押し出すことが少なくなる、が開始の目安となる。
- はちみつの使用を勧める
- 乳児ボツリヌス症の原因となるので、はちみつは満1歳まで与えない。
- 母乳は飲みたいだけ与える。
- 母乳は飲みたいだけ与えるようにする。
正解 4,5
- 平均閉経年齢は55歳である。
- 日本人女性の平均閉経年齢は50歳頃である。
- 性腺刺激ホルモンの分泌は減少する。
- エストロゲンやプロゲステロンの分泌低下に伴い、性腺刺激ホルモンの分泌は増加する。
- プロゲステロンの低下によって骨量が減少する。
- エストロゲンの低下によって骨量が減少する。
- 閉経後は高脂血症(脂質異常症)の発症が増加する。
- 脂質の代謝作用があるエストロゲンが低下することで、LDLコレステロールや中性脂肪が増え、高脂血症(脂質異常症)の発症が増加する。
- 更年期症状の出現には社会的・心理的要因が影響する。
- 夫の定年や子供の自立などの社会的要因、女性性の喪失などの心理的要因が影響する。
【問題87】 28歳の初産婦。妊娠39週0日、午後8時15分に正常分娩した。分娩所要時間は12時間15分であった。産褥1日における母親役割の獲得への援助で適切なのはどれか。2つ選べ。
正解 1,2
ルービンは、母親としての適応過程を、受容期、保持期、開放期の3段階に分けている。
- 身体の疲労回復を促す。
- 分娩の振り返りを行う。
- 産褥1日は、受容期にあたる。褥婦の関心は自分自身や基本的欲求に対して向けられる。充分に休息をさせて、分娩の振り返りを行う。
- 児の沐浴について指導する。
- 母乳不足の見分け方について説明する。
- 育児分担について夫と話し合うことを促す。
正解 1,3
- 誇大妄想
- 誇大妄想とは、自己の能力や容姿、地位などを過大に評価し、確信することである。躁状態でよくみられる。
- 罪業妄想
- 罪業妄想とは、自分の行った行為が取るに足りないことでも、取り返しのつかない罪深いことをしてしまったと自らを責めるような状態である。心気妄想、貧困妄想とともに、うつ病でよくみられる。
- 観念奔逸
- 観念奔逸とは、観念が活発に次から次へと現れてくるために、思考が逸れて目的観念を失う状態である。躁状態でよくみられる。
- 予期不安
- 予期不安とは、以前体験した恐怖がまた起きるのではないかという不安感が生じることである。パニック障害や強迫神経症、うつ病でみられる。
- 行動制止
- 行動制止とは、日常のルーチンワークを行うことにさえ辛さを感じ、行動範囲が狭まることである。うつ病や統合失調症でみられる。
正解 1,4
- 自律訓練法
- 自律訓練法とは、段階的に自己催眠状態を生じさせることで、ストレスを緩和する方法で、リラクセーション法の1つである。
- サイコドラマ
- サイコドラマとは、即興劇的手法を用いた集団心理療法である。課題の克服や、新しい気付きをもたらすことを目的としている。
- 認知再構成法
- 認知再構成法とは、認知行動療法の一つで、自分のネガティブな思考に気付かせ、検討・修正を加えることによって、感情の変化を促す方法である。
- 漸進的筋弛緩法
- 漸進的筋弛緩法とは、意図的に筋肉を緊張させ、 続いて力を抜いてリラックスし、その違いを実感するという方法で、リラクセーション法の1つである。
- アサーショントレーニング
- アサーショントレーニングとは、相手のことを尊重した上で、自分の意見や気持ちをその場に適切な言い方で表現出来るようにするトレーニングである。
正解 1,4
- 認知症
- 認知症では、夕方から夜間に起こる「夜間せん妄」が多くみられる。
- 躁うつ病
- 躁うつ病では、せん妄はほとんどみられない。
- 摂食障害
- 摂食障害では、せん妄はほとんどみられない。
- 頭部外傷
- 頭部外傷や頭部疾患など、頭蓋中や脳に何らかの急性の病気が起こり意識が濁ると、せん妄を起こすことがある。
- 人格障害
- 人格障害では、せん妄はほとんどみられない。