第100回国家試験必修問題解説(午前問題1〜25)
【問題1】 日本における平成20年の合計特殊出生率はどれか。
正解 2
合計特殊出生率とは、15歳から49歳までの女性が一生に産む子供の平均数である。
- 0.37
- 1.37
- 「平成20年人口動態統計月報年計(概数)の概況」によると、日本における平成20年の合計特殊出生率は1.37である。尚、平成21年の合計特殊出生率も同じく1.37である。
- 2.37
- 3.37
正解 3
医療保険の種類についての問題。
- 介護保険
- 介護保険は、40歳以上の人が加入する公的保険(社会保険)である。
- 雇用保険
- 雇用保険は、労働者が失業した場合や職業訓練を受けた場合に、生活の安定、雇用安定、労働者の能力の開発及び向上を図ることを目的として給付金を出す公的保険(労働保険)である。
- 国民健康保険
- 医療保険には、健康保険、共済組合(国家公務員共済組合、地方公務員共済組合、私立学校教職員共済)、船員保険、国民健康保険、後期高齢者医療制度がある。
- 厚生年金保険
- 厚生年金保険は、民間企業の労働者が加入する公的年金である。
【問題3】 インフォームドコンセントの説明で正しいのはどれか。
正解 3
「十分な説明と同意」を意味する。
- 病歴を個室で聴取すること
- プライバシーの保護によるものである。
- 処置の優先順位を判断すること
- 看護過程にあたる。
- 説明をしたうえで同意を得ること
- インフォームドコンセントとは、患者に十分に情報を提供し、患者の同意を得ることである。
- 障害者と健常者を区別しないこと
- ノーマライゼーションの考え方である。
【問題4】 看護師の業務従事者届の届出の間隔として規定されているのはどれか。
正解 2
保健師助産師看護師法第33条に規定されている。
- 1年ごと
- 2年ごと
- 業務に従事する保健師、助産師、看護師または准看護師は、2年に1度、12月31日現在における氏名、住所その他厚生労働省令で定める事項について、翌年1月15日までに、就業地の都道府県知事に届け出ることが義務付けられている。
- 3年ごと
- 4年ごと
正解 1
他の伴性劣性遺伝病には、赤緑色盲などがある。
- 血友病
- 血友病は、血液凝固因子の欠損により血液凝固異常が起こる。X染色体連鎖性劣性遺伝で起こる先天性疾患(伴性劣性遺伝病)である。
- ダウン症候群
- ダウン症候群は、21番染色体に1本過剰な染色体が存在する(21トリソミー)ことによって発症する。
- 先天性風疹症候群
- 先天性風疹症候群は、妊婦が妊娠初期に風疹にかかることによって、胎児に先天異常をもたらす感染症である。
- フェニルケトン尿症
- フェニルケトン尿症は、先天性のアミノ酸代謝異常で、常染色体性劣性遺伝によって生じる。新生児マススクリーニングにより、早期発見・治療が可能である。
【問題6】 日本における平成19年の1歳から4歳までの子どもの死因で最も多いのはどれか。
正解 4
平成19年の死因(総数)で最も多いのは「悪性新生物」である。
- 肺炎
- 心疾患
- 悪性新生物
- 不慮の事故
- 「平成19年人口動態統計月報年計(概数)の概況」によると、日本における平成19年の1歳から4歳までの子どもの死因で最も多いのは「不慮の事故」である。次いで「先天奇形等」「悪性新生物」の順となっている。
正解 3
介護老人保健施設は、病状が安定していて入院治療の必要がない要介護者を対象に、リハビリテーションや看護・介護を行う施設である。
- 医業を行い、20名以上の患者が入院できる施設
- 病院についての説明である。
- 医業を行い、患者が入院できるための設備が無い施設
- 医業を行い、入院設備が無い、または病床数が19床以下の施設は、診療所である。
- 要介護者が入所し、必要な医療や日常生活の援助を受ける施設
- 介護老人保健施設についての説明である。
- 認知症の要介護者が共同生活をしながら、日常生活の援助を受ける施設
- グループホーム(認知症対応型共同生活介護)についての説明である。
【問題8】 診療報酬における7対1入院基本料の条件はどれか。
正解 1
看護配置が手厚いほど、診療報酬として病院に支払われる金額は高くなる。
- 患者7人に看護職員1人
- 「7対1」とは、1日24時間を平均して、患者7人に1人の看護職員が勤務していることをいう。
- 看護職員7人に医師1人
- 看護職員7人に看護補助者1人
- 日勤看護職員7人に夜勤看護職員1人
正解 1
膵液には、リパーゼの他に、アミラーゼやトリプシンなどの消化酵素が含まれている。
- 脂肪
- 脂肪の分解酵素であるリパーゼは、脂肪をグリセリンと脂肪酸に分解する。
- 蛋白質
- 蛋白質の分解酵素(プロテアーゼ)には、ペプシン、トリプシン、キモトリプシンなどがある。
- 炭水化物
- 炭水化物の分解酵素には、アミラーゼなどがある。
- ビタミン
- ビタミンの多くは、酵素の活性に関わっている。
正解 3
脳死とは、脳幹を含めた全脳機能が完全に失われ、回復不能と認められる状態である。
- 徐脈
- 徐脈は脳死の判定基準に含まれない。
- 除脳硬直
- 除脳硬直がみられる場合は脳死ではない。
- 平坦脳波
- 脳死の判定基準は、
1. 深昏睡
2. 自発呼吸の消失
3. 瞳孔固定し、両側瞳孔径4o以上
4. 脳幹反射(対光反射、角膜反射、毛様脊髄反射、眼球頭反射、前庭反射、咽頭反射、咳反射)の消失
5. 平坦脳波
1〜5の条件が満たされた後、6時間経過をみて変化がない場合である。
- 脳死の判定基準は、
- けいれん
- けいれんがみられる場合は脳死ではない。
【問題11】 発作性の胸内苦悶を伴う胸痛で、最も疑うべきものはどれか。
正解 2
心筋梗塞の場合にも胸内苦悶が多く現れる。
- 心筋炎
- 心筋炎とは、ウイルス感染などにより心筋に炎症を起こし、心不全などを引き起こす疾患である。風邪症状や消化器症状、胸痛などがみられる。
- 狭心症
- 狭心症は、冠動脈の硬化や狭窄などによって血流が低下する事で心筋虚血を来たす疾患である。胸骨後方の胸痛、胸部絞扼感・圧迫感・圧搾感などが見られる。
- 肋間神経痛
- 肋間神経痛とは、肋間神経が圧迫される事によって生じる神経痛症状である。痛みが似ているため狭心症と誤認しがちである。
- 逆流性食道炎
- 逆流性食道炎とは、胃酸や十二指腸液が、食道に逆流することで、食道の粘膜に炎症を起こす疾患である。胸やけや嚥下障害、呑酸、胸痛などの症状がみられる。
正解 1
貧血の診断には、ヘモグロビン濃度やヘマトクリット値が用いられる。
- ヘモグロビン濃度
- ヘモグロビン濃度が血液1dL中に男性で14g未満、女性で12g未満、高齢者で11g未満の場合、貧血と診断される。
- 収縮期血圧
- 収縮期血圧は、心臓が収縮したときの血圧である。140mmHg以上では高血圧とされるが、貧血との関連はない。
- 血糖値
- 血糖値は、血液内のグルコース(ブドウ糖)の濃度である。糖尿病の診断に用いられる。
- 尿酸値
- 尿酸値は、プリン体が分解されてできた尿酸の血中濃度である。痛風の診断に用いられる。
正解 1
空気感染するものには、麻疹や水痘などがある。
- 結核菌
- 飛沫核の吸入により空気感染する。
- 腸管出血性大腸菌
- 汚染された食品や飲料水の摂取による経口感染である。
- ヒト免疫不全ウイルス(HIV)
- 性行為による感染、母子感染、血液感染がある。
- メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)
- メチシリンなどのペニシリン剤をはじめ、多くの薬剤に対して耐性を示す黄色ブドウ球菌である。医療従事者の手指や医療器具を介しての接触感染が多い。
正解 2
先天性疾患とは、生まれながらに持っている形態的・機能的異常である。
- インフルエンザ脳症
- インフルエンザ脳症は、インフルエンザウイルス感染による重症合併症である。先天性疾患ではない。
- ファロー四徴症
- ファロー四徴症は、心室中隔欠損、肺動脈狭窄、右室肥大、大動脈騎乗の四つを特徴とする先天性心疾患である。動脈血中の酸素含量が低下するため、チアノーゼが主症状である。その他、無酸素発作や呼吸困難、成長不良、バチ指などが見られる。
- 気管支喘息
- 気管支喘息は、アレルギー反応やウイルス感染などが発端となって発症する。先天性疾患ではない。
- 腎結石
- 腎結石は、副甲状腺機能亢進などにより発症する。先天性疾患ではない。
【問題15】 患者とのコミュニケーションで適切なのはどれか。
正解 1
患者を理解するためには、言語的・非言語的コミュニケーションが必要である。
- 否定的感情の表出を受けとめる。
- 否定的感情を受けとめ、共感的に理解することが大切である。
- 正確に伝えるために専門用語を多く使う。
- 専門用語ではなく、分かりやすい表現を使う。
- 会話の量と信頼関係の深まりとは比例する。
- 会話の量が多ければ信頼関係が深まるとは限らない。会話のみでは相手の理解にはつながらない。
- 患者の表情よりも言語による表現を重視する。
- 非言語的表現は患者の感情をあらわしている。表情から言語的表現の意味を理解できることもある。
正解 4
嚥下食には、適度な粘度があり、滑らかに喉を通過するものが適している。ゼリー食が主として用いられる。
- パサパサした食べ物を準備する。
- パサパサした食べ物は、水分が少なく口の中でまとまりにくいため、誤嚥の危険性がある。
- 患者の体位は、頸部を後屈させ下顎を挙上させる。
- 頭部を後屈させると、頸部が過伸展を起こし、誤嚥の危険性が高まる。
- 食物を口に運んだスプーンは上方へ抜き取る。
- 上方へ抜き取ると、つられて顔が上向きになるので、誤嚥を招く恐れがある。スプーンは水平に抜き取る。
- 飲み込んだのを確認してから、次の食物を口に入れる。
- 飲み込んでないまま次の食物を入れると、誤嚥の危険性がある。飲み込んだのを確認してから次の食物を口に入れる。
正解 1
口腔ケアにより口腔内の細菌を除去することで、誤嚥性肺炎の予防になる。
- 歯肉出血があっても実施する。
- 歯肉出血がある場合でも、口腔ケアは必要である。出血部位に注意しながら実施する。
- 含嗽のできない患者には禁忌である。
- 含嗽ができない原因によって、口腔ケアの方法を変えて行う。
- 総義歯の場合、義歯の洗浄のみでよい。
- 義歯の洗浄とともに、口腔内も洗浄する。
- 経口摂取をしていない患者には不要である。
- 経口摂取をしていない場合、唾液の分泌量が低下するため、自浄作用が低下し、口腔内は汚れやすくなる。口腔ケアは必須である。
【問題18】 入院患者の本人確認の方法で最も適切なのはどれか。
正解 3
より確実な方法を選択する。ネームバンドは通常、患者の手首に装着する。
- 病室でのベッドの位置
- ベッドネーム
- ネームバンド
- ネームバンドを用いて本人確認する方法が、最も確実で適している。
- 呼名への反応
【問題19】 注射部位の皮膚をつまみ上げて実施するのはどれか。
正解 2
皮下組織に薬液を注入ため、皮膚をつまみ上げて刺入する。
- 皮内注射
- 皮内注射は、ツベルクリン反応や即時型アレルギーの診断の際に用いられ、通常26〜27Gの注射針を使用する。皮膚面とほぼ平行な形で針を刺入する。
- 皮下注射
- 皮下注射は、通常22〜25Gの注射針を使用し、皮膚を少しつまみ上げて、10〜30度の角度で2/3程度刺入する。
- 筋肉内注射
- 筋肉内注射は、通常21〜23Gの注射針を使用し、45〜90度の角度で刺入する。
- 静脈内注射
- 静脈内注射は、通常21〜23Gの注射針を使用し、15〜20度の角度で刺入する。
【問題20】 図のような体位でドレナージを行う肺葉はどれか。
正解 4
体位ドレナージとは、重力を活かして、痰が貯留している部位を上にして排出しやすくすることである。
- 右上葉
- 右下葉
- 左上葉
- 左下葉
- 頭部を下げて、右側臥位にしているので、左下葉である。
【問題21】 トリアージタッグを装着する部位で適切なのはどれか。
正解 3
トリアージの優先順位は、赤色(最優先群)、黄色(待機群)、緑色(保留群)、黒色(死亡群)の順である。
- 靴
- 衣服
- 右手首
- トリアージタッグは右手首に装着する。不可能な時は、左手首→右足首→左足首→首の順になる。
- 負傷した部位
正解 5
VDT作業とは、コンピュータ端末を扱う作業のことである。
- 難聴
- 騒音の下で長時間就業することにより、騒音性難聴が起こる。
- じん肺
- アスベストなどの粉じんを吸引することによって起こる職業性肺疾患である。
- 熱中症
- 高温多湿の環境下で長時間就業することにより起こる。
- 振動障害
- チェーンソーなど、振動を手・腕に伝える振動工具を使用することによって起こる。手指の白色化現象(レイノー現象)が特徴である。
- 視力障害
- VDT作業では、眼精疲労やドライアイなどの視力障害や腰痛、頚肩腕症候群などが起こる。
【問題23】 高齢者の転倒による骨折で最も多い部位はどれか。
正解 4
高齢者に多い骨折には、大腿骨頸部骨折、橈骨遠位端骨折、腰椎圧迫骨折などがある。
- 尾骨
- 肋骨
- 頭蓋骨
- 大腿骨
- 高齢者の転倒による骨折で最も多いのは、大腿骨頸部骨折である。治療が長引き、そのまま寝たきりになってしまうことが多い。
- 肩甲骨
正解 1
副腎皮質ステロイドは、糖質コルチコイド(コルチゾール)であり、抗炎症薬や免疫抑制薬として用いられる。
- 炎症の抑制
- 副腎皮質ステロイドには、抗炎症作用がある。
- 食欲の抑制
- 副作用として、食欲亢進がある。
- 免疫の促進
- 免疫抑制作用があるため、感染を誘引しやすくなる。
- 血糖の低下
- 副作用として、血糖の上昇、糖尿病の誘発がある。
- 血圧の低下
- 副作用として、血圧は上昇する。
【問題25】 滅菌手袋の装着時の写真を示す。手袋が不潔になるのはどれか。
正解 4
素手は不潔であるので、滅菌手袋の外側に触れてはいけない。
- 右手の手袋で反対側の手袋の外側に触れているため、不潔ではない。
- 左手は素手であるが、手袋の内側を持っているので、不潔ではない。
- 片方の手袋をはめた後は、反対側の手袋の外側を持ってはめる。
- 素手で手袋の外側に触れているので、不潔である。
- 袋を開けるときは、手袋に触れないようにして開ける。