第103回国家試験必修問題解説(午後問題1〜25)
【問題1】 日本の平成23年(2011年)における主要死因別にみた死亡率が高いのはどれか。
正解 3
- 肺炎
- 「平成23年人口動態統計(確定数)の概況」によると、平成23年(2011年)の肺炎の死亡率は98.9(人口10万対)で、死因順位は第3位である。
- 心疾患
- 「平成23年人口動態統計(確定数)の概況」によると、平成23年(2011年)の心疾患の死亡率は154.5(人口10万対)で、死因順位は第2位である。
- 悪性新生物
- 「平成23年人口動態統計(確定数)の概況」によると、平成23年(2011年)の悪性新生物の死亡率は283.2(人口10万対)で、死因順位は第1位である。
- 脳血管疾患
- 「平成23年人口動態統計(確定数)の概況」によると、平成23年(2011年)の脳血管疾患の死亡率は98.2(人口10万対)で、死因順位は第4位である。
【問題2】 循環式浴槽の水質汚染によって発生するのはどれか。
正解 3
- B型肝炎
- B型肝炎は、輸血や性行為、母子感染など、血液や体液を介して感染する。
- マラリア
- マラリアは、蚊(ハマダラカ)に媒介されるマラリア原虫によって感染する。
- レジオネラ肺炎
- レジオネラ肺炎は、レジオネラ属菌に汚染された水の飛沫やエアロゾル(微小な水粒子)の吸入によって感染する。レジオネラ属菌は土壌や河川など自然界に広く生息するが、その菌数は少ない。循環式浴槽では、お湯を配管内に循環させているため、洗浄や消毒が十分でない場合、入浴者の垢などの有機物を栄養源としてアメーバなどの微生物が増殖し、レジオネラ属菌はその微生物に寄生し、増殖する。
- 後天性免疫不全症候群(AIDS)
- 後天性免疫不全症候群は、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)の感染によって生じる。主な感染経路は、性行為、血液感染、母子感染である。
正解 2
- 都道府県
- 市町村
- 要介護認定の申請先は市町村である。そして、介護認定審査会の判定に基づき、市町村が要介護認定を行う。また、更新の申請も市町村に対して行う必要がある。
- 診療所
- 訪問看護ステーション
【問題4】 医師の指示を受けて看護師が行うことのできる業務はどれか。
正解 3
- 薬剤の処方
- 医師の業務である。
- 死亡の判定
- 医師の業務である。
- 静脈内注射
- 静脈内注射は看護師の診療補助行為として認められているため、医師の指示を受けて看護師が行うことができる。
- 診断書の交付
- 医師の業務である。
正解 4
- グルカゴン
- グルカゴンには、血糖値上昇作用があり、低血糖時に分泌が増加する。
- オキシトシン
- オキシトシンには、子宮筋収縮作用や乳汁分泌促進作用(射乳作用)があり、分娩時に分泌が増加する。
- カルシトニン
- カルシトニンには、血中カルシウム濃度を低下させ、骨吸収を抑制する作用がある。血中カルシウム濃度が上昇すると、分泌が増加する。
- アンドロゲン
- アンドロゲンは、思春期に分泌が増加し、男性の二次性徴を促進させる。また、乳児期早期の男児は思春期並みに分泌量が多い。
【問題6】 平成23年(2011年)の国民生活基礎調査で、単独世帯の占める割合はどれか。
正解 2
- 5.2%
- 25.2%
- 平成23年(2011年)の国民生活基礎調査で、単独世帯の占める割合は25.2%である。また、夫婦のみの世帯は22.7%、夫婦と未婚の子のみの世帯は30.9%、ひとり親と未婚の子のみの世帯は7.0%、三世代世帯は7.4%となっている。
- 45.2%
- 65.2%
正解 3
- 国
- 都道府県
- 市町村
- 地域包括支援センターは、地域住民の保健医療の向上及び福祉の増進を包括的に支援することを目的として、介護予防マネジメント、高齢者や家族に対する総合的な相談・支援、虐待の防止や早期発見等の権利擁護事業、包括的・継続的ケアマネジメント支援を行っている。地域包括支援センターの設置者は、市町村または市町村から委託を受けた者である。
- 健康保険組合
【問題8】 保健師助産師看護師法で規定されている看護師の義務はどれか。
正解 3
- 看護研究
- 看護研究は大切なことであるが、保健師助産師看護師法には定められていない。
- 記録の保存
- 看護記録の2年間の保存は医療法によって義務付けられているが、保健師助産師看護師法には定められていない。尚、診療記録の法的保存期間は5年間である。
- 秘密の保持
- 保健師、看護師または准看護師は、正当な理由がなく、その業務上知り得た人の秘密を漏らしてはならない。保健師・看護師または准看護師でなくなった後においても、同様である。
- 関係機関との連携
- 関係機関との連携は大切なことであるが、保健師助産師看護師法には定められていない。
正解 1
- pH 1〜2
- 胃液は、pH1〜2の強酸性である。
- pH 4〜5
- pH 7〜8
- pH 10〜11
正解 2
- 呼名反応の消失
- 対光反射の消失
- 死の三徴候とは、心臓の停止、自発呼吸の停止、瞳孔散大と対光反射の消失をいう。
- 肛門緊張の消失
- 深部腱反射の消失
正解 4
- 血圧の上昇
- 心機能低下によって心拍出量が低下し、血圧は低下する。
- 体温の上昇
- 末梢血管収縮によって、顔面蒼白や皮膚冷感・湿潤などがみられる。体温は上昇しない。
- 尿量の増加
- 血圧の低下によって、尿量は減少する。
- 脈拍数の増加
- 交感神経の緊張によって、頻脈となる。
正解 1
- 起坐位
- 呼吸困難がある場合、起坐位やファウラー位に保つと、横隔膜が下がり呼吸面積が広がるため安楽である。
- 仰臥位
- 横隔膜が下がらないため呼吸は楽にならない。
- 砕石位
- 直腸や肛門等における診察・手術で用いられる。
- 骨盤高位
- 臍帯脱出予防のために用いられる。
正解 1
- 頻尿
- 頻尿とは、排尿回数が異常に多い状態をいう。
- 乏尿
- 乏尿とは、1日の尿量が400ml以下の場合をいう。
- 尿閉
- 尿閉とは、尿の蓄積や尿意の発生はあるにもかかわらず、排尿できない状態をいう。
- 尿失禁
- 尿失禁とは、自分の意志とは関係なく尿がもれてしまう状態をいう。
正解 2
- 振戦
- 振戦は、向精神薬などの副作用でみられる。
- 不整脈
- ジゴキシンの副作用には、不整脈や嘔吐などがある。特に低カリウム血症ではジギタリス中毒(不整脈、消化器症状、視覚症状、神経症状)が起こりやすい。
- 聴覚障害
- アミノグリコシド系抗生物質(ストレプトマイシンなど)の副作用には聴覚障害がある。
- 満月様顔貌(ムーンフェイス)
- プレドニゾロンの長期間の使用によって満月様顔貌が生じることがある。
正解 4
- 血友病
- 血友病では、血液凝固因子の欠乏によって血液凝固異常が起こる。X染色体連鎖性劣性遺伝で起こる先天性疾患(伴性劣性遺伝病)である。
- 鉄欠乏性貧血
- 鉄欠乏性貧血とは生体内で鉄が欠乏し、ヘモグロビンの合成が十分に行われないために起こる貧血である。消化管出血、鉄分の摂取不足などが原因である。
- 再生不良性貧血
- 再生不良性貧血は、造血機能が低下し、全ての血球が減少する汎血球減少症である。特定疾患に指定されており、ほとんどの場合、原因は不明である。
- 成人T細胞白血病(ATL)
- 成人T細胞白血病は、HTLV-1(ヒトT細胞白血病ウイルス)の感染により起こる。
【問題16】 医療機関における麻薬の取り扱いについて正しいのはどれか。
正解 4
- 麻薬と毒薬は一緒に保管する。
- 麻薬と毒薬は鍵のかかる設備にそれぞれ別々に保管する。
- 麻薬注射液は複数の患者に分割して用いる。
- 原則として麻薬注射液を複数の患者に分割して用いることは避ける。
- 使用して残った麻薬注射液は病棟で廃棄する。
- 残った麻薬注射液は麻薬管理責任者に返却する。
- 麻薬注射液の使用後のアンプルは麻薬管理責任者に返却する。
- 使用後のアンプルは麻薬管理責任者に返却する。
正解 4
- 呼吸数
- 客観的情報である。
- 飲水量
- 客観的情報である。
- 苦悶様の顔貌
- 客観的情報である。
- 息苦しさの訴え
- 主観的情報とは患者の訴えや自覚症状など、患者の言葉から得られる情報のことである。観察、記録、測定から得られる情報は客観的情報である。
正解 1
- 左から脱がせ、右から着せる。
- 障害がある場合、健側から脱がせ、患側から着せるのが正しい着衣交換の方法である。
- 左から脱がせ、左から着せる。
- 右から脱がせ、左から着せる。
- 右から脱がせ、右から着せる。
正解 2
- 去痰薬
- 降圧薬
- 降圧薬には、めまいや立ちくらみなどの副作用があり、転倒・転落のリスクを高める。その他には、睡眠薬や利尿薬、向精神薬、抗うつ薬、糖尿病治療薬などが転倒・転落の要因となりやすい。
- 抗菌薬
- 消化酵素薬
【問題20】 鎖骨下静脈へ中心静脈カテーテルを挿入する際に起こりやすい合併症はどれか。
正解 2
- 肺炎
- 気胸
- 気胸とは、肺から空気がもれて、胸腔内に空気が溜まっている状態である。鎖骨下静脈は体の外からは見えないため、肺を誤穿刺してしまい、気胸を起こすことがある。
- 嗄声
- 無気肺
【問題21】 点滴静脈内注射の血管外漏出で注意すべき初期症状はどれか。
正解 1
- 疼痛
- 点滴静脈内注射の血管外漏出における初期症状では、疼痛や発赤、腫脹がみられる。抗がん剤の血管外漏出の場合は、数時間後〜数日後に皮膚症状が増悪し、水疱形成、潰瘍形成、壊死形成へと移行していくことがある。
- 水疱
- 潰瘍
- 皮膚壊死
正解 2
- 氷枕
- 氷枕、氷嚢、氷頸は乾性冷罨法である。
- 冷パップ
- 冷パップ、冷湿布、アルコール冷却は湿性冷罨法である。
- 湯たんぽ
- 湯たんぽは乾性温罨法である。
- 電気あんか
- 電気あんかは乾性温罨法である。
【問題23】 気管内吸引の時間が長いと低下しやすいのはどれか。
正解 4
- 血圧
- 体温
- 血糖
- 動脈血酸素飽和度(SaO2)
- 分泌物と共に気管内の酸素も吸引されるため、低酸素血症を生じやすい。1回の吸引時間は15秒以内にとどめる。
正解 3
- 愛着行動
- 愛着行動は、乳幼児期にみられ、主に母親が愛着の対象者となる。
- 分離不安
- 母親などの依存対象者との物理的・心理的分離に伴う不安のことを分離不安といい、乳幼児期にみられる特徴である。
- 自己同一性の確立
- 自己同一性の確立とは、自分の性格や、生い立ち、環境、能力、体験などを通して、自分らしさを見つけることであり、思春期に特徴的にみられる。
- 基本的信頼関係の確立
- 基本的信頼関係の確立は、乳児期の発達課題である。
【問題25】 平成22年(2010年)の国民健康・栄養調査において、運動習慣のある女性の割合が最も高いのはどれか。
正解 5
- 20〜29歳
- 30〜39歳
- 40〜49歳
- 50〜59歳
- 60〜69歳
- 平成22年の国民健康・栄養調査によると、運動習慣のある者の割合で最も高いのは、男性が70歳以上(45.0%)、女性が60〜69歳(38.4%)となっている。