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第104回国家試験必修問題解説(午前問題1〜25)

【問題1】 日本の将来推計人口で2020年の65歳以上人口が総人口に占める割合に最も近いのはどれか。

正解 2

  1. 15%
  2. 30%
    • 国立社会保障・人口問題研究所が公表した日本の将来推計人口(2012年1月推計)によると、65歳以上人口が総人口に占める割合(老年人口割合)は、2010年の23.0%から2020年には29.1%まで上昇すると推計されている。
  3. 45%
  4. 60%

【問題2】 日本の平成22年(2010年)における傷病別にみた通院者率が男女ともに最も高いのはどれか。

正解 2

  1. 腰痛症
  2. 高血圧症
    • 平成22年国民生活基礎調査によると、傷病別にみた通院者率では、男女ともに高血圧症の割合が最も高い。
  3. 歯の病気
  4. 眼の病気

【問題3】 国民健康保険の保険者はどれか。

正解 3

  1. 都道府県
  2. 市町村
    • 国民健康保険の保険者は、市町村と国民健康保険組合である。
  3. 健康保険組合

【問題4】 医療従事者による十分な説明に基づく患者の同意を示すのはどれか。

正解 4

  1. エンパワメント
    • エンパワメントとは、個人が内発的な動機を高め、自分自身の力で問題や課題を解決していくことができる社会的技術や能力を獲得すること、または、そのために第三者が環境の整備や必要な資源の提供等の支援を行うことをいう。
  2. コンプライアンス
    • 医療現場におけるコンプライアンスとは、医師から処方された薬剤を患者が指示に従って服用することである。
  3. リスクマネジメント
    • 医療におけるリスクマネジメントの目的は「事故防止などを通して、組織の損失を最小限に抑え、医療の質を保証すること」(日本看護協会:「組織で取り組む医療事故防止」)とされている。
  4. インフォームド・コンセント
    • インフォームド・コンセントとは、検査結果、病状判断、治療の内容・目的・効果などについて医療関係者から十分な説明を受けた後、患者側が示された選択肢の中から医療行為を選択・同意することである。

【問題5】 受精から着床開始までの期間はどれか。

正解 2

  1. 1〜2日
  2. 6〜7日
    • 受精卵は、卵管内で細胞分裂を繰り返しながら、3日〜5日かけて子宮腔内に達し、受精後約1週間で子宮内膜に着床を開始する。
  3. 13〜14日
  4. 20〜21日

【問題6】 思春期の子どもの親に対する行動の特徴で適切なのはどれか。

正解 1

  1. 親からの干渉を嫌うようになる。
    • 思春期は心理的自立の時期であり、親から距離を置こうとし、親からの干渉を嫌うようになる。
  2. 親と離れると不安な様子になる。
    • 母親などの依存対象者との物理的・心理的分離に伴う不安のことを分離不安といい、 乳幼児期にみられる特徴である。
  3. 親に秘密を打ち明けるようになる。
    • 思春期は親への秘密が増える時期である。
  4. 親からの助言を素直に聞けるようになる。
    • 思春期は第二反抗期と呼ばれる時期であり、親の意見に反発しやすくなる。

【問題7】 加齢によって衰えやすい機能はどれか。

正解 1

  1. 記銘力
    • 記銘力や計算力などの流動性知能は加齢によって衰えやすい。
  2. 洞察力
    • 洞察力などの結晶性知能は加齢の影響を受けにくい。
  3. 判断力
    • 判断力などの結晶性知能は加齢の影響を受けにくい。
  4. 統合力
    • 統合力などの結晶性知能は加齢の影響を受けにくい。

【問題8】 要介護者に対し看護、医学的管理の下において必要な医療や日常生活上の世話を行う施設はどれか。

正解 3

  1. 授産施設
    • 授産施設とは、心身の障害や家庭の事情により就業や技能取得が困難な者に対し、就労や技能修得のための機会を与え、自立を助長することを目的とする施設である。
  2. 保健センター
    • 保健センター(市町村保健センター)は、健康相談や保健指導など、地域住民に密着した対人保健サービスを行っている。
  3. 介護老人保健施設
    • 介護老人保健施設は、病状が安定していて入院治療の必要がない要介護者を対象に、医学的管理の下で必要な医療や日常生活上の世話を行う施設である。
  4. 特別養護老人ホーム
    • 特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)は、常時介護を必要とし、在宅介護が困難な要介護者を対象に、日常生活上の世話や機能訓練などを行う施設である。

【問題9】 機能別看護方式の説明で正しいのはどれか。

正解 2

  1. 1人の看護師が毎日異なる患者を受け持つ。
  2. 内容別に分類した看護業務を複数の看護師が分担して実施する。
    • 機能別看護方式では、投薬、検温、注射など内容別に分類した看護業務を各看護師に割り当て、複数の看護師が分担して看護を行う。
  3. 1人の看護師が1人の患者を入院から退院まで継続して受け持つ。
  4. 患者をいくつかのグループに分け、各グループを専属の看護師チームが受け持つ。

【問題10】 免疫機能に関与する細胞はどれか。

正解 2

  1. 血小板
    • 血小板の機能は血液凝固である。
  2. 白血球
    • 白血球は免疫機能に関与し、生体防御の働きを持つ。体内に進入した細菌や異物の無毒化、腫瘍細胞等の排除を行う。
  3. 網赤血球
    • 網赤血球は、赤芽球から細胞核が脱核した直後の未成熟な赤血球である。骨髄における赤血球産生の指標となるため、貧血の診断に用いられる。
  4. 成熟赤血球
    • 成熟赤血球の機能は、酸素の運搬である。

【問題11】 月経周期が順調な場合、最終月経の初日を0日とすると分娩予定日はどれか。

正解 2

  1. 240日目
  2. 280日目
    • 妊娠の期間は、最終月経の初日から約280日(40週)である。
  3. 320日目
  4. 360日目

【問題12】 最も緊急性の高い不整脈はどれか。

正解 2

  1. 心房細動
    • 心房細動は、心房が細かく収縮している状態で、左房内血栓が生じやすくなる。血栓が血流に乗って脳血管へ運ばれることで、脳塞栓の原因にもなりやすい。
  2. 心室細動
    • 心室細動は、心室が細かく痙攣し、ポンプ機能が失われて血液を送り出せなくなっている状態である。最も重大な致死性不整脈であり、心停止に移行しやすい。直ちに電気的除細動を行う必要がある。
  3. Ⅰ度房室ブロック
    • 房室ブロックは、心房から心室に刺激が伝わらない状態であり、程度によってⅠ度からⅢ度に分類される。Ⅰ度房室ブロックでは、心房から心室への刺激伝導が遅延するものであり、通常治療は必要としない。
  4. 完全右脚ブロック
    • 完全右脚ブロックは、右脚の刺激伝導系が障害された状態である。左心室から右心室に心臓の収縮が伝わるため心機能にほとんど影響はない。基礎疾患等がなければ経過観察でよい。

【問題13】 急性の頭痛を起こす可能性が最も高いのはどれか。

正解 3

  1. 複視
    • 複視とは、物が二重に見えることをいう。
  2. 外斜視
    • 外斜視とは、片眼が正常な位置にあるときに、もう片眼が外側に向いた状態をいう。
  3. 緑内障
    • 緑内障では、急激な眼圧の上昇によって視神経が圧迫され、急性の頭痛などが生じる。
  4. 眼瞼下垂
    • 眼瞼下垂は、上眼瞼が垂れ下がって上がりにくい状態であり、視野狭窄などがみられる。

【問題14】 呼吸困難とはどれか。

正解 2

  1. 脈拍数の増加
  2. 息苦しさの自覚
    • 呼吸困難とは、「呼吸がしづらい」「息苦しい」などの自覚的な症状である。
  3. 動脈血酸素分圧(PaO2)の低下
  4. 経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)の低下

【問題15】 生活習慣病の一次予防はどれか。

正解 3

  1. 早期治療
    • 早期治療は、二次予防である。
  2. 検診の受診
    • 検診の受診は、二次予防である。
  3. 適切な食生活
    • 一次予防とは、健康を増進し発病を予防することであり、適切な食生活や運動不足の解消、禁煙などが含まれる。
  4. 社会復帰を目指したリハビリテーション
    • 社会復帰を目指したリハビリテーションは、三次予防である。

【問題16】 副作用(有害事象)として低血糖症状を起こす可能性があるのはどれか。

正解 2

  1. ジゴキシン
    • ジゴキシンは心不全治療に用いられ、副作用には不整脈や嘔吐などがある。
  2. インスリン
    • インスリンは、血糖値を低下させる作用があり、糖尿病の治療に用いられる。重大な副作用として、低血糖症状、アナフィラキシーショック、血管神経性浮腫などが生じることがある。
  3. フェニトイン
    • フェニトインは抗てんかん薬として用いられ、副作用には歯肉増殖などがある。
  4. ワルファリン
    • ワルファリンは抗凝固薬であり、副作用には出血傾向などがある。

【問題17】 医薬品に関する禁忌を示すことが定められているのはどれか。

正解 4

  1. 処方箋
  2. 診断書
  3. 看護記録
  4. 添付文書
    • 薬事法において添付文書の作成・添付、記載事項について規定されている。添付文書には、禁忌、組成・性状、効能・効果、用法・用量、使用上の注意、薬物動態、臨床成績、薬効薬理などが記載されている。

【問題18】 関節可動域(ROM)の単位はどれか。

正解 2

    • 関節可動域(ROM)とは、各関節が運動を行なう際の生理的な運動範囲(角度)のことである。
  1. kg
  2. cm

【問題19】 女性患者の床上排泄で洋式便器をあてる位置を図に示す。適切なのはどれか。

正解 1

  1. 第104回看護師国家試験必修問題解説19図1
    • 便器の中心に肛門がくるようにし、自然で楽に排泄できるよう便器をあてる。腹圧をかけやすくするよう、可能であれば上体を軽度挙上する。女性の場合、尿の飛散防止と消音のためちり紙を陰部にあてる。また、患者が不快にならぬよう、便器を乾燥させておく、温めておくなどの配慮を行う。
  2. 第104回看護師国家試験必修問題解説19図2
    • 着衣や下着を汚さぬよう、肛門が中心にくるように便器をあてる。
  3. 第104回看護師国家試験必修問題解説19図3
    • 便器の方向が逆であるため、臀部が安定しない。
  4. 第104回看護師国家試験必修問題解説19図4
    • 肛門が便器の中心になく、便器の方向も逆である。

【問題20】 シーツ交換時にシーツを引っ張る動作でボディメカニクスを応用した姿勢はどれか。

正解 2

  1. 両足を前後に開き、両膝を伸ばす。
  2. 両足を前後に開き、両膝を曲げる。
    • 基底面積を広く保つ、動作時の重心は低い位置におく、重心線は基底面の内側におく、などがボディメカニクスのポイントである。
  3. 両足をそろえ、両膝を伸ばす。
  4. 両足をそろえ、両膝を曲げる。

【問題21】 生理食塩水の塩化ナトリウム濃度はどれか。

正解 1

  1. 0.9%
    • 生理食塩水とは、体液とほぼ等張の食塩水である。日本薬局方・処方箋医薬品では、塩化ナトリウムを0.9%含有する食塩水を生理食塩液と定義している。
  2. 5%
  3. 9%
  4. 15%

【問題22】 血中濃度を確認する必要性が最も高い医薬品はどれか。

正解 3

  1. アスピリン
    • アスピリンには抗血小板作用があり、使用時には出血傾向に注意する。
  2. フロセミド
    • フロセミドはループ利尿薬であり、使用時には脱水や血圧低下に注意する。また、カリウムやナトリウムの再吸収が阻害されるため、低カリウム血症や低ナトリウム血症の副作用がある。
  3. テオフィリン
    • テオフィリンには、気管支拡張作用や抗炎症作用があり、気管支喘息発作や気管支炎の治療に用いられる。テオフィリンは有効血中濃度域が狭く、血中濃度が上昇すると不整脈や痙攣などの中毒症状が起こるため、定期的に血中濃度を確認する必要がある。
  4. インドメタシン
    • インドメタシンには、鎮痛、解熱、抗炎症作用がある。長期間の使用によって胃腸出血や消化性潰瘍などが生じることがある。

【問題23】 静脈血採血の穿刺時の皮膚に対する針の適切な刺入角度はどれか。

正解 1

  1. 10〜30度
    • 静脈血採血の穿刺時の刺入角度は、皮膚に対して15〜20度が適切である。
  2. 35〜40度
  3. 55〜60度
  4. 75〜80度

【問題24】 体位ドレナージの直接の目的はどれか。

正解 3

  1. 痛みの軽減
  2. 睡眠の導入
  3. 排痰の促進
    • 体位ドレナージとは、痰が貯留している部位を上にして、重力を活かすことで痰の排出をしやすくすることである。
  4. 廃用症候群の予防

【問題25】 振動が原因となる職業性疾病はどれか。

正解 4

  1. 中皮腫
    • 中皮腫はアスベストの吸引によって起こる。
  2. 熱中症
    • 熱中症は高温多湿の環境下で起こる。
  3. 高山病
    • 高山病は高地での酸素欠乏によって起こる。
  4. 白ろう病
    • 白ろう病は、削岩機やチェーンソーなどの振動工具を長期間使用することによって起こる振動障害である。四肢末梢の血行障害によって、レイノー現象やしびれ、感覚鈍化などが生じる。

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