第102回看護師国家試験一般問題・状況設定問題解説(午後問題26〜48)
【問題26】 血中カルシウム濃度を上昇させるホルモンを分泌する器官はどれか。
正解 1
- 副甲状腺
- 副甲状腺(上皮小体)から分泌されるパラソルモンは、破骨細胞を活性化して骨吸収を促進し、血中カルシウム濃度を上昇させる。
- 甲状腺
- 下垂体
- 副腎
正解 2
- 22本
- 23本
- ヒトの体細胞には、44本の常染色体と2本の性染色体、計46本の染色体がある。ヒトの生殖細胞(精子細胞、卵細胞)の染色体の数は、体細胞の半分で、22本の常染色体と1本の性染色体、計23本である。
- 44本
- 46本
【問題28】 低値によって脂質異常症と診断される検査項目はどれか。
正解 4
- トリグリセリド
- 総コレステロール
- 低比重リポ蛋白コレステロール(LDL-C)
- 高比重リポ蛋白コレステロール(HDL-C)
- 脂質異常症の診断基準は、LDLコレステロール140mg/dl以上、HDLコレステロール40mg/dl未満、中性脂肪(トリグリセリド)150mg/dl以上である。
正解 4
- 総腓骨神経
- 総腓骨神経では、下垂足を生じる。
- 橈骨神経
- 橈骨神経麻痺では、下垂手を生じる。
- 尺骨神経
- 尺骨神経麻痺では、鷲手を生じる。
- 正中神経
- 正中神経では、母指球筋萎縮によって母指対立運動が不能となり、猿手を生じる。
【問題30】 労働基準法において、就業中の妊産婦から請求がなくても使用者が処遇すべきなのはどれか。
正解 2
- 産前6週間の就業禁止
- 6週間(多胎妊娠の場合は14週間)以内に出産予定の女性が休業を請求した場合、就業させてはならない。
- 産後6
週間の就業禁止
- 産後8週間を経過しない女性を就業させてはならない。ただし、産後6週間を経た女性が請求した場合には、医師が支障ないと認めた業務に就業させても良い。産後6 週間は、請求がなくてもまたは本人が希望しても、就業は禁止しなければならない。
- 深夜業の就業禁止
- 妊産婦から請求があった場合には、時間外労働、休日労働、深夜業をさせてはならない。
- 育児時間の確保
- 生後満1年に達しない乳児を育てる女性から請求があった場合、1日2回それぞれ少なくとも30分の育児時間を与えなければならない。
正解 3
- 救急搬送体制を整備すること
- 医療機関にいつでも受診ができること
- 公共交通機関をバリアフリー化すること
- ノーマライゼーションとは、「障害者や高齢者を特別視せず、可能な限り通常の市民生活を送ることができるようにする」という理念やそれに基づく政策をいう。
- 障害者に介護施設への入所を勧めること
【問題32】 日本の平成21年(2009年)の人口動態統計における悪性新生物に関する記述で正しいのはどれか。
正解 4
- 死因別順位は第2位である。
- 平成21年(2009年)の人口動態統計において、悪性新生物の死因別順位は第1位である。
- 年間死亡者数は約80万人である。
- 平成21年(2009年)の人口動態統計において、悪性新生物での年間死亡者数は約35万人である。
- 部位別にみた年齢調整死亡率は、男性では胃が最も高い。
- 平成21年(2009年)の人口動態統計において、部位別にみた年齢調整死亡率は、男性では気管、気管支及び肺が最も高く、胃は二番目に高い。
- 部位別にみた死亡者数は、気管、気管支及び肺が最も多い。
- 平成21年(2009年)の人口動態統計において、部位別にみた死亡者数は、気管、気管支及び肺が最も多い。
【問題33】 聴覚障害のある患者とのコミュニケーションで正しいのはどれか。
正解 1
- 補聴器の使用中は低音で話す。
- 文節で区切りながら、ゆっくり、はっきり話すと聞き取りやすい。聴覚補充現象(リクルートメント現象)がある場合は、高音が響いたり不快に感じることがあるため、低音で話す方がよい。
- 手話のときは口元を動かさない。
- 口の動きを読み取ってもらうことで、より正確に伝えることができるので、手話のときは口元を動して表現する。
- 音の反響が強い場所を選択する。
- 音の反響が強い場所では伝わりにくくなる。
- 感音性難聴の場合は大きな声で話す。
- 感音性難聴では、大きな声でも聞き取れない場合がある。
正解 1
- エタノール
- 結核菌に効果がある消毒剤としては、エタノール、クレゾール石鹸、ヨードホルム、グルタラールなどがある。結核菌は、表面を多量の蝋質で覆われているため、ベンザルコニウムやクロルヘキシジンは無効である。
- アクリノール
- ベンザルコニウム
- クロルヘキシジン
【問題35】 四肢に障害がない患者を仰臥位から側臥位に体位変換するときの姿勢を図に示す。適切なのはどれか。
正解 1
- 腕を胸の上で組ませ、両膝を高く立てる。患者の基底面積が小さくなるほど、ベッドとの摩擦が小さくなり、体位変換がしやすくなる。
【問題36】 インシデントレポートについて正しいのはどれか。
正解 4
- 警察への届出義務がある。
- 警察への届出義務はない。
- 法令で書式が統一されている。
- 書式は統一されていない。各医療機関で書式は異なる。
- 事故が発生するまで報告しない。
- 事故の予防が目的であり、事故が発生する前に報告する。
- 異なる職種間で内容を共有する。
- インシデントレポートは、事故の把握、原因の分析、組織での共有を行い、事故の予防・再発の防止に役立てる。
正解 2
- プラークの形成
- 口腔ケアによって、プラークを除去する。
- 唾液分泌の促進
- 口腔ケアによって、唾液分泌は促進される。
- 口腔内のpHの酸性化
- 口腔ケアによって、口腔内の酸性化を防ぐ。
- バイオフィルムの形成
- 口腔ケアによって、バイオフィルムを除去する。
正解 3
- 抗ヒスタミン薬 ―― 難聴
- 抗ヒスタミン薬の主な副作用は、眠気である。
- スルホニル尿素薬 ―― 咳嗽
- スルホニル尿素薬の主な副作用は、低血糖である。
- 中枢性麻薬性鎮咳薬 ―― 便秘
- 中枢性麻薬性鎮咳薬の副作用には、依存性、呼吸抑制、気管支痙攣、麻痺性イレウス、便秘、眠気、めまい、悪心、嘔吐、排尿障害などがある。
- アミノグリコシド系薬 ―― 骨粗鬆症
- アミノグリコシド系薬の副作用には、聴力・平衡感覚の障害や腎障害がある。
正解 4
- 穿刺前6
時間は絶食とする。
- 絶食の必要はない。穿刺前には、排尿・排便を済ませておく。
- 穿刺は仰臥位で行う。
- 腸骨での骨髄穿刺は腹臥位で、胸骨での骨髄穿刺は仰臥位で行う。
- 穿刺時は深呼吸を促す。
- 深呼吸の必要はない。
- 穿刺後、穿刺部位は圧迫止血する。
- 穿刺後は、穿刺部位を圧迫止血し、30分〜1時間程度は安静臥床とする。
【問題40】 食の支援に関わる職種とその役割の組合せで適切なのはどれか。
正解 3
- 歯科衛生士 ―― 義歯の作成
- 義歯の作成は、歯科医師もしくは歯科技工士が行う。
- 管理栄養士 ―― 経腸栄養の処方
- 経腸栄養の処方は、医師もしくは歯科医師が行う。
- 言語聴覚士 ―― 嚥下機能の評価
- 言語聴覚士は、言語機能や音声機能、摂食・嚥下機能などの検査・評価・訓練・指導等を行う。
- 薬剤師 ―― 摂食行動の評価
- 薬剤師は、調剤や医薬品の供給などを行う。
【問題41】 人工呼吸器による陽圧換気によって生じるのはどれか。
正解 4
- 肺水腫
- 脳内出血
- 胃液分泌の低下
- 心拍出量の低下
- 人工呼吸器による陽圧換気によって、胸腔内圧が上昇し、静脈還流は減少する。それに伴い、心拍出量の低下、血圧の低下、腎血流量低下による尿量の減少などが生じる。
【問題42】 手術中に下肢に弾性ストッキングを着用する主な目的はどれか。
正解 4
- 浮腫の軽減
- 筋力の維持
- 体温低下の予防
- 深部静脈血栓形成の予防
- 下肢を圧迫することで表在静脈に流れる血液を減少させ、深部静脈の血流量を増やし、深部静脈血栓形成を予防する。
【問題43】 外傷性脳損傷によって軽度記憶障害のある患者への認知リハビリテーションで適切なのはどれか。
正解 3
- 簡単な計算を取り入れる。
- 毎日新しい行動を試みる。
- 暗記の練習のときはメモを取る。
- メモやスケジュール帳、アラームなど、外的な補助手段を利用する。
- 視覚的なイメージより言葉のほうが記憶しやすい。
正解 2
- 酸素吸入
- 鎮痛補助薬の使用
- 無呼吸がみられており、呼吸抑制を増強させる可能性があるオピオイドの増量は難しい。神経因性疼痛には、抗けいれん薬や抗うつ薬などの鎮痛補助薬が有効である。
- モルヒネ注射薬の増量
- フェンタニル貼付剤の増量
【問題45】 慢性腎不全で透析導入を判断するときの指標となる検査はどれか。
正解 2
- 尿酸(UA)値
- 尿酸値は、高尿酸血症や痛風の指標として用いる。
- 糸球体濾過値(GFR)
- 透析導入基準には、臨床症状、腎機能、日常生活障害度を点数化したものが用いられる。腎機能の指標には、血清クレアチニンあるいはクレアチニンクリアランスが用いられる。
- 点滴静注腎盂造影(DIP)
- 点滴静注腎盂造影は、造影剤の点滴静注により、腎盂造影を行う検査である。腎臓、腎盂、尿管、膀胱などの機能や形状を調べ、腎機能障害や腫瘍・結石の有無、水腎症などの診断に用いる。
- PSP(フェノールスルホンフタレイン)15分値
- PSP試験は、静注したフェノールスルホンフタレイン(PSP)の尿中排泄量を測定し、腎血漿流量や近位尿細管機能を調べる検査である。15分値では、25%以上が正常値となる。
【問題46】 1年前にハチに刺された人が再びハチに刺された。起こる可能性のあるアレルギー反応はどれか。
正解 1
- I型アレルギー
- I型アレルギー反応によるアナフィラキシーショックが起こる可能性がある。
- II型アレルギー
- III型アレルギー
- IV型アレルギー
正解 3
- Volkmann(フォルクマン)拘縮の有無
- 中手指節(MP)関節の関節可動域
- 遠位部の血液循環の状態
- 再接着術の循環障害は、術後まもなくに起こりやすい。再接着部である遠位部の血液循環の状態を観察する必要がある。
- 接着部の瘢痕化
【問題48】 スパイロメトリーの結果による換気機能診断図を示す。
閉塞性換気障害と診断される分類はどれか。
正解 4
- A
- 拘束性換気障害である。肺の弾力性低下や肺容量の減少、呼吸筋の障害などにより肺活量が低下する。肺線維症、間質性肺炎、肺水腫などが該当する。
- B
- 正常である。
- C
- 混合性換気障害である。閉塞性と拘束性の両方を併せ持つ状態で、肺活量、一秒率ともに低下する。
- D
- 閉塞性換気障害である。気道の狭窄・閉塞によって、一秒率が低下する。慢性気管支炎、気管支喘息、肺気腫などが該当する。