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第102回看護師国家試験一般問題・状況設定問題解説(午後問題49〜68)

【問題49】 精神看護に関連する理論と理論家の組合せで正しいのはどれか。

正解 4

  1. 現存在分析 ―― フロイト,S.
    • 現存在分析は、ビンスワンガー,L.とボス,M.によって提唱された人間学的な心理治療の立場である。
  2. ストレス理論 ―― シュナイダー,K.
    • ストレス理論は、ハンス・セリエによって最初に提唱された。
  3. 精神発達理論 ―― オレム,D.
    • エリクソンは、精神発達理論にアイデンティティやモラトリアムを取り入れ、人間の発達段階を8つに分けたライフサイクル理論を提唱した。
  4. 患者-看護師関係 ―― ペプロウ,E.
    • ペプロウ,E.は、患者-看護師間における相互作用について、方向付けの段階、同一化の段階、開拓利用の段階、問題解決の段階の4段階に分けて述べている。

【問題50】 選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)について正しいのはどれか。

正解 2

  1. パニック障害に対する効果はない。
    • 抗うつ作用と抗不安作用を併せもっており、パニック障害にも適応する。
  2. 抗コリン作用は三環系抗うつ薬よりも弱い。
    • 便秘、胃部不快感、口渇、排尿困難などの抗コリン作用は、三環系抗うつ薬よりも弱い。
  3. うつ状態が改善したら直ちに使用を中止する。
    • 急に服薬を中止した場合、幻聴や頭痛、めまいなどの離脱症状が出現する可能性がある。
  4. 抗うつ効果の評価は投与開始後3日以内に行う。
    • 効果発現には、1〜2週間程度必要である。

【問題51】 リエゾン精神看護に関する説明で正しいのはどれか。

正解 4

  1. 直接ケアは含まれない。
  2. 精神疾患の既往のある患者は対象とならない。
  3. 看護師は必要に応じて精神病床への移動を指示できる。
  4. 身体疾患と精神的問題とを併せ持つ患者を対象とする。
    • リエゾンナース(精神看護専門看護師)は、精神科看護の知識や技術を持ち、身体疾患に伴う精神的問題を持つ患者や家族に対しての直接ケアやコンサルテーション、倫理調整、看護師のメンタルヘルス支援などを行う。

【問題52】 精神科病院に入院中の患者の法的処遇について正しいのはどれか。

正解 1

  1. 患者は退院を請求できる。
    • 精神科病院に入院中の者またはその保護者は、都道府県知事に対し、当該入院中の者を退院させ、または精神科病院の管理者に対し、その者を退院させることを命じ、もしくはその者の処遇の改善のために必要な措置を採ることを命じることを求めることができる。(精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第38条の4)
  2. 看護師は面会を制限できる。
  3. 保護者は外出の可否を判断できる。
  4. 精神保健指定医は手紙の発信を制限できる。

【問題53】 Aさん(19歳、女性)は、境界性人格(パーソナリティ)障害で入院している。病棟では、安全管理のため、個人用の爪切りをナースステーションで管理している。Aさんが自分の爪切りを使用した後、看護師が返却を求めると「主治医の先生は自分で持っていてもいいって言ったのよ」と攻撃的な口調で抵抗した。この日、主治医は不在であった。
Aさんへの対応として最も適切なのはどれか。

正解 4

  1. 「先生はそのようなことは言わないと思います」
  2. 「先生は不在なので、私の指示に従ってください」
  3. 「病棟の安全が守れないので退院していただきます」
  4. 「先生に確認がとれるまで、こちらでお預かりします」
    • 安全のため預かり、担当医に確認する。

【問題54】 Aさん(78歳)は、妻(76歳)と2人で暮らしている。糖尿病と診断されている。認知症ではない。主治医の指示で、インスリン自己注射を指導するために訪問看護が導入された。Aさんは「針が怖いから、看護師さんが注射をしてください」と言う。
Aさんへの訪問看護師の対応で適切なのはどれか。

正解 2

  1. 「針は細いので怖くないです」
  2. 「一緒に少しずつやっていきましょう」
    • インスリン自己注射は必須であり、自分でできるようになるよう、一緒に行いながら支援をする。
  3. 「注射ができないと家での療養は難しくなります」
  4. 「そうですね。Aさんも奥さんもしなくていいです」

【問題55】 介護保険法施行令において特定疾病に指定されているのはどれか。

正解 3

  1. 脊髄損傷
  2. Crohn(クローン)病
  3. 脳血管疾患
    • 介護サービスを利用できる第2号被保険者(40歳以上64歳以下の医療保険加入者)は、加齢に伴う特定疾病が原因となって、介護が必要であると認定された者に限られる。介護保険特定疾病には以下の16疾病が該当する。
      (1)がん(医師が一般に認められている医学的知見に基づき回復の見込みがない状態に至ったと判断したものに限る)
      (2)関節リウマチ
      (3)筋萎縮性側索硬化症
      (4)後縦靭帯骨化症
      (5)骨折を伴う骨粗しょう症
      (6)初老期における認知症
      (7)進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症及びパーキンソン病
      (8)脊髄小脳変性症
      (9)脊柱管狭窄症
      (10)早老症
      (11)多系統萎縮症
      (12)糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症および糖尿病性網膜症
      (13)脳血管疾患
      (14)閉塞性動脈硬化症
      (15)慢性閉塞性肺疾患
      (16)両側の膝関節又は股関節に著しい変形を伴う変形性関節症
  4. 大腿骨頸部骨折

【問題56】 Aさん(68歳)は要介護1で、1人で暮らしている。間質性肺炎のために在宅酸素療法が開始された。Aさんのサービス担当者会議で訪問看護師が行う提案で適切なのはどれか。

正解 2

  1. 炊事の禁止
  2. 毎日の体温測定
    • 感染症は間質性肺炎の急性増悪の誘因となる。感染の兆候を知るために、毎日体温を測定する。
  3. 1人での外出禁止
  4. 訪問入浴サービスの導入

【問題57】 Aさんは、要介護2で在宅療養をしている。仙骨部に2cm×3cmの水疱を形成した。この1週間、臥床していることが多くなり、食事摂取量も減ってきている。
訪問看護師がAさんの家族に行う提案として適切なのはどれか。

正解 1

  1. 体圧分散マットの使用
    • 褥瘡の発生・悪化を予防するために、褥瘡部位の体圧分散は有効である。
  2. 膀胱留置カテーテルの留置
    • 自力排尿が可能な間は、カテーテルの留置はしない。膀胱留置カテーテルは最終的な選択であり、安易に留置しない。
  3. 夜間の2時間ごとの体位変換
    • 本人、家族ともに充分な睡眠が必要であり、2時間ごとの体位変換は負担が大きい。
  4. 訪問介護への褥瘡処置の依頼
    • 褥瘡処置は訪問介護の範囲外である。

【問題58】 高齢者から生活史を聴取する方法として適切なのはどれか。

正解 4

  1. 家族の承諾を必須とする。
    • 家族の承諾は必要ではない。
  2. 認知機能の評価尺度を用いる。
    • 認知機能の評価を行うものではない。
  3. 事実とは異なる部分を修正する。
    • 本人の人生や歴史であり、例え不正確だったとしてもそのまま記録する。
  4. 高齢者自身の生きてきた時代背景を聴く。
    • 高齢者自身の生きてきた時代背景や出来事、経験などを聴取する。生活史を聴取することは、人生の再評価やアイデンティティーの強化につながる。

【問題59】 平成3年(1991年)に国際連合総会(国連総会)で決議された「高齢者のための国連原則」でないのはどれか。

正解 1

  1. 公平の原則
    • 高齢者のための国連原則は、1991年の国連総会で決議された高齢者の人権を保障するための原則である。「自立」「参加」「ケア」「自己実現」「尊厳」の5つを基本原理としている。
  2. 参加の原則
  3. 尊厳の原則
  4. 自己実現の原則

【問題60】 介護老人福祉施設に入居中の高齢者。認知症高齢者の日常生活自立度判定基準IV、四肢の麻痺はない。衣類の選択について最も適切なのはどれか。

正解 3

  1. 材質選びは本人に任せる。
  2. ボタンでとめる上着を選ぶ。
  3. 夜間就寝時には寝衣に着替える。
    • 着脱しやすく、肌を傷めにくい素材の衣類を選択する。昼夜の区別をつけ、メリハリのついた生活リズムをつけるためにも、夜間就寝時には寝衣に着替える。
  4. 皮膚の掻痒感があれば、つなぎ服を着用させる。

【問題61】 Aさん(80歳、女性)は、脳血管性認知症、Mini-Mental State Examination(MMSE)18点で施設に入所している。看護師が「お風呂に入りますよ」と声をかけると、Aさんは「男の人は入っていないか」と尋ねる。看護師が「男の人はいませんよ」と説明するが、Aさんは「本当にいないのか」と繰り返し、なかなか納得しない。
Aさんへの看護師の対応で最も適切なのはどれか。

正解 4

  1. 「男の人はいないから行きましょう」
  2. 「お風呂に入ったら気持ちよくなりますよ」
  3. 「遅くなるとお風呂に入れなくなりますよ」
  4. 「男の人がいないことを一緒に確認してみましょうか」
    • MMSE18点であることから、認知障害がある可能性が高い。否定せず、納得してもらうよう一緒に確認する。

【問題62】 加齢による身体生理機能の変化とそれによって影響を受ける薬物動態の組合せで正しいのはどれか。

正解 3

  1. 体内水分量の減少 ―― 代謝
    • 分布に影響する。加齢による体内水分量の減少によって、水溶性薬物の血中濃度が高くなりやすい。
  2. 体内脂肪量の増加 ―― 排泄
    • 分布に影響する。加齢による体内脂肪量の増加と筋肉量の減少によって、脂溶性薬物が体内に蓄積しやすい。
  3. 血清アルブミンの減少 ―― 分布
    • 分布に影響する。加齢による血清アルブミンの減少によって、薬物の血漿蛋白結合率は低下し、非結合薬物の血中濃度が上昇して薬物効果が増強する。
  4. 糸球体濾過値(GFR)の低下 ―― 吸収
    • 排泄に影響する。加齢による糸球体濾過値の低下によって、薬物の腎排泄が低下する。

【問題63】 介護保険サービスについて正しいのはどれか。

正解 4

  1. 福祉用具の貸与は無償で受けられる。
    • 1割の自己負担で福祉用具の貸与を受けられる。
  2. 要支援の高齢者は介護老人保健施設に入所できる。
    • 要支援者は施設サービスを受けられない。
  3. 小規模多機能型居宅介護では泊まり(ショートステイ)は提供しない。
    • 小規模多機能型居宅介護では、通い(デイサービス)を中心に利用しながら、訪問(訪問介護)や泊まり(ショートステイ)を組み合わせてサービスを受けられる。地域密着型サービスの1つである。
  4. 認知症対応型共同生活介護(グループホーム)ではユニットケアを実施している。
    • 認知症対応型共同生活介護(グループホーム)は、9名以下を1ユニットとして、ケアを提供している。

【問題64】 乳児健康診査を規定している法律はどれか。

正解 2

  1. 母体保護法
  2. 母子保健法
    • 乳児健康診査は、母子保健法に規定されている。市町村は、満1歳6か月を超え満2歳に達しない幼児、および満3歳を超え満4歳に達しない幼児に対し、健康診査を行わなければならない。また、市町村は、必要に応じ、妊産婦または乳児もしくは幼児に対して、健康診査を行い、または健康診査を受けることを勧奨しなければならない。
  3. 児童福祉法
  4. 児童虐待の防止等に関する法律

【問題65】 正常に経過している分娩第1期の産婦への説明で適切なのはどれか。

正解 3

  1. 「食事は摂らないようにしてください」
    • 体力を蓄えるためにも、食事を摂るとよい。
  2. 「ベッド上で安静にしていてください」
    • 安静の必要はない。散歩をするなど、リラックスして過ごすとよい。
  3. 「2、3時間に1回は排尿をしてください」
    • 膀胱の充満は、遷延分娩の原因となるので、2、3時間に1回は排尿をする。
  4. 「眠気を感じても眠らないようにしてください」
    • 体力を蓄えるためにも、眠れるときに眠っておく。

【問題66】 多胎妊娠で起こりやすい妊娠中の異常はどれか。

正解 1

  1. 早産
    • 多胎妊娠では、子宮内の容量が多くなるため早産となりやすい。また、貧血、妊娠高血圧症候群、羊水過多、微弱陣痛、弛緩出血なども起こりやすい。
  2. 妊娠悪阻
  3. 妊娠糖尿病
  4. ビタミンB12欠乏性貧血

【問題67】 Aさんは妊娠37週0日に骨盤位のため予定帝王切開術となった。術後の経過は母児ともに順調である。Aさんへの看護として適切なのはどれか。

正解 1

  1. 手術室で出生児と対面する。
    • 術後まもなく、手術室で対面する。
  2. 産褥2日に初回歩行をする。
    • 血栓予防のため、手術翌日には初回歩行をする。
  3. 産褥3日に初回授乳をする。
    • 産褥1〜2日に初回授乳をする。。
  4. 産褥4日以降に弾性ストッキングを履く。
    • 帝王切開術では静脈血栓塞栓症が起こりやすいので、術前から弾性ストッキングを履く。

【問題68】 子どもの運動機能の発達について正しいのはどれか。

正解 2

  1. 身体の下部から頭部の方向に進む。
    • 運動発達は頭部から脚部へ一定の順序と方向性がある。
  2. 全身的な動きから細かな動きへ進む。
    • 運動機能の発達とともに、全身的な動きから細かな動きへと進んでいく。
  3. 新生児期には遺伝より環境の影響を受ける。
    • 新生児期では遺伝的な影響の方が大きい。
  4. 反射運動は乳児期後期から幼児期にかけて活発になる。
    • 反射運動は乳児期に多くみられる。

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