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第103回看護師国家試験一般問題・状況設定問題解説(午前問題26〜48)

【問題26】 呼吸中枢の存在する部位はどれか。

正解 3

  1. 大脳
    • 大脳は、運動、言語、記憶、感覚などの中枢であり、全身からの情報を受け入れて判断し、全身に指令を送り出す。
  2. 小脳
    • 小脳の主な機能は知覚と運動機能の統合で、平衡・筋緊張・随意筋運動の調節等を司る。
  3. 延髄
    • 延髄には、呼吸運動、心臓血管運動、嚥下、嘔吐、咳、唾液分泌など、生命維持に必要である様々な中枢が存在する。
  4. 脊髄
    • 脊髄が中枢となって起こる反射を脊髄反射という。伸張反射や屈曲反射、交叉性伸展反射などがある。

【問題27】 骨格筋の収縮について正しいのはどれか。

正解 4

  1. 筋収縮のエネルギー源はADPである。
    • 筋収縮の直接的なエネルギー源となるのは、ATP(アデノシン三燐酸)である。
  2. 収縮力は関節が伸展した状態で最大となる。
    • 収縮力は関節が屈曲した状態で最大となる。
  3. 骨格筋は副交感神経の指令を受けて収縮する。
    • 骨格筋は体性運動神経の指令によって収縮する。
  4. アクチンがミオシン上を滑走して筋収縮が起こる。
    • 筋小胞体から放出されたカルシウムイオンによって、アクチンがミオシンの間に滑り込むことで筋収縮が起こる。

【問題28】 光を屈折する眼の構造はどれか。

正解 2

  1. 結膜
    • 結膜は、強膜の表面や眼瞼の内側を覆っている。粘液を分泌し、眼球に湿潤を与える。
  2. 角膜
    • 角膜は、光を眼球内に透過させて、光を屈折させている。
  3. 強膜
    • 強膜は、白く不透明な硬い膜で、眼球を一定のかたちに保ち、 眼球内へ不必要な光が入るの防ぐ。
  4. 網膜
    • 網膜に存在する視細胞が光刺激を受容し、神経信号に変換されて脳へと伝達される。

【問題29】 心臓の自動的収縮について正しいのはどれか。

正解 2

  1. 運動神経で促進される。
    • 交感神経で促進される。
  2. 興奮を伝える刺激伝導系がある。
    • 興奮を伝える刺激伝導系が存在する。洞房結節、房室結節、ヒス束、脚、プルキンエ線維の順で刺激が伝わる。
  3. ペースメーカーはHis(ヒス)束である。
    • ペースメーカーは洞房結節である。
  4. 中脳の血管運動中枢による支配を受ける。
    • 延髄の循環中枢(血管運動中枢)による支配を受ける。

【問題30】 左心室の収縮力を抑制するのはどれか。

正解 2

  1. アンジオテンシンII受容体拮抗薬
    • アンジオテンシンII受容体拮抗薬は、血管収縮作用のあるアンジオテンシンIIの受容体への結合を妨げ、血管を拡張させて血圧を低下させる。
  2. β遮断薬
    • β遮断薬は、交感神経の働きを抑制し、左心室の収縮力を弱めて心拍出量を減少させ、血圧を低下させる。
  3. 硝酸薬
    • 硝酸薬には、冠動脈および末梢血管拡張作用がある。心臓の前負荷、後負荷を軽減し、酸素需要を減少させ、酸素供給を増加させる。
  4. 利尿薬
    • 利尿薬は、利尿作用によって循環血液量を減少させ、前負荷を軽減し、血圧を低下させる。

【問題31】 味覚障害の原因となるのはどれか。

正解 1

  1. 亜鉛欠乏
    • 味覚障害の原因には、亜鉛欠乏性、薬剤性、全身性疾患、口腔疾患、心因性などがある。
  2. リン欠乏
  3. カリウム欠乏
  4. マグネシウム欠乏

【問題32】 間欠性跛行が出現するのはどれか。

正解 4

  1. 動脈塞栓症
  2. 血栓性静脈炎
  3. 深部静脈血栓症
  4. 閉塞性動脈硬化症
    • 間欠性跛行とは、歩行の持続などで下肢に負担をかけることによって、下肢に痛みやしびれを覚えるが、一時安静にすることで症状が軽減し、再び歩行可能となるものである。閉塞性動脈硬化症や腰部脊柱管狭窄症でみられる。

【問題33】 胃癌についての組合せで正しいのはどれか。

正解 3

  1. 腎臓転移 ―― Wilms(ウィルムス)腫瘍
    • ウィルムス腫瘍は、小児に発生する原発性腎腫瘍である。
  2. 肝臓転移 ―― Schnitzler(シュニッツラー)転移
    • シュニッツラー転移とは、胃癌のダグラス窩(直腸子宮窩)への播種性転移である。
  3. 卵巣転移 ―― Krukenberg(クルッケンベルグ)腫瘍
    • クルッケンベルグ腫瘍は、胃癌の卵巣への直接浸潤である。
  4. 胃周囲リンパ節転移 ―― Virchow(ウィルヒョウ)転移
    • ウィルヒョウ転移は、胃癌の左鎖骨上窩リンパ節への転移である。

【問題34】 腎盂腎炎について正しいのはどれか。

正解 3

  1. 両腎性である。
    • 通常、片腎性である。
  2. 初尿を用いて細菌培養を行う。
    • 外尿道や膣由来の成分の混入を防ぐため、中間尿を用いる。
  3. 肋骨脊柱角の叩打痛が特徴である。
    • 肋骨脊柱角の叩打痛や悪寒戦慄、発熱、全身倦怠感などがみられる。
  4. 原因菌はGram(グラム)陽性球菌が多い。
    • 原因菌は、大腸菌などのグラム陰性桿菌が多い。

【問題35】 介護保険の第1号被保険者について正しいのはどれか。

正解 2

  1. 予防給付対象者は要介護1である。
    • 予防給付対象者は、要支援1および要支援2である。
  2. 保険料は所得段階別の定額である。
    • 第1号被保険者は所得段階別の定額保険料である。第2号被保険者の保険料は、加入している医療保険者ごとに算定される。
  3. 医療保険者が保険料を徴収する。
    • 第1号被保険者は市町村が保険料を徴収する。第2号被保険者は医療保険者が保険料を徴収する。
  4. 対象は60歳以上である。
    • 第1号被保険者は65歳以上の者である。第2号被保険者は40歳以上65歳未満の医療保険加入者である。

【問題36】 平成21年(2009年)健やか親子21の第2回中間評価において、今後5年間で重点的に推進するとされたのはどれか。

正解 1

  1. 子どもの心の問題への取り組みの強化
    • 健やか親子21の第2回中間評価において、今後5年間で以下の4点について重点的に推進するとされている。
      ・思春期の自殺の防止を含む子どもの心の問題への取組の強化
      ・産婦人科医師、助産師、新生児科医師等の産科医療・周産期医療を担う人材の確保
      ・全出生数に占める低出生体重児の割合の低下に向けた取組の強化
      ・子どもの虐待防止対策の更なる強化
  2. 低出生体重児の養育支援の強化
  3. へき地医療を担う人材の確保
  4. 障害の早期発見の強化

【問題37】 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律に基づく入院形態でないのはどれか。

正解 3

  1. 任意入院
    • 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律に基づく入院形態である。患者本人の同意に基づく入院で、精神科病院の管理者は、患者から自ら入院する旨を記載した書面を受けなければならない。
  2. 応急入院
    • 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律に基づく入院形態である。応急入院指定病院の管理者は、精神保健指定医の診察の結果、直ちに入院させなければ医療及び保護を図る上で著しく支障があり、任意入院が行われる状態にないと判定された者について、保護者の同意を得ることができない場合は、本人の同意がなくても72時間に限り入院させることができる。
  3. 勧告入院
    • 勧告入院は、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律に基づいている。都道府県知事は、一類感染症のまん延を防止するため必要があると認めるときは、当該感染症の患者に対し特定感染症指定医療機関若しくは第一種感染症指定医療機関に入院し、又はその保護者に対し当該患者を入院させるべきことを勧告することができる。
  4. 医療保護入院
    • 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律に基づく入院形態である。精神科病院の管理者は、精神保健指定医の診察の結果、医療及び保護のため入院の必要があり、任意入院が行われる状態にないと判定された者について、保護者の同意があれば本人の同意がなくても入院させることができる。

【問題38】 救急医療体制とその内容の組合せで正しいのはどれか。

正解 1

  1. 初期救急医療体制 ――― 休日・夜間急患センター
    • 休日夜間急患センターは、区市町村が設置主体となり、休日や夜間の患者に対応する、初期救急医療体制である。
  2. 第2次救急医療体制 ――― 高度の診療機能を持つ24時間救命救急センター
    • 高度の診療機能を持つ24時間救命救急センターは、第3次救急医療体制である。
  3. 第3次救急医療体制 ――― 在宅当番医
    • 在宅当番医は、地域の病院や診療所の医師が当番を決めて夜間や休日の患者に対応する、初期救急医療体制である。
  4. 広域救急患者搬送体制 ――― へき地巡回診療車
    • 広域救急患者搬送体制は、ヘリコプターを活用した救急搬送などである。

【問題39】 クリティカルシンキングで適切なのはどれか。

正解 4

  1. 直観的アプローチである。
  2. 主観的情報を重視した考え方である。
  3. 物事を否定的にみる思考過程である。
  4. 根拠を持ち実践することを可能にする。
    • クリティカルシンキングとは、与えられた情報を鵜呑みにせず、複数の視点から注意深く、論理的かつ構造的に考えることである。批判的思考とも呼ばれるが、ここでの「批判的」とは、情報を分析したり、見分けるという意味である。情報を集め客観的に分析することで、憶測ではなく根拠に基づいた判断ができ、問題解決につなげることができる。

【問題40】 立位の腹部エックス線写真を示す。この状態で出現している所見はどれか。

第103回看護師国家試験一般問題解説40図

正解 3

  1. 体液波動
    • 腹水の貯留があるときは、触診で波動が認められる。
  2. 皮膚線条
    • 皮膚線条は、ステロイド薬の副作用などでみられる。
  3. 腹部膨満
    • イレウス時は、立位腹部単純X線でニボー像(鏡面像)がみられる。上方にガス、下方に腸管内液が溜まり、ガスと液体の境目が直線になって写る。
  4. 皮下静脈の怒張
    • 皮下静脈の怒張は、門脈圧亢進症などでみられる。

【問題41】 無菌室で使用する物品とその滅菌方法の組合せで適切なのはどれか。

正解 2

  1. ビニール袋に入った菓子 ――― 酸化エチレンガス滅菌
    • 酸化エチレンガス滅菌は、ゴム製やプラスチック製の滅菌に適している。
  2. ステンレス製のスプーン ――― 高圧蒸気滅菌
    • 高圧蒸気滅菌は、金属製、磁製、ガラス製、ゴム製、紙製、繊維などに適応される。
  3. プラスチック製の箸 ――― 乾熱滅菌
    • 乾熱滅菌は、金属製、磁器、ガラス製などに使用されるが、プラスチック製には適さない。
  4. 紙製の絵本 ――― 低温プラズマ滅菌
    • 低温プラズマ滅菌では、紙製は滅菌不可である。

【問題42】 看護師の作業時の姿勢と作業台を図に示す。腰部の負担が最も小さいのはどれか。

正解 1

  1. 第103回看護師国家試験一般問題解説42図1
    • 腰部の負担を軽くするため、基底面積を広く保って立位を安定させ、重心線は基底面の内側におく。
  2. 第103回看護師国家試験一般問題解説42図2
  3. 第103回看護師国家試験一般問題解説42図3
  4. 第103回看護師国家試験一般問題解説42図4

【問題43】 前腕の動きを肩部上方から撮影した写真を示す。前腕の回外を示すのはどれか。

第103回看護師国家試験一般問題解説43図

正解 3

  1. 第103回看護師国家試験一般問題解説43図1
    • 外転である。
  2. 第103回看護師国家試験一般問題解説43図2
    • 内転である。
  3. 第103回看護師国家試験一般問題解説43図3
    • 回外である。
  4. 第103回看護師国家試験一般問題解説43図4
    • 回内である。

【問題44】 胸壁を呼気時に圧迫して気道分泌物の移動を促す手技はどれか。

正解 3

  1. 振動法
  2. 咳嗽誘発法
  3. スクイージング
    • スクイージングとは、呼気時に胸壁を圧迫することにより呼気の流速を高め、気道分泌物の移動を促す手技である。
  4. 用手的呼吸介助法

【問題45】 創傷の治癒過程における増殖期の状態はどれか。

正解 3

  1. コラーゲンが成熟する。
    • 成熟期の状態である。
  2. 基底細胞が創面を覆い始める。
    • 成熟期の状態である。
  3. 血管内皮細胞が新しい血管を形成する。
    • 増殖期の状態である。
  4. マクロファージによって創内の細菌が排除される。
    • 炎症期の状態である。

【問題46】 動脈性外出血の止血帯を用いた間接圧迫法について適切なのはどれか。

正解 1

  1. 圧迫開始時刻を記載する。
    • 長時間の圧迫は神経麻痺や細胞の壊死を招くため、圧迫開始時刻の記載は重要である。
  2. 幅が1cmの止血帯を用いる。
    • 出血部位より心臓に近い側の動脈を幅3cm以上の止血帯を用いて圧迫する。
  3. 動脈圧より低い圧を加える。
    • 動脈圧より高い圧でなければ止血できない。
  4. 圧迫は2時間に1回緩める。
    • 神経麻痺や壊死を防ぐため、30分に1回は圧迫を緩め、血流の再開を図る。

【問題47】 在宅医療が必要な患者の退院調整について適切なのはどれか。

正解 2

  1. 医師が退院調整の決定権をもつ。
    • 退院調整は多職種が連携して行う。
  2. 退院調整は入院時から開始する。
    • 入院時から退院調整が開始される。
  3. 退院時に診療録を訪問看護師に渡す。
    • 診断名や入院時の症状、所見、入院後の経過など、入院時の情報をまとめた退院サマリーを作成する。
  4. 退院前の訪問指導は診療報酬の評価の対象ではない。
    • 退院前の訪問指導も診療報酬の評価の対象である。

【問題48】 成人の身体の特徴について正しいのはどれか。

正解 2

  1. 加齢に伴う聴力の低下は、低音で現れやすい。
    • 加齢に伴う聴力の低下は、高音で現れやすい。
  2. 青年期は、成人期の中で基礎代謝量が最も高い。
    • 成人期において基礎代謝量が最も高いのは青年期である。
  3. 眼の調節力の低下は、硝子体の弾力性低下が原因である。
    • 眼の調節力の低下は、水晶体の弾力性低下が原因である。
  4. 女性の更年期障害は、テストステロンの分泌低下が原因である。
    • 女性の更年期障害は、エストロゲンの分泌低下が原因である。

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