第103回看護師国家試験一般問題・状況設定問題解説(午前問題49〜68)
【問題49】 術後合併症で術前の喫煙と最も関連が強いのはどれか。
正解 3
- 尿閉
- イレウス
- 手術部位感染
- ニコチンにより創部の末梢循環が障害されて創傷の治癒が妨げられるため、感染のリスクが増大する。
- ダンピング症候群
【問題50】 心電図モニターで不整脈の変化がみられた。このときの心電図を示す。初期対応で適切なのはどれか。
正解 1
- 胸骨圧迫を行う。
- 心停止の状態であり、心肺蘇生法が必要である。直ちに胸骨圧迫を行い、除細動器を使用する。
- 体表面ペーシングを準備する。
- 自覚症状がなければ経過観察をする。
- 自覚症状と血圧を医師に報告して指示を待つ。
【問題51】 Aさん(56歳)は、膵癌で幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を受け、膵臓は約1/3になった。経過は良好である。Aさんの消化吸収機能で正しいのはどれか。
正解 1
- 脂肪吸収が低下する。
- 膵臓の切除によってリパーゼの分泌量が減少するため、脂肪吸収は低下する。
- ビタミンの吸収障害が起こる。
- 腸管への胆汁分泌が障害された場合は、脂溶性ビタミンの吸収障害が起こる。
- 蛋白質が小腸粘膜から漏出する。
- 蛋白漏出性胃腸症では蛋白質の漏出がみられる。
- 炭水化物を消化する能力は低下しない。
- 膵臓の切除によってアミラーゼの分泌量が減少するため、炭水化物の消化能力は低下する。
正解 2
- 糖尿病
- 糖尿病の診断基準は、空腹時血糖126mg/dl以上、HbA1c6.5%以上であり、正常範囲である。
- 易感染
- 副腎皮質ステロイドの副作用には易感染があり、それによって膿瘍が発症したと考えられる。
- 高血圧症
- 膿瘍の発症には関与しない。
- 創傷治癒遷延
- 膿瘍の発症によって創傷治癒が遷延することはあるが、創傷治癒遷延によって膿瘍が発症するわけではない。
【問題53】 運動神経の刺激の伝達経路を図に示す。Guillain-Barre(ギラン・バレー)症候群で主に障害される部位はどれか。
正解 2
- ア
- 上位運動ニューロンである。原発性側索硬化症などで障害される。
- イ
- 下位運動ニューロンである。ギランバレー症候群や脊髄性筋萎縮症などで障害される。
- ウ
- 神経筋接合部である。重症筋無力症などで障害される。
- エ
- 筋肉である。筋ジストロフィーなどで障害される。
【問題54】 広汎子宮全摘術後の性機能障害に対する看護で適切なのはどれか。
正解 1
- 性生活に関する指導はパートナーにも行う。
- 性生活にはパートナーの理解と協力が不可欠である。また、患者自身だけでなくパートナーも性生活に対する不安を抱える場合もある。正しく理解し、不安を軽減させるためにも、指導はパートナーにも行う。
- 性行為は手術後約2週間で再開できると説明する。
- 術後の回復にもよるが、性行為を再開できるのは術後約2か月ほどである。
- 腟が乾燥している場合は、性行為を避けるよう説明する。
- 膣の乾燥は潤滑ゼリーなどの使用で対処でき、性行為を避ける必要はない。
- 性に対する不安を患者が表出するまで、性の話題を避ける。
- 性に関しては羞恥心を伴い患者からは質問しづらいので、退院指導に入れておくとよい。
正解 4
- 高齢者の価値を認めるものである。
- 高齢者の権利を擁護するものである。
- 高齢者を生活環境の違いで区別するものである。
- 高齢者という理由で不当な扱いをするものである。
- エイジズムとは、年齢を理由に個人や集団を不利に扱ったり差別することである。
正解 3
- 「難聴は治りますよ」
- 老人性難聴は、老化に伴う感音性難聴であり、不可逆的である。
- 「文字盤を利用しましょう」
- 全く聞こえないわけではないので、文字盤を利用する必要はない。
- 「一度補聴器を試してみましょう」
- 患者が少しでも前向きに考えられるよう、補聴器の使用を試すことを提案する。
- 「聞こえないとますます孤立しますよ」
- 孤立するなどと言うのは不適切である。
正解 4
- 感染が原因である。
- 老人性皮膚掻痒症の原因は、加齢に伴う皮膚の乾燥である。
- 高温多湿な夏季に多発する。
- 空気が乾燥する冬季に多い。
- 硫黄入り入浴剤の使用で改善する。
- 硫黄分が皮脂の分泌を抑え皮膚を乾燥させるので、硫黄入り入浴剤は使用しない。
- 入浴後に保湿クリームの使用を勧める。
- 加齢によって皮脂や角質の水分保持機能が低下していることが皮膚乾燥の原因であるので、入浴後に保湿クリームを使用するとよい。
正解 4
- 電気けいれん療法は行わない。
- 電気けいれん療法を行うことはある。
- 認知症との区別はつきやすい。
- 認知機能に影響するため、認知症との区別がつきにくい。
- 三環系抗うつ薬を第一選択薬とする。
- 第一選択薬には、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)やSNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)が用いられる。
- 若年者と比べて身体症状の訴えが多い。
- めまいやしびれ、動悸、食欲低下、不眠などの身体症状が強く出るため、身体の不調を訴えることが多い。
【問題59】 高齢者が自身の終末期における生き方や死の迎え方の意向を表示する方法としてのアドバンスディレクティブ(事前指示)について正しいのはどれか。
正解 3
- 法的な拘束力がある。
- 法的拘束力はない。
- 代理人を指名できない。
- 代理人を指名することができる。
- 口頭や文書で意思表示できる。
- アドバンスディレクティブ(事前指示)とは、患者の意思決定能力がなくなった時の治療の選択を口頭や文書で示しておくものである。
- 財産の管理者の指定ができる。
- 財産の管理者の指定はできない。
【問題60】 平成22年(2010年)国民生活基礎調査で、同居している主な介護者のストレスや悩みの原因で最も割合の高いのはどれか。
正解 2
- 自分の仕事
- 自分の仕事は男性21.0%、女性13.6%である。
- 家族の病気や介護
- 家族の病気や介護は男性68.7%、女性74.5%で、男女ともに最も割合が高い。
- 家族との人間関係
- 家族との人間関係は男性13.4%、女性23.3%である。
- 自由にできる時間がない
- 自由にできる時間がないは男性13.4%、女性21.7%である。
正解 1
- 新生児の全睡眠におけるレム睡眠の割合は約50%である。
- 新生児のレム睡眠の割合は全睡眠の約50%を占め、乳児40%、幼児20〜25%と成長に伴いレム睡眠の割合は減少していく。
- 乳児の睡眠は単相性である。
- 乳児の睡眠は多相性である。成長に伴い単相性に移行する。
- 成長に伴いレム睡眠が増加する。
- 成長に伴いレム睡眠は減少し、ノンレム睡眠が増加する。
- 10歳ころから成人と同じ睡眠覚醒リズムになる。
- 5歳ころから成人と同じ睡眠覚醒リズムになる。
【問題62】 小児の一次救命処置において推奨される胸骨圧迫の速さ(回数)はどれか。
正解 2
- 少なくとも約80回/分
- 少なくとも約100回/分
- 推奨される胸骨圧迫の速さは、成人の場合と同様、1分間当たり少なくとも約100回である。
- 少なくとも約120回/分
- 少なくとも約140回/分
【問題63】 若年性特発性関節炎で入院している子どもの看護で適切なのはどれか。
正解 3
- 発疹が出現している間は隔離する。
- 感染性ではないので隔離する必要はない。
- Raynaud(レイノー)現象の観察をする。
- レイノー現象は、寒冷刺激や精神的緊張によって、四肢末梢部の小動脈が発作的に収縮して血流が悪化することで起こる四肢皮膚の色調変化である。膠原病、特に強皮症で多くみられる。
- 強い関節痛があるときは局部を安静に保つ。
- 強い関節痛があるときは無理に動かさず安静を保つのが適切である。
- 朝のこわばりのある関節部位に冷湿布を貼用する。
- こわばりのある関節部位には温罨法が効果的である。
【問題64】 妊娠期の不快症状と予防の組合せで適切なのはどれか。
正解 4
- 下肢のけいれん ――― 葉酸の摂取
- 下肢のけいれんは、疲労や血液循環の悪化、カルシウム不足などによって起こる。下肢のマッサージやカルシウムの摂取をするとよい。
- つわり ――― においの強い食事の摂取
- においの強い食事はつわりを誘発するので避ける。また、起床時や空腹時に起こりやすいため、食べたいものをこまめに少量ずつ摂取し、空腹を避けるようにする。
- 便 秘 ――― 緩下薬の服用
- プロゲステロンの影響や増大した子宮による腸管圧迫などによって便秘が起こりやすくなる。予防には食物繊維の摂取や適度な運動が効果的である。
- 腰痛 ――― 硬めのマットレス使用
- 妊娠中は重心の前方移動やホルモン分泌による骨盤の緩みによって腰痛が起こりやすくなる。ローヒールの靴、骨盤ベルトの着用、硬めの寝具の使用などが予防に適切である。
正解 2
- 分娩開始は、陣痛が15分間隔に起こった時点とする。
- 分娩開始は、陣痛周期が10分以内になった時点、または1時間に6回以上になった時点とする。
- 発露は、胎児先進部が陰裂間に常に見えている状態である。
- 児頭が陣痛発作時に見え、間欠時に隠れる状態を排臨といい、胎児先進部が陰裂間に常に見えている状態を発露という。
- 分娩第2期は、破水から胎児が娩出するまでの期間である。
- 分娩第2期は、子宮口全開大から胎児が娩出するまでである
- 分娩第4期は、胎盤娩出から会陰縫合術の終了までの期間である。
- 分娩終了後の約2時間を分娩第4期という。
正解 2
- ラクトアルブミンが少ない。
- 初乳にはラクトアルブミンやラクトグロブリンが多く含まれている。
- IgAの含有量が多い。
- 成乳に比べ初乳には免疫グロブリンIgAなどの蛋白質が豊富に含まれている。
- 粘稠度が低い。
- 成乳に比べ初乳は粘稠度が高い。また、βカロチンを多く含んでいるため黄色味を帯びている。
- 乳糖が多い。
- 初乳に含まれている乳糖は成乳よりも少ない。
【問題67】 Aさんは妊娠28週で子宮内胎児死亡のため死児を出産した。翌日、児との面会で、Aさんは「ごめんね」と言い、身動きせずにじっと児を見つめていた。Aさんへの看護師の対応で最も適切なのはどれか。
正解 1
- 「つらいですよね」
- 現実を受け入れられずショックや自責の念を感じている状態であり、励ましの言葉はかえって傷つけることにもなる。共感の姿勢で接し、深い悲しみを理解することが大切である。
- 「早く忘れましょう」
- 「元気を出してください」
- 「次の妊娠について考えましょう」
正解 1
- 幻味
- 幻味とは、幻覚の一種で、食べ物が変な味に感じたり、実際にはない味を感じることをいう。統合失調症などでみられる知覚障害である。
- 離人症
- 離人症とは、自分自身の感情や行動、身体、自分の外の世界に対して現実感を喪失した状態である。精神障害や極度の疲労時にみられる。
- 注察妄想
- 注察妄想とは、被害妄想の一種で、自分が常に周囲から見られている、監視されていると思い込むことをいう。統合失調症などでみられる。
- 観念奔逸
- 観念奔逸とは、観念が活発に次から次へと現れてくるために、思考が逸れて目的観念を失う状態である。躁状態でよくみられる。