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第103回看護師国家試験一般問題・状況設定問題解説(午後問題69〜90)

【問題69】 精神疾患患者の家族の感情表出(expressed emotion:EE)について正しいのはどれか。

正解 3

  1. 家族の訴えが明確になる。
  2. 認知行動療法の技法である。
  3. 統合失調症の再発に関連がある。
    • 家族の感情表出(expressed emotion:EE)は、統合失調症の再発に大きな影響を与える。「批判的コメント」「敵意」「情緒的な巻き込まれすぎ(過保護・過干渉)」などの感情表出が多い家族(高EE)の場合、低EE家族に比べて再発率が著しく高い。
  4. 家族のストレス対処として効果的である。

【問題70】 Aさん(21歳、男性)は、統合失調症と診断され、入院してハロペリドールの投与が開始された。入院後3日、39.5℃の急激な発熱、発汗、筋固縮および意識障害を認めた。Aさんの状態で考えられるのはどれか。

正解 2

  1. 昏迷
  2. 悪性症候群
    • 向精神薬の重篤な副作用に悪性症候群がある。悪性症候群では、発熱、発汗、頻脈、筋固縮、振戦、流涎、無動、意識障害などの症状がみられる。
  3. てんかん発作
  4. 静座不能(アカシジア)

【問題71】 訪問看護師が、在宅医療に移行する患者の退院調整のために医療機関の看護師から得る情報で、優先度が高いのはどれか。

正解 1

  1. 医療処置の指導内容
    • 在宅医療に移行するにあたり、病院で行われていた医療処置の指導内容を得る必要がある。
  2. 経済的な問題への対応
  3. 介護サービス利用の有無
  4. 訪問看護指示書の記載内容

【問題72】 健康保険法による訪問看護サービスで正しいのはどれか。

正解 3

  1. サービス対象は65歳以上である。
    • 健康保険法による訪問看護サービスでは、利用者の年齢制限はない。
  2. 介護支援専門員がケアプランを作成する。
    • 健康保険法による訪問看護サービスは、医師の訪問看護指示書に基づいて行われる。介護支援専門員がケアプランを作成するのは、介護保険法によるものである。
  3. 末期の悪性腫瘍の療養者への訪問回数に制限はない。
    • 医療保険の訪問看護の回数は原則週3回までであるが、末期の悪性腫瘍、厚生労働大臣が定める疾病等の場合は、回数の制限はない。
  4. 特定疾患医療受給者証を持っている者は自己負担額1割である。
    • 特定疾患医療受給者証を持っている者は、保険診療の自己負担分の一部が公費負担となる。負担額は所得に応じて決まる。

【問題73】 Aさんは、1人で暮らしている。血管性認知症があり、降圧薬を内服している。 要介護1で、週3回の訪問介護と週1回の訪問看護を利用している。最近では、Aさんは日中眠っていることが多く、週1回訪ねてくる長男に暴言を吐くようになっている。Aさんの長男の話を傾聴した上で、訪問看護師の長男への対応で最も適切なのはどれか。

正解 1

  1. デイサービスの利用を提案する。
    • 他者と触れ合うことは適度な刺激となり、脳の活性化、意欲低下の防止にもつながるため、デイサービスなどの社会資源の活用を提案する。
  2. Aさんを怒らせないように助言する。
  3. Aさん宅に行かないように助言する。
  4. 薬の内服介助をするように提案する。

【問題74】 在宅酸素療法(1l/分24時間)を行っている療養者の居住地域で2週間後に日中3時間の停電が予定されている。停電への対応で最も適切なのはどれか。

正解 4

  1. 事前の呼吸訓練
  2. 医療機関への入院
  3. 自家発電器の購入
  4. 携帯用酸素ボンベの準備
    • 3時間の停電であれば、携帯用酸素ボンベで対応できる。

【問題75】 病院における医療安全管理体制で正しいのはどれか。

正解 3

  1. 特定機能病院の医療安全管理者は兼任でよい。
    • 特定機能病院は専任の医療安全管理者の配置が義務づけられている。
  2. 医療安全管理のために必要な研修を3年に1度行う。
    • 医療安全管理のために必要な研修を年2回程度定期的に開催する。
  3. 医療安全管理のための指針を整備しなければならない。
    • 医療に係る安全管理のための指針を整備しなければならない。
  4. 医薬品安全管理責任者の配置は義務づけられていない。
    • 医薬品安全管理責任者の配置が義務づけられている。

【問題76】 大規模災害時のトリアージで緊急度が最も高いと判断されるのはどれか。

正解 2

  1. 下腿に創傷があるが補助があれば歩行できる。
    • 今すぐの処置や搬送の必要ないものである。トリアージタッグは緑である。
  2. 自発呼吸はあるが橈骨動脈は触知できない。
    • 最優先治療群である。生命に関わる重篤な状態で、救命の可能性があり、最優先で治療を行うべきものである。トリアージタッグは赤である。
  3. 気道確保しても自発呼吸がない。
    • 死亡、または救命不可能と判断される。トリアージタッグは黒である。
  4. 開眼・閉眼の指示に応じる。
    • ただちに生命が脅かされる状態ではないが、処置が必要なものである。トリアージタッグは黄である。

【問題77】 災害の慢性期(復興期)における避難所内の看護師の役割で最も適切なのはどれか。

正解 2

  1. 住宅支援
    • 慢性期における支援であるが、看護師の役割ではない。
  2. 感染予防
    • 不衛生な環境や抵抗力の低下などによって、感染症を発症しやすくなるため、感染予防が重要である。
  3. 安全な避難と誘導
    • 急性期における支援である。
  4. 居住スペースの確保
    • 急性期における支援である。また、看護師の役割とはいえない。

【問題78】 国際連合児童基金(UNICEF)の報告(2006年)による5歳未満児の死亡率が最も高い地域はどれか。

正解 1

  1. アフリカ
    • 5歳未満児の死亡率が最も高い地域はアフリカであり、肺炎、下痢、マラリアが主な死因となっている。
  2. 東南アジア
  3. 北アメリカ
  4. 東ヨーロッパ

【問題79】 Aさんは、3年前に来日した外国人でネフローゼ症候群のため入院した。Aさんは日本語を話し日常会話には支障はない。Aさんの食事について、文化的に特定の食品を食べてはいけないなどの制限があるがどうしたらよいかと、担当看護師が看護師長に相談した。担当看護師に対する看護師長の助言で最も適切なのはどれか。

正解 4

  1. 日本の病院なので文化的制限には配慮できないと話す。
  2. 文化的制限は理解できるが治療が最優先されると話す。
  3. Aさんの友人から文化的制限に配慮した食事を差し入れてもらうよう話す。
  4. 文化的制限に配慮した食事の提供が可能か栄養管理部に相談するよう話す。
    • 患者の文化的背景を尊重し、対応する姿勢が求められる。

【問題80】 血液検査で抗凝固剤が入っている採血管を使用するのはどれか。

正解 1

  1. 血球数
    • 血液が凝固してしまうと血球数が測定できないため、抗凝固剤が入っている採血管を使用する。
  2. 電解質
  3. 中性脂肪
  4. 梅毒抗体
  5. 交差適合試験

【問題81】 市町村の業務でないのはどれか。

正解 5

  1. 妊娠届の受理
    • 市町村の業務である。
  2. 母子健康手帳の交付
    • 市町村の業務である。
  3. 乳児家庭全戸訪問事業
    • 市町村の業務である。
  4. 3歳児健康診査
    • 市町村の業務である。
  5. 小児慢性特定疾患公費負担医療給付
    • 小児慢性特定疾患公費負担医療給付は、小児慢性特定疾患治療研究事業における業務であり、実施主体は都道府県、指定都市及び中核市である。

【問題82】 糖尿病神経障害のある患者へのフットケアの説明で適切なのはどれか。

正解 2

  1. 「靴は大きめのサイズがよいです」
    • 大きめのサイズの靴は、靴ずれができやすいので避ける。
  2. 「靴下を履くようにしてください」
    • 外傷予防のため、素足を避け、靴下を履くようにする。靴下は、通気性がよく、締め付けのないものを選ぶ。
  3. 「1週間に1回は足の観察をしてください」
    • 足の観察は毎日行う。
  4. 「足の傷は痛くなったら受診してください」
    • 神経障害によって感覚が鈍くなりやすいので、傷ができたら受診する。
  5. 「外出後は足をアルコールで消毒しましょう」
    • 熱すぎないお湯で足を洗浄し、清潔を保つ。

【問題83】 IV型(遅延型)アレルギー反応について正しいのはどれか。2つ選べ。

正解 3,5

  1. IgE抗体が関与する。
    • IgE抗体が関与するのは、I型アレルギー反応である。
  2. 肥満細胞が関与する。
    • 肥満細胞が関与するのは、I型アレルギー反応である。
  3. Tリンパ球が関与する。
    • IV型アレルギー反応は、細胞性免疫機序によるアレルギー反応で、抗原に感作したT細胞が関与する。
  4. ヒスタミンが放出される。
    • ヒスタミンが放出されるのは、I型アレルギー反応である。
  5. ツベルクリン反応でみられる。
    • IV型アレルギー反応には、ツベルクリン反応や接触性皮膚炎、移植免疫反応などが該当する。

【問題84】 肝硬変でみられる検査所見はどれか。2つ選べ。

正解 3,4

  1. 血小板増多
    • 肝硬変では、脾臓の機能亢進やトロンボポエチンの産生低下によって血小板は減少する。
  2. 尿酸値上昇
    • 肝硬変では、肝機能低下によって尿素窒素が低値となる。
  3. 血清アルブミン値低下
    • 肝硬変では、アルブミン合成能が低下し、血清アルブミン値は低下する。
  4. 血中アンモニア値上昇
    • 肝硬変では、アンモニアを尿素に変換する機能が低下するため、血中アンモニア値は上昇する。
  5. プロトロンビン時間短縮
    • 肝硬変では、血液凝固因子の産生低下によってプロトロンビン時間が延長する。

【問題85】 膀胱留置カテーテル挿入中のシャワー浴について適切なのはどれか。2つ選べ。

正解 1,5

  1. 実施前に蓄尿バッグを空にする。
    • シャワー浴の前に蓄尿バッグを空にする。
  2. シャワー中はカテーテルを閉鎖する。
    • シャワー中もカテーテルは閉鎖せず、蓄尿バッグにつないだままにする。
  3. 蓄尿バッグは腰より高い位置にかける。
    • 尿の逆流を防止するため、蓄尿バッグは膀胱より低い位置に置く。
  4. 終了後は挿入部をエタノールで消毒する。
    • カテーテルの挿入部の消毒は不要である。
  5. 終了後はカテーテルを固定するテープの位置を変える。
    • 皮膚刺激による皮膚トラブルやカテーテル周囲からの尿漏れを予防するため、カテーテルの固定位置は毎日変更する。

【問題86】 潰瘍性大腸炎と比べたCrohn(クローン)病の特徴について正しいのはどれか。2つ選べ。

正解 1,2

  1. 悪性化の頻度は低い。
    • クローン病は潰瘍性大腸炎に比べて悪性化の頻度は低い。
  2. 瘻孔を併発しやすい。
    • クローン病では腸壁全層に炎症が及ぶため、瘻孔を併発しやすい。
  3. 初発症状は粘血便である。
    • 潰瘍性大腸炎では、粘血便がみられる。
  4. 炎症は大腸に限局している。
    • クローン病では、口腔から肛門まで消化管のどの部位にも炎症は起こりえる。好発部位は、小腸末端部である。
  5. 好発年齢は50歳以上である。
    • クローン病は主に若年者にみられる。

【問題87】 抗甲状腺ホルモン薬の副作用はどれか。2つ選べ。

正解 4,5

  1. 多毛
    • 多毛は、副腎皮質ステロイドの副作用でみられる。
  2. 眼球突出
    • 眼球突出は、甲状腺機能亢進症の症状でみられる。
  3. 中心性肥満
    • 中心性肥満は、副腎皮質ステロイドの副作用でみられる。
  4. 肝機能障害
    • 抗甲状腺ホルモン薬の副作用として肝機能障害がある。
  5. 無顆粒球症
    • 抗甲状腺ホルモン薬の副作用として無顆粒球症がある。

【問題88】 胎児と胎児付属物について正しいのはどれか。2つ選べ。

正解 3,5

  1. 妊娠4週では、Doppler(ドプラ)法で胎児心音が聴取できる。
    • Doppler(ドプラ)法で胎児心音が聴取できるのは、妊娠10週以降である。
  2. 妊娠12週では、胎盤が完成している。
    • 胎盤が完成するのは、妊娠14〜16週頃である。
  3. 妊娠24週では、胎児の呼吸様運動がみられる。
    • 胎児の呼吸様運動は、妊娠10〜16週頃から観察される。
  4. 妊娠26週では、胎児の胎位は固定している。
    • 妊娠26週では、胎児の胎位は固定されていない。
  5. 妊娠36週では、肺胞内に十分な肺表面活性物質が分泌されている。
    • 妊娠34週頃に肺サーファクタント産生が十分量に達する。

【問題89】 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律により、病院の管理者が精神科病院に入院中の者に対して制限できるのはどれか。2つ選べ。

正解 3,4

  1. 手紙の発信
    • 手紙の発信は制限できない。
  2. 弁護士との面会
    • 弁護士との電話・面会は制限できない。
  3. 任意入院患者の開放処遇
    • 任意入院者は、原則として開放処遇を受けるが、医療または保護を図ることが著しく困難であると医師が判断する場合は、開放処遇を制限することができる。
  4. 信書の中の異物の受け渡し
    • 「刃物、薬物等の異物が同封されていると判断される受信信書について、患者によりこれを開封させ、異物を取り出した上、患者に当該受信信書を渡した場合においては、当該措置を採った旨を診療録に記載するものとする」とされており、信書の中の異物の受け渡しは制限することができる。
  5. 人権擁護に関する行政機関の職員との電話
    • 人権を擁護する行政機関の職員との電話・面会は制限できない。

【問題90】 「フロセミド注15mgを静脈内注射」の指示を受けた。注射薬のラベルに「20mg/2ml」と表示されていた。注射量を求めよ。ただし、小数点以下第2位を四捨五入すること。

正解 3

  1. 0.4ml
  2. 1.3ml
  3. 1.5ml
    • 15mg:□=20mg:2ml
      □=15×2÷20
      □=1.5ml
  4. 1.7ml

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