第103回看護師国家試験一般問題・状況設定問題解説(午後問題106〜120)
次の文を読み106〜108の問いに答えよ。
Aさん(17歳、女子、高校生)は、3か月前から月経初日に腹痛や腰痛が生じて、学校を休むようになったため婦人科を受診した。Aさんの月経周期は26〜34日、持続日数は4〜6日である。Aさんはコーヒーを毎朝1杯飲んでおり、運動習慣はない。Aさんは身長162cm、体重55kgであり、既往歴に特記すべきことはない。
正解 3
- 28日
- 29日
- 33日
- 月経周期は、月経開始日を1日目として、次の月経が始まる前日までを数える。この場合は、9月2日から10月4日までで、33日となる。
- 37日
【問題107】 Aさんの月経のアセスメントで適切なのはどれか。
正解 2
- 月経前症候群
- 月経前症候群は、月経の1〜2週間前頃から起こる精神的症状や身体的症状で、月経開始とともに消失する。
- 月経困難症
- 月経困難症は、月経時に下腹部痛や腰痛などの強い疼痛を伴い、日常生活に支障をきたすものをいう。
- 希発月経
- 月経の正常周期は25〜38日であり、月経周期が39日以上の場合を希発月経という。
- 過多月経
- 月経血の量が極端に多い状態を過多月経という。
【問題108】 診察の結果、器質的病変は確認されなかった。Aさんは「生活で何か気を付けることはありますか」と尋ねた。Aさんへの月経時の生活指導で適切なのはどれか。
正解 2
- 安静の保持
- 腰部の温罨法
- 温罨法によって症状が緩和されやすい。
- コーヒー摂取量の増量
- 腹部を締めつける下着の着用
次の文を読み109〜111の問いに答えよ。
Aさん(32歳、男性、会社員)は、2年前にうつ病による入院歴がある。Aさんは仕事中に「新しい営業戦略を考えついた」と上司に大声でまとまりのない話を続け、止めようとすると激怒するようになった。会社から連絡を受けたAさんの両親に付き添われて精神科を受診したところ、Aさんは双極性障害と診断され入院した。
正解 2
- 家族に付き添いを依頼する。
- Aさんを静かな場所へ誘導する。
- 躁状態の症状がみられている。まずは気持ちを落ち着かせることを優先し、静かな場所へ誘導する。
- Aさんに病気に関する説明をする。
- 納得できるまで看護師に話すよう促す。
正解 3
- Aさんの食事を介助する。
- 介助が必要なわけではない。
- Aさんが栄養指導を受けられるよう調整する。
- 摂取量が不足しているのであって、栄養指導で改善するものではない。
- Aさんに食事の摂取量が不足している事実を伝える。
- 食事の摂取量が不足している事実を伝え、現状を認識してもらう。
- Aさんが自分から食事をしたい気持ちになるのを待つ。
- 待っていても同じ状況が続くだけの可能性があり、早期に対応すべきである。
正解 4
- Aさんの上司に配置転換を相談する。
- Aさんに入院前の言動の問題点を指摘する。
- Aさんの両親に入院の継続を説得してもらう。
- Aさんと現時点で可能なことや困難なことを確認する。
- 職場復帰を望むAさんの気持ちを受け止めた上で、可能なことや困難なことを確認し、治療が必要であることを認識してもらう。
次の文を読み112〜114の問いに答えよ。
Aさん(40歳、男性)は、大学1年生のときに統合失調症を発症し、精神科病院に20年入院している。今回、退院して両親と同居することになった。入院中は定期的に作業療法に参加しており、日常生活は自立している。服薬は自己管理となっているが、時々飲み忘れることがある。
正解 3
- 訪問介護
- 精神科作業療法
- 精神科訪問看護
- 日常生活は自立しているものの、薬の飲み忘れや幻聴に関する訴えがあることから、精神科訪問看護が最も適している。
- 訪問リハビリテーション
正解 3
- 「もう一度入院を考えてみますか」
- 「アルバイトを探してはいかがですか」
- 「Aさんはどう考えているようですか」
- まずは本人の気持ちを確認することが適切である。
- 「お薬の調整を主治医に相談してみましょうか」
【問題114】 Aさんは受診時に「毎日父親に責められます。実家を出て生活してみたいです」と訴えた。Aさんに単身生活の経験はない。Aさんに勧める社会資源で最も適切なのはどれか。
正解 1
- 自立訓練(生活訓練)
- 自立訓練(生活訓練)とは、知的障害者や精神障害者が地域生活へ移行するために、生活能力の維持・向上などの支援を行うものである。単身生活の経験がないAさんに適した社会資源である。
- 小規模多機能型居宅介護
- 短期入所(ショートステイ)
- 共同生活援助(グループホーム)
次の文を読み115〜117の問いに答えよ。
Aちゃん(2歳4か月、女児)は、母と会社員の父と3人で暮らしている。Aちゃんは、脳性麻痺で寝たきりのため全介助で在宅療養をしていた。3か月前に、誤嚥性肺炎を発症して緊急入院し、気管切開をして人工呼吸器を装着した。現在、呼吸状態は安定しているが、啼泣時に気道閉塞があるため、夜間のみ人工呼吸器で呼吸管理を継続することになった。Aちゃんは自宅に戻って訪問看護を利用する予定である。身体障害者手帳(肢体不自由1級)を所持している。
【問題115】 Aちゃんの家族に必要な人工呼吸器による呼吸管理の指導の内容について適切なのはどれか。
正解 4
- アラーム音は即座に消音する。
- まずはアラームが鳴った原因を確認する必要があり、すぐには消音しない。
- 人工呼吸器の設定は変更してもよい。
- 医師の指示なく設定は変更しない。
- 加湿器の滅菌蒸留水は2日ごとに交換する。
- 加湿器の滅菌蒸留水は毎日交換する。
- 気管カニューレ抜去時は新しいものを挿入する。
- 抜去時は新しいカニューレと交換する。
【問題116】 Aちゃんの家族への指導は順調に行われ退院することになった。Aちゃんの退院に向けて訪問看護師が連携をとる職種はどれか。
正解 1
- 保健師
- 保健師との連携が必要となる。
- 保育士
- 保育に関する問題を抱えているわけではない。
- 社会教育主事
- 社会教育主事は、教育委員会に置かれる専門的職員で、社会教育活動を行う者に対して助言や指導を行う。本件とは関連性がない。
- 介護支援専門員
- 介護保険の対象年齢ではない。
【問題117】 Aちゃんの母親から「家で育てることがこんなに大変だとは思わなかった。疲れました」と訪問の際に訴えがあった。Aちゃんの母親の話を聞いた後の訪問看護師の対応として最も適切なのはどれか。
正解 4
- 「すぐに入院ができる病院を探します」
- 「お母さんが頑張らないと駄目ですよ」
- 「お父さんに休職してもらいましょうか」
- 「ヘルパーさんに来てもらうことを検討しましょうか」
- 母親の負担軽減につながる提案であり、適切である。
次の文を読み118〜120の問いに答えよ。
午前6時30分、A県立病院の看護師は勤務中に突然、立っていられないほどの大きな揺れを感じた。病院の電源は自家発電に切り替わりA県北部を震源とするマグニチュード7.0の地震が発生したと院内放送があった。
【問題118】 病棟看護師が発災直後にとる行動で最も優先するのはどれか。
正解 1
- 病棟内の患者の安全確認
- まずは病棟内の者の安全を確保することが最優先である。
- 病院外への患者の避難誘導
- 水道・ガスの被害状況の確認
- 患者への病棟内は安全という通知
【問題119】 多くの傷病者が病院に運ばれてきた。医師の指示により看護師がトリアージを行った。誤っているのはどれか。
正解 3
- 歩行できているか確認する。
- 歩行できるかを確認し、歩行可能な負傷であれば緑色のタッグをつける。
- 呼吸をしているか確認する。
- 呼吸の有無を確認し、呼吸がなければ気道を確保する。気道確保により呼吸が出現する場合は赤色、出現しない場合は黒色のタッグをつける。
- 血圧を測定する。
- 血圧の測定をしている時間はない。
- 従命反応をみる。
- 従命反応をみて、意識の確認を行う。簡単な指示に応じる場合は黄色、応じない場合は赤色のタッグをつける。
【問題120】 看護師はトリアージを待っている被災者の1人が床に倒れているのを発見した。看護師が最初に行う対応で適切なのはどれか。
正解 2
- 自動体外式除細動器(AED)を装着する。
- 呼びかけに対する反応を確認する。
- まずは呼びかけて意識レベルを確認する。
- 胸骨圧迫を開始する。
- 大声で人を呼ぶ。