第104回看護師国家試験一般問題・状況設定問題解説(午前問題49〜68)
【問題49】 フローボリューム曲線を図に示す。慢性閉塞性肺疾患の患者の結果はどれか。
正解 2
- 正常なフローボリューム曲線である。
- 慢性閉塞性肺疾患のフローボリューム曲線である。ピークフローは低く、頂点に達した後は急激な下降を示し、その後低流量が持続する。
- 通常ではみられない形のフローボリューム曲線である。
- 台形のような形のフローボリューム曲線は、上気道閉塞でみられる。
正解 2
- 視床下部
- 視床下部からは、副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン、性腺刺激ホルモン放出ホルモン、成長ホルモン放出ホルモンなどが分泌される。
- 下垂体後葉
- 抗利尿ホルモンであるバソプレシンは、視床下部で産生された後に、下垂体後葉に運ばれ分泌される。バソプレシンの欠乏によって腎臓の水分再吸収機能が低下すると、多尿や口渇などが起こる尿崩症が生じる。
- 甲状腺
- 甲状腺からは、トリヨードサイロニン、サイロキシン、カルシトニンが分泌される。
- 副腎皮質
- 副腎皮質からは、アルドステロンやコルチゾールなどが分泌される。
【問題51】 眼底検査の前処置で散瞳薬を点眼する際の看護で適切なのはどれか。
正解 2
- 白内障の既往の有無を確認する。
- アトロピンやミドリンPなどの散瞳薬は、眼圧を上昇させるため、緑内障の既往の有無を確認する。
- 羞明が強くなると説明する。
- 散瞳薬による瞳孔の散大のため、羞明が強くなる。
- 散瞳薬による症状は30分程度で消失すると説明する。
- 散瞳薬の効果は、点眼後30分程度で現れ、4〜5時間程度持続する。
- 眼を閉じた状態で検査室に誘導する。
- 眼を閉じておく必要はない。
正解 3
- 検査前の食事制限はない。
- 検査前は食事制限をする。
- 造影剤を硬膜外腔に注入する。
- 造影剤はクモ膜下腔に注入する。
- 検査中のけいれん発作に注意する。
- 造影剤の副作用にはけいれん発作があり、注意が必要である。
- 検査後は水平仰臥位で安静を保つ。
- 造影剤の頭蓋内への流入を予防するため、検査後は頭部を挙上して安静を保つ。
正解 3
- 膀胱炎
- 虫垂炎
- 腎盂腎炎
- 腎盂腎炎は通常、片腎性で、肋骨脊柱角の叩打痛や悪寒戦慄、発熱、全身倦怠感などがみられる。自己導尿での上行性感染によって生じたと考えられる。
- 骨盤内膿瘍
正解 4
- 新聞を読む。
- 結晶性知能である。
- 町内会の役員を務める。
- 結晶性知能である。
- 結婚式のマナーを知っている。
- 結晶性知能である。
- 携帯電話に電話番号を登録する。
- 流動性知能である。流動性知能とは、新しいことを学習する能力や、新しい状況に適応するための問題解決能力で、加齢によって衰えやすい。
正解 3
- 床上排泄にする。
- ADLの低下につながるため不適切である。
- 誰の過失か明らかにする。
- 過失を明らかにしても再発の防止にはつながらない。
- 転倒の原因を一緒に考える。
- 再発を防止するため、転倒の原因を患者と一緒に確認することは適切である。
- 夜間は家族に付き添いを依頼する。
- 夜間の付き添いは困難であり、家族に責任を負わせるべきではない。
正解 4
- 全身清拭する。
- 入浴の必要性を説明する。
- 石けんとタオルを見せる。
- 気持ちが落ち着いてから再び入浴を勧める。
- 強い口調で拒否をしており、多少興奮状態であると考えられる。無理強いはせず、気持ちが落ち着くのを待ってから再び入浴を勧めてみる。
正解 3
- 水分摂取を控える。
- 脱水症の原因となるため、水分摂取を控えるのは不適切である。
- 間欠的自己導尿を行う。
- 間欠的自己導尿は排尿障害がある場合に行う。尿失禁では行わない。
- 尿失禁用パッドの交換頻度を増やす。
- 外陰部掻痒症は、尿失禁が原因であると考えられるため、尿失禁用パッドの交換頻度を増やして外陰部を清潔に保つ。
- 掻痒感のある部位をアルコール綿で清拭する。
- アルコールは刺激が強いため、不適切である。
【問題58】 手指の巧緻性が低下している高齢者が操作しやすい補聴器の種類はどれか。
正解 4
- 骨導補聴器
- 骨導補聴器は伝音性難聴に適している。老人性難聴は感音性であることが多いため、適切ではない。
- 耳あな型補聴器
- 手指の巧緻性が低下している場合、小型の補聴器は扱いづらいため適切ではない。
- 耳かけ型補聴器
- 手指の巧緻性が低下している場合、小型の補聴器は扱いづらいため適切ではない。
- ポケット型補聴器
- ポケット型補聴器は、本体が大きめでスイッチやボリュームなどの操作がしやすいため、手指の巧緻性が低下している場合に適している。
【問題59】 インフルエンザが流行しているが、小規模多機能型居宅介護を行う事業所では罹患者はいない。この事業所で看護師が行う罹患予防の対策で最も適切なのはどれか。
正解 3
- 宿泊の利用を断る。
- 事業所内に罹患者はいないので、宿泊の利用を断る必要はない。
- 湿度を10%以下に保つ。
- 湿度は50〜60%に保つ。
- 利用者に手洗いを勧める。
- 罹患予防として、手洗いやうがい、マスクの着用を行うことは適切である。
- 利用者に予防的に抗インフルエンザ薬を与薬する。
- 罹患予防としては、ワクチンの予防接種を行う。
正解 2
- 「シャワー浴はやめておきましょう」
- ギプスを濡らさないようにすれば、シャワー浴は可能である。
- 「ギプスの部分を高くしておきましょう」
- 静脈還流を促進するため、患肢を挙上する。
- 「足のゆびを動かさないようにしましょう」
- ギプス固定による循環障害や神経麻痺を防ぐためにも、足の指は積極的に動かすようにする。
- 「ギプスを外すまでベッド上で過ごしましょう」
- 車椅子などを利用して行動することが可能である。
【問題61】 肺高血圧が長期に持続し、肺血管抵抗が上昇することにより、短絡血流が主に左右短絡から右左短絡になった状態はどれか。
正解 4
- 拡張型心筋症
- 拡張型心筋症では、心室の収縮不全によって心拍出量が低下し、心不全に陥る。
- 総肺静脈還流異常症
- 総肺静脈還流異常症は、本来は左心房に還流すべき肺静脈が右心房や大静脈に還流する先天性心疾患である。
- Fallot(ファロー)四徴症
- ファロー四徴症は、心室中隔欠損、肺動脈狭窄、右室肥大、大動脈騎乗の四つを特徴とする先天性心疾患である。動脈血中の酸素含量が低下するため、チアノーゼが主症状である。
- Eisenmenger(アイゼンメンジャー)症候群
- 心室中隔欠損症や心房中隔欠損症では、圧の高い左室から圧の低い右室への短絡(シャント)が発生し、肺血流量の増加と左室の容量負荷が生じる。肺血流量の増加による肺高血圧が長期に持続し、肺血管抵抗が上昇すると、シャントの方向が逆転して左右短絡から右左短絡になり、チアノーゼを来たす。この状態をアイゼンメンジャー症候群という。
正解 2
- 遺伝相談は勧めない。
- 適切な情報を提供し、自己決定できるよう援助を行う。
- 胎児異常を理由に人工妊娠中絶はできない。
- 母体保護法で人工妊娠中絶が認められているのは、「妊娠の継続又は分娩が身体的又は経済的理由により母体の健康を著しく害するおそれのあるもの」または「暴行もしくは脅迫によって又は抵抗もしくは拒絶することができない間に姦淫されて妊娠したもの」に対してであり、胎児異常を理由に人工妊娠中絶はできない。
- 治療不可能な疾患に関する診断結果は伝えない。
- 治療不可能な疾患であっても診断結果は全て正確に伝える。
- 胎児の超音波検査は出生前診断の方法に含まれない。
- 胎児の超音波検査も出生前診断に含まれる。
【問題63】 妊娠中の母体の要因が胎児に及ぼす影響について正しいのはどれか。
正解 3
- 飲酒の習慣による巨大児
- 飲酒の習慣は、胎児性アルコール症候群を引き起こす可能性がある。発育遅延や精神遅滞、特異顔貌、小頭症などがみられるが、巨大児はみられない。巨大児の要因には、糖尿病がある。
- 喫煙による神経管形成障害
- ニコチンの血管収縮作用によって胎盤の血液循環が悪化し、胎盤の機能低下や胎児への酸素供給量不足が生じる。そのため、流産や早産、前置胎盤、低出生体重児の発生率が高くなる。神経管形成障害の要因は、葉酸の摂取不足である。
- 妊娠初期の風疹の罹患による先天性心疾患
- 妊娠初期の風疹の罹患では、先天性風疹症候群を引き起こす可能性がある。先天性風疹症候群の3大症状は、先天性心疾患、難聴、白内障である。
- ビタミンAの過剰摂取による低出生体重児
- ビタミンAの過剰摂取では、胎児奇形のリスクが高まる。
【問題64】 高齢女性に生じやすい疾患と原因の組合せで正しいのはどれか。
正解 3
- 膣炎 ―― 腟分泌物の酸性化
- エストロゲンの減少によって、膣粘膜の萎縮や膣内の酸性度の低下、自浄作用の低下が起こる。それによって膣炎が生じやすくなる。
- 外陰炎 ―― プロゲステロンの減少
- 膣炎と同じく、エストロゲンの減少によって外陰炎が生じやすくなる。
- 子宮脱 ―― 骨盤底筋群の筋力低下
- 加齢や出産、エストロゲンの減少によって、骨盤底筋群の筋力が低下し、子宮脱が生じやすくなる。
- 子宮体癌 ―― プロラクチンの増加
- 子宮体癌は、エストロゲン依存性(タイプI)とエストロゲン非依存性(タイプII)に分類される。タイプIは閉経前後の女性に多く、タイプIIは閉経後の高齢者に多い。
【問題65】 在胎38週に正常分娩で出生した児で、体重2,400gの児が体重3,000gの児に比べて起こしやすい症状はどれか。
正解 3
- 高血糖
- 低出生体重児では低血糖になりやすい。
- 心雑音
- 心雑音は出生体重とは関係ない。
- 低体温
- 皮下脂肪が少なく、体重あたりの体表面積が大きいため、体温を喪失しやすい。特に低出生体重児では低体温に陥りやすい。
- 無呼吸
- 在胎38週に正常分娩で出生した児であり、早産児のように無呼吸を起こしやすいとはいえない。
【問題66】 神経伝達物質と精神疾患の組合せで最も関連が強いのはどれか。
正解 2
- ドパミン ―― 脳血管性認知症
- 統合失調症はドパミンの過剰が関与していると考えられている。また、パーキンソン病ではドパミンが減少する。
- セロトニン ―― うつ病
- セロトニンは、脳内の神経伝達物質の1つで、精神を安定させる作用を持っており、セロトニンの不足がうつ病の発症に関与していると考えられている。
- ヒスタミン ―― Alzheimer(アルツハイマー)病
- ヒスタミンは、炎症やアレルギー反応に関与している。
- アセチルコリン ―― 統合失調症
- アセチルコリンの減少は、アルツハイマー病と関連があるとされている。
正解 4
- 投影
- 投影とは、自身の受け入れがたい不快な感情や欲求を、自分のものとは認識せず、他人のものと位置づけることである。
- 逆転移
- 逆転移とは、分析者(治療者)が被分析者(患者)に対して個人的な感情を向けたり、私的な反応をすることをいう。
- 反動形成
- 反動形成とは、自分の持っている感情や欲求とは反対方向の態度が過度に強調されることである。
- 陰性転移
- 転移とは、被分析者(患者)が、過去の自分にとって重要だった人物(両親など)に対する感情や態度を分析者(治療者)に向けることである。陰性転移の場合は敵意、不信感、攻撃性、反発、恨みなど、陽性転移の場合は信頼、感謝、尊敬、愛情などの感情や態度である。
【問題68】 精神科病院に医療保護入院をしている患者から退院請求があった。入院継続の適否について判定するのはどれか。
正解 3
- 保健所
- 地方裁判所
- 精神医療審査会
- 精神医療審査会は、精神障害者の人権に配慮しつつ、その適正な医療及び保護を確保するために、精神科病院に入院している精神障害者の処遇等について専門的かつ独立的に審査を行う。
- 地方精神保健福祉審議会