第104回看護師国家試験一般問題・状況設定問題解説(午前問題69〜90)
正解 2
- 看護師の判断で訪問時間を延長する。
- 看護師の判断で訪問時間を延長することはできない。
- 療養者のライフスタイルを尊重する。
- 訪問看護は療養者の生活の場で看護を提供するものであり、療養者やその家族のライフスタイルを尊重する必要がある。
- 1人暮らしの療養者では家族のことは考慮しない。
- 別居中の家族がいる場合もあり、1人暮らしであっても家族のことは考慮する。
- 訪問時間以外での療養者との個人的な付き合いを大切にする。
- トラブルの原因にもなり得るので、個人的な付き合いは避けた方がよい。
正解 4
- 「食事はきざみ食にしましょう」
- 嚥下に困難があるので、適度にとろみをつけ、まとまりのある形態にする。
- 「食事は決まった時間にしましょう」
- 療養者や見守りを行う妻のライフスタイルを尊重するべきであり、食事を決まった時間にする必要はない。
- 「食事中はテレビをつけておきましょう」
- 食事に集中できるようにするため、テレビはつけない。
- 「食べ物を飲み込んだことを確認しましょう」
- 口腔内や咽頭内に食物の残留がある可能性があるので、飲み込んだことを確認する。
【問題71】 Aさん(52歳、男性)は、妻と2人で暮らしている。妻は末期の肺癌で、今朝自宅で亡くなった。主治医が死亡診断を行った後のAさんへの訪問看護師の対応で最も適切なのはどれか。
正解 3
- 葬儀を手配するよう勧める。
- 死亡診断を行った直後に葬儀の手配を勧めるのは配慮に欠けている。
- 医療機器は早急に片づけるよう勧める。
- 亡くなった直後であり、まずは家族に対して故人とのお別れの時間を設けるべきである。
- Aさんの希望に沿って、死後の処置を行う。
- 死後の処置は、家族の希望に沿って行う。
- 本日中に死亡診断書を役所に提出するよう説明する。
- 死亡診断書の提出は、死亡してから7日以内である。
【問題72】 在宅中心静脈栄養法(HPN)について適切なのはどれか。
正解 3
- 輸液ポンプは外出時には使えない。
- 輸液ポンプには携帯可能なものもあるので、外出時にも使用できる。
- 24時間持続する注入には適さない。
- 輸液の注入方法には、24時間持続注入法と、一定時間輸液を中断する時間を設ける間欠注入法がある。
- 輸液の調剤は薬局の薬剤師に依頼できる。
- 輸液の調剤は、無菌調剤室を備えた薬局の薬剤師に依頼することができる。
- 家族が管理できることが適用の必須条件である。
- 家族も管理できることは望ましいことではあるが、必須条件ではない。
【問題73】 看護サービスの質の評価は、①ストラクチャー(看護サービス提供のための仕組み)、②プロセス(提供される看護サービス)、③アウトカム(看護サービスの成果)に分類される。アウトカムはどれか。
正解 1
- 患者の満足度
- 患者の満足度は、アウトカムである。
- 退院指導の実施
- 退院指導の実施は、プロセスである。
- 看護手順の整備の有無
- 看護手順の整備の有無は、ストラクチャーである。
- 看護師1人当たりの患者数
- 看護師1人当たりの患者数は、ストラクチャーである。
【問題74】 医療法で医療機関に義務付けられているのはどれか。
正解 1
- 医療安全管理者の配置
- 特定機能病院、臨床研修病院に対して医療安全管理者の配置が義務付けられている。
- 厚生労働省へのインシデント報告
- 厚生労働省へのインシデント報告は義務付けられていない。
- 患者・家族への医療安全指導の実施
- 患者・家族への医療安全指導の実施は義務付けられていない。
- 医療安全支援センターへの医療事故報告
- 医療安全支援センターは医療法の規定に基づき、都道府県、保健所を設置する市及び特別区に設置されている。医療に関する相談対応や医療安全に関する助言、情報提供などを行っており、医療事故報告は扱っていない。
【問題75】 災害発生後の時期と災害看護活動の組合せで最も適切なのはどれか。
正解 3
- 災害発生直後〜数時間 ―― 食中毒予防
- 災害発生直後は、救命処置が最優先となる。
- 災害発生後3日〜1週 ―― 外傷後ストレス障害(PTSD)への対応
- 災害急性期以降では、食中毒予防や感染予防が重要である。
- 災害発生後1週〜1か月 ―― 廃用症候群の予防
- 災害を契機に生活が不活発になると、廃用症候群が生じやすくなる。災害発生後1週〜1か月では、廃用症候群の予防が重要である。
- 災害発生後1か月以降 ―― 救命処置
- 外傷後ストレス障害(PTSD)は、症状が1か月以上持続するものをいう。災害発生後1か月以降では、PTSDへの対応が重要である。
【問題76】 平成24年(2012年)の国連エイズ合同計画(UNAIDS)の報告において、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)陽性者が最も多い地域はどれか。
正解 4
- 東アジア
- 北アメリカ
- オセアニア
- サハラ以南のアフリカ
- 国連エイズ合同計画(UNAIDS)の報告によると、平成24年(2012年)末現在での世界のHIV感染者数は3,530万人と推定されている。地域別の感染者数では、サハラ以南アフリカが2,500万人と世界の約7割を占めている。
正解 2
- 核
- 核は、染色体を持ち、遺伝に関与する細胞内小器官である。
- リボソーム
- リボソームは、mRNAの遺伝情報に基づきタンパク質を合成する細胞内小器官である。
- リソソーム
- リソソームは、加水分解酵素を含み、細胞内の不要な物質を分解する細胞内小器官である。
- ミトコンドリア
- ミトコンドリアは、好気呼吸に関する酵素を含み、TCA回路、電子伝達系を介してエネルギー産生(ATP合成)を行う細胞内小器官である。
- Golgi(ゴルジ)装置
- ゴルジ装置は、分泌物質の合成と貯蔵を行う細胞内小器官である。
正解 5
- 動眼神経
- 動眼神経は、外側直筋と上斜筋以外の眼筋を支配し、眼球運動や開眼に関与する。
- 滑車神経
- 滑車神経は、上斜筋を支配し、眼球運動に関与する。
- 三叉神経
- 三叉神経は、顔面の知覚や咀嚼運動に関与する。
- 外転神経
- 外転神経は、外側直筋を支配し、眼球の外転に関与する。
- 顔面神経
- 顔面神経は、顔面の表情筋を支配し、閉眼に関与する。
【問題79】 血管造影写真を示す。造影部位で正しいのはどれか。
正解 2
- 脳動脈
- 冠動脈
- 左冠動脈造影である。左主幹部、前下行枝、回旋枝が観察できる。
- 肺動脈
- 肝動脈
- 腎動脈
【問題80】 健常な幼児の基本的生活習慣の獲得で正しいのはどれか。
正解 2
- 1歳6か月でうがいができるようになる。
- うがいができるようになるのは、3歳〜4歳頃である。
- 2歳6か月で靴を履けるようになる。
- 靴を履けるようになるのは、2歳半頃である。
- 3歳でコップを使って飲めるようになる。
- コップを使って飲めるようになるのは、1歳〜1歳半頃である。
- 4歳で手を洗って拭くようになる。
- 手を洗って拭くようになるのは、2歳〜2歳半頃である。
- 5歳で昼寝は1日1回になる。
- 昼寝が1日1回になるのは、1歳〜2歳頃である。
正解 3
- 6か月間避妊せずに性交渉があっても妊娠しない状態である。
- 不妊症とは、妊娠を希望して、一定期間避妊することなく通常の性交を継続的に行っているにもかかわらず、妊娠しない状態をいう。この「一定期間」を、WHOでは「1年」と定義している。また、日本産科婦人科学会においても、2015年より従来の「2年」から「1年」へと定義を変更している。
- 頻度は妊娠を希望し避妊しないカップル10組に3組である。
- 不妊症の現れる頻度は、妊娠を希望し避妊しないカップル10組に1組の割合といわれているが、近年増加傾向にある。
- 体外受精に要する費用の公的な助成制度がある。
- 特定不妊治療費助成事業により、体外受精に要する費用の一部が助成される。
- 女性の年齢と不妊症の治療効果は関係しない。
- 女性の年齢が高い場合、不妊症の治療効果は低下しやすい。
- 男性側の原因は7割程度である。
- 1998年にWHOが発表した不妊原因の割合では、男性に原因が24%、男女ともに原因が24%、女性に原因が41%、不明が11%である。
【問題82】 介護保険制度におけるケアマネジメントで適切なのはどれか。
正解 4
- スクリーニングで介護保険の対象の可否を判断する。
- 介護保険の対象の可否を判断するのは、要介護認定である。
- アセスメントで利用者の疾患を診断する。
- アセスメントで利用者のニーズを把握する。利用者の疾患を診断するのは医師である。
- 利用者は居宅介護サービス計画書を作成できない。
- 居宅介護サービス計画書(ケアプラン)は 一般的には介護支援専門員が作成するが、利用者自身でも作成することができる。
- ケアサービスの提供と同時にモニタリングを行う。
- ケアサービスの提供と同時にモニタリングを開始する。定期的に実施状況の把握と評価を行い、必要に応じてサービス内容の変更を行う。
- ケアマネジメントの終了は介護支援専門員が決定する。
- 利用者が自己決定することが基本である。
正解 2,5
- 骨膜
- 筋紡錘
- 伸張反射とは、骨格筋が伸張するとその筋が収縮を生じる反射であり、伸張反射の受容器は筋紡錘である。
- 腱紡錘
- 脊髄側角
- 運動神経
- 骨格筋の収縮は、運動神経を通って骨格筋へ伝えられる。
正解 3,4
- 腹直筋
- 腹直筋は、呼息時に収縮する。
- 腹横筋
- 腹横筋は、呼息時に収縮する。
- 横隔膜
- 横隔膜は、腹式呼吸の吸息時に収縮する。横隔膜が収縮し下方に移動することで胸郭が広がる。
- 外肋間筋
- 外肋間筋は、胸式呼吸の吸息時に収縮する。外肋間筋の収縮によって肋骨が持ち上げられて胸郭が広がる。
- 内肋間筋
- 内肋間筋は、呼息時に収縮する。
正解 1,4
- 脱髄病変が多発する。
- 多発性硬化症は、中枢性脱髄疾患で、脳や脊髄、視神経などに病変が起こる。
- 髄液中のIgGは低下する。
- 多発性硬化症では、炎症反応によって、髄液中のIgGは増加する。
- 視力低下は網脈絡膜炎による。
- 多発性硬化症では、視神経炎による視力の低下がみられる。
- MRIは病変の検出に有用である。
- MRIは多発性硬化症の病巣を検出するのに有用である。
- 末梢神経が障害されることが多い。
- 多発性硬化症では、中枢神経が障害される。
正解 3,5
- 頸部食道に好発する。
- 食道癌は胸部食道に好発する。
- 放射線感受性は低い。
- 食道癌はそのほとんどが扁平上皮癌であり、放射線感受性は高い。
- アルコール飲料は危険因子である。
- 食道癌の主な危険因子は飲酒と喫煙である。
- 日本では扁平上皮癌に比べて腺癌が多い。
- 日本ではほとんどが扁平上皮癌である。欧米では近年腺癌の割合が増加している。
- ヨードを用いた内視鏡検査は早期診断に有用である。
- ヨード染色による内視鏡検査が有用である。正常の食道粘膜はヨードにより茶褐色に染色され、癌病変部は染色されないため、早期診断に用いられる。
【問題87】 心電図を示す。所見として正しいのはどれか。2つ選べ。
正解 1,2
- R-R間隔の不整
- 心房細動の心電図である。心房細動では、R-R間隔は不整となる。
- 細動波の出現
- 心房細動では、P波はみられず、基線が細かく揺れる細動波(f波)がみられる。
- QRS波の消失
- STの上昇
- 陰性T波
【問題88】 喉頭摘出および気管孔造設術を受けた患者でみられるのはどれか。2つ選べ。
正解 3,5
- 誤嚥をしやすい。
- 喉頭摘出および気管孔造設によって気道と食道が切り離されるため、誤嚥は起こらない。
- 咀嚼がしにくい。
- 咀嚼には影響しない。
- においが分かりづらい。
- 鼻や口から呼吸をすることがなくなり、においをかぐ、熱い物に息を吹きかけて冷ます、食物をすする、鼻をかむことが困難になる。
- 高い音が聞こえにくい。
- 発声機能は失われるが、聴覚には影響しない。
- 飲み込んだ食物が鼻に逆流しやすい。
- 一回摂取量が多い場合などで食物が鼻腔へ逆流しやすくなる。飲み込むときに鼻をつまむと逆流防止になる。
【問題89】 改訂版デンバー式発達スクリーニング検査について正しいのはどれか。2つ選べ。
正解 1,2
- 4領域について判定を行う。
- 「個人ー社会」「微細運動ー適応」「言語」「粗大運動」の4領域について判定を行う。
- 適応年齢は0〜6歳である。
- 適応年齢は0〜6歳である。
- 判定結果は数値で示される。
- 判定結果は「正常」「異常」「疑問」「不能」で示される。
- 知能指数の判定が可能である。
- 知能指数の判定はできない。
- 1領域に10の検査項目がある。
- 4領域に104の検査項目がある。
【問題90】 精神障害者のリカバリ(回復)の考え方で正しいのはどれか。2つ選べ。
正解 3,4
- 患者に役割をもたせない。
- 患者本人の主体性が必要であり。役割をもたせることは重要である。
- 薬物療法を主体に展開する。
- 薬物療法が主体となるものではない。
- 患者の主体的な選択を支援する。
- リカバリーとは、「精神障害のある人が、それぞれ、自分が求める生き方を主体的に追求すること」であり、それを支援することが求められる。
- 患者のストレングス(強み・力)に着目する。
- 患者の欠点や苦手ではなく、ストレングス(強み・力)に焦点をあてて支援する。
- リカバリ(回復)とは病気が治癒したことである。
- 病気が治癒することではなく、自分が求める生き方を主体的に追求することである。