第104回看護師国家試験一般問題・状況設定問題解説(午後問題69〜90)
正解 4
- 内服薬は薬局から訪問看護師が受け取る。
- 自宅での内服薬の保管場所を分散する。
- 内服指導を診療科ごとに依頼する。
- 内服薬を1回分ごとにまとめる。
- 内服のタイミングごとに内服薬を1包にまとめることで、飲み間違いを防止することができる。
正解 3
- 脱衣は看護師が全介助する。
- 脱衣の全介助は必要ない。
- 浴槽に入ることは禁止する。
- 禁止する必要はないが、水圧がかからないよう、お湯の量が胸の高さまでこないようにする。また、お湯の温度はぬるめにし、長湯は避ける。
- 身体を洗うときはシャワーチェアを使う。
- 負担軽減のため、身体を洗うときはシャワーチェアを使用する。
- 入浴中は携帯用酸素ボンベを利用できない。
- 延長チューブや携帯用酸素ボンベを利用して入浴できる。
正解 3
- シリンジの交換はAさんが実施する。
- シリンジの交換は訪問看護師が実施する。
- 疼痛がないときには持続的な注入をやめてもよい。
- 疼痛がなくても持続的な注入は継続する。
- レスキューとしてのオピオイドの追加注入はAさんが行う。
- 追加注入は本人自身で行うことができる。
- レスキューとして用いるオピオイドの1回量に制限はない。
- レスキューの1回量には制限がある。
【問題72】 医療における安全管理のシステム設計の原則で正しいのはどれか。
正解 3
- 個人の反省を促す。
- 個人の反省を促すためにシステムを設計するわけではない。
- 人の記憶力を重視する。
- 人間が持つ限界に配慮し、人の記憶力に頼らないシステムを設計する。
- 作業のプロセスを標準化する。
- 標準化することで作業プロセスが明確になる。
- いくつかの業務を同時に実施する。
- 複数の業務を同時に実施すると、不注意や集中力の欠如が発生する。
正解 3
- 医師に方針を決めてもらうよう伝える。
- 病院の倫理委員会に判断を依頼するよう伝える。
- Aさんのアドバンスディレクティブ(事前指示)を確認するよう伝える。
- 最優先されるのは、Aさんの意思である。アドバンスディレクティブ(事前指示)とは、患者の意思決定能力がなくなった時の治療の選択を口頭や文書で示しておくものである。
- 経管栄養法を開始することでAさんの身体の状態は維持できると伝える。
【問題74】 災害急性期における精神障害者への看護師の対応で最も適切なのはどれか。
正解 4
- 名札の着用を指示する。
- プライバシーに配慮する必要があり、名札の着用を強要すべきではない。
- 災害の状況については説明しない。
- 不安軽減のためにも災害の状況は分かりやすく伝える。
- 不眠が続いても一時的な変化と判断する。
- 不眠が続いている場合は、病状悪化の徴候である可能性も考慮して早期に対処する。
- 服薬している薬剤を中断しないように支援する。
- 服薬中断によって症状が悪化する可能性があり、服薬を継続できるよう支援する。
【問題75】 災害発生後、避難先の体育館で生活を始めた高齢者への対応で最も適切なのはどれか。
正解 1
- トイレに近い場所を確保する。
- トイレまでの距離が遠い、段差がある、他の避難者の間を通り抜けて行かなければならないなど、高齢者にとってトイレが利用しにくい場合、トイレに行くことを懸念して飲水を控え、脱水を起こしやすくなる。トイレに近い場所を確保するのは適切である。
- 持参薬を回収して被災者に分ける。
- 処方された薬を他人に分けるのは不適切である。
- 区画された範囲内で過ごすよう促す。
- 廃用症候群を予防するためにも、行動範囲を狭めるべきではない。
- 私語を控えて館内の静穏が保てるように指導する。
- 周囲とのコミュニケーションは必要であり、私語を控える必要はない。
【問題76】 自己管理を行う上で自己効力感を高める支援として最も適切なのはどれか。
正解 4
- 自己管理の目標はできるだけ高くする。
- 自己管理の目標は達成可能な目標にする。
- 必要な知識をできるだけ多く提供する。
- 知識は必要に応じて提供する。多く提供すれば良いというものではない。
- 自己管理の方法で不適切な点はそのたびに指摘する。
- 不適切な点をそのたびに指摘することは意欲の低下につながる。
- 自己管理で改善できた点が少しでもあればそれを評価する。
- 他者から評価されたり褒められたりすることは自己効力感を高める。
- 対象者が自己管理できない理由を話したときは話題を変える。
- 自己管理できない理由を話したときは、傾聴する姿勢が必要である。
【問題77】 1歳0か月の幼児の標準的な身長と体重の組合せで正しいのはどれか。
正解 3
- 身長55cm ―― 体重6kg
- 身長75cm ―― 体重6kg
- 身長75cm ―― 体重9kg
- 出生時の標準的な身長は約50cm、体重は約3Kgである。生後1年では、身長は約1.5倍、体重は約3倍となる。
- 身長100cm ―― 体重9kg
- 身長100cm ―― 体重12kg
正解 2
- 糖質
- 葉酸
- 神経管閉鎖障害のリスク低減のために、特に妊娠前〜妊娠初期での葉酸摂取が推奨されている。
- 蛋白質
- カリウム
- カルシウム
正解 4
- 被害妄想
- 被害妄想とは、他者から危害を加えられていると思い込む妄想である。
- 作為体験
- 作為体験とは、自分の考えや行動が他人に操られていると感じる体験である。
- カタレプシー
- カタレプシーとは、受動的にとらされた姿勢を自分からは変えようとせず、そのままの姿勢を保ち続ける症状である。
- 遅発性ジスキネジア
- 遅発性ジスキネジアとは、口をもぐもぐと動かす、口をすぼめる、唇を尖らせる、舌を突き出すなどの不随意運動が起こる症状である。抗精神病薬を長期間使用していると出現しやすい。
- 静座不能(アカシジア)
- 静座不能(アカシジア)とは、そわそわとして落ち着かず、身体を動かさずにじっとしていることが不可能な状態となる症状である。
【問題80】 小児医療に関する課題とその対応の組合せで正しいのはどれか。
正解 3
- 低出生体重児の増加 ―― 人工乳による哺育の推進
- 育児不安が強い親の増加 ―― 子どもの自立支援
- 障害児の在宅医療のニーズの増加 ―― レスパイトケアの充実
- レスパイトケアは、介護にあたる家族を支援するサービスである。一時的にケアから解放することによって、介護者の心身の疲労を癒すことを目的としている。
- 小児救急医療を受診する子どもの増加 ―― ドクターカーの充実
- 成人になった小児慢性疾患患者の増加 ―― 親の意思決定の支援
正解 3,4
- 関節角度の知覚
- 振動感覚の中継
- 姿勢反射の調節
- 小脳の主要な機能は知覚と運動機能の統合で、平衡機能や姿勢反射の調節などを司る。
- 随意運動の制御
- 小脳は、随意運動の調節や筋緊張の調節などを司る。
- 下行性の疼痛抑制
正解 3,4
- 好塩基球数は増加する。
- 白血球減少症は、好中球数の減少が特徴であるが、好塩基球数も減少する。
- EBウイルス感染によって起こる。
- EBウイルス感染は、伝染性単核症などの原因となり、白血球は増加する。
- 白血球数が3,000/μL以下をいう。
- 白血球数が3,000/μL以下になった状態を、白血球減少症という。
- 好中球減少症では細菌に感染しやすくなる。
- 好中球は細菌や真菌に対しての感染を防ぐ働きがあり、好中球減少症では、好中球の減少によって細菌に感染しやすくなる。
- 無顆粒球症は単球がなくなった病態をいう。
- 無顆粒球症とは、顆粒球(特に好中球)が大きく減少した病態をいう。
【問題83】 下垂体ホルモンの分泌低下により生じるのはどれか。2つ選べ。
正解 2,4
- 性早熟症
- 性早熟症は、下垂体前葉から分泌されるゴナドトロピン(性腺刺激ホルモン)の分泌過剰によって生じる。
- 低身長症
- 低身長症は、下垂体前葉から分泌される成長ホルモンの分泌低下によって生じる。
- 先端巨大症
- 先端巨大症は、成長ホルモンの分泌過剰によって生じる。
- Sheehan(シーハン)症候群
- シーハン症候群は、出産時の大量出血によって下垂体前葉に梗塞・壊死が生じ、下垂体の機能が低下する疾患である。無月経、乳汁の分泌低下、陰毛・腋毛の脱落、全身倦怠感などの症状がみられる。
- Cushing(クッシング)症候群
- クッシング症候群は、コルチゾールの分泌過剰によって生じる。
【問題84】 抗コリン薬の投与が禁忌の疾患はどれか。2つ選べ。
正解 2,4
- 疥癬
- 疥癬は、ヒゼンダニが皮膚の角質層に寄生して起こる感染症である。ステロイド剤の使用によって症状を悪化させる可能性がある。
- 緑内障
- 抗コリン作用によって房水通路が狭くなり眼圧が上昇するため、抗コリン薬の投与は緑内障で禁忌である。
- 大腿骨骨折
- 抗コリン薬の投与は禁忌ではない。
- 前立腺肥大症
- 抗コリン薬は、膀胱の排出力を弱め、尿道を細く収縮させる。排尿障害をきたす恐れがあるため、抗コリン薬の投与は前立腺肥大症で禁忌である。
- 前頭側頭型認知症
- 前頭側頭型認知症は、前頭葉や側頭葉の委縮によって起こる認知症で、人格変化や行動異常などの症状がみられる。抗コリン薬の投与は禁忌ではない。
【問題85】 新生児の養育に関する親への指導で適切なのはどれか。2つ選べ。
正解 3,5
- 「体温37.0℃で受診させましょう」
- 新生児の体温の正常範囲は36〜37.5℃であり、37.0℃では受診の必要はない。
- 「沐浴は児が満腹のときに行いましょう」
- 嘔吐しやすくなるので、満腹時の沐浴は避ける。
- 「授乳後は顔を横に向けて寝かせましょう」
- 嘔吐や吐物による窒息を予防するため、授乳後は顔を横に向けて寝かせる。
- 「衣類は大人よりも1枚少なくしましょう」
- 新生児は体温調節機能が未熟なため、温度の影響を受けやすい。一般的に、新生児期は大人より1枚多めが目安、と言われるが、衣類は室温などの状況に応じて調節するのが適切である。
- 「オムツはおなかを締めつけないように当てましょう」
- 新生児の呼吸は腹式呼吸なので、オムツはおなかを締めつけないように当てる。
【問題86】 一般的な思春期の発育の特徴について正しいのはどれか。2つ選べ。
正解 1,4
- 骨端線が閉鎖する。
- 思春期になって骨端線が閉鎖すると、身長の伸びは停止する。
- 性的成熟は男子の方が女子より早く始まる。
- 性的成熟は女子の方が男子より早く始まる。
- 成長ホルモンが性腺に作用して第二次性徴が起こる。
- 下垂体から分泌される性腺刺激ホルモンが、男子では精巣、女性では卵巣に作用することで性ホルモンが増加し、第二次性徴が起こる。
- 男子では身長増加のピークの前に精巣の発育が始まる。
- 男子の身長増加のピークは13〜14歳頃で、精巣の発育はその前から始まっている。
- 女子では身長増加のピークの前に乳房の発育が終わる。
- 女子の身長増加のピークは11〜12歳頃で、乳房の発育は18歳頃まで続く。
【問題87】 前頭葉の障害に伴う症状で正しいのはどれか。2つ選べ。
正解 1,3
- 人格の変化
- 前頭葉の障害では、人格や行動の変化がみられる。
- 感覚性失語
- 感覚性失語(ウェルニッケ失語)は、側頭葉の感覚性言語中枢(ウェルニッケ野)の障害に伴う症状である。
- 自発性の欠乏
- 前頭葉の障害では、自発性の欠乏や意欲の低下がみられる。
- 平衡機能障害
- 平衡機能障害は、内耳や小脳などの障害に伴う症状である。
- 左右識別障害
- 左右識別障害は、頭頂葉の障害に伴う症状である。
【問題88】 精神科病棟における身体拘束時の看護で正しいのはどれか。2つ選べ。
正解 2,5
- 1時間ごとに訪室する。
- 身体拘束時は頻回に訪室し、観察する。
- 拘束の理由を説明する。
- 身体拘束を行う場合は、拘束の理由を患者に説明しなければならない。
- 水分摂取は最小限にする。
- 脱水予防のため、水分摂取は十分に行う。
- 患者の手紙の受け取りを制限する。
- 患者の手紙の受け取りを制限することはできない。
- 早期の解除を目指すための看護計画を立てる。
- 身体拘束は、患者の生命や身体を保護するためやむを得ない場合に行うものであり、できるだけ早期に拘束を解除するよう努める。
正解 1,5
- 長男への連絡
- まずは事実確認のため、長男に連絡する。
- 羽毛布団の返品
- 成年後見人の選任
- 近隣住民への聞き取り
- Aさんの判断能力の評価
- Aさんは布団を購入した覚えがないと話しており、認知機能が低下している可能性がある。Aさんの判断能力の評価が必要である。
【問題90】 5%のクロルヘキシジングルコン酸塩を用いて0.2%希釈液2,000mLをつくるのに必要な薬液量を求めよ。
正解 1
- 80mL
- 5%のクロルヘキシジングルコン酸塩を0.2%に薄めるためには、25倍に薄める必要がある。
(5÷0.2=25)
25倍にして2,000mLにするには、80mL必要である。
(2,000÷25=80)
- 5%のクロルヘキシジングルコン酸塩を0.2%に薄めるためには、25倍に薄める必要がある。
- 96mL
- 104mL
- 400mL