第105回看護師国家試験一般問題・状況設定問題解説(午前問題26〜48)
正解 4
- 筋収縮はミオシンの短縮である。
- アクチンがミオシンの間に滑り込むことで筋収縮が起こる。
- アクチンにATP分解酵素が存在する。
- 筋収縮のエネルギー源となるのは、ミオシンに存在するATPである。
- α運動ニューロンは筋紡錘を興奮させる。
- α運動ニューロンは筋線維を支配して筋収縮に関与する。筋紡錘を興奮させるのは、γ運動ニューロンである。
- 筋小胞体からカルシウムイオンが放出される。
- 筋小胞体から放出されたカルシウムイオンによって、アクチンがミオシンの間に滑り込むことで筋収縮が起こる。
正解 2
- 皮静脈
- 皮膚の血管には動静脈吻合があり、体温調節の役割を担っている。
- 冠動脈
- 冠動脈は機能的終動脈であるため、閉塞が起こると流域下の心筋が壊死し、心筋梗塞となる。
- 膝窩動脈
- 膝窩動脈は膝関節周辺で下行膝動脈などと吻合する。
- 腸絨毛の毛細血管
- 腸絨毛には発達した毛細血管網があり、栄養物は上皮を通して毛細血管内に入り肝臓に運ばれる。
正解 1
- 尿量の減少
- 一次脱水とは水欠乏性脱水のことである。体内の水分量が減少するため、尿量も減少する。
- 血漿浸透圧の低下
- 血中の水分量が減少するため、血漿浸透圧は上昇する。
- バソプレシンの分泌の抑制
- バソプレシンは水の再吸収を促進するため、脱水が生じたときは分泌が促進される。
- 血漿ナトリウムイオン濃度の低下
- 血中の水分量が減少するため、血漿ナトリウムイオン濃度は上昇する。
正解 4
- ガストリン
- ガストリンは、胃の幽門前庭部から分泌されるホルモンで、胃酸分泌促進作用などがある。
- カルシトニン
- カルシトニンは、主に甲状腺から分泌されるホルモンで、骨の構成成分であるリン酸とカルシウムの骨への沈着を促進し、血液中のカルシウム濃度を低下させる。
- アルドステロン
- アルドステロンは、副腎皮質から分泌されるホルモンで、腎臓におけるナトリウムの再吸収とカリウムの排泄を促進させる。
- ソマトスタチン
- ソマトスタチンは、膵臓のランゲルハンス島δ細胞などから分泌されるホルモンで、インスリンやグルカゴンの分泌を抑制する。
正解 3
- 精巣は腹腔内にある。
- 精巣は陰嚢内にある。
- 精嚢は精子を貯留する。
- 精子を貯留するのは精巣上体である。
- 前立腺は直腸の前面に位置する。
- 前立腺は、男性の膀胱の下部、直腸の前面に位置する。
- 右精巣静脈は腎静脈に流入する。
- 右精巣静脈は下大静脈に流入する。腎静脈に流入するのは左精巣静脈である。
【問題31】 腹部の検査の画像を示す。生体の代謝を利用した検査はどれか。
正解 3
- 腹部単純X線検査の画像である。
- 腹部CT検査の画像である。
- PET検査は、陽電子放射断層撮影法のことで、がん細胞が正常細胞に比べて3〜8倍のブドウ糖を取り込むという性質を利用する。ブドウ糖に近い成分(FDG)を体内に投与し、FDGが多く集まる部位を画像から特定する。
- 腹部超音波検査(カラードップラー)の画像である。
正解 1
- 医療給付には一部負担がある。
- 医療給付は、70歳未満では医療費の3割、小学校就学前では2割の自己負担がある。
- 高額療養費の受給には年齢制限がある。
- 高額療養費の受給に年齢制限はない。
- 市町村国民健康保険は職域保険の1つである。
- 市町村国民健康保険は地域保険である。
- 後期高齢者医療における公費負担は8割である。
- 後期高齢者医療制度の財源構成は、患者負担を除き、公費が約5割、現役世代からの支援が約4割、保険料が約1割である。
【問題33】 日本の平成23年度(2011年度)の国民医療費について正しいのはどれか。
正解 2
- 総額は約25兆円である。
- 平成23年度の国民医療費の総額は、約40兆円(38兆5,850億円)である。
- 財源の約半分は保険料である。
- 平成23年度の国民医療費の財源は、保険料が48.6%、公費が38.4%であり、約半分は保険料である。
- 国民所得に対する比率は5%台である。
- 平成23年度の国民医療費の国民所得に対する比率は、11.13%である。
- 人口1人当たりでは65歳以上が65歳未満の約2倍である。
- 平成23年度の人口1人当たりの国民医療費は、65歳以上が720,900円、65歳未満が174,800円で、約4倍である。
【問題34】 地域子育て支援センターの整備を掲げたのはどれか。
正解 2
- 児童福祉法
- 新エンゼルプラン
- 新エンゼルプランの「保育サービス等子育て支援サービスの充実」の中で、地域子育て支援センター、一時保育、ファミリー・サポート・センター等の推進を掲げている。
- 次世代育成支援対策推進法
- 児童虐待の防止等に関する法律
正解 1
- 学校医は健康相談を実施する。
- 学校医は、学校における健康相談や保健指導、健康診断などを行う。学校医は医師でなければならず、通常は非常勤である。
- 校長は学校医を置くことができる。
- 学校保健安全法第23条「学校には、学校医を置くものとする」と規定されている。
- 教育委員会は小学校入学1年前の児童に対して健康診断を実施する。
- 教育委員会が実施する就学時健康診断は、就学前年度の11月30日までに行なわれる。
- 学校医は感染症に罹患した児童生徒の出席を停止させることができる。
- 感染症に罹患した児童生徒の出席を停止させることができるのは校長である。
【問題36】 高齢者が趣味の絵画を地区の展覧会に発表したいという欲求はどれか。
正解 1
- 自尊の欲求
- 自尊の欲求とは、他者から認められたい、尊敬されたいという欲求である。
- 所属の欲求
- 所属の欲求とは、集団に属し、友人や家族など周囲の人々と関わりたいという欲求である。
- 安全の欲求
- 安全の欲求とは、危機を回避し、安全に安心して生活していきたいという欲求である。
- 生理的欲求
- 生理的欲求とは、食欲や睡眠欲など人間が生きる上での基本的な欲求である。
【問題37】 根拠に基づいた看護(EBN)で最も適切なのはどれか。
正解 3
- 患者の好みは参考にしない。
- 患者の意向を尊重することは重要であり、患者の好みは参考にする。
- 先輩看護師の行動を模倣する。
- 先輩看護師の行動が根拠に基づいたものとは限らないので、模倣することが適切とは言えない。
- 研究論文の有用性を検討する。
- 研究論文が科学的根拠に基づくものであるか、その有用性を検討することは適切である。
- 既存の看護業務基準を遵守する。
- 既存の看護業務基準が根拠に基づいたものとは限らないので、遵守することが適切とは言えない。
【問題38】 患者の状態と看護師のコミュニケーションの方法との組合せで正しいのはどれか。
正解 3
- 構音障害 ―― 発音を促す
- 聴力障害 ―― 後方から声をかける
- 認知症 ―― 患者のペースに合わせて話す
- 患者のペースに合わせてコミュニケーションを行うことが大切である。言葉の誤りを指摘したり一度にたくさんのことを伝えたりせず、分かりやすい言葉でゆっくりと会話する。
- 失語 ―― 言葉の誤りを繰り返し訂正する
【問題39】 フィジカルアセスメントにおいて触診で判断するのはどれか。
正解 4
- 腱反射の有無
- 腱反射の有無を判断する際は打腱器を用いる。
- 瞬目反射の有無
- 瞬目反射の有無を判断する際は電気刺激などを用いる。
- 腸蠕動運動の有無
- 腸蠕動運動の有無は聴診で判断する。
- リンパ節の腫脹の有無
- リンパ節は皮下に存在するため、リンパ節の腫脹の有無は触診で判断することができる。
正解 4
- 針刺し部位を消毒液に浸す。
- 針刺し事故が起こった場合は、直ちに針刺し部位の血液をしぼり出し、流水と石鹸で十分に洗浄する。
- 注射針のリキャップを習慣化する。
- リキャップは、針刺し事故の原因となりやすい。
- 事故の当事者を対象にした研修を行う。
- 針刺し事故対策の教育・研修は全職員を対象に行う。
- 使用済みの針は専用容器に廃棄することを徹底する。
- 針刺し事故を防止するため、使用済みの針は専用容器に廃棄することを徹底する。
【問題41】 片麻痺のある患者の歩行介助で正しいのはどれか。
正解 1
- 患者の患側に立つ。
- 麻痺のある患側をサポートするため、患者の患側に立って歩行介助する。
- 靴底は摩擦が少ないものを準備する。
- 摩擦が少ない靴底は滑りやすく転倒の危険性があるため、摩擦が多いものを準備する。
- 杖を使用する場合は杖を持つ側で介助する。
- 杖を持つ側は健側であり、杖を持たない患側で介助する。
- 階段を昇る場合は患側下肢から昇るように指導する。
- 階段を昇る場合は健側下肢から昇る。
正解 4
- 腸蠕動の促進
- 温罨法の目的である。
- 筋緊張の除去
- 温罨法の目的である。
- 機能訓練の前処置
- 温罨法の目的である。
- 局所の炎症の抑制
- 冷罨法の目的である。
【問題43】 胃洗浄を行うときの体位で最も適切なのはどれか。
正解 3
- 仰臥位
- 腹臥位
- 左側臥位
- 胃洗浄を行う際は左側臥位とする。胃幽門側を高位とすることで、胃内容物の十二指腸への流入を防ぐことができる。
- 右側臥位
正解 4
- 「手術によって糖尿病は軽快します」
- 手術侵襲によって血糖上昇ホルモンが分泌されるため、血糖コントロールは悪化する。
- 「術後はインスリンを使用しません」
- 術後は手術侵襲によって高血糖となる。また、膵臓全摘術ではインスリンの分泌が低下する。そのためインスリンの使用は必須である。
- 「少量であれば間食をしても大丈夫です」
- 血糖をコントロールするため、間食はしてはならない。
- 「血糖のコントロールは術後の合併症を予防するために必要です」
- 良好な血糖コントロールを行うことで、感染症や縫合不全などのリスクを低くすることができる。
【問題45】 冠動脈バイパス術(CABG)後5時間が経過したとき、心嚢ドレーンからの排液が減少し、血圧低下と脈圧の狭小化とがあり、「息苦しい」と患者が訴えた。最も考えられるのはどれか。
正解 4
- 肺梗塞
- 不整脈
- 心筋虚血
- 心タンポナーデ
- 心タンポナーデは、心嚢に心嚢液が溜まり、心臓が圧迫されて十分に拡張できない状態である。心タンポナーデでは、血圧低下や脈圧の狭小化、中心静脈圧上昇、尿量減少などがみられる。心嚢ドレーンからの排液が減少していることから、心タンポナーデが考えられる。
正解 2
- アナフィラキシー
- 体温上昇や筋硬直はアナフィラキシーの症状と合致しない。
- 悪性高熱症
- 悪性高熱症は全身麻酔の合併症で、主に吸入麻酔薬や筋弛緩薬が原因となる。特徴的な症状として筋硬直があり、その他の症状として急激な体温上昇、頻脈、不整脈などがみられる。
- 菌血症
- 菌血症は血液中に細菌が存在する状態をいう。
- 貧血
- 体温上昇や筋硬直は貧血の症状と合致しない。
【問題47】 慢性副鼻腔炎についての説明で適切なのはどれか。
正解 3
- 1週間の内服で症状が軽減すれば受診の必要はない。
- 抗生物質の内服を1〜2か月続ける必要がある。
- 発症後1週は空気感染の危険性がある。
- 空気感染はしない。
- 眼窩内感染を起こす危険性がある。
- 副鼻腔は眼窩の近くに位置するため、眼窩内感染を起こす危険性がある。
- 透明の鼻汁が特徴的である。
- 膿性の鼻汁が特徴的である。
正解 1
- 尿意切迫感がある。
- 過活動膀胱の症状には、尿意切迫感や頻尿などがある。
- 失禁することはない。
- 尿意切迫感を伴うため、尿失禁の原因となる。
- 水分を制限して治療する。
- 脱水症を生じる危険性があるため、水分制限は適切でない。
- 50歳台の有病率が最も高い。
- 高齢になるほど有病率は高くなっていくため、80歳以上の有病率が最も高い。