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第105回看護師国家試験一般問題・状況設定問題解説(午前問題49〜68)

【問題49】 ハヴィガースト,R.J.による発達課題のうち、老年期の発達課題はどれか。

正解 1

  1. 健康の衰退に適応する。
    • ハヴィガーストは、老年期における発達課題として
      ・肉体的な強さと健康の衰退への適応
      ・引退と収入の減少への適応
      ・配偶者の死への適応
      ・同年代の人々との明るい親密な関係の確立
      ・社会的、市民的義務の引き受け
      ・肉体的に満足な生活を送る為の準備
      を挙げている。
  2. 大人の余暇活動を充実する。
    • 中年期の発達課題である。
  3. 個人としての自立を達成する。
    • 青年期の発達課題である。
  4. 大人の社会的な責任を果たす。
    • 中年期の発達課題である。

【問題50】 エイジズムを示す発言はどれか。

正解 2

  1. 「介護を要する高齢者を社会で支えるべきだ」
  2. 「後期高齢者は車の運転免許証を返納するべきだ」
    • 高齢を理由に車の運転免許証を返納するべきと言うのは、エイジズム(高齢者差別)にあたる。
  3. 「認知症の患者の治療方針は医療従事者が決めるべきだ」
  4. 「高齢者が潜在的に持つ力を発揮できるような環境を整えるべきだ」

【問題51】 高齢者の栄養管理について栄養サポートチーム(NST)と連携するときに、病棟看護師が行う看護活動で最も適切なのはどれか。

正解 2

  1. 同時期に他のサポートチームが介入しないようにする。
    • 他のサポートチームとの連携も必要である。
  2. 栄養管理が不十分な高齢者のケアについて助言を得る。
    • 栄養管理が不十分な高齢者のケアについて助言を得るのは適切である。
  3. 家族にも栄養サポートチーム(NST)の一員になるよう勧める。
    • 栄養サポートチーム(NST)は、医師、看護師、薬剤師、管理栄養士などで構成される。家族は含まれない。
  4. 経管栄養法を行っている高齢者数を減らす方法を一緒に考える。
    • 経管栄養法を減らすことが目的ではない。

【問題52】 Aさん(102歳、女性)は、重度の廃用症候群のために5年前から発語が少なく体を動かすことができない。誤嚥性肺炎で入退院を繰り返し、終末期である。同居している家族は積極的な治療をしないことを希望し、自宅でAさんを看取ることを決めた。Aさんの家族への退院時の指導で最も適切なのはどれか。

正解 4

  1. 「24時間付き添ってあげましょう」
    • 24時間付き添うことは困難であり、適切ではない。
  2. 「おむつの重さで尿量を測定しましょう」
    • 家族は積極的な治療をしないことを希望しており、尿量を測定する必要はない。
  3. 「苦しそうになったら救急車を呼びましょう」
    • 家族は積極的な治療をしないことを希望しており、救急車を呼ぶことは希望と異なる。
  4. 「Aさんが食べたければ食べさせてあげましょう」
    • 本人の希望に沿うことが最優先であり、最も適切である。

【問題53】 Aちゃん(生後10か月、男児)は、先天性心疾患のため手術を受けた。Aちゃんの体重の変化を図に示す。手術後から現在までの体重の変化に対する評価で適切なのはどれか。

第105回看護師国家試験一般問題解説53図

正解 4

  1. 体重増加の不良
  2. 過度な体重増加
  3. 標準的な体重増加
  4. キャッチアップ現象
    • キャッチアップ現象とは、疾病などによって一時的に妨げられていた成長が、状況が改善することで急速に追いつくことである。Aちゃんは手術後に急速に体重が増加しており、キャッチアップ現象であると考えられる。

【問題54】 小児の骨折の特徴で正しいのはどれか。

正解 1

  1. 不全骨折しやすい。
    • 小児では、骨が柔らかいため不全骨折になる場合が多い。
  2. 圧迫骨折しやすい。
  3. 骨折部が変形しやすい。
  4. 骨癒合不全を起こしやすい。

【問題55】 就労している妊婦に適用される措置と根拠法令との組合せで正しいのはどれか。

正解 4

  1. 時差出勤 ―― 母子保健法
    • 時差出勤は、男女雇用機会均等法によって定められている。
  2. 産前産後の休業 ―― 児童福祉法
    • 産前産後の休業は、労働基準法によって定められている。
  3. 軽易業務への転換 ―― 母体保護法
    • 軽易業務への転換は、労働基準法によって定められている。
  4. 危険有害業務の制限 ―― 労働基準法
    • 危険有害業務の制限は、労働基準法によって定められている。使用者は、妊産婦を、重量物を取り扱う業務、有害ガスを発散する場所における業務その他妊産婦の妊娠、出産、哺育等に有害な業務に就かせてはならない。

【問題56】 低用量経口避妊薬について正しいのはどれか。

正解 4

  1. 血栓症のリスクは増加しない。
    • エストロゲンが肝臓の血液凝固因子合成を促進させ、凝固能を亢進させるため、血栓症のリスクは増加する。
  2. 1日飲み忘れたときは中止する。
    • 飲み忘れが24時間以内であれば、飲み忘れた分をすぐに服用する。
  3. 授乳期間を通じて内服は可能である。
    • エストロゲンによる乳汁分泌抑制や母乳中へのステロイド移行があるため、授乳期間には内服しない。
  4. 副効用に月経前症候群(PMS)の軽減がある。
    • 低用量経口避妊薬には、月経前症候群の軽減の他、生理痛の軽減、月経不順の改善、子宮内膜症の改善などの副効用がある。

【問題57】 常位胎盤早期剥離のリスク因子はどれか。

正解 4

  1. 肥満
  2. 妊娠糖尿病
  3. 帝王切開術の既往
  4. 妊娠高血圧症候群
    • 常位胎盤早期剥離とは、正常位置に付着していた胎盤が、妊娠中または分娩中の胎児娩出前に子宮壁から剥離することである。妊娠高血圧症候群や慢性高血圧、破水による子宮内圧の急激な低下、腹部外傷、喫煙などがリスク因子となる。

【問題58】 地域精神保健活動における二次予防はどれか。

正解 4

  1. 精神科病院で統合失調症患者に作業療法を行う。
    • 機能回復や再発防止、社会復帰支援は三次予防である。
  2. 精神疾患患者に再燃を予防するための教育を行う。
    • 三次予防である。
  3. 地域の住民を対象にストレスマネジメントの講演会を行う。
    • 疾病の発生予防は一次予防である。
  4. 会社の健康診断でうつ傾向があると判定された人に面接を行う。
    • 二次予防である。二次予防は、早期に発見し、早期に治療を行うことである。

【問題59】 疾患と確定診断のために用いられる検査との組合せで最も適切なのはどれか。

正解 1

  1. 脳炎 ―― 脳脊髄液検査
    • 脳炎の診断には脳脊髄液検査が用いられる。脳炎では、髄液圧上昇、リンパ球優位の細胞増多、蛋白増加などがみられる。
  2. パニック障害 ―― 脳波検査
    • パニック障害の確定診断のための検査はない。補助的な検査として、PDSS(パニック障害重症度評価尺度)などの心理検査が用いられる。
  3. 特発性てんかん ―― 頭部MRI
    • 特発性てんかんの診断には脳波検査が用いられる。
  4. パーソナリティ障害 ―― 頭部CT
    • パーソナリティ障害の確定診断のための検査はない。

【問題60】 生活技能訓練(SST)について正しいのはどれか。

正解 1

  1. 退院支援プログラムの1つである。
    • 生活技能訓練は、対人関係や日常生活における技能の習得を助ける訓練であり、退院支援プログラムの1つである。
  2. 診断を確定する目的で実施される。
  3. セルフヘルプグループの一種である。
  4. 精神分析の考え方を応用したプログラムである。

【問題61】 精神保健法から精神保健及び精神障害者の福祉に関する法律への改正で行われたのはどれか。

正解 4

  1. 私宅監置の廃止
    • 1950年の精神衛生法施行に伴い、私宅監置は廃止された。
  2. 任意入院の新設
    • 1987年に精神衛生法から精神保健法へと改正され、任意入院が新設された。
  3. 通院医療公費負担制度の導入
    • 1965年の精神衛生法改正によって、通院医療公費負担制度が導入された。2006年からは障害者総合支援法による自立支援医療に移行した。
  4. 精神障害者保健福祉手帳制度の創設
    • 精神保健法から精神保健及び精神障害者の福祉に関する法律への改正に伴い、精神障害者保健福祉手帳制度の創設、社会復帰施設の4類型化、社会適応訓練事業の法定化などが行われた。

【問題62】 介護保険被保険者で介護保険による訪問看護が提供されるのはどれか。

正解 1

  1. 脳血管疾患
    • 脳血管疾患は、介護保険による訪問看護が提供される。
  2. 末期の結腸癌
    • 末期の悪性腫瘍および厚生労働大臣が定める疾病等に該当する場合や急性増悪期で特別訪問看護指示書の交付がある場合は、医療保険適用となる。末期の結腸癌は、医療保険の適用となる。
  3. 脊髄小脳変性症
    • 脊髄小脳変性症は、厚生労働大臣が定める疾病に該当するため、医療保険の適用となる。
  4. 進行性筋ジストロフィー
    • 進行性筋ジストロフィーは、厚生労働大臣が定める疾病に該当するため、医療保険の適用となる。

【問題63】 訪問看護ステーションの管理・運営について正しいのはどれか。

正解 3

  1. 事務所を設置する必要はない。
    • 事務所を設置する必要がある。
  2. 訪問看護の利用回数の調整は市町村が行う。
    • 利用回数の調整は、事業者と利用者双方で相談して行う。
  3. 利用者が希望すれば訪問看護の記録を開示する。
    • 訪問看護の記録は個人情報であり、利用者から開示を求められた場合は、開示する必要がある。
  4. 利用者とのサービス契約後に重要事項を説明する。
    • 利用者とのサービス契約前に重要事項を説明する必要がある。

【問題64】 医療安全と関連する方法の組合せで誤っているのはどれか。

正解 1

  1. 院内感染対策 ―― プライマリナーシング
    • プライマリーナーシングとは、看護師がやりがいや責任感を持って看護を提供できるよう開発された看護方式で、1人の患者を1人の看護師が入院から退院まで一貫して担当する方式である。
  2. 事故防止対策 ―― インシデントレポート
    • インシデントレポートとは、ヒヤリハット事例の報告のことであり、目的は事故の予防である。事故の把握、原因の分析、組織での共有を行い、事故の予防・再発の防止に役立てる。
  3. 医療の質の保証 ―― クリニカルパス
    • クリニカルパスは、疾患別に入院中や退院後の治療や検査、処置、指導、看護、食事などを時系列で示した、標準的な治療・ケア計画表である。情報を共有化することで、チーム医療を実現することができる。通常、医療者用と患者用の2つを作成する。
  4. 手術時の安全対策 ―― タイムアウト
    • タイムアウトとは、手術に関わる医師、看護師のメンバー全員が一斉に手を止めて、患者や手術部位を確認しあうことをいう。

【問題65】 診療情報を第三者に開示する際、個人情報の保護として正しいのはどれか。

正解 4

  1. 死亡した患者の情報は対象にならない。
    • 死亡した患者の情報も対象となる。
  2. 個人情報の利用目的を特定する必要はない。
    • 個人情報の利用目的は特定する必要がある。
  3. 特定機能病院では本人の同意なく開示できる。
    • 本人の同意なく開示することはできない。
  4. 法令に基づく保健所への届出に関して本人の同意は不要である。
    • 「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」によって定められている感染症患者の保健所への届出に関しては、本人の同意は不要である。

【問題66】 Aさん(75歳、男性)は、2型糖尿病で超速効型インスリンによる治療を行っている。災害に備えて行うAさんへの指導で適切なのはどれか。

正解 3

  1. 開封したインスリンは1年間使用できる。
    • インスリンの使用期限は製剤によって異なるが、長くても開封後6週間である。
  2. 使用しているインスリンの名称を正確に覚えなくてもよい。
    • 災害時に薬を持ち出せなかった場合などに備えて、使用しているインスリンの名称を覚えておくことが大切である。
  3. 消毒薬の入手が難しい場合は消毒せずに注射してもよい。
    • 消毒薬の入手が難しい場合は、血糖コントロールを第一に考え、消毒せずに注射してもよい。
  4. 平常時と同じように非常時もインスリン注射は食前に行う。
    • 食前投与にこだわらず、食事の摂取状況に応じて対応する。

【問題67】 国際機関と事業内容の組合せで正しいのはどれか。

正解 3

  1. 国連難民高等弁務官事務所(UNHCR) ―― 有償資金協力
    • UNHCRは、難民の保護と支援を目的とした国連の機関である。有償資金協力を行うのは、ODAである。
  2. 国連教育科学文化機関(UNESCO) ―― 児童の健康改善
    • UNESCOは、諸国民の教育、科学、文化の協力と交流を通じて、国際平和および人類の福祉を促進することを目的とした国連の専門機関である。児童の健康改善を行うのは、UNICEFである。
  3. 世界保健機関(WHO) ―― 感染症対策
    • WHOは、保健衛生分野の国際協力を目的とする国連の専門機関である。WHOの主要事業活動は、「医学情報の総合調整」「国際保健事業の指導的かつ調整機関としての活動」「保健事業の強化についての世界各国への技術協力」「感染症及びその他の疾病の撲滅事業の促進」「保健分野における研究の促進・指導」「生物学的製剤及び類似の医薬品、食品に関する国際的基準の発展・向上」である。
  4. 国際労働機関(ILO) ―― 平和維持活動
    • ILOは、雇用・労働条件の改善を目的とした国連の専門機関である。平和維持活動を行うのは、PKOである。

【問題68】 頭部CTを示す。出血部位について正しいのはどれか。

第105回看護師国家試験一般問題解説68図

正解 2

  1. 皮下組織
    • 皮下血腫は、たんこぶのことで、頭蓋骨の外側の出血である。
  2. 硬膜外腔
    • 頭蓋骨と硬膜の間に出血が起きている場合、脳実質を圧迫するため凸レンズ状の血腫が見られる。
  3. くも膜下腔
    • くも膜下腔の出血では、脳脊髄液に血液が混入するため、脳溝部が白く描出される。
  4. 脳実質内
    • 脳実質内に出血を起こしたものを脳内出血という。好発部位は被殻である。
  5. 脳室内
    • 水頭症では脳室内に脳脊髄液が溜まるため、脳室の拡大がみられる。

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