第105回看護師国家試験一般問題・状況設定問題解説(午前問題69〜90)
正解 2
- 冠動脈
- 眼底動脈
- 眼底は、人間の身体の中で唯一、血管を外から直接観察できる部位である。血管を観察することで、高血圧、動脈硬化の程度、糖尿病による血管病変などを評価することができる。
- 大腿動脈
- 腹部大動脈
- 中大脳動脈
【問題70】 接触性皮膚炎の原因となるアレルギー反応で正しいのはどれか。
正解 4
- Ⅰ型
- Ⅱ型
- Ⅲ型
- Ⅳ型
- 接触性皮膚炎(化粧品かぶれ、うるしかぶれ等)はⅣアレルギーである。T細胞が関与する遅延型アレルギーである。
- Ⅴ型
【問題71】 膀胱留置カテーテルの写真を示す。成人女性に膀胱留置カテーテルが挿入されている場合、体内に留置されている長さで最も適切なのはどれか。
正解 3
- ①
- ②
- ③
- 成人女性の尿道の長さは3〜4cmで、一時的な導尿を行う際のカテーテル挿入の長さは5〜7cmである。尿がカテーテルを流れ始めてから、さらに2〜3cm挿入するとバルーン部まで確実に膀胱内に収まることになる。今回の設問では、その部分まで写真で示されており、体内に留置されている長さは③が最も適切である。
- ④
- ⑤
【問題72】 Aさん(60歳、男性)は、胃癌の手術目的で入院した。大動脈弁置換術を受けた既往があり、内服していたワルファリンをヘパリンに変更することになった。確認すべきAさんの検査データはどれか。
正解 1
- PT-INR
- Aさんは抗凝固作用があるワルファリンを内服していた。Aさんの抗凝固能を評価するために、PT-INR(プロトロンビン時間国際標準比)の検査データを確認すべきである。
- 赤血球数
- 白血球数
- 出血時間
- ヘモグロビン値
【問題73】 膀胱癌のため尿路ストーマを造設する予定の患者への説明で適切なのはどれか。
正解 4
- 「尿道の一部を体外に出して排泄口を造ります」
- 尿路ストーマでは、尿管を体外に出す。
- 「尿意を感じたらトイレで尿を捨てます」
- 尿路ストーマでは、尿意は感じない。
- 「ストーマの装具は毎日貼り替えます」
- ストーマの装具は、数日に1回貼り替える。
- 「ストーマに装具を付けて入浴します」
- 装具を付けたまま入浴する。
- 「水分の摂りすぎに注意が必要です」
- 尿路感染予防のため、水分は十分に摂取する。
【問題74】 認知症対応型共同生活介護(認知症高齢者グループホーム)で正しいのはどれか。
正解 1
- 光熱費は自己負担である。
- 家賃、水道光熱費、食費などは自己負担である。
- 12人を1つのユニットとしている。
- 1ユニット5〜9人である。
- 看護師の配置が義務付けられている。
- 看護師の配置は義務付けられていない。
- 介護保険制度の施設サービスである。
- 介護保険制度の地域密着型サービスである。
- 臨死期は提携している病院に入院する。
- 臨死期に提携している病院に入院しなければいけないわけではない。
正解 3
- アセント
- インフォームドアセントとは、小児患者の治療の際に、保護者からインフォームドコンセントを得るだけでなく、当事者の子供に対しても、治療に関する説明、同意の取得を行うことである。
- コンセント
- インフォームドコンセントとは、患者に十分に情報を提供し、患者の同意を得ることである。
- アドボカシー
- アドボカシーとは、権利の代弁、権利の擁護のことを指す。自己の権利を行使したり表明することのできない患者の権利を代弁することをいう。
- ノーマライゼーション
- ノーマライゼーションとは、「障害者や高齢者を特別視せず、可能な限り通常の市民生活を送ることができるようにする」という理念やそれに基づく政策のことである。
- ノンコンプライアンス
- ノンコンプライアンスとは、医師の指示に患者が従わないことである。
【問題76】 3か月の乳児の親に対する問診で適切でないのはどれか。
正解 1
- 「寝返りをしますか」
- 寝返りをするのは生後6か月頃からであり、適切でない。
- 「あやすとよく笑いますか」
- 「物を見て上下左右に目で追いますか」
- 「アーアー、ウーウーなど声を出しますか」
- 「腹ばいにすると腕で体を支えて頭を持ち上げますか」
【問題77】 萎縮性腟炎に伴う状態について正しいのはどれか。
正解 1
- 性交痛
- 萎縮性腟炎では、性交痛がみられる。
- 白色の帯下
- 黄色の帯下や膿性、出血性の帯下がみられる。
- 腟壁の肥厚化
- 腟壁は薄くなる。
- 腟の自浄作用の亢進
- 腟の自浄作用は低下する。
- エストロゲン分泌の増加
- エストロゲン分泌の減少が原因となる。
【問題78】 うつ病で入院している患者が「自分は重大な過ちで皆に迷惑をかけてしまいました。死んでおわびします」という妄想を訴えた。この患者にみられるのはどれか。
正解 1
- 罪業妄想
- 罪業妄想とは、罪深いことをしてしまったと思い込み、自分自身を責める妄想である。
- 心気妄想
- 心気妄想とは、重大な病気にかかってしまったと思い込むことである。
- 追跡妄想
- 追跡妄想とは、誰かに追跡されていると思い込むことである。
- 被毒妄想
- 被毒妄想とは、食事や薬などに毒が盛られていると思い込むことである。
- 貧困妄想
- 貧困妄想とは、経済的に問題がなくても極端に金銭の心配をすることである。
正解 3
- 無菌操作で交換する。
- 無菌操作の必要はない。
- 頻回に交換するよう説明する。
- 頻回に交換することが皮膚への刺激となり、皮膚障害を招くこともある。
- 面板を温めて皮膚に貼付する。
- 面板を温めると、粘着性が高まって皮膚により密着するようになる。
- 面板を人工肛門より小さめに切る。
- 面板は人工肛門より数ミリ大きめに切る。
- 腹壁の皮膚を寄せて面板を貼付する。
- 腹壁の皮膚を伸ばして面板を貼付する。
【問題80】 トリアージタグを装着する部位の優先順位で適切なのはどれか。
正解 4
- 頸部→右手→左手→右足→左足
- 頸部→左手→左足→右手→右足
- 右手→右足→左手→左足→頸部
- 右手→左手→右足→左足→頸部
- トリアージタグは右手に装着する。装着する部位の優先順位は、右手→左手→右足→左足→頸部である。
- 左手→右手→左足→右足→頸部
正解 1,5
- 視細胞
- 視細胞は、視覚性立ち直り反射に関与する。
- コルチ器
- コルチ器は、蝸牛内にある音の感受器官である。
- 圧受容器
- 血圧変化を感知する圧受容器は、頚動脈洞や大動脈弓に存在する。
- 化学受容器
- 中枢化学受容器は動脈血二酸化炭素分圧に、末梢化学受容器(頚動脈小体、大動脈小体)は動脈血酸素分圧に反応し、呼吸調節に関与する。
- 頸筋の筋紡錘
- 頸筋の筋紡錘は、頸筋性立ち直り反射に関与する。
【問題82】 ヒト免疫不全ウイルス(HIV)の感染経路で正しいのはどれか。2つ選べ。
正解 4,5
- 感染者の嘔吐物との接触
- 感染者の咳による曝露
- 感染者の糞便との接触
- 感染者からの輸血
- ヒト免疫不全ウイルス(HIV)の感染経路は、性行為、血液感染、母子感染である。
- 感染者との性行為
- 血液、精液、腟分泌物、母乳など、ウイルスを多く含んだ体液を通じて感染する。
【問題83】 慢性腎不全によって起こるのはどれか。2つ選べ。
正解 4,5
- 低血圧
- 循環血液量が増加して血圧は上昇する。
- 低リン血症
- リンの排泄が低下するため、高リン血症となる。
- 低カリウム血症
- カリウムの排泄が低下するため、高カリウム血症となる。
- 低カルシウム血症
- ビタミンDの活性化障害によって、腸からのカルシウム吸収が不足し、低カルシウム血症となる。
- 代謝性アシドーシス
- 尿細管機能低下によって、重炭酸イオンの再吸収障害、水素イオンの排泄障害が起こる。重炭酸イオンの減少、水素イオンの増加によって、血液が酸性に傾き、代謝性アシドーシスを起こしやすい。
【問題84】 配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律に定められているのはどれか。2つ選べ。
正解 4,5
- 離婚調停の支援
- 成年後見制度の利用
- 保健所による自立支援
- 婦人相談員による相談
- 「婦人相談員は、被害者の相談に応じ、必要な指導を行うことができる」と定められている。
- 裁判所による接近禁止命令
- 暴力被害者への接近禁止については、2001年の法施行時より規定されている。2004年の改正により、被害者だけでなく、被害者と同居する子についても接近禁止命令を出すことが可能になった。また、加害者の対象として元配偶者も含まれるようになった。尚、2007年の改正では、保護命令の対象が、生命等に対する脅迫を受けた者及び被害者の親族等へも拡大され、電話・ファクシミリ・手紙・メール等によるつきまとい行為等も禁止命令の対象となった。
【問題85】 パルスオキシメータによる経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)の測定に適した部位はどれか。2つ選べ。
正解 3,4
- 背部
- 上腕
- 指先
- 測定に適した部位である。経皮的動脈血酸素飽和度はパルスオキシメータを用いて測定する。指先や耳たぶなどにセンサーを装着し、侵襲せずに動脈血酸素飽和度と脈拍数を測定することができる。
- 耳たぶ
- 測定に適した部位である。
- 大腿部
正解 3,4
- 低酸素血症がある。
- SpO2が97%であり、低酸素血症はみられない。
- 胸郭運動がみられる。
- 第5頸椎レベルの脊髄損傷であるため、胸郭運動はみられない。
- 無気肺を起こしやすい。
- 呼吸筋低下による呼吸困難がみられており、分泌物増加や痰の喀出困難が生じると無気肺を起こしやすくなる。
- 腹式呼吸を行っている。
- 腹式呼吸には横隔膜が関与しており、横隔膜は第3〜5頸髄からの神経支配を受けている。第5頸椎レベルの脊髄損傷では、横隔膜の機能は残存するため、腹式呼吸はみられる。
- 閉塞性換気障害を起こしている。
- 閉塞性換気障害は、慢性気管支炎、気管支喘息、肺気腫などでみられる。呼吸筋の障害でみられるのは、拘束性換気障害である。
正解 4,5
- 「仕事を休みましょう」
- 仕事を休む必要はない。
- 「禁酒する必要があります」
- 禁酒する必要はない。
- 「積極的に運動しましょう」
- 積極的な運動は控える。
- 「発熱したときは受診してください」
- 抗甲状腺薬の副作用には無顆粒球症がある。無顆粒球症では、顆粒球の著しい低下によって細菌に対する抵抗力が弱まり、易感染状態となる。無顆粒球症の初期症状である発熱や悪寒、咽頭痛に注意が必要である。
- 「病気が原因でイライラしやすくなります」
- 甲状腺機能亢進症では、頻脈、手指の震え、体重減少、動悸、イライラなどがみられる。
正解 3,5
- ヒトパピローマウイルス検査
- 小腸内視鏡検査
- 腎盂尿管造影
- 腎盂尿管造影を用いて、浸潤による尿管の圧迫や閉塞の有無を調べる。
- 脊髄造影
- CT
- 腰痛と坐骨神経痛がみられており、CTを用いて周辺への広がりを調べる。
【問題89】 児の免疫に関する説明で正しいのはどれか。2つ選べ。
正解 1,3
- 胎児期は胎盤を通じて母体からIgGを受け取る。
- IgGは胎盤通過性があり、胎児期は胎盤を通じて母体から多量のIgGを受け取る。
- 出生後は母乳からIgMを受け取る。
- 母乳には分泌型IgAが多く含まれている。
- 生後3か月ころに免疫グロブリンが最も少なくなる。
- 母体由来のIgGが減少し、児自身の産生も少ないため、生後3か月頃に免疫グロブリンが最も少なくなる。
- 1歳ころから抗体の産生が盛んになる。
- 抗体の産生は出生時から盛んになる。
- 3歳ころにIgAが成人と同じレベルに達する。
- IgAは15〜18歳頃に成人と同じレベルに達する。
正解 1
- 300mL
- 50滴/分の速度で80分滴下したので、50滴×80分=4000滴を滴下している。成人用輸液セットは20滴/mLであるので、4000滴÷20滴/mL=200mLが現在滴下した量である。元の輸液量が500mLなので、500mL−200mL=300mLが残量である。
- 350mL
- 370mL
- 433mL