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第105回看護師国家試験一般問題・状況設定問題解説(午後問題26〜48)

【問題26】 耳の感覚器と刺激との組合せで正しいのはどれか。

正解 2

  1. 蝸牛管 ―― 頭部の回転
    • 耳小骨の振動で蝸牛管の内部に満たされているリンパ液が揺れ、その揺れを有毛細胞がとらえて電気信号に変え、蝸牛神経に伝える。
  2. 球形嚢 ―― 頭部の傾き
    • 球形嚢の内部には平衡斑があり、頭部の傾きを感知している。
  3. 半規管 ―― 鼓膜の振動
    • 半規管は、内腔を満たすリンパ液の動きにより、回転加速度を感知している。
  4. 卵形嚢 ―― 骨の振動
    • 卵形嚢の内部には平衡斑があり、頭部の傾きを感知している。

【問題27】 血液型で正しいのはどれか。

正解 2

  1. 日本人の15%はRh(−)である。
    • 日本人のRh(−)の頻度は0.5%である。
  2. A型のヒトの血漿には抗B抗体がある。
    • A型のヒトは、赤血球表面にA抗原があり、血漿中に抗B抗体がある。
  3. B型のヒトの赤血球膜表面にはA抗原がある。
    • B型のヒトは、赤血球表面にB抗原があり、血漿中に抗A抗体がある。
  4. Coombs(クームス)試験でABO式の血液型の判定を行う。
    • クームス試験は、赤血球に結合した抗体の存在を調べる検査である。

【問題28】 胃酸の分泌を抑制するのはどれか。

正解 3

  1. アセチルコリン
    • アセチルコリンは、胃酸の分泌を促進する。
  2. ガストリン
    • ガストリンは、胃酸の分泌を促進する。
  3. セクレチン
    • セクレチンは、十二指腸S細胞から分泌され、胃酸の分泌抑制や膵液の分泌促進などに働く。
  4. ヒスタミン
    • ヒスタミンは、胃酸の分泌を促進する。

【問題29】 腎臓について正しいのはどれか。

正解 3

  1. 腹腔内にある。
    • 腎臓は後腹膜腔にあり、後腹膜器官と呼ばれる。
  2. 左右の腎臓は同じ高さにある。
    • 右腎の上に肝臓があるため、右腎は左腎よりもやや低い位置にある。
  3. 腎静脈は下大静脈に合流する。
    • 左右の腎静脈は下大静脈に合流する。
  4. 腎動脈は腹腔動脈から分かれる。
    • 腎動脈は腹部大動脈から枝分かれしている。

【問題30】 アポトーシスで正しいのはどれか。

正解 4

  1. 群発的に発現する。
    • 管理・調節された細胞死である。
  2. 壊死のことである。
    • 壊死はネクローシスである。
  3. 炎症反応が関与する。
    • 炎症反応は関与しない。
  4. プログラムされた細胞死である。
    • アポトーシスは、プログラムされた細胞死である。

【問題31】 感染性因子とその構成成分の組合せで正しいのはどれか。

正解 2

  1. 細菌 ―― 核膜
    • 細菌は核膜を持たない原核生物である。
  2. 真菌 ―― 細胞壁
    • 真菌は核膜を持つ真核生物である。真菌には細胞壁が存在している。
  3. プリオン ―― 核酸
    • プリオンは核酸を持たない蛋白質性の感染因子である。
  4. ウイルス ―― 細胞膜
    • ウイルスは、蛋白質の殻と核酸からなり、細胞膜は持たない。

【問題32】 日本の世帯構造の平成元年(1989年)から25年間の変化で正しいのはどれか。

正解 1

  1. 単独世帯数は増加している。
    • 単独世帯数は、平成元年では786万6千世帯、平成25年では1,328万5千世帯で、増加している。
  2. 平均世帯人数は増加している。
    • 平均世帯人数は、平成元年では3.10人、平成25年では2.51人で、減少している。
  3. ひとり親と未婚の子のみの世帯数は2倍になっている。
    • ひとり親と未婚の子のみの世帯数は、平成元年では198万5千世帯、平成25年では362万1千世帯で、約1.8倍になっている。
  4. 65歳以上の者のいる夫婦のみの世帯数は2倍になっている。
    • 65歳以上の者のいる夫婦のみの世帯数は、平成元年では225万7千世帯、平成25年では697万4千世帯で、約3倍になっている。

【問題33】 食品衛生法に定められていないのはどれか。

正解 3

  1. 残留農薬の規制
    • 食品衛生法に定められている。
  2. 食品添加物の規制
    • 食品衛生法に定められている。
  3. 食品安全委員会の設置
    • 食品安全委員会は、食品安全基本法に基づき内閣府に設置されている。科学的見地に基づき客観的かつ中立公正な立場から食品のリスク評価を行う機関である。食品衛生法には定められていない。
  4. ポジティブリスト制度の導入
    • 食品衛生法に定められている。

【問題34】 がん対策基本法で定められているのはどれか。

正解 3

  1. 受動喫煙のない職場を実現する。
    • 受動喫煙の防止については、健康増進法や労働安全衛生法に定められている。
  2. がんによる死亡者の減少を目標とする。
    • 「がん対策を総合的かつ計画的に推進すること」を目的としている。
  3. 都道府県がん対策推進計画を策定する。
    • 「都道府県は、がん対策推進基本計画を基本とするとともに、当該都道府県におけるがん患者に対するがん医療の提供の状況等を踏まえ、当該都道府県におけるがん対策の推進に関する計画(都道府県がん対策推進計画)を策定しなければならない」と定められている。
  4. がんと診断されたときからの緩和ケアを推進する。
    • がん患者の療養生活の質の維持向上として、「がん患者の状況に応じて疼痛等の緩和を目的とする医療が早期から適切に行われるようにすること」とされている。

【問題35】 患者と看護師との協働について適切なのはどれか。

正解 1

  1. 患者が目標達成できるよう支援する。
    • コミュニケーションを図りながら、患者の意思を確認・尊重し、患者が目標達成できるよう支援する。
  2. 治療に関する情報は看護師が占有する。
    • 治療に関する情報は患者と共有する。
  3. 看護計画は看護師の視点を中心に立案する。
    • 看護計画は患者の希望も取り入れて立案する。
  4. ケアは看護師の業務予定に基づき実施する。
    • ケアは看護師の都合に合わせるのではなく、患者に合わせて実施する。

【問題36】 Aさん(56歳、男性)は、脳梗塞の後遺症のためにリハビリテーションをしている。食事中に箸がうまく使えずイライラしている。この状況で看護師が最も連携すべき専門職はどれか。

正解 4

  1. 精神保健福祉士
  2. 社会福祉士
  3. 理学療法士
  4. 作業療法士
    • 作業療法士は、手芸・工作・家事といった作業を通じて、日常生活に必要な機能の回復や精神状態の改善などを図り、社会的適応能力を回復させる援助をする。食事中に箸がうまく使えずイライラしている状況で、最も連携すべき専門職である。

【問題37】 Aさん(80歳、女性)は、肺炎で入院して持続点滴中である。消灯時、訪室すると「体がだるくて眠れない」と訴えている。Aさんへの入眠に向けた援助で最も適切なのはどれか。

正解 2

  1. テレビをつける。
    • テレビからの光刺激によって、より入眠が妨げられるため、不適切である。
  2. 足浴を実施する。
    • 足浴には、リラクゼーション効果があり、疲労感の改善にもつながる。睡眠を促す効果もあるので、入眠に向けた援助で最も適切である。
  3. そのまま様子をみる。
    • 患者の訴えを無視しており、不適切である。
  4. 睡眠薬を処方してもらう。
    • 安易に薬に頼るのは適切ではない。また、体がだるいという患者の訴えに対応していない。

【問題38】 ベッド上での排便の介助時に使用した手袋を手から取り外すタイミングで適切なのはどれか。

正解 1

  1. 肛門周囲の便を拭き取った後
    • 感染予防のため、便を拭き取った後は手袋を外す。
  2. 排便後の患者の寝衣を整えた後
    • 寝衣が汚染されてしまうため、不適切である。
  3. ベッド周囲のカーテンを開けた後
    • カーテンが汚染されてしまうため、不適切である。
  4. 使用した物品を汚物処理室で片づけた後
    • 院内が汚染されてしまうため、不適切である。

【問題39】 臥床患者の安楽な体位への援助として適切なのはどれか。

正解 2

  1. 同一体位を5時間程度保持する。
  2. 仰臥位では膝の下に枕を入れる。
    • 褥瘡予防のため定期的に体位変換を行う。仰臥位では、膝の下に枕を入れ、膝を少し屈曲させる。
  3. 側臥位では両腕を胸の前で組む。
  4. 腹臥位では下腿を挙上する。

【問題40】 嚥下障害のある患者の食事の開始に適しているのはどれか。

正解 3

  1. 白湯
  2. 味噌汁
  3. ゼリー
    • 液体やパサパサした食べ物、口の中でまとまりにくい物などは誤嚥を起こしやすい。嚥下食には、ゼリーやプリン、卵豆腐など、適度な粘度があり、滑らかに喉を通過するものが適している。
  4. 煮魚

【問題41】 病棟での医薬品の管理で正しいのはどれか。

正解 1

  1. 生ワクチンは遮光し、5℃以下で保存する。
    • 生ワクチンは遮光し、5℃以下で保存する。
  2. 溶解した薬剤は冷凍保存する。
    • 用時溶解の薬剤は、溶解後速やかに使用する。やむを得ず保存する場合は、冷所で保存するのが一般的である。
  3. 劇薬は施錠できる場所に保管する。
    • 劇薬は他の薬剤と区別して保管しなければならないが、施錠義務はない。
  4. アンプルに残った麻薬注射液は廃棄する。
    • 残った麻薬注射液や使用後のアンプルは全て麻薬管理責任者に返却しなければならない。

【問題42】 不安の強い入院患者に対し問題中心の対処を促す方法で適切なのはどれか。

正解 2

  1. 読書をして気分転換を促す。
  2. 原因に気付くように支援する。
    • ストレスコーピングには大きく分けて2種類ある。ストレスを引き起こしている問題を直接的に解決する「問題中心の対処」と、生じた不安などの情動反応を調節する「情動中心の対処」である。原因に気付くように支援することは、問題解決を図ることへの支援であり、問題中心の対処を促す方法である。
  3. 平常な気持ちを保つように助言する。
  4. 家族に不満を聞いてもらうことを勧める。

【問題43】 セルフケア行動を継続するための支援で適切なのはどれか。

正解 3

  1. 看護師が患者の目標を設定する。
    • 目標は患者自身が設定し、看護師はそのサポートをする。
  2. 目標は達成が容易でない水準にする。
    • 目標は達成可能なものにする。
  3. 行動の習慣化が重要であることを伝える。
    • 行動を継続するためには、行動の習慣化が重要である。
  4. これまでの経験は忘れて新たな方法で取り組むよう促す。
    • これまでの経験も活かして取り組むよう促す。

【問題44】 Aさん(43歳、男性)は、胆道狭窄のため内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP)検査を受けた。検査後に心窩部痛が出現したため、禁食、抗菌薬および蛋白分解酵素阻害薬による治療が行われている。翌日実施した血液検査の項目でAさんに生じている合併症を判断できるのはどれか。

正解 1

  1. アミラーゼ
    • 内視鏡的逆行性胆管膵管造影検査の合併症には急性膵炎がある。十二指腸乳頭部への機械的刺激による腫脹や、造影剤による膵臓への直接作用などによるものである。膵炎では、血中や尿中にアミラーゼの増加がみられる。
  2. アルブミン
  3. クレアチニン
  4. クレアチンキナーゼ

【問題45】 維持血液透析中の看護で適切なのはどれか。

正解 3

  1. シャント肢を抑制する。
    • シャント肢を抑制する必要はない。
  2. 室温を18℃に設定する。
    • 室温は、25〜28℃に設定することが多いが、季節や医療施設によって設定温度は異なる。
  3. 筋肉のけいれんの出現に注意する。
    • 血液透析では、除水による血圧低下や血液中の電解質のアンバランスなどが原因となり、特に下肢の筋肉のけいれんが出現しやすくなるので、注意が必要である。
  4. 患者が吐き気を感じたら座位にする。
    • 吐き気を感じたら誤嚥防止のため側臥位にする。

【問題46】 Aさん(37歳、女性)は、月経異常で病院を受診し、糖尿病および高血圧症と診断された。また、満月様顔貌や中心性肥満の身体所見がみられたため検査が行われ、ホルモン分泌異常と診断された。原因となるホルモンを分泌している臓器はどれか。

正解 3

  1. 副甲状腺
  2. 甲状腺
  3. 副腎
    • 満月様顔貌や中心性肥満の身体所見からクッシング症候群が考えられる。クッシング症候群は、副腎皮質から分泌されるコルチゾールの分泌過剰によって起こる。
  4. 卵巣

【問題47】 日本の平成25年(2013年)の国民生活基礎調査において高齢者世帯の所得で、1世帯当たり平均所得金額の構成割合が最も高いのはどれか。

正解 3

  1. 稼働所得
    • 稼働所得は18.0%である。
  2. 財産所得
    • 財産所得は7.2%である。
  3. 公的年金・恩給
    • 公的年金・恩給は68.5%で、最も高い。
  4. 仕送り・企業年金・個人年金・その他の所得
    • 仕送り・企業年金・個人年金・その他の所得は5.4%である。

【問題48】 認知症の高齢者に対するノーマライゼーションで正しいのはどれか。

正解 1

  1. 散歩を勧める。
    • ノーマライゼーションとは、「障害者や高齢者を特別視せず、可能な限り通常の市民生活を送ることができるようにする」という考え方である。
  2. 決められた服を着るよう勧める。
  3. 重度の場合は精神科病棟に入院を勧める。
  4. 食べこぼしのあるときに箸を使用しないよう勧める。

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