第105回看護師国家試験一般問題・状況設定問題解説(午後問題49〜68)
正解 1
- 錯語
- 錯語は、誤った言語を用いてしまうことである。「めがね」を「めとね」と言うのは、音韻性錯語(字性錯語)である。
- 感情失禁
- 感情失禁とは、感情が抑制できず、喜びや怒りなどの感情表出が通常よりも多く出過ぎてしまうことである。
- 喚語困難
- 喚語困難は、頭では分かっていても、言葉が思い出せず、言いたい言葉が出てこない状態をいう。
- 運動性失語
- 運動性失語は、伝えたいことを言語に表現できない状態である。
【問題50】 便秘の原因となる加齢に伴う身体的変化で誤っているのはどれか。
正解 3
- 大腸粘膜の萎縮
- 加齢に伴う大腸粘膜の萎縮は便秘の原因となる。
- 骨盤底筋群の筋力低下
- 加齢に伴う骨盤底筋群の筋力低下は便秘の原因となる。
- 直腸内圧の閾値の低下
- 加齢に伴い直腸内圧の閾値が上昇することで、便意を感じにくくなり、便秘の原因となる
- 大腸の内括約筋の緊張の低下
- 加齢に伴う大腸の内括約筋の緊張の低下は便秘の原因となる。
【問題51】 Aさん(75歳、女性)は、終末期のがんの夫を自宅で介護している。Aさんと夫は自宅での看取りを希望している。Aさんへのケアで最も適切なのはどれか。
正解 1
- 臨死期に起こる身体徴候について説明しておく。
- 不安を軽減させるため、臨死期に起こる身体徴候についてあらかじめ説明しておき、精神的な準備をしてもらう。
- 自宅で看取る意思が揺らぐことがないように支援する。
- 自宅で看取る意思が揺らぐことがないよう支援するのではなく、療養者や家族が不安を感じた時に支援することが大切である。
- 配偶者を亡くした家族の会への参加を生前から勧める。
- 生前から家族の会への参加を勧めるのは不適切である。
- 夫が元気だったころの思い出を話題にしないように勧める。
- 思い出話をすることはグリーフケアとなる。
【問題52】 乳児が1日に必要とする体重1kg当たりの水分量はどれか。
正解 3
- 80mL
- 100mL
- 150mL
- 乳児が1日に必要とする体重1kg当たりの水分量は150mLである。尚、幼児では、100mLである。
- 180mL
【問題53】 日本の平成24年(2012年)における周産期死亡率(出産千対)について正しいのはどれか。
正解 2
- 2.0
- 4.0
- 日本の平成24年における周産期死亡率は4.0であった。周産期死亡率は周産期死亡数(妊娠満22週以後の死産数+早期新生児死亡数)を出産数(出生数+妊娠満22週以後の死産数)で除したものである。
- 6.0
- 8.0
【問題54】 性的対象とその性的指向の分類との組合せで正しいのはどれか。
正解 2
- 同性 ―― トランスセクシュアル
- 性的対象が同性であるのは、ホモセクシュアルである。
- 異性 ―― ヘテロセクシュアル
- 性的対象が異性であるのは、ヘテロセクシュアルである。
- 両性 ―― ホモセクシュアル
- 性的対象が両性であるのは、バイセクシュアルである。
- なし ―― バイセクシュアル
- 無性愛者はアセクシュアル、非性愛者はノンセクシュアルである。
【問題55】 更年期障害の女性にみられる特徴的な症状はどれか。
正解 1
- 異常発汗
- 更年期障害では、ホットフラッシュ(のぼせ、ほてり)や頻脈、血圧変動、発汗、腰痛、肩こり、倦怠感などの自律神経失調症状、不安、孤独感、不眠、抑うつなどの精神症状が生じる。
- 低血圧
- 妄想
- 便秘
正解 2
- 一過性に涙もろくなる。
- マタニティブルーズでは、抑うつ気分や涙もろさなどの一過性の症状が出現する。
- スクリーニング調査票がある。
- 産後うつ病のスクリーニング調査票には、エジンバラ産後うつ病調査票がある。
- 日本における発症頻度は約40%である。
- 日本における産後うつ病の発症頻度は約10〜15%である。
- 産後10日ころまでに発症することが多い。
- 出産後10日以内に起こることが多いのはマタニティブルーズである。産後うつ病は産後2〜3週間以降に発症する。
【問題57】 こころのバリアフリー宣言の目的で正しいのはどれか。
正解 3
- 身体障害者の人格の尊重
- 高齢者の社会的な孤立の予防
- 精神疾患に対する正しい理解の促進
- 厚生労働省は、「こころのバリアフリー宣言〜精神疾患を正しく理解し、新しい一歩を踏み出すための指針〜」として以下の8つの柱(キーワード)を挙げている。
①精神疾患を自分の問題として考えていますか
②無理しないで、心も体も
③気づいていますか、心の不調
④知っていますか 精神疾患への正しい対応
⑤自分で心のバリアを作らない
⑥認め合おう、自分らしく生きている姿を
⑦出会いは理解の第一歩
⑧互いに支えあう社会作り
- 厚生労働省は、「こころのバリアフリー宣言〜精神疾患を正しく理解し、新しい一歩を踏み出すための指針〜」として以下の8つの柱(キーワード)を挙げている。
- 精神科に入院している患者の行動制限の最小化
【問題58】 向精神薬と副作用(有害事象)の組合せで正しいのはどれか。
正解 4
- 抗精神病薬 ―― 多毛
- 抗精神病薬の副作用には、パーキンソン症状、急性ジストニア、アカシジア、遅発性ジスキネジアなどがある。
- 抗認知症薬 ―― 依存性
- 抗認知症薬の副作用には、消化器症状などがある。
- 抗てんかん薬 ―― 急性ジストニア
- 抗てんかん薬として用いられるフェニトインの副作用には、歯肉増殖などがある。
- 抗うつ薬 ―― セロトニン症候群
- セロトニン症候群は抗うつ薬の副作用で、脳内セロトニン濃度が過剰になることによって起こる。症状には、発熱や下痢などの自律神経症状、振戦や硬直などの神経・筋肉症状、興奮や錯乱、昏睡などの精神症状がある。
正解 1
- 就労移行支援
- 就労移行支援は、一般企業への就労を希望する障害者に対して、就労に必要な知識や能力の向上のために必要な訓練、就労に関する相談や支援を行う。Aさんは、一般企業への再就職を希望しており、最も適している。
- 就労継続支援A型
- 就労継続支援A型は、一般企業への就労が困難な障害者に就労機会を提供することを目的としており、雇用契約を結ぶ形態である。
- 就労継続支援B型
- 就労継続支援B型は、一般企業への就労が困難な障害者に就労機会を提供することを目的としており、雇用契約を結ばない形態である。
- 自立訓練(生活訓練)
- 自立訓練(生活訓練)とは、知的障害者や精神障害者が地域生活へ移行するために、生活能力の維持・向上などの支援を行うものである。
正解 3
- 保健所長
- 都道府県知事
- 厚生労働大臣
- 精神保健指定医は、臨床経験や研修など所定の要件を満たす医師の申請に基づいて、厚生労働大臣が指定する。精神保健指定医の医療機関における職務は、入院が必要かどうかの判定、入院を継続するかどうかの判定、隔離や身体拘束などの行動制限が必要かどうかの判定、入院患者の診察、措置入院患者の仮退院が可能かどうかの判定などである。また、公務員としての職務には、医療機関への移送が必要かどうかの判定、精神科病院の処遇改善のための立入検査、質問及び診察などがある。
- 精神保健福祉センター長
【問題61】 日本の平成24年(2012年)の高齢者の健康に関する意識調査において最期を迎える場に関する希望で最も多いのはどれか。
正解 1
- 自宅
- 平成24年の高齢者の健康に関する意識調査において、最期を迎える場に関する希望で最も多かったのは自宅で、54.6%であった。
- 医療施設
- 病院などの医療施設は27.7%であった。
- 福祉施設
- 特別養護老人ホームなどの福祉施設は4.5%であった。
- 高齢者向けのケア付き住宅
- 高齢者向けのケア付き住宅は4.1%であった。
【問題62】 レスパイトケアの主な目的について適切なのはどれか。
正解 4
- 高度な治療を集中的に行う。
- 家族へ介護方法の指導を行う。
- 居宅サービス料金を補助する。
- 介護を行う家族のリフレッシュを図る。
- レスパイトケアは、介護にあたる家族を支援するサービスである。一時的にケアから解放することによって、介護者の心身の疲労を癒すことを目的としている。
【問題63】 訪問看護サービスの提供の仕組みで正しいのはどれか。
正解 4
- 主治医の意見書が必要である。
- 主治医の意見書が必要なのは、要介護認定の際である。
- 計画外の緊急訪問の費用は徴収できない。
- 計画外の緊急訪問の費用は、緊急時訪問看護加算によって徴収できる。
- サービスの導入の決定は訪問看護師が行う。
- サービスの導入の決定は本人または家族が行う。
- 主治医の特別指示書による訪問看護は医療保険サービスとして提供する。
- 急性増悪等の理由により、主治医から特別訪問看護指示書の交付を受けた場合、訪問看護は医療保険サービスとして提供する。
正解 1
- 看護の質の保証
- 看護基準は、看護の質の保証を目的としたもので、看護ケアを標準化し、基準を明文化したものである。
- 個別的な看護の促進
- 看護業務の負担の軽減
- 高度な看護技術の提供
正解 4
- 沐浴時には児の標識を外す。
- 標識は沐浴時にも外さない。
- 標識は1個装着すればよい。
- 標識の脱落に備えて2個以上装着する。
- 装着する時期は母児同室を開始する直前である。
- 標識は出生直後の臍帯切断前に装着する。
- 母親に児を引き渡すときは母子の標識を照合する。
- 母親にも標識をつけ、母子の照合ができるようにする。
正解 4
- 認知行動療法を行う。
- 自分が助かったことを喜ぶよう説明する。
- 地震発生時の状況について詳しく聞き取る。
- 長年親しんだものの喪失について話せる場をつくる。
- 災害発生後3週は反応期であり、それまで抑えていた感情が溢れ出す時期であるため、感情を表出できる場を設けることは適切である。
正解 1
- 国際協力機構(JICA)
- 国際協力機構(JICA)は、政府開発援助(ODA)の実施機関の一つで、二国間協力による技術協力や資金協力などを行っている。
- 国際看護師協会(ICN)
- 国際看護師協会(ICN)は、世界各国の看護師協会から構成される国際組織である。看護の技術、公衆衛生の促進および看護師の社会的地位の改善、全世界の看護師の交流などを図る。
- 国連開発計画(UNDP)
- 国連開発計画(UNDP)は、発展途上国が開発目標を達成できるよう支援する国際連合の専門機関である。発展途上国に対する技術援助や発展途上国が国際投資を受けるための事前調査などを行う。
- 国連食糧農業機関(FAO)
- 国連食糧農業機関(FAO)は、各国の食糧生産と分配の能率改善、栄養と生活の水準向上などを図り、飢餓を撲滅することを目的としている。
正解 5
- 運動
- 運動により骨格筋の熱産生が高まるため、体温は上昇する。
- 食事
- 食事を摂ると体内に吸収された栄養素が分解され、その一部が体熱となって消費される。そのため食後は、安静にしていても代謝量が増大し、体温は上昇する。これを食事誘発性熱産生という。
- ふるえ
- 体温が低下すると、骨格筋の収縮によってふるえを起こし、熱を産生する。
- 不感蒸泄
- 不感蒸泄とは、皮膚や呼気からの水分喪失をいう。不感蒸泄によって体熱は放散される。
- 精神性発汗
- 精神性発汗とは、体温調節のためではなく、ストレスや緊張などによって交感神経が活性化するために生じる発汗である。