第105回看護師国家試験一般問題・状況設定問題解説(午後問題106〜120)
次の文を読み106〜108の問いに答えよ。
Aさん(28歳、女性、会社員)は、結婚後1年で夫と2人で暮らしている。仕事上の役割も増えている。次回月経予定日を2週過ぎても月経がみられないため、勤務先近くの産婦人科クリニックを受診した。月経周期は28日型で、最終月経は3月2日から4日間であった。診察の結果、妊娠と診断された。
【問題106】 3月と4月のカレンダーを示す。本日、4月14日のAさんの妊娠週数および日数を最終月経から求めよ。
正解 4
- 1週5日
- 5週4日
- 5週5日
- 6週1日
- 最終月経の初日(3月2日)が0週0日となるので、4月14日は6週1日である。
正解 4
- 錯乱状態である。
- 他罰的な感情がある。
- マタニティブルーズである。
- アンビバレント(両価的)な感情がある。
- アンビバレントとは、ある対象に対して相反する感情を同時に抱くことである。
正解 2
- 「体がかゆくなります」
- 皮膚の掻痒感は、特に妊娠中期から後期にかけて起こりやすい。
- 「おりものが多くなります」
- 妊娠初期では、増加したエストロゲンの作用により帯下が増加する。
- 「仰向けで寝ていると気分が悪くなります」
- 仰臥位低血圧症候群は、妊娠後期に起こりやすい。増大した子宮が下大静脈を圧迫し、心臓への静脈還流量が減少するため、心拍出量が減少し、低血圧となる。
- 「下肢にけいれんが起こりやすくなります」
- 妊娠後期では、血液循環の悪化やカルシウム不足などによって、下肢にけいれんが起こりやすくなる。
次の文を読み109〜111の問いに答えよ。
Aさん(23歳、女性)は、未婚で両親と3人で暮らしている。専門学校卒業後に就職し、仕事も順調であった。4か月前、仕事のミスがあったことをきっかけに気分が落ち込み、食欲のない状態が1か月ほど続いたが、通勤は続けていた。Aさんは2か月前から不眠を訴えるようになり、先月からは給料の全額を宝くじの購入に費やしてしまう行為がみられるようになった。Aさんは、心配した両親に付き添われて精神科病院を受診した。
正解 1
- 躁状態
- 多弁や易怒性がみられており、躁状態である。
- 緘黙状態
- 緘黙状態は、言語能力は正常であるのに、発語がなく沈黙を続ける状態である。
- 錯乱状態
- 錯乱状態は、意識が混濁し、思考に混乱をきたした状態である。
- せん妄状態
- せん妄状態は、意識混濁に加えて幻覚や錯覚、不安、興奮などを伴う状態である。
正解 1
- 休養の必要性をAさんと再確認する。
- 今後への強い焦りの訴えが聞かれているので、休養の必要性を再確認する。
- 仕事のことは考えないように伝える。
- 職場のことが気になって焦りを覚えており、考えないようにと話すことは適切ではない。
- Aさんの上司にAさんの病状と行動との関連を説明する。
- 守秘義務があるため、病状などを伝えるのは不適切である。
- Aさんのテレホンカードをナースステーションで管理する。
- 通信や面会は原則自由であり、テレホンカードを管理して通信の自由を侵害することは不適切である。
正解 3
- 「薬の管理は家族が行ってください」
- Aさんは治療を継続する必要性について理解しており、薬の管理は本人が行うのが望ましい。
- 「今後も定期的な入院が必要になります」
- 服薬によって症状は改善しており、定期的な入院が必要とは言えない。
- 「Aさんの言動の変化に気を付けましょう」
- Aさんの言動の変化に気を付け、再発のサインを早期に見つけることが重要である。
- 「服薬していれば再発することはありません」
- 服薬していても再発は起こりえる。
次の文を読み112〜114の問いに答えよ。
Aさん(19歳、男性、大学生)は、実家近くのアパートに1人で暮らしている。ある日、線路沿いの道を裸足で歩きながら険しい表情でカッターナイフを振り回し、ぶつぶつと独り言を言い続けていたことから警察に保護された。Aさんは、警察から連絡を受けた両親とともに精神科病院を受診したが「自分は命を狙われている」、「この人たちは自分の親じゃない」と言い、医療者に対しても拒否的な態度をとっている。診察の結果、Aさんは統合失調症と診断された。Aさんの頭髪は乱れ、食事や睡眠がとれていない様子であったため、そのまま医療保護入院をすることになった。
【問題112】 入院当日にAさんの両親から情報収集する内容として、優先度が高いのはどれか。
正解 4
- Aさんの大学の出席状況
- 両親がAさんと同居する可能性
- Aさんの子ども時代の両親の育て方
- Aさんの入院に対する両親の受け止め方
- 両親にはショックや不安など様々な感情があると考えられる。適切な援助を行うためにも、Aさんの入院に対する両親の受け止め方を把握することが必要である。
正解 2
- 毎日の面会
- 家族心理教育
- 家族が病気に関する正しい知識や情報を理解し、もたらされる諸問題に対する対処法を習得することは適切である。
- Aさんとの同伴での外出
- 共同生活援助(グループホーム)の見学
正解 4
- 「復学の時期を大学に判断してもらいましょう」
- 「復学できる状態になるまで退院を延期しましょう」
- 「ご両親からAさんに焦らないよう説得してください」
- 「まずは家庭での日常生活に慣れることから始めましょう」
- ストレスによって再発する可能性があるので、早期の復学は難しい。まずは家庭での日常生活に慣れることから始めるのが適切である。
次の文を読み115〜117の問いに答えよ。
Aさん(58歳、男性)は、妻(55歳、会社員)、長女夫婦および生後5か月の孫の5人で暮らしている。頸椎の後縦靱帯骨化症と診断され椎弓形成術を受けた。リハビリテーション病院に転院し2か月前に退院した。退院時から週1回の訪問看護を受けている。現在の症状は、下肢のしびれ、知覚鈍麻、筋力低下、上下肢の痙性麻痺および膀胱直腸障害である。移動は車椅子で、食事はリハビリテーション用のフォークを使用して座位で摂取している。排泄は家族に見守られながら尿器とポータブルトイレとを使用し、自分で行っている。
【問題115】 Aさんへの訪問看護における身体状態の観察で、疾患に関連して最も重要なのはどれか。
正解 1
- 排尿状態
- 膀胱直腸障害があるので、排尿状態の観察が最も重要である。
- 上肢の筋力
- 嚥下の状態
- 外傷の有無
- 下肢のしびれ
正解 4
- 「もう少し様子をみましょう」
- 「下剤は2種類とも飲みましょう」
- 「便意を感じたらトイレに座りましょう」
- 「浣腸をしてもよいか医師に確認しましょう」
- 左腹部に便塊が触れているので、浣腸をしてもよいか医師に確認する。
正解 5
- 日中の口腔ケアを徹底する。
- 日中だけでなく、就寝前の口腔ケアを徹底する。
- 長女に口腔ケアを依頼する。
- 長女には頼めないと話しており、適切ではない。
- 就寝時刻を遅くするよう提案する。
- 就寝時刻を遅くするのは適切ではない。
- 妻が夜に実施できる時間帯を検討する。
- 妻は仕事の帰りが遅く、Aさんは妻を待てずに寝てしまうと話しており、妻が夜に実施するのは困難である。
- Aさんが自立してできる方法を検討する。
- リハビリテーション病院に入院していたときは、自助具を利用して口腔ケアの練習をしており、Aさんが自立してできる方法を検討するのが適切である。
次の文を読み118〜120の問いに答えよ。
Aちゃん(4歳、男児)は、昨夜の土砂災害によって両親とともに小学校の体育館に避難している。母親は自分の両親の安否が不明なため眠ることができなかった。また、落ち着きがなく感情的になっている。父親はずっと毛布をかぶって横になっている。
【問題118】 昼間のAちゃんは体育館の中を走り回っている。また、指しゃぶりをしながら両親の姿を気にしているが、近づいて甘えようとはしない。Aちゃんの反応で正しいのはどれか。
正解 2
- 自我同一性の拡散
- 自我同一性の拡散とは、青年期の発達課題である自我同一性の確立がうまくいかない状態のことである。
- 急性ストレス障害
- 急性ストレス障害は、心的外傷を体験した後に起こる一過性のストレス障害で、症状が1か月未満のものである。
- 外傷後ストレス障害(PTSD)
- 外傷後ストレス障害(PTSD)は、心的外傷がストレス源となり、心身に支障を来たすストレス障害である。原因となった出来事の再体験(フラッシュバックや悪夢)、類似した出来事に対する回避、感情麻痺、過覚醒などの症状が1か月以上持続するものである。
- 注意欠陥多動性障害(ADHD)
- 注意欠陥多動性障害(ADHD)は、不注意、多動性、衝動性を症状の特徴とする発達障害である。
正解 3
- 両親のAちゃんへの関わりを見守る。
- Aちゃんと災害時のことを一緒に話す。
- Aちゃんが他の子どもと遊べる機会をつくる。
- Aちゃんは活気がなくなってきているので、他の子どもと遊べる機会をつくるのが最も適切である。
- 災害時の様子を絵に描くようAちゃんに勧める。
正解 2
- 引っ越しすることを説明するよう促す。
- スキンシップの時間を増やすように促す。
- スキンシップの時間を増やし、安心感を与えることが重要である。
- すぐに専門医の外来を受診するよう促す。
- 子どもの反応は母親の関わりが原因だと話す。